Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

韓国映画『パーフェクト・ドライバー』あらすじ感想と評価解説。パク・ソダムが熱演する運び屋のアクションと命がけのカーチェイス|映画という星空を知る人よ135

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第135回

女性の凄腕運び屋と彼女と同行する一人の少年の物語『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』。本作は、2023年1月20日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショーされます。

主役のウナ役には、第72回カンヌ国際映画祭で<最高賞>のパルムドール受賞に輝いた『パラサイト 半地下の家族』(2019)で貧乏一家の長女を演じたパク・ソダムが抜擢されました。

ウナと行動を共にする少年ソウォンには、同じく『パラサイト 半地下の家族』で裕福な社長一家の息子を演じたチョン・ヒョンジュン。

パラサイト 半地下の家族』以来の再共演となる2人の息のあった演技が心地良いアクションムービーであり、中でもパク・ソダムの華麗なアクションとカーチェイスは見ものです。

映画公開に先駆けて、『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』の見どころをご紹介します。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』の作品情報


(C)2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & M PICTURES. All Rights Reserved.

【日本公開】
2023年(韓国映画)

【原題】
特送[특송](英題:Special Delivery)

【脚本・監督】
パク・デミン

【プロデューサー】
キム・ボンソ ソク・ドンジュン

【キャスト】
パク・ソダム、ソン・セビョク、キム・ウィソン、チョン・ヒョンジュン、ヨン・ウジン、ヨム・ヘラン、ハン・ヒョンミン

【作品概要】
『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』は、アクションもカーテクニックも凄い、迫力満点のアクションムービー。

主演は、第72回カンヌ国際映画祭で“最高賞”パルムドールを受賞した『パラサイト 半地下の家族』(2019)で、半地下に住む家族の長女を演じたパク・ソダム。大人しい女子学生のイメージのパク・ソダムが、本作では過激なアクションで敵をねじ伏せ、最高のカーテクニックを披露します。

また物語の鍵を握る少年ソウォン役は、同じく『パラサイト 半地下の家族』で社長一家の息子を演じたチョン・ヒョンジュン。本作でパク・ソダムと再共演を果たしました。

映画『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』のあらすじ


(C)2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & M PICTURES. All Rights Reserved.

「廃車引き取り証明書」にサインし、廃車寸前のポンコツ車を引き取る女がいました。

彼女……チャン・ウナ(パク・ソダム)が勤めるペッカン産業は、表向きには釜山で廃車処理場を運営しているのですが、裏ではどんな荷物も配達する“特送”の仕事を請け負っています。ペク社長(キム・ウィソン)は金になるなら、基本的にどんな依頼も引き受けていました。

“特送”ドライバーであるウナの仕事は、“荷物”を目的地まで確実に運ぶこと。ウナは家族もなくネコのポドンと暮らしている孤独な身の上ですが、天才的なドライビング・テクニックを持っていました。

ある日、ウナの元へ海外ヘの逃亡を図る賭博ブローカーのキム・ドゥシク(ヨン・ウジン)と、その息子ソウォン(チョン・ヒョンジュン)を港まで運ぶという仕事の話が。

ウナは「汚い奴の仕事はイヤ」としぶるも、説得されて引き受けることに。腕利きの修理工・アシフ(ハン・ヒョンミン)も交えて“配達”のルートを確認し、綿密に計画を立てました。

“特送”の迎えを待つキム親子のもとに、情報を手に入れた違法賭博の元締めギョンピル(ソン・セビョク)が部下を引き連れて現れます。

追い詰められたドゥシクは、ソウォンに貸金庫の鍵と逃亡資金を託して逃がします。ソウォンは合流地点で待つウナのもとになんとかたどり着きました。

“依頼人不在”という想定外の事態にためらうウナですが、泣きながら助けを求めるソウォンを見捨てることができず、彼を車に乗せて走り出します。こうしてウナは、ソウォンと300億ウォンが入った貸金庫の鍵を抱えて追われる羽目に……。

母親も祖父母も親戚もいないと言うソウォン。ウナは“返品”することができない“荷物”を持て余しますが、ソウォンを連れてひとまずホテルに身を隠すことにしました。

貸金庫の鍵を狙う悪徳警官、冷酷非情な殺し屋、さらには「脱北」の過去を持つウナを秘密裏に調査する国家情報院までをも巻き込んだ、命がけの追走劇が始まります──。

映画『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』の感想と評価


(C)2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & M PICTURES. All Rights Reserved.

