連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第89回
クロアチア旅行中に親友が姿を消したことによって巻き起こるサスペンス映画『ウィークエンド・アウェイ』。
本作は、Netflixで2022年3月3日(木)から配信開始された、小説をもとにしたアメリカ映画です。
監督は『虹蛇と眠る女』(2015)『アンストッパブル』(2010)のキム・ファラントで、主演は、ドラマシリーズ「ゴシップガール」(2007)のレイトン・ミースターです。
異国の地クロアチアで久しぶりの再会を果たした親友同士のケイトとベス。ベスは、ケイトの強引な誘いで行ったクラブで酔っ払い、記憶を失ってしまいます。
翌朝目覚めるとケイトの姿はなく、そのことをきっかけに思いがけない窮地に立たされていくベスの姿を、スピード感満点に描いた映画です。本作の見どころと感想を解説していきます。
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映画『ウィークエンド・アウェイ』の作品情報
【日本公開】
2022年(アメリカ映画)
【監督】
キム・ファラント
【キャスト】
レイトン・ミースター、クリスティナ・ウルフ、ジアド・バクリ、ルーク・ノリス、アマール・ブコビッチ、イバ・ミハリッチ、アドリアン・ペズディルク、パート・タケラル
【作品概要】
監督は主にドキュメンタリー作品を手がけた後、ニコール・キッドマン、ヒューゴ・ウィーヴィング出演のサスペンス映画『虹蛇と眠る女』(2015)で長編劇映画デビューしたキム・ファラント。
2019年には、2008年のフランス映画をノオミ・ラパス主演でリメイクした『アンストッパブル』も手がけています。
主演のレイトン・ミースターは、人気ドラマシリーズ「ゴシップガール」にレギュラー出演ほか、「Dr.HOUSE‐ドクターハウス‐」や「24 TWENTY FOUR」にもゲスト出演しているフロリダ出身の女優です。
ドラマ「スタートアップ」や『シャザム!』(2019)で知られるアダム・ブロディと結婚しています。
映画『ウィークエンド・アウェイ』ネタバレあらすじ
クロアチアに観光にやってきたベス(レイトン・ミースター)は、友達のケイトの元を訪れます。ケイトが手配した豪華なゲストハウスへと迎えられました。
ベスは招待してくれたお礼にケイトに、ブラックオニキスのネックレスをプレゼントします。
ベスは着替えながら、ロンドンの家に残してきた夫のロブと赤ん坊のアスターに、モニター通話で話しかけます。
アスターはケイトの名づけ子でした。モニター越しにケイトもアスターとロブに挨拶し、ベスにシャンパンを注ぎます。
ベスはゲストハウスの家主のセバスチャンに挨拶をして、ケイトと夕食へ出かけます。
ケイトは夫のジェイの浮気にイラつき、夫のカードで高いメニューとシャンパンを頼みました。
ケイトはベスの夫婦関係について尋ねます。1年以上夫婦間の肉体関係がないと話すと、別れたらいいとケイトに言われます。今は夫婦の山場なのだと説明するベス。
べスは疲れていたので帰りたがりましたが、ケイトにどうしてもと言われて渋々クラブに向かいました。
タクシー運転手のゼインとベスは話します。彼はシリア出身でした。ベスは以前、人道支援団体で働いていたのでアラビア語で話しかけました。
クラブに到着した2人。ケイトがそこにいた男性2人に話しかけて同席しお酒を飲んだ直後、ベスの記憶が遠ざかっていきました。
酔いつぶれ、抱えられる記憶と、ケイトが「最低」と叫ぶ断片的な記憶のみ残りました。
翌朝ゲストハウスで目が覚めると、ケイトの姿はなくお酒を飲んだ形跡と床に血痕が残されていました。
何度電話やメールをしてもケイトは返事をしません。
警察に行き、警官のパビッチに事情を説明しましたが、飲みすぎて連絡が取れないだけだと真面目に取り合ってくれませんでした。
