映画『嘘喰い』は2022年2月11日(金)より全国ロードショー!
天才ギャンブラー“嘘喰い”こと斑目貘がイカサマも、殺し合いも、なんでもありの“超危険なデス・ゲーム”に挑む!
映画『嘘喰い』は、主人公の斑目貘(まだらめ・ばく)が日本の政財界を支配する闇倶楽部「賭郎」のトップを目指し、一流のイカサマ師たちとの最高にクレイジーな頭脳心理戦を繰り広げる姿を描きます。
主人公・斑目貘を演じるのは横浜流星。2022年にはTBS×イスラエル共同制作の日曜劇場ドラマ『DCU Deep Crime Unit 〜手錠を持ったダイバー〜』に出演しているほか、映画『流浪の月』『アキラとあきら』などの劇場公開作も控えています。
そして監督を務めるのは、社会現象をも巻き起こした『リング』などで知られるジャパニーズ・ホラーの名手の中田秀夫。このたび、中田監督に本作での演出のポイントや、キャストの印象について語っていただきました。
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獏と梶の「バディ」としての関係性を軸に
──主人公の貘だけでなく、どの登場人物もキャラ立ちしていて虚構性が高いのですが、一方で「この世界観の中なら、彼らは実在するのではないか」というリアリティも感じられました。
中田秀夫監督(以下、中田):確かに虚構性は高いのですが、登場人物たちの感情の起伏を豊かにすることで、感情移入そのものでなくても、「私たちのすぐそばにはいないけれど、こういうストーリーの中ならいるかもしれない」という親近感を持ってもらえるよう心がけていました。
例えば貘と梶に関していえば、梶は日雇い労働を終えて、その日のわずかな収入を手にしたところ。貘は賭けに勝って大金は持っているけれど小銭がない。知らない同士だった2人が自販機の前で出会い、梶は貘にコーヒー缶1本を譲り、貘は機転を利かせて金の取り立て屋から梶を救う。
原作にコーヒー缶のエピソードはありませんが、貘が梶を救うという展開は原作の通りです。そういったやりとりから、2人がお互いを求めているという関係性が出せればと思いました。そして2人のバディとしての関係性を、本作のドラマとしての軸にしました。
「人間性を持った獏」を生み出してくれた横浜流星
──横浜流星さんが演じられた主人公・班目獏はギャンブルに魅せられ、自信たっぷりな一方でどこか飄々としているところが魅力的でした。また横浜さんは地毛を銀色にして、撮影中も何度も染め直していたとお聞きしました。
中田:クランクイン前に3回ほど会って話し合う機会がありましたが、横浜くんは役との向き合い方がものすごく真剣なんです。髪に関してはカツラを使うという案もありましたが、覚悟を決めて銀色に染めてくれました。
僕は「役になり切ればいい」という考え方があまり好きではありません。撮影期間中に別の仕事をしなければいけない時もありますし、横浜流星としての生活がある以上、役になり切れるわけがない。衣装や髪型は原作に寄せるけれど、横浜流星は生身の人間ですから声や人間的な温かみがある。それは原作とは少し違うかもしれないですが、そもそも表現する媒体として映画とコミックは違うわけですから。
横浜くんが「人間的な温かさが出ちゃいますが、むしろそれは出していこうと思います」と言っていました。彼は本能的に、その違いが分かっている人なのでしょう。貘というキャラクターを常に意識し、どうすれば自分と貘というキャラクターがオーバーラップしてより面白い貘になるかを考えてくれていました。彼が演じたからこそ、人間性を持った貘になったのです。
僕も「横浜流星にしか演じられない貘を演じてほしい」と思っていたので、横浜くんの役に対する姿勢は理想でした。非常に尊敬できる俳優ですね。
──横浜さんは中学3年生の時に極真空手の世界大会で優勝したという経歴をお持ちですが、そうした高い身体能力が発揮された場面などはありましたか。
