2018年秋、全国ロードショーの映画『泣き虫しょったんの奇跡』は、棋士界の実話を描いた作品で、主演を松田龍平が務めます。
史上初!奨励会退会からプロ編入という、偉業を成し遂げた男の感動の実話です。
26歳はプロ棋士へのタイムリミット。幼い頃から将棋一筋で生きてきたしょったんこと、瀬川晶司の夢は、年齢制限の壁にぶつかってしまい夢を断たれてしまいます。
しょったんは突きつけられた現実のなか、改めて将棋の楽しさを実感する、「やっぱり、プロになりたい—」。
映画『泣き虫しょったんの奇跡』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【原作】
瀬川晶司
【脚本・監督】
豊田利晃
【キャスト】
松田龍平、野田洋次郎、永山絢斗、染谷将太、渋川清彦、駒木根隆介、新井浩、早乙女太一、妻夫木聡、松たか子、美保純、イッセー尾形、小林薫、國村隼
【作品概要】
実際の棋士である瀬川晶司五段の自伝的小説「泣き虫しょったんの奇跡」を、映画『青い春』や『ナイン・ソウルズ』、また『I’M FLASH!』とコンビを組んできた松田龍平と豊田利晃監督がコンビを組んだ映画化。
共演は永山絢斗、染谷将太、妻夫木聡、松たか子たち実力あるキャストが集結。
松田龍平(しょったん・瀬川晶司役)のプロフィール
俳優の松田優作と女優の松田美由紀の長男して、1983年に生まれた龍平は、オフィス作に所属する俳優です。また、俳優の松田翔太の兄としても知られています。
1999年に、世界的な日本映画界の巨匠として知られる大島渚監督の作品『御法度』の主人公に抜てきされ、俳優デビューを果たします。
その際に、ブルーリボン賞や毎日映画コンクールなど、主要な映画賞で新人賞を総なめにしました。
それ以降、2002年に豊田利晃監督の『青い春』や『ナイン・ソウルズ』(2003)に出演します。
また、連続ドラマで初出演したNHKドラマ『ハゲタカ』では、同名の2009年映画版でも西野治役で出演します。
人気のある映画出演としては、2011〜14年に公開した、瑛太とダブル主演の「まほろ駅前」シリーズがあり、そのほかにも大泉洋の相棒役を演じる「探偵はBARにいる」シリーズ(2011~17)などでも松田らしい俳優の魅力を見せています。
松田が俳優として高い評価を得た作品は、2013年公開の三浦しおん原作を映画化した、石井裕也監督の『舟を編む』。
辞書の編さんに打ち込む馬締光也役を好演して、第37回日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞などを受賞しました。
その後も、2015年に松尾スズキ監督の『ジヌよさらば かむろば村へ』、2016年に沖田修一監督の『モヒカン故郷に帰る』、2017年に黒沢清監督の『散歩する侵略者』、2018年に吉田大八監督の『羊の木』(18)などで活躍を見せています。
また、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(2013)や、連続ドラマ『カルテット』(2017)などの演技でも話題を呼び、『犬ヶ島』の日本語版にも出演しています。
映画『泣き虫しょったんの奇跡』のあらすじ
小学生のしょったんこと、瀬川晶司は、おとなしい性格でコレといった取り柄もありませんでした。
しかし、将棋を初めたことで周囲から認めら流ようになると、棋士になる夢を目指します。
厳しい道を選んだしょったんですが、ライバルや師匠との出会いを通じて、着実に棋士としての力を身につけていきます。
その後、プロ棋士になる登竜門の「奨励会」に入会を果たします。
日々、修練を積んでいくも、「26歳までに四段昇格できなければ退会」という規定のプレッシャーに負けてしまい、退会を余儀なくされてしまいます。
大きな挫折をかみしめることになった、しょったんたが、消えることがない将棋を愛する気持ち。
そして、仲間たちに支えられた瀬川晶司は、ふたたびプロ棋士を目指すべく立ち上がろうとするが…。
映画『泣き虫しょったんの奇跡』の感想と評価
本作『泣き虫しょったんの奇跡』で、2001年の出世作『青い春』以来、約16年ぶりに豊田利晃監督作品への単独主演を果たした松田龍平。
プロ棋士への夢に敗れた苦悩から再起に至るまでの、主人公しょったんの心境の変化を丁寧に表現力は、中堅俳優の松田龍平にとって代表作にあげるべき、演技力とその存在感のオーラを見せつけた作品になっています。
豊田利晃監督から本作品の出演依頼を受けた松田龍平は、このように述べています。
「豊田さんが将棋を題材にした映画を撮ると聞いていたので楽しみでした。原作を読んで瀬川さんは正直な方なんだなと思いました。お会いしてから僕自身、影響を受けることがたくさんあったし、この役を演じることが出来て嬉しかったです」
松田龍平は豊田監督の本作に賭ける熱意を感じた後、原作の「泣き虫しょったんの奇跡」に瀬川自身が書いた誠実さに感銘を受けたようですね。
また、実際に瀬川プロ棋士に会った際も、本人が夢から覚めた後の再出発した精神性の高さにリスペクトしたようです。
また、松田龍平は映画公開を劇場で待ち望むファンに、次のようなメッセージを贈ってくれました。
「瀬川さんと、しょったんを取り巻く魅力的な登場人物達の物語を楽しんで下さい。諦めなければ面白い物語が始まるかもしれないということを希望という言葉とともにお送りします。将棋が好きな方もそうでない方も楽しめる映画です」
近年の棋士界では、才能や個性あふれる棋士の方々の活躍も目立つようになりました。
そのことを彷彿させるような、今回のしょったんを取り巻くライバルや支える仲間たちも見どころとなっています。
とはいえ、なかでも主人公となるしょったんこと瀬川晶司は、サラリーマンから史上初めてプロ編入試験を経て、プロ棋士入りを果たした人物です。
それを演じた松田龍平の演技力もさることながら、松田特有の物腰の柔らかな存在感がどのように物語の中で活きたのか、要注目です。
瀬川プロ棋士がかつてぶち当たった壁をどのように越えたのか、秘めた思いをどのように松田龍平は表現したのか。
劇場で鑑賞する価値のある作品です。ぜひ、映画館でご覧くださいね。
まとめ
史上初の奨励会退会からのプロ編入という偉業を成し遂げた男の感動の実話『泣き虫しょったんの奇跡』。
しょったんが小学校の5年生だった当時、担任の先生に褒められたことをきっかけに、卒業文集にもプロ棋士になりたいと書いた瀬川晶司。
プロへの年齢制限の壁にぶつかり、一度は奨励会を退会するも、2005年にプロ編入の嘆願書を瀬川の才能を信じて賛同した棋士仲間たちと共に挑んだ、棋士界初の快挙とは?
実在の瀬川晶司を演じた松田龍平は、「この映画を撮り終えて、人生とは夢から覚めてから始まるんじゃないかなと、そんな気持ちになりました」と語っています。
また、映画化された瀬川晶司の原作『泣き虫しょったんの奇跡』ですが、それ以後も『夢をかなえる勝負力!』(2006)や『後手という生き方』(2007)という書籍も出しております。
夢から覚めて、再起する後手の道を、ぜひ劇場でご覧ください。