ベスは昨晩の運転手ゼインに協力してもらい、クラブにいた男たちの居場所を突き止めます。
昨夜の男たちはマテオとルカという名前で、ケイトが手配したエスコートでした。
ゼインに協力してもらい、マテオとルカを呼び出したベス。2人を待つ間に、ゼインの亡くなった奥さんの話をしたり、ベスとケイトの出会いのきっかけなど話します。
ベスらを見て逃げ出したマテオたちを、ゼインが追いかけ崖の上で脅して、彼らがケイトの鞄と携帯を盗んで質に入れたことを白状しました。
べスは荷物を質屋に取り戻しに行き、そのまま警察へ向かいました。ゼインからは自分の名前を出さないでほしいと頼まれました。ビザが取り消しになったら困るからです。
警察で改めて事情を説明しますが、パビッチは取り合わず、女性の警官のコバッチが相談に乗りました。マテオとルカのことを調べるよう頼み、べスは暴行を受けていないか病院に検査を受けに行きました。
帰り道で、ジェイに連絡をしますがケイトの失踪は自作自演だと言われてしまいます。
宿泊先へ戻ると、宿主のセバスチャンがチェックアウトの時間だと言って、勝手にべスの荷物を片づけていました。
他のホテルを探すと言うベスに、下の部屋を使ったらいいと案内しました。その部屋の置くには厳重にカギがかけられた鉄の扉がありました。
セバスチャンに夕食に誘われましたが、断って外に出たベスはゼインと夕食に行こうとしていました。そこに夫のロブが現れます。アスターをシッターに預け、心配でベスに会いに来たと言います。
警察から、ケイトの死体が水面下で見つかったと知らせが入ります。
検視結果を待つためにベスはクロアチアに残り、ロブは娘のために帰国しました。
映画『ウィークエンド・アウェイ』の感想と評価
本作は、旅先で合流した親友が急に姿を消したところから巻き起こるサスペンス映画です。
主人公のベスは、親友のケイトに何が起きたのか、なぜその夜の記憶がないのか、といった謎を解き明かすべく異国の地「クロアチア」を奔走します。
次々に展開が変わるテンポの良さと、物語が進むにつれ次第に追い詰められていくベスの危機的状況にハラハラさせられる内容となっています。
物語は、ケイトの死体が発見されてから大きく動き出します。一体誰が犯人なのか、真相はどこにあるのか、段々と謎が解き明かされていくのですが、多少の‟あら”があっても目をつぶれるほどのスピード感が本作のおもしろさだと言えます。
‟あら”と言える部分としては、警察の捜査の描き方にあります。
真相が明らかになればなるほど、「いや、もう少しちゃんと捜査したらすぐに解決したのでは??」と、本作の警察は無能に見えてきます。展開上やむを得ないとしても、さすがにクロアチア警察に失礼ではと思えてしまいます。
また、強く生きていく女性像というのを前面に出したかったことが伺えるラストシーンもあまりにも唐突で、サスペンスの最後の締めにしては軽すぎると感じました。
しかし、効果的な音楽やテンポの良いストーリー展開によって、観ていて飽きる部分はありませんでした。
ただの観光に来ていたはずのベスがみるみる窮地に立たされる姿にはぞっとさせられ、信頼していた親友を含め、周りの誰を信じたらいいのか分からないという緊張感を味わうことができます。
まとめ
この映画の最大のポイントは、旅先が事件の舞台になっているということです。
異国の地で巻き起こる非日常の出来事が、自らの日常生活と地続きになっているということを想像できるのかが、重要なキーになってくるのです。
また、もう一つポイントをあげるのならば、それはベスに赤ん坊がいることでしょう。
結末を観ればその意味がわかるはずですが、子育てにいそしむ親ほど好感の持てるものはないでしょう。
結末を知った上でもう一度はじめから観ても、また違った面白さを感じられる作品となっています。
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