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Entry 2020/11/22
Update

映画『ミセス・シリアルキラー』ネタバレあらすじと感想評価。どんでん返しが薄気味悪さを残すサスペンス

  • Writer :
  • からさわゆみこ

Netflix映画のサスペンス作品『ミセス・シリアルキラー』のご紹介。

愛する夫のために“裏技”を実行に移す妻、事件解決に執念を燃やす刑事の姿を描く、Netflix映画『ミセス・シリアルキラー』。

妻は連続殺人の容疑で逮捕された夫の無実を信じ、それを証明するために、弁護士からとんでもない“裏技”を伝授されます。

2006年に『Jaan-E-Mann』で劇場公開の監督デビューを果たしたシリシュ・カンダーが演出を担当し、幸せな夫婦の間に、突然舞い込む不穏な事件を描いてます。

産婦人科医の夫にかけられた凶悪連続殺人事件の容疑と、夫の無実をはらすために奔走する妻の献身的な愛がラストで意外な展開を迎えます。

映画『ミセス・シリアルキラー』の作品情報

Netflix ミセス・シリアルキラー

【日本公開】
2020年(インド映画)

【原題】
Mrs. Serial Killer

【監督/脚本】
シリシュ・カンダー

【キャスト】
ジャクリーン・フェルナンデス、マノージ・バージイー、モーヒト・ライナー、ゼイン・マリー・カーン

【作品概要】
主演のジャクリーン・フェルナンデスは、2006年のミス・ユニバースのスリランカ代表という経歴の持ち主で、2009年にヒンディー映画『アラジン』で女優デビューし、同作で国際インド映画アカデミー賞の新人賞を受賞しています。

夫役を演じたマノージ・バージイーは、『アリーガル』(2016)で、第10回アジア太平洋最優秀俳優を受賞し、2019年には長年にわたり、インド映画で多くの作品に出演し、インド映画界に貢献をしたことで、インドで4番目に栄誉のある、パドマシュリ勲章を授与されました。

マノージ・バージイーは、シリシュ・カンダー監督がYouTubeで発表した、短編サイコスリラー映画『クリティ』(2016)でも、タッグを組んでいます。

そんな実力派の俳優2人が挑むのが、インド映画では比較的めずらしい、サスペンススリラー、Netflix映画『ミセス・シリアルキラー』です。

映画『ミセス・シリアルキラー』のあらすじとネタバレ

Netflix ミセス・シリアルキラー

優秀な産婦人科医であるムリチュンジョイ・ムケルジー(ジョイ)を夫に持つ、ソナ・ムケルジーが出張先の夫と、ネット通話をしています。

ソナが「夫がいなくても寂しくないわ、もう一人そばにいるから」と言うと、ジョイは「浮気相手か」と疑います。

ソナは「今日知り合ったばかりで、名前も知らない」と言うと、ジョイは最近多発している連続殺人事件を思い出し、不用心すぎると心配します。

それはソナのサプライズ的な嘘でした。「その人はここにいるわ」と下腹部を指さします。そして、妊娠検査薬を見せながら、「子供を授かったのだ」と知らせました。

ところがネット通話を終えると、警部補になった昔の恋人イムラン・シャヒドが、行方不明事件の捜査と言って、ジョイのいない家を訪ねてきて、幸せな状況は一変していきます。

イムランは「驚かせるようなことはしない、お腹の子に誓って・・・」とソナに言い、妊娠についても把握していたのです。

彼は部屋の中を捜査し、寝室からブラシ、洗面所からはタバコの吸い殻を押収し、6人の女性が行方不明になっている事件に、ジョイが関わっていることを匂わし、夫の逮捕に協力してほしいと言います。

ソナが怒ってイムランに出て行くよう腕をひっぱると、サイドテーブルに飾ってあったいくつかのフォトフレームを落としてしまいます。

その時、押収品をソナに見つかり、「立証のためだ。無実なら心配無用だろう」と言い、落ちたフォトフレームを見て、豪邸の前で撮られた家族写真の少年が誰かと聞くと、ソナはジョイだと答えます。

それを聞いたイムランは、押収品を持って家を出て行きました。そして、写真に写っていた屋敷へと向かいます。屋敷は既に廃虚となり、使われていませんでした。

翌日、警察に先導され、多数の車両が屋敷に向かって進みます。

先に屋敷に入っていたイムランは、地下室から庭に出る木戸から飛び出てくると、激しく嘔吐します。警察と連れて来られた街の人々は、イムランが出てきた地下へと入って行きます。

薄暗く酷い悪臭が充満していた地下には、バラバラに切断された女性の遺体が、天井から吊るされて腐敗し、近くの棚にはホルマリン漬けにされた、胎児が6体置いてありました。

警官と街人は残り5人の被害者を捜索するため、地上の庭を掘り起こし始めます。ところが遺体は出てきません。

イムランは2階から庭を見渡し、唐突に置かれた5つの鉢植えをみつけ、その下を掘るように指示すると、そこから5人の遺体が出てきました。

出張から戻ったジョイは空港で身柄を拘束され、警察に拘留されました。連絡を受けたソナは面会に行くと、知り合いの弁護士からは、依頼を全て断られたと告げます。

ジョイは自分が担当した患者に弁護士がいたとソナに伝え、“ラストギ”という名の患者を探すように指示され、ソナは病院で“ラストギ”の連絡先を探し出しました。

ところが登録された電話番号は使われておらず、ソナは記載の住所を訪ねます。守衛からは面会を拒絶されますが、「ムケルジーの妻よ!」と叫ぶと、後続の車からラストギの妻が出てきて、ラストギ弁護士との面会が叶いました。

