東野圭吾の作家デビュー30周年にして、80作目となる『ラプラスの魔女』。
「これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった」と、東野圭吾自身が語っている小説を原作に、三池崇史が豪華キャストを迎え映画化。
2018年5月4日から公開された映画『ラプラスの魔女』をご紹介します。
CONTENTS
映画『ラプラスの魔女』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【原作】
東野圭吾
【監督】
三池崇史
【脚本】
八津弘幸
【キャスト】
櫻井翔、広瀬すず、福士蒼汰、志田未来、佐藤江梨子、TAO、玉木宏、高嶋政伸、檀れい、リリー・フランキー、豊川悦司
【作品概要】
数々の作品を手がけてきた鬼才監督、三池崇史が東野圭吾のベストセラー小説を映画化。
一見不可能と思われる、硫化水素を使用した連続殺人事件に、さまざまな人物が絡んでいくサスペンスミステリー。
脚本は『半沢直樹』や『陸王』などの人気ドラマを多数手がけてきた、八津弘幸。
映画『ラプラスの魔女』主なキャストと配役
櫻井翔(青江修介役)
温泉街で発生した、硫化水素中毒死の調査をする内に、事件に巻き込まれていく地球科学専門の大学教授の青江修介。
原作では、温泉街の役所職員に依頼された、硫化水素中毒死の事実を解明しなければならない責任感と、強い好奇心から事件に興味を持ちますが、事件の核心に迫るにつれて戸惑い、困惑するという、読者に一番近い立ち位置となる人物です。
演じる櫻井翔さんは、1982年1月25日生まれ、東京都出身。
アイドルグループ・嵐のメンバーで、映画デビュー作は2002年の映画『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』。
他にも2006年の映画『ハチミツとクローバー』、2013年の映画『謎解きはディナーのあとで』などがあります。
三池崇史監督作は、2009年の映画『ヤッターマン』以来、9年ぶりとなります。
広瀬すず(羽原円華役)
事件の発生した現場に姿を現し、何かを調べている様子の謎が多い女性、羽原円華。
起きる現象を事前に言い当てる力を持つ彼女は、あるキッカケから、青江に協力を求めてきます。
演じる広瀬すずさんは、1998年6月19日生まれ
2013年のTVドラマ『幽かな彼女』で女優デビューを果たし、2015年の映画『海街diary』で、第39回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、注目されます。
2016年の映画『ちはやふる -上の句-』で優秀主演女優賞を、同年の映画『怒り』で、優秀助演女優賞をダブル受賞しています。
原作の円華は、感情や思考が掴み切れない、ミステリアスなキャラクターとして描かれています。
青江を事件に巻き込んでいく役どころですが、『ちはやふる』などで見せた、周囲を自分のペースに巻き込む演技というのは、広瀬さんの真骨頂だと思います。
福士蒼汰(甘粕謙人役)
数年前に発生した、一家硫化水素中毒死事件で、母と妹を失いながらも唯一生き延びた男性、甘粕謙人。
昏睡状態から奇跡的な回復を見せた彼は、行方不明になります。
彼は何の目的で、何処へ消えたのでしょうか?
そして、彼を探す円華との関係は?
