垣谷美雨の小説『あきらめません!』が映画化決定!
映画化もされた『老後の資金がありません』(2021)などで、多くのファンの支持を得ている作家・垣谷美雨の小説『あきらめません!』は、誰もが直面する社会問題をユーモア溢れる筆致で描いた作品です。
このたび、この小説を『甘いお酒でうがい』(2020)や『ウェディング・ハイ』(2022)の大九明子監督が、永作博美主演で映画化することが決定しました。

(C)垣谷美雨/講談社 (C)「あきらめません!」製作委員会
原作小説をもとに、閉鎖的な社会や男尊女尊の風潮に立ち向かう女性の生き方をスクリーンに描き出します。
映画『あきらめません!』は公開未定。ですが、映画化に先駆けて、小説『あきらめません!』をネタバレありでご紹介します。
小説『あきらめません!』の主な登場人物
【霧島郁子】
還暦を迎え、田舎町に移住する
【霧島幹夫】
郁子の夫。
【落合由香】
主婦。仕事と家事と義父の面倒をみている
小説『あきらめません!』のあらすじとネタバレ

垣谷美雨『あきらめません!』(講談社文庫)
共働きの霧島郁子と幹夫夫婦は、そろって定年を迎えて退職をしました。
退職して半年後。幹夫は嘱託として勤務は続け、郁子は初めての専業主婦生活を満喫していました。
そんなある日、定年延長制度で働き続けている幹夫が「田舎に帰りたいんだ」と言い出します。会社を辞めて新しい人生を始めたいのだとか……。
幹夫の実家は、東京から新幹線と在来線を乗り継いで行く山陰地方の小さな町にあります。郁子にも田舎暮らしへの憧れはあったのですが、田舎の人は閉鎖的と聞くし、不安は尽きません。
ですが、あれよあれよという間に移住話は現実味を帯びていき、夫婦で悩んだ末に東京のマンションを売却しました。
丁度その頃、姑から隣人が家を買ってくれないかと言ってきたと連絡が入りました。
隣人は村井という名前で、介護もできるように家をリフォームしたのだけれど、息子夫婦と同居することになったのだと言いました。
格安物件で姑の隣家ということもあったので、霧島夫婦は購入しました。
いざ、引っ越しの日、元村井家には、庭にあって撤収を頼んでおいた灯篭や伊予青石がでんと残されていました。
おまけに引っ越しの様子を見に来た村井から、テレビや電子レンジは未使用だから置いて行くと言われました。
郁子にとっては、これは大きな迷惑でした。家電は東京から持ってきたもので充分だし、庭先の灯篭などは不要です。
もらったら喜んで当然と思っている村井に対して、郁子ははっきりと「いりません」といい、引き取ってもらいました。
村井はしぶしぶ用件をのんでくれました。
移住して1ヵ月。郁子は田舎の生活にひどく退屈していました。図書館で本を借りた帰り、建物の中で迷子になった郁子は、偶然にも市議会を傍聴することになりました。
市議会議員は20人ほどで、年寄りの男性が多く、女性議員は若い女性と銀髪の女性の2人だけです。
「早う嫁に行かんとあかんぞ」「このまま歳取って枯れたらミサオさんみたいになるぞ」などと、若い女性議員にパワハラやセクハラ全開のヤジが飛びます。
昭和にタイムスリップしたかのような光景を目の当たりにして、郁子は身震いした。また、男性議員の中に、隣家の前の持ち主・村井を見つけ、唖然とします。
議会が終わると、郁子は若い女性議員を呼び止め、「言い返しなさいよっ」「だから女はナメられるのよっ」と怒鳴りつけました。
それを目撃した銀髪の女性議員が、「あんた、最高じゃわ」と郁子に声をかけてきた。
彼女が差し出した名刺には、市川ミサオと書かれていました。80代のミサオは今期で市議を引退すると言います。
そこで、町の古い体質をなんとかするため、郁子に市議の補欠選挙に立候補しないかと勧めてきました。
はじめは冗談じゃないと思った郁子ですが、日に日にヤル気が出てきました。
小説『あきらめません!』の感想と評価
定年を迎え、悠々自適なセカンドライフを送るつもりだった霧島郁子。突然、夫の実家に戻ることになり、閉鎖的な地方での暮らしを余儀なくされました。
市議会の議会をたまたま見てしまい、セクハラ、パワハラ、男尊女卑の風習がそのまま残る政治のあり様を知り驚きます。
「これではいけない!」と、怒りに近い感情が沸き起こり、郁子は立ち上がります。カリスマ的なオーラも行動力もある郁子ですから、市会議員選挙へ立候補し、2回目で当選すると、政治改革に乗り出します。
女性の立場で描かれた人生まき直しのパワーあふれる小説でした。
現実にも政治不安が感じられる昨今、弱者視線で政治改革をどんどん実行する郁子。家族やご近所のうるさ型オヤジたちとの葛藤も詳細に描かれ、郁子のやろうとすることが決してたやすい道のりではないことがわかります。
ですが、郁子は“あきらめません!”
この根性が人々の共感を呼び、賛同者が次々と現れます。オヤジたちをぎゃふんといわせるシーンは、本当に胸のすく思いがします。やはり、市政のヒーローは市井の人々から誕生するといっても過言ではないでしょう。
この小説は、スローライフの在り方、移住問題、地域政治改革など多くの問題点を含んでいますが、主人公が悩みながらも力強く解決していく様に、生きていく希望をもらえると思います。
映画『あきらめません!』の見どころ
田舎へ移住し、のんびりとしたスローライフで人生終盤を過ごそうと思っていた郁子ですが、一念発起して市議になり、政治改革を目指します。
予想に反して、移住後はこれまで以上に忙しく悩ましい日々となりました。
そんな不屈の精神をもった主人公を演じるのは、キュートな笑顔でその魅力を披露する永作博美。人を魅了するオーラのある主人公・郁子役には適任と思えます。
見どころは、そんな郁子が映画においても、小説のように頑固オヤジの群れを撃退するところでしょう。
大九明子監督が作り上げる、新たな痛快エンターテインメント映画で、一部の人が感じているであろう現代政治への不信感も吹っ飛ぶのにちがいありません。
郁子に賛同する女性陣、または郁子の適役の村井には誰がなるのかと、気になるところで、キャスト陣の続報も待たれます。
映画『あきらめません!』の作品情報
【日本公開】
公開未定
【原作】
垣谷美雨『あきらめません!』(講談社刊)
【監督・脚本】
大九明子
【キャスト】
永作博美
まとめ
大久明子監督が映画化する、垣谷美雨の小説『あきらめません!』をご紹介しました。
定年を迎えた女性が男尊女卑の田舎政治界に飛び込んで、市政に挑みます。最初は一人からなのですが、徐々に郁子に賛同する女性たちが現れます。
「一人では何もできないが、一人でも始めなければいけない」。
強い信念で動き出す郁子に魅かれるように、それまで黙っていた若い世代たちが声をあげて動き出したと言えます。
心で思っていてもなかなか行動に移せないことが多い現実ですが、悩みながらもそれを実行していくごく平凡なオバサンのパワフルな力が凄い!
劇場公開日はまだ未定ですが、永作博美の“霧島郁子”を観るのが今から楽しみです。

































