Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

アニメーション

Entry 2021/09/06
Update

映画『カラミティ』あらすじ感想と考察解説。アニメで描く西部開拓時代に活躍した“女性ガンマンの若き日”

  • Writer :
  • 松平光冬

伝説の女性ガンマン、カラミティ・ジェーンの子供時代の物語

アニメーション映画『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』(2019)が高く評価されたレミ・シャイエ監督最新作の映画『カラミティ』が、2021年9月23日(木)より新宿バルト9ほかで全国公開されます。

西部開拓史上、伝説の女性ガンマンとされるマーサ・ジェーン・キャナリーの子ども時代を描いた、壮大なアニメーション映画の見どころをご紹介しましょう。

映画『カラミティ』の作品情報

(C)2020 Maybe Movies ,Norlum ,2 Minutes ,France 3 Cinema

【日本公開】
2021年(フランス・デンマーク合作映画)

【原題】
Calamity, une enfance de Martha Jane Cannary

【監督・脚本】
レミ・シャイエ

【製作】
アンリ・マガロン、クラリー・ラ・コンベ

【音楽】
フロレンシア・ディ・コンシリオ

【声の出演】
字幕版キャスト:
サロメ・ブルバン、アレクサンドラ・ラミー、アレクシ・トマシアン
日本語吹き替え版キャスト:
福山あさき、松永あかね、木野日菜、木戸衣吹、畠山航輔、杉田智和、上田燿司

【作品概要】
長編デビュー作『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』(2019)が高く評価されたレミ・シャイエによるアニメーション映画。

西部開拓時代のアメリカに実在した女性ガンマン、カラミティ・ジェーンの子ども時代を描きます。

2020年のアヌシー国際アニメーション映画祭にてワールド・プレミア上映され、見事クリスタル賞(グランプリ)を受賞。

日本では2020年12月開催のフランス映画祭2020横浜にて字幕版が、2021年3月開催の東京アニメアワードフェスティバルでの日本語吹替え版プレミア上映を経て、満を持して同年9月に一般公開となります。

映画『カラミティ』のあらすじ


(C)2020 Maybe Movies ,Norlum ,2 Minutes ,France 3 Cinema

12歳の少女マーサ・ジェーンは家族とともに大規模な旅団に加わり、西へ向けて旅を続けていました。

しかしその旅の途中で父親が負傷し、マーサが家長として家族を守る立場に。

少女であることの制約にいら立つマーサは、家族の世話をする義務を果たすため少年の姿で生きることを決意します。

そんな彼女の生き方は、古い慣習を重んじる旅団の人々との間に軋轢を生み、さらにマーサを危機から救ってくれた中尉を旅団に引き入れたことで、盗みの共犯の疑いまで掛けられてしまい……。

映画『カラミティ』の感想と評価


(C)2020 Maybe Movies ,Norlum ,2 Minutes ,France 3 Cinema

何度も映画化された女性ガンマンの少女時代

本作『カラミティ』は、西部開拓史上、初の女性ガンマンとして知られるカラミティ・ジェーンことマーサ・ジェーン・キャナリー(1856~1903)が主人公です。

やはり西部開拓時代に名を馳せたガンマンのワイルド・ビル・ヒコックと親交を深め、南北戦争で北軍を指揮したカスター将軍の下で斥候として、さらに晩年は自身を主役とした巡業ショーを開くなど活躍しました。

しかしながら、その逸話の多くは都市伝説も含まれており、特に幼少期は謎が多い人物とされています。

本作では、『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』のレミ・シャイエ監督のイマジネーションによる、12歳の少女マーサの成長譚が描かれます。

ちなみに、マーサが登場する映画も数本作られており、コメディ『腰抜け二挺拳銃』(1948)ではジェーン・ラッセルが、ミュージカル『カラミティ・ジェーン』(1953)ではドリス・デイがそれぞれ彼女を演じています。

参考動画:『カラミティ・ジェーン』(1953)

西部開拓をテーマにジェンダーレスな現代を描く


(C)2020 Maybe Movies ,Norlum ,2 Minutes ,France 3 Cinema

大規模な旅団に加わり、新天地を求めて旅を続ける12歳のマーサは、負傷してしまった父の代わりに家族を支えようと、乗馬に馬車の手綱さばき、投げ縄といった男性の作業を自ら行おうとします。