『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』の主人公・ウナを、2019年にカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞した『パラサイト 半地下の家族』(2019)の出演者の一人であるパク・ソダムが演じています。

最強の配達屋ウナにとって配達不能なとんだお荷物となった泣き虫の男の子ソウォン。物語のキーマンといえる彼を演じるのは、同じく『パラサイト 半地下の家族』に出演したチョン・ヒョンジュンです。

この2人は、『パラサイト 半地下の家族』(2019)では、家庭教師とその生徒という役で共演していました。対して本作では、事件に巻き込まれて追われる者と、たまたまそれに遭遇してしまった者という、偶然が引き合わせた運命共同体のような2人を演じています。

最強の運び屋を誇るウナ。とんだお荷物となったソウォンが疎ましいのですが、それでも2人で追ってから逃げているうちにいつしか固い絆が……。

大人っぽくなったパク・ソダムが披露する、男性をノックアウトするアクションと息つく間もないカーチェイスは絶品です。

そして成長したチョン・ヒョンジュンも、父親が行方不明になり途方にくれるソウォンの役を、時には号泣し、時には可愛らしさたっぷりの表情で演じ切っています。

再共演作となった本作で凸凹バディを組んだパク・ソダムとチョン・ヒョンジュンの、ユーモアも織り交ぜたほろ苦い結びつきに注目です。

まとめ


(C)2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & M PICTURES. All Rights Reserved.

仕事は絶対に失敗しない運び屋ウナ。それなのに、今度の仕事の「荷物」は、泣き虫の男の子でした。

返品不可能な状況になり、途方にくれるウナですが、預かった「荷物」をなくしたり、壊したりするわけにはいきません。さあ、ウナはどうするのでしょう。

パラサイト 半地下の家族』以来、再共演となるパク・ソダムとチョン・ヒョンジュンから目が離せないアクションムービーの到来です。

『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』は、2023年1月20日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。




関連記事

連載コラム

映画『ダウンレンジ』感想と考察。スラッシャーとシチュエーションスリラーの融合|SF恐怖映画という名の観覧車13

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile013 『カメラを止めるな!』(2018)の記録的な大ヒットにより、日本でも「低予算映画」への注目度は日に日に高くなっています。 しかし、日本に …

連載コラム

『ウォリアーズ』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。ウォルター・ヒルによるヤンキー映画/漫画のバイブル的作品|すべての映画はアクションから始まる32

連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』第32回 日本公開を控える新作から、カルト的に評価された知る人ぞ知る旧作といったアクション映画を時おり網羅してピックアップする連載コラム『すべての映画は …

連載コラム

【2018年のご挨拶】読者さんとお世話になっている映画関係者の皆さんへ

2018年も、「映画感想レビュー&考察サイト Cinemarche」をお読みいただき、誠にありがとうございます! 山の辺の道(天理〜桜井)©︎Cinemarche 見手である読者の皆さんに …

連載コラム

映画『インザトールグラス』ネタバレ感想と考察解説。ラストまで草むら迷路と黒い岩の正体を深掘りする|SF恐怖映画という名の観覧車129

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile129 サスペンス映画でもホラー映画でも、人に襲い掛かるものが「理不尽」であればあるほど人は恐怖を覚えます。 「なぜ」「どうして」が無いからこそ …

連載コラム

映画『天上の花』あらすじ感想と評価解説。東出昌大が熱演するドロドロとした愛憎劇は曼珠沙華に見える|映画という星空を知るひとよ125

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第125回 萩原朔太郎の娘である萩原葉子の同名小説『天上の花――三好達治抄――』が、没後80年「萩原朔太郎大全2022」記念映画『天上の花』としてスクリーンに登 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学