連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第144回
表と裏……2つの顔を持つ主人公の男が裁きを下すアクション・エンタテインメント映画『ヒットマン・ロイヤー』。
表の顔は連戦連勝の優秀な弁護士、片や裏の顔はまるで《必殺!仕事人》!幕末のヒットマンの血をひき、悪人には武力をもって裁きを下していた主人公は、ある裁判に敗訴した頃から暴力団組員と関わるようになります。
本作は、『辻占恋慕』(2022)の大野大輔監督が作り上げた痛快アクション。舞台で活躍中の荒木宏文が主演をします。
映画『ヒットマン・ロイヤー』は2023年4月21日(金)よりシネマート新宿ほかにて限定公開。その公開に先駆け、『ヒットマン・ロイヤー』をご紹介します。
映画『ヒットマン・ロイヤー』の作品情報
【日本公開】
2023年(日本映画)
【監督】
大野大輔
【脚本】
大野大輔、久保和明
【キャスト】
荒木宏文、陳内将、秋谷百音、高橋健介、北川尚弥、伊能昌幸、渡邊将、才川コージ、忍足洸武
【作品概要】
表の顔は無敗を誇る弁護士、裏の顔は伝説の殺し屋の血をひく《人斬り》。法の網目をくぐって悪事を働く悪人に裁きを下すという2つの顔を持つ男のアクション・エンタテインメント『ヒットマン・ロイヤー』。
本作は『辻占恋慕』(2022)の大野大輔監督が手がけました。
弁護士であり、幕末の伝説の殺し屋の血をひく主人公・神道楷役は、人気舞台に多数出演する荒木宏文。楷を助ける権藤組若頭・鬼頭を舞台『東京リベンジャーズ-血のハロウィン編-』などで注目を集める陳内将が演じます。
『ベイビーわるきゅーれ』(2021)に出演した秋谷百音や、初のドラマ出演となった『ウルトマランX』で主演を務めた高橋健介も共演。
映画『ヒットマン・ロイヤー』のあらすじ
弁護士の神道楷は請負った裁判では連戦連勝の負け知らず。100%の勝率を誇る、事務所内でも不動のエースです。
しかし、楷には法の抜け穴を使い悪事を働く者たちに、直接裁きを下す“人斬り”としてのもう一つの顔がありました。そうして勝訴に持ち込んだ訴訟も数知れず、正義に仕える仕置人として暗躍していたのです。
さらに彼は老舗のヤクザ、権藤組四代目組長・権藤平八朗の隠し子でもありました。彼はそんな出自を隠し生きていたのですが、権藤が新興組織・メイヘムに襲われたことをきっかけに若頭の鬼頭が楷に接触してきました。
ある日、入念に準備していたIT企業の情報漏洩訴訟で敗訴してしまう楷。
あまりにも不自然な負け方に納得がいかない楷は、すぐさま訴訟を調べ直します。すると、所長の葛西が証拠書類の偽造や証拠品を破棄していたことが明らかに。
葛西の裏切りを仕掛けたのは誰なのか、そして楷の逃れられない血筋の物語が動き出します……。
映画『ヒットマン・ロイヤー』の感想と評価
本作の主人公神道楷弁護士が請け負った裁判は、必ずといっていいほど勝利します。なぜなら、神道弁護士は入念な調査で事件を調べ上げ、不正な証言の事実を掴むと、自ら不正者に裁きを下しているからです。
白を黒と言い繕う不正な証言で正当な裁きが行われず、泣き寝入りをする弱き人々にとって、神道弁護士はまさしく神のような存在です。
しかも自ら裁きを下すだけあって、彼の腕前はとてつもなく凄い……立っているだけで全身から殺気が立ち昇ってくるのがわかるほどです。
その強さの秘密は、ご先祖様にありました。実は神道楷は、幕末にその名を馳せた人斬りの血をひいていたのです。
おまけに彼の実父は、老舗のヤクザ・権藤組の四代目組長。組長譲りの威圧感と肝っ玉の太さも兼ね備えています。
神道楷自身はヤクザ家業を嫌い、真っ当な正義を貫こうと弁護士の道を歩んでいます。
法が裁く正義は、純粋に裁判されれば尊いものです。けれども、不当なアリバイ工作や偽証もあったりしますから、絶対に正義を貫こうとすると裏でヒットマンのようなこともせざるを得ません。
「法で裁けないやつは俺が裁く」と公言する神道楷。
こんな弁護士が本当にいたならどんなにいいかと、思う人も多いでしょう。悪を滅多切りにするダークヒーロー・神道楷の胸のすくようなアクションが、観客を酔わせてくれます。
まとめ
優秀な弁護士と悪人に裁きを下すヒットマンという2つの顔を持つ男・神道楷の物語『ヒットマン・ロイヤー』をご紹介しました。
主演はミュージカル『刀剣乱舞』などの人気舞台に多数出演する荒木宏文です。力強く華麗な剣裁きと見事なアクションで作品を盛り上げています。
ダークヒーローと言える神道楷弁護士の生き様をじっくりとご覧ください。
映画『ヒットマン・ロイヤー』は2023年4月21日(金)よりシネマート新宿ほかにて限定公開!
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。