演じる福士蒼汰さんは、1993年5月30日生まれ。
2011年のドラマ『美咲ナンバーワン!!』で俳優デビュー、同年9月の特撮ドラマ『仮面ライダーフォーゼ』の主演に抜擢され、映画『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』で映画初主演を果たします。
2018年公開の映画では、『曇天に笑う』や『BLEACH』で共に主演を務めています。
原作では「ラプラスの悪魔」と呼ばれ、感情が欠落した、悲しくも恐ろしい印象のキャラクターでしたが、甘粕謙人を演じるにあたり、福士さんは「一人の人間として、何故そのような行動をとるのか?」を考えながら演じたそうです。
玉木宏(中岡祐二役)
事故と断定された、雪山で発生した硫化水素中毒死を、事件と睨んで捜査をする刑事、中岡祐二。
原作では野性的な雰囲気を持っており、真相を解明する為に、強引な手段を用いながら捜査を進めていきます。
演じる玉木宏は、1980年1月14日生まれ。
2001年の映画『ウォーターボーイズ』や2003年のTVドラマ『こころ』で注目されます。
2006年のTVドラマ『のだめカンタービレ』で一躍人気になり、映画『のだめカンタービレ 最終楽章』も大ヒットとなります。
2018年の公開作に、『悪と仮面のルール』や『ラブ×ドック』があります。
本作では、髭を蓄えて、これまでとは違った印象の役に挑戦しています。
TAO(桐宮玲役)
円華の事を熟知しており、行方不明になった円華を追跡する謎の多い女性、桐宮玲。
原作ではスタイルの良い美人で、勘が鋭く、職務に忠実な女性として描かれています。
演じるTAOさんは、1985年5月22日生まれ。
14歳でモデルとしてキャリアをスタートさせ、2006年3月にパリコレデビュー。
2008年春夏パリコレクションで、アジア系では唯一のイヴ・サンローランのモデルとしてランウェイに立ちました。
2013年の映画『X-MEN/WOLVERINE”SAMURAI』のヒロイン役で映画デビュー、2016年の映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』では、唯一の日本人として出演を果たしています。
桐宮玲は、青江が初対面で「どきりとするほどの美人」と表現していますので、トップモデルとして活躍してきたTAOさんはイメージに近いですね。
高嶋政伸(武尾徹役)
桐宮玲に依頼され、円華の警護を担当する元警察官、武尾徹。
原作では、真面目で固い性格で「一切何も質問をしない」という条件を守りながら、桐宮と共に行方不明になった円華を探します。
演じる高嶋政伸は、1966年10月27日生まれ。
1988年のTVドラマ『純ちゃんの応援歌』でデビューし、1990年開始の人気TVドラマ『ホテル』シリーズで主演を務め注目されます。
他にもTVドラマ『こちら本池上署』や『DOCTORS 最強の名医』などに出演しています。
佐藤江梨子(水城千佐都役)
温泉街で発生した、硫化水素中毒で死亡した映画プロデューサー、水城義郎の歳が離れた妻、水城千佐都。
演じる佐藤江梨子さんは、1981年12月19日生まれ。
1999年、『大磯ロングビーチキャンペーンガール』に高校生で選ばれ、芸能界入り。
グラビアモデル活動だけではなく、女優としても活動をしています。
出演作に2004年の映画『キューティーハニー』や2017年の映画『リングサイド・ストーリー』などがあります。
原作では財産目的の結婚と周囲から見られている未亡人で、悪魔と契約してしまった可能性に悩みます。
佐藤江梨子さんは「最近母親役が多かったので、色っぽい役をいただけて、嬉しかったです」と語っています。
志田未来(奥西哲子役)
青江の助手を務めている奥西哲子。
演じる志田未来さんは、1993年5月10日生まれ。
6歳で劇団に入団し、7歳から数々のドラマに出演、2005年のテレビドラマ『女王の教室』で注目されます。
2010年の映画『誰も守ってくれない』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しています。
原作では、大学の仕事そっちのけで、硫化水素中毒死の解明に夢中になっている青江に、キツい態度を取りながらも、青江の事を気にかけているキャラクターでした。
リリー・フランキー(羽原全太朗役)
円華の父親で、天才脳外科医の羽原全太朗。
演じるリリー・フランキーさんは、1963年11月4日生まれ。
イラストレーターやデザイナー、文筆や写真などマルチな才能を発揮し、2005年に発行した書籍『東京タワー ?オカンとボクと、時々、オトン?』はベストセラーになります。
40代から俳優活動を開始し、2008年の映画『ぐるりのこと。』で「第51回 ブルーリボン賞」新人賞を45歳で受賞しています。
2013年の『凶悪』、『そして父になる』の2本の映画で「キネマ旬報ベスト・テン助演男優賞」など、数々の賞を受賞し、俳優としての幅を広げました。
原作での羽原全太朗は、甘粕謙人の手術を行い、再生させましたが、甘粕謙人と円華が行方不明になったにも関わらず、捜索願を出さず、訪れてきた中岡に真相を話さないなど、謎の行動が多い人物となっています。
豊川悦司(甘粕才生役)
かつて天才と呼ばれ、その才能を誰もが認めていた映画監督で甘粕謙人の父、甘粕才生。
硫化水素で家族を失い、行方不明になった彼は、一連の事件に絡んでいるのでしょうか?
