『マッドマックス』(1979)や『ザ・ウォーカー』(2010)のように、文明の崩壊した後の世界を描く「ポストアポカリプス」と言うジャンルがあります。
退廃的で暴力的な世界観だからこそ、人間そのものの性質やドラマが描かれる「ポストアポカリプス」。
今回は、2018年5月にNetflixで配信された「ポストアポカリプス」な世界観を描いたドラマ『ザ・レイン』の魅力とあらすじを紹介していこうと思います。
CONTENTS
海外ドラマ『ザ・レイン シーズン1』の作品情報
【公開】
2018年(Netflix限定)
【原題】
The Rain
【キャスト】
アルバ・アウゴスト、ルーカス・リンガー・トュネセン、ミケル・ボー・フォルスゴー
【作品概要】
2018年5月4日に全世界で配信されたデンマーク産のNetflixオリジナルドラマ。
日本人にはあまり馴染みのないデンマークのドラマでありながら、「雨に当たると死ぬ」と言う斬新な設定が話題となりました。
海外ドラマ『ザ・レイン シーズン1』の登場人物紹介
シモーン(アルバ・アウゴスト)
平凡な女学生だったが、「雨」が降りはじめて以降、シェルターで弟のラスムスと共に6年過ごした。
「弟を守れ」と言う父の残した言葉を胸に刻み、どんな時でも弟の身を守ろうとする。
ラスムス(ルーカス・リンガー・トュネセン)
シモーンの弟であり、物語の鍵を握る人物。
思春期をシェルターの中で姉と過ごした影響からか、感情を隠すことが出来ず、時にわがままな態度を取る。
マーティン(ミケル・ボー・フォルスゴー)
シェルターを出ようとしたシモーンとラスムスを襲った生き残りの人間。
感染者の射殺を躊躇ったことで味方を死なせてしまった経験から、敵対者や感染者を容赦なく射殺する非情さを持つが、シモーンとの出会いが彼を変えていく。
ベアトリス(エンゲラ・ブンダロヴィック)
マーティンと共に行動する生き残りの女性。
マーティンと付き合っているがその関係はあまり上手くいっておらず、感情を隠さずに表現するラスムスに惹かれ始める。
パトリック(ルーカス・ロッケン)
マーティンと共に行動する生き残りの男性。
物資を奪うことで生きていく現在の状況に順応しており、関係の無い人間を救おうとするシモーンを理解できずフラストレーションを溜めていくが、仲間想いな一面もある。
ジャン(ソニー・リンドベール)
マーティンと共に行動する生き残りの男性。
この世界の生き方に順応しているが元々は陽気な性格で、助けてくれた家族を見殺しにしてしまったトラウマを抱えている。
リア(イェシカ・ディナウエ)
マーティンと共に行動する生き残りの女性。
神を信じる心を持ち、精神的に弱い部分も多いが、いざという時は過激な行動も厭わない攻撃的な一面も持つ。
フレデリック(ラース・シモンセン)
シモーンとラスムスの父であり、「雨」が降ることや、シェルターの存在を知っていて、手遅れになる前に家族を避難させた。
しかし、「世界を救う」と言う言葉と共にシェルターから姿を消し、以後消息が不明となる。
海外ドラマ『ザ・レイン シーズン1』のあらすじとネタバレ
学校でのグループテストに遅れ、走る少女シモーン。
ギリギリのところでテストに間に合う彼女でしたが、突如学校に入ってきた焦る様子の父フレデリックに学校から連れ出され、何かから逃げることになります。
雨から逃げなければいけない、と語るフレデリックの運転する車でシモーンと母、そして弟のラスムスの4人で雨雲から反対方向に走り続けます。
車内のラジオからは、雨によるアレルギーで死者が多数と言うニュースが流れ、SNSにも雨によって死ぬ人を目にする人たちの投稿が次から次へと流れていきます。
なかなかシートベルトをしないラスムスの様子を見るあまり、交通事故を起こしてしまったフレデリックは、シモーンたちと共に道のはずれに歩いて行くのでした。
