連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第305回
トロイア戦争の英雄オデュッセウスの10年に及ぶ壮大な故郷への帰還の旅を描いた、詩人ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』。
西洋文学の金字塔ともいえるこの壮大な英雄譚を、アカデミー賞(R)最多7部門を受賞した『オッペンハイマー』(2024)や『インセプション』(2010)のクリストファー・ノーラン監督が、映画史上初となる全編IMAX(R)撮影で映画化しました。
2026年7月より世界74カ国で公開された映画『オデュッセイア』が、いよいよ日本で公開されます。
映画『オデュッセイア』は、2026年9月4日(金)から10日(木)までIMAX先行上映を実施。その後、2026年9月11日(金)から全国ロードショー!
勇者オデユッセイアにマット・デイモンを抜擢し、過去最大級のスケールで描き出す本作の見どころを解説いたします。
映画『オデュッセイア』の作品情報

(C)2026 UNIVERSAL STUDIOS
【日本公開】
2026年(アメリカ映画)
【原題または英題】
The Odyssey
【監督・脚本】
クリストファー・ノーラン ※ホメロス『オデュッセイア』に基づく
【製作】
エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン
【エグゼクティブプロデューサー】
トーマス・ヘイスリップ
【撮影】
ホイテ・ヴァン・ホイテマ
【編集】
ジェニファー・レイム
【音楽】
ルドウィグ・ゴランソン
【VFXスーパーバイザー】
アンドリュー・ジャクソン
【特殊効果スーパーバイザー】
スコット・R・フィッシャー
【衣装デザイン】
エレン・マイロニック
【出演】
マット・デイモン、トム・ホランド、アン・ハサウェイ、ロバート・パティンソン、ルピタ・ニョンゴ、ゼンデイヤ、シャーリーズ・セロン
【作品概要】
映画『オデュッセイア』は、古代ギリシャの詩人ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」を、『オッペンハイマー』(2024)や『インセプション』(2010)のクリストファー・ノーラン監督が、映画史上初となる全編IMAX(R)撮影で見事に映画化。
主人公の王オデュッセウスに『オーシャンズ11』(2001)などのマット・デイモン、妻ペネロペをアン・ハサウェイがそれぞれ演じます。
トム・ホランド、ロバート・パティンソン、ルピタ・ニョンゴ、ゼンデイヤ、シャーリーズ・セロンも共演しました。
撮影は『オッペンハイマー』のホイテ・バン・ホイテマ、音楽はルドウィグ・ゴランソンが担当しています。
映画『オデュッセイア』のあらすじ

photo by Melinda Sue Gordon (C) Universal Studios. All Rights Reserved.
古代ギリシャ時代。ギリシャの連合軍とトロイア王国との間で、10年におよぶ戦争が起こりました。
戦争は「トロイアの木馬」と名付けられた作戦が功をなし、ギリシャ連合軍の勝利で終結。
その戦争に参戦して「トロイアの木馬」を発案したのはイタケ国の王、オデュッセウス(マット・デイモン)でした。
オデュッセウスを始めとする軍一行は、終戦後家族が待つ故郷を⽬指して帰還を始めます。
しかし彼らの前には、ギリシャの神々の介⼊があり、怪物や荒れ狂う海など、容赦ない試練が次々と立ちはだかるのです。
一方、王の不在が続く故郷イタケでは、王妃ペネロペ(アン・ハサウェイ)に求婚を求める者たちが押しかけていました。
中でも熱心な求婚者・アンティノオス(ロバート・パティンソン)は、「オデュッセウスは死んだから、新しい王を迎えよ」とぺネロペに詰め寄ります。
また、幼い頃にオデュッセウスが出兵したため顔も知らぬ父を思う息子テレマコス(トム・ホランド)も、窮地に追い込まれていました。
父・オデュッセウスの終戦後の行方を知るために、テレマコスはオデュッセウスの旧知であるスパルタ王を訪ね、父の消息を辿ります。
そんな事情は知らぬオデュッセウスは、苦難の旅の果てに海で嵐に遭い仲間は全滅。オデュッセウスだけが、海の女神カリュプソ(シャーリーズ・セロン)に救われていました。
ですが、治療のために食べた蓮の実によってオデュッセウスは記憶を失い、7年もの間、カリュプソの島に留め置かれることになりました。
やがて彼の家族への想いを知ったカリュプソが手助けをして、記憶を取り戻します。
オデュッセウスは愛する家族のもとへ帰り着くことを目指して、再び旅に出ました。
映画『オデュッセイア』の感想と評価