中田:原作の貘は、ほとんど体力がないという設定なんです。もちろん銃は使えますし強いのですが、いわゆる速く走る、重いものを持ち上げるというフィジカル面は得意ではない。180度違う設定のことをさせるわけにはいかないので、敵の攻撃をひらっとかわすくらいです。
「賭郎」の立会人を演じた村上弘明さんや本郷奏多さんにはアクションシーンがあったので、横浜くんはやりたくてしょうがないという風に羨ましそうに見ていましたね。
求められた芝居を察知した佐野勇斗/白石麻衣の新たな一面
──先述でも触れた、本作での獏のバディ的存在である梶隆臣を演じられた佐野勇斗さんの演技はいかがでしたか。
中田:佐野くんは、僕が思うこの作品の人物のキャラクター性について、演技の質としていちばん近いことを最初からやってくれていました。
僕はリハーサルの時に「わかりやすい芝居をしてほしい」と俳優さんに伝えました。声をしっかり出して、怒鳴る時は怒鳴り、泣く時は泣き、大声で笑うところは大声で笑ってほしかったのです。ただ俳優さんは、本作のように虚構性が高い作品でも文芸調といいますか、内面的な芝居をしてしまう傾向が強いんです。
しかし佐野くんは「監督が考えるわかりやすい芝居って、こういうことだよね」とすぐに察知して、きっちりわかりやすくやってくれました。例えば梶がホテルで1人で豪遊する場面。僕が伝えたことをちゃんと自分の中に落とし込んでいないと、ああいう芝居はできない。佐野くんには本当に感謝しています。
──鞍馬蘭子を演じた白石麻衣さんは『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』に続いて中田監督の作品に出演されたのは2回目ですが、前作とはかなり印象が違う役柄と感じられました。
中田:本作での白石さんは演じるのに若干、苦労されていたと思います。『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』のキャラクターも白石さんご本人の柔らかい雰囲気とは違いますが、今回は「暴力団の跡目を継いだ闇カジノのオーナー」というさらに突拍子もない役でしたから。
映画オリジナルの設定で隠れた恋心を持つというところは乙女チックですが、それ以外は生き馬の目を抜くというか、人殺しをも辞さない冷酷な世界で生きてきた女性として、ドスの利いた声と迫力は必須。「声を低めに出してほしい」とお願いしましたが、戸惑うこともあったと思います。それでも「ここはアフレコでもうちょっと修正しよう」となった時も根気よく付き合ってくれました。ビジュアル面でも原作に寄せてメイクや衣装をどぎつくしてもらいましたが、こちらの要求に応えようと最後までがんばってくれました。
また、映画の劇場公開日の21時に配信されるdTVオリジナルドラマ『嘘喰い -鞍馬蘭子篇/梶隆臣篇-』では、主人公として出演しています。僕が『リング』の頃からずっと一緒にやっている佐伯竜一くんが監督をしているので撮影現場を見に行ったところ、白石さんは忙しそうでしたが、とても楽し気でもありました。かなりサディスティックな場面もありましたが、あそこでワイルドな鞍馬蘭子が開花したのかもしれません。
佐田国一輝の好感度の理由/映画『嘘喰い』の魅力
──三浦翔平さんが演じられた佐田国一輝はかなり危険な人物ですが、ある意味では作中で一番共感のできるキャラクターでもありました。
中田:佐田国は悪役ですが、佐田国なりの信念があって、それを成し遂げるためには組織のてっぺんに立つしかないと考えています。その辺りの役柄の把握が、三浦さんは的確でした。実は編集過程でもアンケートを取ったのですが、その際も「佐田国のキャラに共感を覚える」という感想が特に多く、佐田国の好感度は高かったです。