しばらく森の中を歩くと、そこにはシェルターのようなものがあります。
フレデリックが言うには、ここは「アポロン社」が災害時用に作ったシェルターで、この中にいれば安心とのことでした。
しかし、シェルター内に入ってすぐに、フレデリックは防護服を身に着けると、1人で外に出ていこうとします。
「パパはやらなければならない仕事がある」と言い、出ていこうとするフレデリックは、シモーンにラスムスは全ての鍵になる、と弟を守るように告げ、外に出ていきました。
フレデリックが出ていってからまもなく、外のドアを誰かが叩くような音が聞こえ始めます。
父が帰ってきたのではないか、と思い、シェルターを不用心にもあけてしまうシモーン。
しかし、そこにいたのはフレデリックではなく、雨に打たれ苦しむ男でした。
ラスムスの服を掴まれ、一生懸命振りほどこうとするシモーンですが、なかなか振りほどくことが出来ません。
駆け付けた母が男にタックルをし、突き飛ばすことに成功しますが、母も外に投げ出されてしまい、苦しみながらドアを閉めるように命じます。
シェルターのドアを閉め、自分の浅はかな行動から母を殺してしまったことを、シモーンは深く深く悲しむのでした。
そして6年後、フレデリックは未だに戻らず、シェルター内の食料が切れかけます。
シモーンは大きく育ったラスムスと2人でシェルターを出て食料とフレデリックを探す旅を始めることにしますが、シェルターを出たところで武装した集団に囲まれます。
彼らの狙いが食料であることを知ったシモーンは、その集団のリーダー的存在であるマーティンに、他のシェルターの場所を教える代わりに同行することを願い出ます。
マーティンが言うには雨から人に未知のウイルスが感染し、そしてさらにそのウイルスが、人から人へ感染して地域内の多くの人間は死んでしまったということでした。
ストレンジャーと呼ばれる、生存者の拉致や殺害を行っている集団から手に入れた最新の地図により、デンマークが高い壁によって隔離されたことを知ったマーティンはデンマークの外ならば安全なのではないか、と考え壁の外を目指すこと決めます。
しかし、生き残りの暴徒に食料を持っていると気が付かれ、ラスムスが刺されてしまったことによって、リラと言う街にいる医者を探しに向かうことになります。
ストレンジャーが持っていたドローンを使い、ドクターを見つけたシモーンたちはラスムスの治療を懇願します。
ドクターはラスムスの治療をしますが、シモーンとラスムスの父がアポロン社のフレデリックであることを知ると態度を急変させシモーンを拘束しました。
一方、別の小屋で待機するマーティンたちのもとにストレンジャーが複数人現れます。
その中の1人に、かつて命の恩人である家族を殺した人物を確認したジャンはマーティンたちの制止を聞かずその男を殺害し、別のストレンジャーたちに拉致されるのでした。
ジャンを助けることが不可能だと悟ったパトリックは、なおもジャンを助けようとするマーティンを引っ張り、ドクターのいるシェルターに向かいます。
シモーンを拘束したドクターは、フレデリックが全ての元凶であると言い、ラスムスに何かの薬を注射しようしましたが、パトリックによって殺害されます。
「アポロン社」と書かれたその薬を回収し、シモーンたちはシェルターから去るのでした。
雨が降る前に宿を探すマーティンたちは光のついた館を見つけます。
その館には多くの人々が生きていて、皆同じような服を着、過去を顧みないと言う考えのもと過ごしていました。
水を自由に使い、野菜を育て、肉の食事すらも与えられるこの集団に違和感を覚えるマーティンですが、他のメンバーはそのことに疑問を抱かず、この館から出る気を失っていました。
