映画『クリミナル・タウン』は、8月25日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開。
『ベイビー・ドライバー』のアンセル・エルゴート、『彼女が目覚めるその日まで』のクロエ・グレース・モレッツが共演した、最旬キャストで贈るスタイリッシュ・クライム・サスペンス!
アンセル演じる高校3年のアディソンが抱く死別した母親との心の傷。そして、青春映画として成長する姿を併せ持ったバイブル的な会心作とは⁈。
若き映画ファンは必見の本作は、7月14日(土)~8月24日(金)に新宿シネマカリテで開催される、カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2018のオープニング作品として上映されます。
CONTENTS
映画『クリミナル・タウン』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
NOVEMBER CRIMINALS
【原作】
サム・マンソン「クリミナル・タウン」(ハヤカワ文庫)※2018年7月5日発売
【脚本・監督】
サーシャ・ガヴァシ
【キャスト】
アンセル・エルゴート、クロエ・グレース・モレッツ、デビッド・ストラザーン、キャサリン・キーナーフ
【作品概要】
ティーンエイジャーを主人公にしたノワール小説で知られるたサム・マンソンの原作を、『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』『ヒッチコック』などのサーシャ・ガバシ監督が演出を務めた作品。
親友が殺害された事件の真相を解明しようと挑む高校生の姿を、クライムサスペンス要素で描ながら仕立てた青春映画。
主人公アディソン役に『ベイビー・ドライバー』のアンセル・エルゴートが演じ、ヒロインのフィービー役に『彼女が目覚めるその日まで』のクロエ・グレース・モレッツが務めます。
映画『クリミナル・タウン』のあらすじ
ワシントンD.C.に暮らす男子高校生アディソン。
彼の趣味は読書とデビットボウイを聴くこと、そして自身の生活をビデオ日記に収めることでした。
アディソンは大学に進学するため、出願する書類をギリギリまで粘って書き上げると、ネットで送付が可能であるにも関わらず、古風に郵便で受験願書を提出します。
その姿を友だち以上恋人未満の幼なじみのフィービーに、ビデオカメラで撮影を頼みます。
そんなある日、2人は優等生で親友のケビンの働く、アルバイト先のにコーヒーショップに立ち寄ります。
いつものように変わらない会話を交わすと、すぐに店を出ました。
その後、フィービーは意を決して、大学進学する前にバージンを捨てるために、「心許せる相手と寝たいの」と言い出します。
とびきりの告白を持ちかけられたアディソン。
2人は初めて生まれたままの姿で白いシーツに潜り込み、アディソンとフィービーだけの親密な時間を過ごしました。
しかし、その直後、親友のケビンがアルバイト先のコーヒーショップで銃殺されたという、テレビニュースが流れ、親友の衝撃歴な末路を知ることとなります。
コーヒーショップに駆けつけたアディソンは、親友ケビンの突如起きた災難に動揺が隠しきれません。
また、現場にいたワシントンD.C.の地元メディアや警察は、「チンピラの黒人少年がギャングの抗争に巻き込まれたのだろう」と、捜査は早々に終結の様相となります。
しかし、アディソンは、友人が死を迎えてしまった事件に、どうしても納得がいきません。
大学校内や各所に「目撃情報求む」と張り紙を出し、独自の捜査に乗り出すものの、大学の校長や捜査担当の刑事は彼の行動に取り合おうとはしません。
その上、校長に至っては大学のへの推薦状をチラつかせ、大学の名誉のため、これ以上事を大きくしないよう捜査制止させ操作させようとし、「深入りはするな」と脅しまでかけてきました。
怯まずに調査を続けるアリソンとフィービーは、ケビンのアルバイト仲間や、ケビンのカウンセラー、そしてケビンを愛していた両親に会いますが、話を聞くうちに2人は違和感を感じ始めま。
アディソンが親友だと思っていたケビンと食い違うイメージや、不可解な行動を知っていきます。
危険を感じたフィービーが捜査を止めようと訴えるのをよそに、アディソンは事件の核心へと近づいていきます。
だが、それはワシントンD.C.の巨大な闇に潜む、最も危険な捜査であった…。
映画『クリミナル・タウン』の感想と評価
“青春”というティーンエイジ・ノワール
政治の街ワシントンD.C.は、アメリカのシンボルタウンであると同時に、殺人件数・襲撃、強盗件数がトップとされる犯罪の都市の一面も併せ持っています。
そのようなD.C.にある裏の世界を、思春期である10代の視点で語ったサム・マンソンの書いたベストセラー・クライムノベル『NOVEMBER CRIMINALS』を映画化したのが、本作品『クリミナル・タウン』。
ティーンエイジ・ノワールとして、“マーク・トウェインや、J.D.サリンジャーと並ぶ傑作”と絶賛された小説を、今旬のキャストのカップリングを“光”として、ワシントンD.C.の“影”を貫くストーリーは、青春の通過儀礼とも読める、まさに若き映画ファンに贈られた会心作です!
