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『ドゥーム・ジェネレーション』あらすじ感想評価。デジタルリマスター版でグレッグ・アラキ監督が贈る《史上最もクィアな異性愛映画》

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

映画『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』は2024年11月8日(金)より、渋谷ホワイトシネクイントほかにて全国順次公開!

1990年代の「ニュー・クィア・シネマ」ムーブメントを牽引したアメリカの映画監督グレッグ・アラキ。「ティーン・アポカリプス・トリロジー」の第2作『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』は、3人の若者の悪夢のような逃避行を描いたロードムービーです。

初公開時にはそのストレートな性表現によりレーティングの事情でカットされたシーンも含んだデジタルリマスター版が、このたび2024年11月8日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほかにて全国順次公開されます。

恋人同士のジョーダンとエイミー。ある日、クラブの駐車場で暴行されていたグザヴィエを助けますが、エイミーはグザヴィエの下品な言動に不快感を示します。途中で降ろそうとしたエイミーをなだめ、3人はともに行動します。

しかし、コンビニで店長とトラブルになり、乱闘の結果、店長の首が宙を舞い、店長を殺してしまいます。慌てて3人は逃げ出しますが……。

閉塞感を感じ、退廃的に生きる若者3人の逃避行を独創的に描き出していきます。

映画『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』の作品情報


(C)1995 UGC and the teen angst movie company

【日本公開】
2024年(アメリカ・フランス合作映画)

【原題】
The Doom Generation

【監督・脚本】
グレッグ・アラキ

【キャスト】
ジェームズ・デュバル、ローズ・マッゴーワン、ジョナサン・シェック、クレス・ウィリアムズ、キニー・パピー、スティン・グエン、マーガレット・チョー

【作品概要】
監督を務めたグレッグ・アラキは、ロサンゼルス生まれの日系3世。自身が同性愛者であることを明かした上で、ティーンエイジャーや同性愛をテーマとした作品を多く制作し、1990年代のニュー・クィア・シネマを牽引した監督のうちの1人として知られています。

出演は、『インデペンデンス・デイ』(1996)のジェームズ・デュバル、『プラネット・テラー in グラインドハウス』(2007)のローズ・マッゴーワン、『クロムスカル』(2023)のジョナサン・シェック。

映画『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』のあらすじ


(C)1995 UGC and the teen angst movie company

ロサンゼルスのクラブを抜け、駐車場に戻った恋人同士のジョーダンとエイミー。車の中で行為をしようとしていた2人でしたが、突如乱闘騒ぎが始まります。

数名に暴行を受けていたグザヴィエを2人は助け、車を出します。助けてくれたお礼もなく、下品なことばかり口にするグザヴィエにエイミーは不快感を抱き、「今すぐ降りて」と叫びます。

ジョーダンはそんなエイミーを宥め、2人はコンビニに入ります。そこで店長ともめ、店長は2人に銃を突きつけます。そこにグザヴィエが登場し、店長と乱闘になります。

揉み合いの中、グザヴィエは店長を殺してしまい、生首が宙を舞います。共犯者となってしまったジョーダンとエイミーは仕方なく、グザヴィエと共に逃亡をはかります。

行く先々でエイミーの元彼や過去の浮気相手だと勘違いする男など、エイミーには心当たりのないことを聞かれ、逃避行は悪夢のような様相と化していきます……。

映画『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』の感想と評価


(C)1995 UGC and the teen angst movie company

1990年代のニュー・クィア・シネマを牽引した監督のうちの1人として知られているグレッグ・アラキ。

ティーンエイジャーを主人公に同性愛者のリアルライフを描いてきたアラキ監督が、プロデューサーから「異性愛」を撮ったら制作費を上げるという提案をされ、アラキ監督流の反骨精神で描いたのが、『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』です。

映画の冒頭では「グレッグ・アラキ監督による異性愛の映画」と銘打ちされます。しかしながら、アラキ監督は本作について「“史上最もクィアな異性愛映画”を作りたかった」と言います。

その言葉に表れているように本作は、エイミー、ジョーダン、グザヴィエの3人の関係性にクィアを感じさせます。映画の大半のシーンはセックスシーンで、エイミーは恋人との行為と危険な香りのするグザヴィエとの行為を繰り返します。

刺激的で挑戦的なセックスとバイオレンスの応酬は、世間一般の普通の“異性愛”や、若者が抱える閉塞感に対する反動とも言えます。

ノストラダムスの予言が注目され「世紀末」が近づく90年代半ば、世の中全てに中指を立てるような刺激的な本作は、30年近く経った今でも色褪せないインパクトがあります。

クラブやドラッグに酒……繰り返されるセックスとバイオレンス。逃避行をする3人は、血飛沫や体液など決して綺麗な格好ではなく、出てくる人も不思議な格好をしていたりと、カオスな画はまるでトリップしているような錯覚を覚えます。

90年代の映画といえば、ドラッグや酒、バイオレンスが切り離せないものという印象が強いのではないでしょうか。強烈なインパクトを与えたクエンティン・タランティーノの『パルプ・フィクション』(1994)も90年代を彩る映画です。

ドラッグにまみれた青年を描く青春映画『トレインスポッティング』(1996)。フランスの「団地映画」の原点というべき映画であり、若者の抑圧、人種差別を描いた映画にマチュー・カソヴィッツの『憎しみ』(1995)。インディーズながら、カルト的な人気を誇る『バッファロー’66』(1998)も90年代の映画です。

30年近く経った令和の現代に再注目される90年代。そこには退廃的なエネルギーと、クィアネスがあるのかもしれません。時代の先を行くような、前衛的なアートカルチャーが再帰されることで、また新たなアートへとつながっていく……映画は時代を映すものであると同時に、普遍性も内包しています。

グレッグ・アラキが打ち出したティーンエイジャーのエネルギーと反骨精神は今なお、新たなものであり、今の若者にもつながるものなのかもしれません。

まとめ


(C)1995 UGC and the teen angst movie company

3人の若者の悪夢のような逃避行を描いたロードムービー『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』。

セックスとバイオレンスにドラッグ、刺激的な本作において、インパクトを放つのはエイミーを演じるローズ・マッゴーワンの存在でしょう。

エイミーと同じく黒髪ボブのキャラクターのアイコン的存在として、『パルプ・フィクション』(1995)のミア(ユマ・サーマン)、『レオン』(1994)のマチルダ(ナタリー・ポートマン)があげられます。

また、本作のエイミーのメイクはパキッとした赤リップをつけ、アイメイクは黒のアイラインを細めに引いているだけというシンプルなメイクです。眉は90年代らしい細眉です。

90年代への再帰は映画だけにとどまらず、海外セレブを中心に90年代の“グランジメイク”がトレンド入りするなど、メイクにおいても注目されています。

エイミーやジョーダン、グザヴィエのファッションをはじめとした映画の中の小物に注目して見ても面白いでしょう。

映画『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』は、2024年11月8日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほかにて全国順次公開!





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