一方、シモーンはラスムスを治療しようとする館の医者が、自分たちを殺そうとしたドクターと同じ薬を注射しようとするのを目撃し制止します。
アポロンとロゴのついたその注射のことを訪ねるシモーンですが、相手は何も答えませんでした。
感謝の晩餐と呼ばれる日に、集団に懐疑的なマーティンは地下室でバラバラにされ冷凍保存された人の死体を見つけます。
この組織では、人を食料として食べ、晩餐の日に次の食料となる人を決めているのでした。
そのことを知り、出て行くシモーンたちの前に、過去に囚われていると言う理由で、集団を追い出された館の医者が現れます。
フレデリックの名前を知っていた医者は、自分たちが世界を救うつもりが滅ぼした、と語り自分にラスムスに注射しようとした薬を注射します。
すると、雨に打たれたのと同じ症状を発症し、マーティンに射殺されるのでした。
次のシェルターに向かうため行動を起こそうとするマーティン。
ラスムスは傷を理由に動けないと言い、ベアトリスと共に残ることになります。
しかし、その言葉はベアトリスと2人きりになりたいラスムスのついた嘘であり、大した治療もしていないのにも関わらず、ラスムスの傷は完治しつつありました。
一方、シェルターを見つけたマーティンたちですが、そのシェルターには家族が住んでいるような形跡があるにも関わらず、その姿はどこにも見えませんでした。
パトリックはシェルターの端末からある映像を発見します。
それは、アポロン社が実験で、何も知らない親子に感染を促す薬剤を注射し、死亡させている映像でした。
更に映像内で、一連の行為を指示していたのがフレデリックであること知ったシモーンは激しく動揺し、雨が降りはじめたにも関わらず、雨のかからないギリギリの場所で物思いにふけるのでした。
そこに現れたパトリックは、誰にも必要とされていないと言う今までの人生での経験から卑屈になりはじめている自分に悩んでいることをシモーンに話すのですが、慰めてくれたシモーンに逆上して、シモーンを雨の中へと投げ込んでしまいます。
雨に濡れたシモーンを射殺するようにマーティンに言うパトリック。
シモーンの射殺を阻止するため、リアは雨に濡れることを厭わず、シモーンの前へと立ちます。
迷った末に2人を射殺せず、マーティンはシェルター内に全員を入れるのでした。
海外ドラマ『ザ・レイン シーズン1』の感想と評価
今作の魅力は何と言っても、キャラクターたちそれぞれの人間ドラマです。
略奪者として登場するマーティン、パトリック、ジャン、リア、ベアトリスは序盤こそ心象が最悪なキャラクターたちですが、話数を重ねるごとに「致死性の雨」によってそれぞれが何を失ったのかが浮き彫りになります。
例えば、ジャンは序盤では仲間に内緒で見つけた食料を勝手に食べてしまうような身勝手さが目立つキャラクターですが、中盤では過去に自信を助けてくれた家族の両親を見殺しにしてしまった上に、敵から隠れている間に泣きわめく家族の娘の口を塞いでいたら窒息させてしまったと言う過去を持っていたことが分かります。
その時の罪を重く背負っており、仇を見つけた際に復讐心に燃えるジャンの気持ちが痛いほどわかり、当初抱いていたジャンに対する嫌悪感は一切なくなります。
このように、致死性の雨の後の世界で変わってしまったそれぞれの生き方や性格が中盤に差し掛かるにつれて詳しく描かれ、レギュラーメンバー全員を応援したくなり、また彼らを襲う非情な現実に心が揺さぶられます。
物語も二転三転する世界の正体に目が離せず、1シーズンが一瞬に感じてしまう良質なドラマでした。
まとめ
斬新な設定と、先を読ませない展開、奥が深い心理描写で瞬く間に人気を得た『ザ・レイン』は、公開後すぐにシーズン2の製作が決定しました。
まだ公開日は決まっていませんが、シーズン2も全世界で話題になること間違いなしの注目作なので、今のうちに鑑賞してみてがいかがでしょうか。