photo by Melinda Sue Gordon (C) Universal Studios. All Rights Reserved.
物語のテーマは‟帰郷”
ギリシャ時代の詩人ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』。
10年に及ぶトロイア戦争の後、 英雄オデュッセウスは愛する家族が待つ故郷へ帰還するために、さらに10年の歳月をかけて旅に出ます。その途中の容赦なき試練に立ち向かっていくという、延べ20年にわたる冒険物語です。
クリストファー・ノーラン監督はこの物語を映画化するにあたり、イタケ島の王のオデュッセウスとその息子であるテレマコスを中心に構成しました。
オデュッセウスがトロイアに赴いた時、テレマコスはまだ幼児でした。
オデュッセウスが神や怪物、嵐や悲劇に旅路を阻まれながらもなんとか帰郷しようとする間、テレマコスは何年も戻って来ない父親がまだ生きているという希望を持ち続けます。
そんな中、王であるオデュッセウスの不在をいいことに、テレマコスの母である王妃ペネロペに求婚して、自らを新たな王に据えるよう迫る心無い求婚者たちの野望で、イタケ国は大きな危機にさらされるのでした。
故郷の一大事を知らないオデュッセウスですが、ただひたすら故郷への帰途を急ぎます。苦難の旅を続けるオデュッセウスの強靭な精神力は、家族の待つ故郷へ帰るという思いだけでした。
オデュッセウスの思いと、顔も知らない父の生存を信じるテレマコスと夫の帰郷を待ち望む妻・ペネロペの‟家族愛”がこの英雄譚をかたどっていると言えます。
原作でもある叙事詩が長い間人々に親しまれているのも、家族や故郷を思うオデュッセウスに魅力があるからに違いありません。
ノーラン監督が描く本作の魅力

photo by Melinda Sue Gordon (C) Universal Studios. All Rights Reserved.
本作の監督クリストファー・ノーランは、“リアルの極致”にこだわって、古くからの物語を長編映画史上初となる「全編IMAX®フィルムカメラ撮影」や実写スタント、世界6か国でのロケーション撮影で映像化にしました。
「トロイアの木馬」を海から城まで引き上げるシーンや、兵士たちの戦い、嵐のシーンなどが、迫力満点のカメラワークで描かれています。
またノーラン監督は、「『オデュッセイア』は、いくつものストーリーが存在する壮大な物語だ。帰還の話ではあるが多岐のジャンルにわたっていて、誰もが共感できるストーリーに仕上がっている。映画化において楽しみだったのは、壮大かつ常識を超えたアイデアの数々をいかに現実的に見せるかだった」と語ります。
物語に描かれている、愛、欲望、裏切り、復讐などは、ギリシャ時代に限らず全て現代でも存在するものです。
物語では、ギリシャ神話のゼウスやポセイドン、カリュプソといった神々にも怒りや嫉妬、憎しみといった感情があり、人間であるオデュッセウスを苦しめます。
『オデュッセイア』に描かれる、神々の人間臭さも観客の共感を得るものなのでしょう。
ノーラン監督をも魅了したこんな「多岐にわたる誰もが共感できるストーリー」が、リアルに描かれているのも見どころの一つ。
『オデュッセイア』の奥深い魅力を、全編IMAX(R)撮影という新しい技術で描き出す本作が、究極の映画体験であることは間違いありません。
まとめ

photo by Melinda Sue Gordon (C) Universal Studios. All Rights Reserved.
叙事詩『オデュッセイア』は、トロイア戦争の英雄オデュッセウスの10年に及ぶ壮大な故郷への帰還の旅、圧巻の映像美でお届けする愛と勇気の物語です。
“リアルの極致”にこだわったクリストファー・ノーラン監督が、この叙事詩を映画史上初となる全編IMAX(R)撮影で映像化。
数多の映画でも使われているエピソードを多数持っている叙事詩『オデュッセイア』が、新しい技法でよりリアルな映像体験ができる映画となりました。
主演のマット・デイモンの英雄ぶりも、スケールの大きな映像美とともに楽しめます。
映画『オデュッセイア』は、2026年9月4日(金)から10日(木)までIMAX先行上映を実施。その後、2026年9月11日(金)から全国ロードショー!
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。




































