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Entry 2021/01/23
Update

映画『サマーウォーズ』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。細田守代表作は困難に立ち向かう意義を“現在”もなお問いかける

  • Writer :
  • 星野しげみ

細田守監督の代表作映画『サマーウォーズ』

『時をかける少女』などで知られる細田守監督によって、2009年に公開されたアニメーション映画『サマーウォーズ』

人工知能や仮想空間との関わり方について問うた、今こそ観るべきとも言えるアニメーションとして、2009年の劇場公開から10周年を記念して、2020年に体感型上映システムに対応した4DX版が公開もされました。

個性豊かな登場人物たちの、コミカルなやりとりや温かい家族愛。しかし、その裏で進んでいた混乱に巻き込まれ、突如家族に訪れた悲劇は、現代を生きる私たちにとって深く考えさせられます。

仮想空間「OZ」と現実世界の強力なつながりの中で、ふと現れた謎の人工知能「ラブマシーン」と繰り広げられる壮大なバトルは圧巻です。

映画『サマーウォーズ』の作品情報


(C)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

【公開】
2009年公開(日本映画)

【脚本】
奥寺佐渡子

【原作・監督】
細田守

【キャラクターデザイン】
貞本義行

【キャスト】
神木隆之介、桜庭ななみ、富司純子、谷村美月、斎藤歩、横川貴大、信澤三恵子、谷川清美、桐本琢也、佐々木睦、玉川紗己子、永井一郎、山像かおり、小林隆、田村たがめ、清水優、中村正、田中要次、金沢映子、中村橋弥、高久ちぐさ、板倉光隆、仲里依紗、安達直人、諸星すみれ、今井裕貴、太田力斗、皆川陽菜乃

【作品概要】
『時をかける少女』などを手掛けた、細田守監督の長編オリジナルアニメーション。インターネット上の仮想空間が引き起こした、世界中を巻き込む大事件に大家族が立ち向かう姿を描いています。

脚本は奥寺佐渡子が務め、キャラクターデザインは貞本義行は担当しています。2020年には公開10周年を記念して「4DX」版が公開。

映画『サマーウォーズ』のあらすじとネタバレ


(C)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

世界は、インターネット上の巨大仮想空間”OZ(オズ)”を通して、あらゆることができる時代。

全世界で10億人以上が利用しており、パソコンや携帯電話からOZに繋げば、自分のアバターを通して世界中の人とコミュニケーションを取れることはもちろん、買い物から健康の管理までOZの中で済ますことができます。

OZは、現実の世界ともリンクしているため便利な一方、こうした巨大なネットワークで起きた事件は現実に驚異的な影響を与えてしまいます。

高校生の健二は、数学オリンピックの日本代表に選出されかけるほど数学が得意。夏休みも学校でOZの管理をしてお小遣い稼ぎをしていたところ、先輩の夏希にアルバイトとして彼氏役を頼まれました。

学校一の美少女である夏希の頼みを断るわけもなく、向かったのは、長野県は上田。夏希のひいおばあちゃんが当主をする壮大な屋敷で、ひいおばあちゃんの90歳の誕生日を一族総出でお祝いしようとこうとします。

いきなりの展開に戸惑う健二でしたが、大家族の賑やかさとあたたかさに圧倒されます。

そんな中、健二の携帯電話に一通のメールが届きました。開いてみると、謎の暗号が。数学の問題だと勘違いした健二は、反射的に解いてしまいます。

しかし、健二が解いたその暗号はなんと、仮想空間「OZ」を守っている、2000桁以上のセキュリティーコードだったのです。

絶対に安全だと言われていたOZのセキュリティーが、一晩にして解かれ、交通機関は麻痺し、偽の情報が飛び交い、世界中が大混乱に陥ってしまいました。

原因は自分だと、パニックになる健二でしたが、実は健二の解答は間違っていて他にも回答者がいたこと、さらにメールの送り主は、巨大な人工知能「ラブマシーン」であることが判明しました。

ほっとしたのも束の間、「ラブマシーン」に乗っ取られたOZでの混乱が、現実の世界に次から次へと被害を及ぼしていきました。

それを食い止めようと、OZでは、最強格闘技チャンピオンのキングカズマと共にアバターを通して、「ラブマシーン」を倒そうと奮闘します。

一方、現実世界では、事の重大さを察したひいおばあちゃんが、広大な人脈を使い、あの手この手で収束させようと動いてくれていました。

そんな中、ひいおばあちゃんにとって夫の妾の子であった侘助が10年ぶりに帰って来ました。侘助は、なんと今回の騒動である「ラブマシーン」の開発者が、侘助自身であることを明かします。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『サマーウォーズ』ネタバレ・結末の記載がございます。『サマーウォーズ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