また、若手俳優のアンセル・エルゴートが務めた高校3年生の主人公アディソンが、卒業に向けて揺れる10代にとって対峙する“生きるという人生の課題の謎に向き合う姿勢”を見つめる作品でもあります。
親友ケビンの死の真相の捜査しながら導く答えは、社会の建前にある嘘と偽りに張りめぐらさられた闇にあり、そのことに彼が切り込んでいくことで、生きている価値、あるいは残された者の意味を彼なりのスタイルで見出していきます。
しかし、本作をご覧いただくとわかるのですが、あまりに熱心で実直にすぎるアディソンの行動を、あなたはどのように受け取るでしょう。
彼はマッチョなスーパーヒーローではなく、同じ高校に通う親友が大切で、とても気になる女の子もいるような等身大に描かれた一般的な高校3年生です。
それでも映画の冒頭に描かれたように、少し風変わりな少年でもあります。
アディソンは、大学進学に出願する履歴の長所と短所の記載する欄が9センチしかないことに固執を見せます。
その記入欄では短所すら書ききれないと、20ページに及ぶ自己紹介ファイルを作成して大学に送りつけるのが、彼の持つこだわりです。
ほかにも、日常生活をビデオカメラで収めた日記に記録することも、偏執的な嗜好と言えるでしょう。
アディソンは人生を生きる意味を常に自分なりにビデオカメラで観察し、客観視をして探そうとしているのでしょう。
そのことよって何かを得ていく1人の青年の姿は、やがて彼の父親越えの思春期の様相すら見せていき、成長する豊かさをあなたに見せてくれるはずです。
この辺りのことにチェック入れながら鑑賞するのは、とてもお薦めだと言えますよ!
一方でそんなアディソンに振り回されるキャラクターが、クロエ・グレース・モレッツが演じた恋人フィービー。
彼の一般的ではない行動に巻き込みながらも、アディソンの自分にはない一面に惹かれて好意を抱く乙女心の揺れ。
そのことにより、身の危険を感じながらも共に行動をとり、絶対立入禁止の区域まで犯人を追い詰めていく様子は、フィービーの好奇心ではない、自分なりのやり方で成長しようとする姿勢だとと見て取れます。
そのようなアディソンとフィービーの2人が、やがて明かされる思春期の残酷な真実と、愛する者と共感を知った青春の1ページは、身体を重ね合ったロストバージンの初体験とともに、身も心も成長した大人への一歩を見事に描いた作品となっています。
視覚化した粋な小道具の演出
アディソンは、写真家である父親の影響もあって、ビデオカメラで日常の自分を記録していきます。
もうひとつには、病気で先に死別した母親も“遺影”として、ビデオテープの世界にのみで生き続けています。
彼がビデオ日記に固執した理由は、この2点にあり、両親から生まれた自己存在そのものが、映像することによって成立をしています。
また、父親は職業的には、やや落ちぶれた写真家として描かれており、裕福な家庭でアディソンは育っていません。
彼は母親のいない父親という男手一つに育てられた片親の家庭であり、その一方でフィービーは裕福ながらも、シングルマザーのキャリアウーマンの母親と2人暮らしという設定です。
そのような背景のなかで、面白いのは、今どきとは思いますが、アディソンはポケベルを持ち、フィービーはスマフォを所有していました。
分かり易すぎる滑稽な対比ではありますが、アディソンがイケてない青年である現状をポケベルで表しています。
そのことは、事件の真相を突き詰めようとする情報蒐集も、フィービーがいなくてはスマフォも借りられず、思うよう事態が進展しないことや彼女の巻き込まれる様子で伺えます。
そんなアディソンの愛用するビデオカメラとポケベルが、最終的にどのようなアイテムに変わったのか?
それこそが彼の成長した様子を小道具と映像で見せた演出で、終盤にしっかり登場しますよ。見落とさないように!
これだけでなく、本作には随所にいくつもの小道具を使い見せ方が上手なことも、この映画の大きな特徴です。
まとめ
ティーンエイジ・ノワールとして、“マーク・トウェインやJ.D.サリンジャーと並ぶ傑作”と賞賛された小説『NOVEMBER CRIMINALS』を原作にした本作『クリミナル・タウン』。
どこかアナログで冴えない少年アディソンを演じるのは、『ベイビー・ドライバー』で、一躍ブレイクを果たしたアンセル・エルゴート。
また、容姿端麗でチャーミンングな優等生で、時に積極的なフィービーに、『キック・アス』でヒットガールとなったクロエ・グレース・モレッツ。
今ハリウッド最高の最旬キャストがタッグで、あなた心を掴んでくれます。
さらに演出は、『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』『ヒッチコック』で高い評価を受けた実力派サーシャ・ガヴァシが監督が、映画ファンを魅了する演出を見せた作品となっています。
最後に、本作のサブテーマにあるのは、死別したアディソンの母親が好きであったミュージシャンのデヴィッド・ボウイの存在です。
多くのデヴィッドファンに惜しまれつつも、2016年1月10日にこの世を去った、デヴィッドの名言なども粋に登場します。
そんなところにも、ぜひ注目してくださいね!
映画『クリミナル・タウン』は、8月25日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開。
若い映画ファンのあなたに、お薦めしたい1本。
ぜひ、お見逃しなく!
本作が上映される劇場情報
【北海道・東北地区】
北海道 ディノスシネマズ札幌劇場 9月22日〜
宮城 チネ・ラヴィータ 10月19日〜
【関東地区】
東京 新宿シネマカリテ 8月25日〜
神奈川 シネマジャック&ベティ 8月25日〜
埼玉 MOVIXさいたま 8月25日〜
【中部地区】
愛知 ミッドランドスクエアシネマ 8月25日〜
【近畿地区】
大阪 なんばパークスシネマ 8月25日〜
京都 MOVIX京都 8月25日〜
兵庫 神戸国際松竹 8月25日〜
岡山 シネマ・クレール 10月6日〜
【九州地区】
福岡 福岡中洲大洋 10月12日〜
*上記に記載した情報は6月21日時点のものです。作品の特性からセカンド上映や全国順次公開が拡大されることも予想されます。お近くの劇場をお探しの際は必ず公式ホームページをご覧ください。