演じる豊川悦司は、1962年3月18日生まれ。
1983年に渡辺えりの劇団「劇団3○○(さんじゅうまる)」に入団、1989年の映画『君は僕をスキになる』で映画デビュー、1990年の北野武の映画『3?4X10月』で、沖縄のヤクザを演じます。
1991年の映画『12人の優しい日本人』で注目されます。
1992年の深夜ドラマ『NIGHT HEAD』はカルト的な人気を博し、以降さまざまな映画やドラマで活躍しています。
原作では、家族を失って以降、映画を一本も撮らずに行方を消し、旅での出来事や家族への心境などをブログに綴っている、悲劇の父親となった甘粕才生、彼は事件に絡んでいるのでしょうか?
映画『ラプラスの魔女』あらすじ
温泉地で発生した、硫化水素中毒死の調査を、村役場から依頼された、地球化学専門の青江修介。
一刻も早く温泉の営業を再開したい、村役場の職員に真相の究明を急かされますが、青江は答えが出せず戸惑っていました。
そこへ羽原円華が現れますが、立ち入り禁止区域に入った事を、職員に注意され立ち去ります。
硫化水素中毒死の真相を、村の関係者の前で発表する青江、そこへ麻布北署の刑事、中岡が現れます。
事件の可能性を聞かれる青江ですが、屋外で故意的に致死量となる硫化水素を発生させる事は不可能で、青江はこの可能性を否定します。
しかし中岡は、死亡した男性、水城義郎が映像プロデューサーで、年齢の離れた妻が多額の保険金をかけていた事から、殺人事件の可能性がある事を青江に伝えます。
映画『ラプラスの魔女』感想・評価
原作では数人の人物の視点が絡み合い、物語が進行する構成でしたが、映画版では青江の視点を中心に描かれており、スッキリとした見やすい構成となっています。
櫻井翔さんは、円華に振り回される青江を、探偵っぽくなりすぎず、刑事でもない、少し抜けているような部分を意識して演じたそうです。
櫻井さんの抑え目の演技が、広瀬すずさんの円華や、福士蒼汰さんの甘粕謙人のミステリアスな雰囲気や、豊川悦司さん演じる甘粕才生の狂気を際立たせており、原作では読者に一番近い立ち位置であった、青江の存在や役割を見事に映画で再現していますね。
他の登場人物も、それぞれが何かしらの形で事件に関わり、それぞれの役割を果たす事で、ストーリーが進行します。
それは、甘粕謙人のセリフ「無駄な存在などこの世にない」を表現しているようで、だからこそ、豪華キャストを揃えた作品になったのではないでしょうか。
まとめ
映画版で個人的に気になった場面があります。
それは、豊川悦司演じる甘粕才生が、自身の完璧な映画論に関して演説する場面。
アップやズームを多用し、故意的に下手なカメラワークとなっています。
さまざまな人物が登場する今作で、人との繋がりを断絶し、独りよがりの考えを持っているのが甘粕才生です。
独りよがりな思想の映画論は、三池監督からすると、「下手な映画を見せられるぐらい苦痛だ」というメッセージが込められているような気がしました。
実際にそういう事を語っている記事は無いので、想像でしかありませんが、映画から得られる情報で、作った側の意図を探るのも、映画の面白さなんだと、あらためて感じました。
少し話が脱線しましたが、今作は原作のイメージを意識した配役になっており、全員がハマっていると思います。
映画版が気に入った方は、原作小説を読まれる事を、お勧めします。
更に深い人物描写が描かれており、楽しめますよ。
映画『ラプラスの魔女』は、2018年5月4日から絶賛公開中です。