しかし、「女性は女性らしくあれ」という根強い慣習が彼女を妨げ、やがて旅団全体に降り注ぐトラブルが原因で、カラミティ(厄介者)扱いされてしまいます。

やがて、自身に着せられた泥棒の濡れ衣を晴らすべく、一人旅に出ることとなるも、さまざまな困難と人との出会いにより、“自分らしさ”を見つけていくことに。

もちろんこれは、ジェンダーレスな現代にも十分通じるテーマなのは言うまでもありません。

男性優位社会の中で、男らしさとは何か、そして女らしさとは何かについて、真正面に向き合った内容となっています。

映える絵画的作画デザイン

(C)2020 Maybe Movies ,Norlum ,2 Minutes ,France 3 Cinema

前作『ロング・ウェイ・ノース』でも大きな特徴となった作画スタイル。

輪郭線を使わずにキャラクターを囲い、ベタ塗りの色彩と陰影によって、人物と背景を絵画的に描く作画は、本作でも際立っています。

前作では陰影表現を用いて描かれた白銀の世界が印象的でしたが、本作で目を引くのが自然の風景描写でしょう。

平原の草木に透き通った川の水、黄色や橙色を何重にも重ねた雲や、ほのかに明るい星が輝く夜空など、その鮮やかな色彩は挙げるとキリがないほど。

それでいて手描き作画から伝わる“あたたかみ”も、大きな魅力です。

(C)2020 Maybe Movies ,Norlum ,2 Minutes ,France 3 Cinema

まとめ

(C)2020 Maybe Movies ,Norlum ,2 Minutes ,France 3 Cinema

マーサは、何も男子に憧れたり、男子になろうとしているのではありません。

むしろ彼女は、女性であることに誇りを持っています。

平原の女王と呼ばれ、若くして自身のアイデンティティを示したカラミティ・ジェーンの熱き物語に、ご期待ください!

映画『カラミティ』は、2021年9月23日(木)より新宿バルト9ほかで全国公開。

関連記事

アニメーション

魔法少女リリカルなのはDetonation|ネタバレあらすじ感想と結末の解説評価。おすすめアニメは史上最大のスケールで描かれる

映画『魔法少女リリカルなのはDetonation』は人気アニメ「魔法少女リリカルなのは」の劇場版4作目で、前作『魔法少女リリカルなのは Reflection』の劇場版2部作の後編です。 永遠結晶を巡る …

アニメーション

【ネタバレ考察】ルックバック|あらすじ感想解説と結末評価。映画化/劇場アニメで映し出す“漫画”を通じて描く《青春と痛み》

交差する二つの世界と痛みと再生の物語 集英社が配信する漫画配信アプリおよびウェブサイト「少年ジャンプ+」で公開され、一晩で120万以上の閲覧数を記録した藤本タツキによる漫画「ルックバック」。 創作者と …

アニメーション

バケモノの子|あらすじネタバレと結末の感想評価。細田守がアニメで師弟関係から生まれた“新しい家族の絆”を描く

王道のストーリーに練りこまれたリアルで壮大な世界観 映画『バケモノの子』は、渋谷の街とバケモノたちが住まう渋天街という2つの世界を交錯させながら、バケモノと少年の師弟関係や疑似家族の中で生まれる唯一無 …

アニメーション

バンドリ映画2022ネタバレ|BanG Dream! ぽっぴん’どりーむ!あらすじ感想とラスト結末の解説。1年の開始を彩る音楽アニメーションの最高峰!

2022年元旦作品は大人気メディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」の劇場版作品第5弾! メディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」は現実世界でライブを行うだけでなく、アニメや …

アニメーション

【6話ネタバレ】鬼滅の刃 柱稽古編|アニオリで描く炭治郎の「反復動作」完成のきっかけとなった玄弥の問いかけとは?

鬼殺隊最強戦士・悲鳴嶼行冥が課した修行が明かされるテレビアニメ4期・第6話 累計発行部数1億5000万部を突破した吾峠呼世晴・原作の大人気漫画をアニメ化。家族を鬼に殺された少年・竈門炭治郎が、鬼になっ …

Cinemago|想像力の海へ、シネマダイビング。
ACT1|次の物語は、人からはじまる。
Cinemagoオンラインショップ|DVD・鑑賞チケット・オリジナルグッズ
『血を吸うスマトラオオコンニャク』
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学