侘助が事件の当事者だと考えたひいおばあちゃんは、侘助に対して腹を切って責任を取れと迫りますが、侘助は自身は「ラブマシーン」を開発しただけであり、この騒動は「ラブマシーン」が「勝手に」引き起こしたものなのだと、その場を去りました。

OZの混乱は収まったかのように見えましたが、実は裏で着々と「ラブマシーン」の思惑通りに進んでいたようです。

侘助の登場とOZの混乱に翻弄される一族でしたが、そこへさらに衝撃的なことが起こります。

健康管理していたネットワークが正常に動いておらず、ひいおばあちゃんが急逝。

そんな最中、「ラブマシーン」は、OZの中で4億のユーザーアカウントを吸収し、それにより得た膨大な権限から、なんと小惑星探査機「あらわし」の進路を変え、世界の核施設のどこかへ落下させようとしていることがわかりました。

頼りの人が亡くなり、深い悲しみに包まれる一族でしたが、ひいおばあちゃんの遺言でパワフルな生きざま、聡明さ、そうして深い優しさ思い出し、また健二の思わぬ力強い言葉によって、一族は「ラブマシーン」との決戦を決意します。

健二たちは、夏希を先頭に、得意の花札で「ラブマシーン」に勝負をかけます。世界を背負った戦いに、何度もくじけそうになる夏希たちでしたが、世界中の人たちの助けと励ましにより、大量の奪われたアカウントを解放することができました。

しかしながら、まだ健二たちに危機が迫ってきます。驚くことに、「ラブマシーン」は小惑星探査機「あらわし」をこの屋敷に落とそうとしていたのです。

焦る一族でしたが、まだ諦めてない健二の姿を見て、最後まで戦い抜こうと誓うのです。最後の一手には、あのセキュリティーコードの壁が待っていました。

2000桁の暗号を解かない限りは、ラブマシーンの暴走を止め、「あらわし」の軌跡を変えることができないのです。

暗号を解いては、何度も解除を阻まれる健二でしたが、制限時間がせまる中、健二の数学の圧倒的な能力で、ついには暗算での解読、そして管理塔に入ることに成功しました。

見事、一族は「あらわし」の直接の落下は免れ、OZと世界中は平穏を取り戻しました。

本当だったら、ひいおばあちゃんの90歳の誕生日を一族総出でお祝いしようとこうとします。そして、健二と夏希の間には甘い想いが芽生えました。

映画『サマーウォーズ』の感想と評価


(C)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

映画『サマーウォーズ』は、いつ観ても、何度観ても新しさを感じる細田守作品です。毎年、夏になると“実家に帰省するかのごとく”、必ず観るというファンも多いのではないでしょうか

長野県は上田にある大きな屋敷の雰囲気や大家族の賑やかさ。何と言っても、おばあちゃんのパワフルと温かさは、本当の祖母のあったようでもあるし、観る度に実家や親戚と再開した気持ちにさせてくれます

また、インターネット上の仮想空間「OZ」や人工知能「ラブマシーン」の存在、現実世界との関わり方など、2009年当時に描かれた事実に驚きですし、今尚、未来の話のような気にさせてくれ、古さを感じさせないリアルさがあります。

いつの時代、そしてどの世代の人たちが観ても、作品テーマから学び考えることがある。そして誰かのために思いを抱き、果敢に困難に立ち向かうことの大切さを諭してくれます。

まとめ


(C)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

2009年に『時をかける少女』、2012年に『おおかみこどもの雨と雪』2015年に『バケモノの子』といった、数々の人気アニメを手掛けてきた細田守監督。その原点とも言える作品が、本作『サマーウォーズ』であり、初の長編オリジナルアニメーション作品です。

また、数学が得意ですが、気弱な高校2年生の小磯健二の声を演じたのは、神木隆之介。彼にしか出せない優しさと強さという雰囲気を見せることで、この後も実写での俳優業の活躍のみならず、アニメーション作品は『借りぐらしのアリエッティ』(2010)、『君の名は。』(2016)、『メアリと魔女の花』(2017)と、大作ぞろいです。

一方の憧れの先輩・篠原夏希の声を務めたのは、桜庭みなみ。本作後にブレイクを果たし、『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』で、第35回報知映画賞新人賞、『最後の忠臣蔵』で第53回ブルーリボン賞新人賞など大きな評価を得ました。

そんな2人が演じた健二と夏希が、家族や仲間と共に「仮想空間OZの暴走」に立ち向かうことで、仮想現実の世界ではなく、「すぐそばにいる大切な他者」との繋がりの大切さに気付かせてくれる作品です。

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