三浦さんはモデリッシュな八頭身。かっこいいですよね。そんな三浦さんが「お腹からしっかり声を出していきましょう」と僕が俳優のみなさんに言ったら、率先してやってくれましたし、原作やアニメーション作品におけるマッド・サイエンティストな佐田国のイメージを参考にされて、ご本人の地声よりもぐいっと下げて声を出してくれました。三浦さんにつられて横浜くんもお腹から声を出してくれたので、僕としてはしめしめでしたね(笑)。
──本作には中田監督ご自身が出演されているとお聞きしました。見つけるのはかなり難易度が高いとのことですが、もしよろしければ観客のみなさんへのヒントを教えていただけませんでしょうか。
中田:ヒントは最初の島です(笑)。
──最後に、これから映画『嘘喰い』をご覧になる方にひとことお願いします。
中田:作中に登場するゲームは見たことがあるものとないものが出てきますが、それらをどう戦うのか。そういった頭脳戦の面白さだけでなく、中盤にはバイオレンス描写を含むアクションシーンもかなり入っています。
難しいことを考えなくていいエンタメ映画に仕上げました。虚構性の高いストーリーですが、各キャラクターのカッコよさや展開の面白さをシンプルに楽しんでいただければと思います。
インタビュー/ほりきみき
中田秀夫プロフィール
1961年7月19日生まれ、岡山県出身。1996年に『女優霊』で映画監督デビューを果たし、その後『リング』(1998)、『仄暗い水の底から』(2002)などを手がけ、ジャパニーズ・ホラーの第一人者となる。
近年の主な監督作は『クロユリ団地』(2013)、『スマホを落としただけなのに』(2018)、『貞子』(2019)、『事故物件 恐い間取り』(2020)など。
映画『嘘喰い』の作品情報
【公開】
2022年(日本映画)
【監督】
中田秀夫
【原作】
迫稔雄『嘘喰い』(集英社ヤングジャンプコミックス刊)
【脚本】
江良至、大石哲也
【出演】
横浜流星、佐野勇斗、白石麻衣、本郷奏多、森崎ウィン、櫻井海音、木村了、鶴見辰吾、村上弘明、三浦翔平
【作品概要】
原作は迫稔雄の同名コミック。2006年から2017年まで集英社ヤングジャンプで連載され、コミックスは49巻まで発売。シリーズ累計発行部数も880万部を突破している人気作。
監督は『リング』(1998)が社会現象を起こしたジャパニーズ・ホラーの第一人者にして、近年も『スマホを落としただけなのに』(2018)、『事故物件 怖い間取り』(2020)などのヒット作を手がけている中田秀夫。
通称「嘘喰い」と呼ばれる天才ギャンブラーの主人公・斑目貘を演じたのは横浜流星。共演には、『ドラゴン桜』『TOKYO MER 走る緊急救命室』『真犯人フラグ』と話題作ドラマへの出演が続く佐野勇斗をはじめ、白石麻衣、本郷奏多、森崎ウィン、櫻井海音、木村了、鶴見辰吾、村上弘明、三浦翔平が揃った。
映画『嘘喰い』のあらすじ
国家をも凌ぐ支配力を誇る、闇ギャンブル倶楽部「賭郎」。
その頂点を決する一世一代の大勝負でお屋形様・切間創一(櫻井海音)に敗れ、「賭郎」の会員権を剥奪された天才ギャンブラーの“嘘喰い”こと斑目貘(横浜流星)は、新たな会員の佐田国一輝(三浦翔平)が倶楽部を荒らしているという噂を聞きつけ、再び姿を現す。
闇金から貘に救われた人生負け組の青年・梶隆臣(佐野勇斗)、闇カジノのオーナーでヤクザ組長・鞍馬蘭子(白石麻衣)と協力して挑むのは、欲望にまみれた超一流のイカサマ師たち……極悪ディーラー、快楽殺人者、マッド・サイエンティスト……が仕掛ける、絶望的なギャンブル勝負の数々。
もし負ければ「賭郎」の立会人・夜行妃古壱(村上弘明)や目蒲鬼郎(本郷奏多)が、命を含む代償を容赦なく取り立てる。
殺しにイカサマ、裏工作が当たり前の頭脳心理戦で、貘は嘘を見破り、勝ち残ることができるのか!? 敗者には残酷な死が待ち受ける、史上最恐にヤバい究極の騙し合いゲームの幕が開く。