ラストギ弁護士は心不全で病の床に伏していました。それでもジョナのことを“ハエも殺せぬ人間”と信じ、ジョナの治療で一人息子を授けてもらった恩もあり、弁護を引き受けてくれました。

初法廷の日はオンラインで初出廷したラストギ弁護士は、ジョナの保釈を要求しました。ところが検察は証拠品を出し、引き続き拘留を求めます。

証拠とはイムランがジョナの家から押収した、毛髪の付いたブラシとタバコの吸い殻です。遺体のあった屋敷で採取した指紋と毛髪が、押収品のものと一致したからです。

保釈申請は却下され退廷するジョナは、移送されるときに市民から襲撃されます。ソナは再びラストギに助けを求め、会いに行きます。

ラストギは被害者の特徴である“独身”の妊婦で、“中絶”を希望する女性だったことをあげ、法的に保釈することは絶たれたけれど、方法は1つあると言います。

ソナが実行するのは無理だと前置きしつつ、ジョイの無実を証明するには、“連続殺人犯”はまだ、野放し状態だという証拠が必要であるというのです。

つまりは、真犯人をでっちあげるということ。ソナはジョナを愛するあまり、実行すると言いますが、ラストギは「忘れるな、自分で望んだことだ」と、念を押します。

そこに警察からソナに、ジョナが囚人たちによってリンチされ、瀕死の重傷になったと電話が入ります。

以下、『ミセス・シリアルキラー』ネタバレ・結末の記載がございます。『ミセス・シリアルキラー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

Netflix ミセス・シリアルキラー

守衛は暴行は囚人たちの仕業ですが、被害者家族が依頼したのだろうと言います。

ショックをうけて家路に向かうソナは、ジョナと出会ったころのドライブデートを思い出していました。ソナは最初、ジョナと結婚する気はありませんでした。

そんな考え事をしていると、千鳥足で歩くイムランをひきそうになります。ヘッドライトで運転しているのが、ソナだと気がついていない様子で、「クズを刑務所に送ってやったばかりで、ご機嫌だから許してやる」と、言い放ちます。

ソナは怒りで震えながらラストギに電話して「刑事がひき逃げされたら、真犯人がいる証拠になる?」と、聞きます。ラストギの答えは“No”でした。

“連続殺人犯の犯行には一貫性があり同じ手口で、妊婦を中絶したあとに殺す必要がある”と、言います。ソナはジョナの無実を証明するために、実行すると告げます。

ソナとイムランは昔つきあっていましたが、ソナは親の決めた相手と、結婚をさせられそうになっていて、その相手がジョナでした。

ソナはイムランを愛していましたが、ソナの両親は外科医だったため、同じ外科医と結婚話を薦めています。一介の警察官だったイムランとの結婚には、反対されるだろうと言います。

イムランはどちらも人の命を守る仕事だと、ソナにどうしたらいいかつめ寄ります。

するとソナは“私たちはもう、駆け落ちするしかない”と言いますが、一人娘のソナがそんなことをしたら両親が悲しむとなだめます。

ソナは言い訳しないでとせかします。イムランは近くの寺院で行われていた、“合同結婚式”の看板を見せ、「駆け落ちしよう」と連れていき、他の新郎新婦に混じって結婚式を挙げていました。

ソナは被害者女性の殺害された状況を、事件現場の画像で確認し行動を開始します。

まずは産婦人科へ行き、未婚のまま妊娠した妊婦を探そうとしました。ある産婦人科に予約を入れて、予約日でない日に出かけ受付を混乱させた隙に、予約患者の情報を盗みとります。

そして、片っ端に電話をして、ハワイ旅行の無料招待だと虚偽の案内をし、既婚か未婚かを探ります。

その中に「2度とかけてこないで。隣人の連続殺人犯に頼めば、あんたなんてバラバラよ」と、悪態をつく女性がいて、その人をターゲットにすることに決めます。

“隣人”で、名前が“アヌシュカ”と見て心当たりを感じます。その女性はソナが教師をしていた時の教え子でした。ソナは顔見知りであるにも関わらず、彼女をターゲットにしてしまいます。

アヌシュカが家から出てくるのを待ち、尾行を開始します。アヌシュカは、迎えに来ていた恋人のバイクに乗り、見晴らしのよい公園で彼に妊娠したことを伝えます。

恋人のシドはアヌシュカの妊娠に戸惑い、逆ギレして彼女に別れると告げると、その場に残したまま帰ってしまいました。

茫然自失になったアヌシュカはフラフラと歩き、トラックにひかれそうになったところ、偶然を装ったソナに助けられます。

ソナは避けられるトラックを避けなかったことで、死のうとしたのか聞きました。アヌシュカは首を振りながら、「誰にも言わないで・・・」と言い、ソナは、「“今の私”とは誰も話さない」と言って安心させます。

アヌシュカをテコンドー道場で降ろすと、ソナは愕然としました。彼女はテコンドーの師範をしていたからです。

一筋縄では作戦を遂行できないと思ったソナは、病院からクロロホルムを持ち出し、犬で効果を試そうとし外へ出ている間に、メイドが誤って瓶を倒しクロロホルムをこぼし、代わりに水を入れてしまいます。

ソナは水と入れ替わっているとも知らずに、クロロホルムの瓶を持って道場前で、アヌシュカを待ち伏せし、車で尾行しながら誘拐の機会をうかがいます。

アヌシュカは繁華街で尾行に気がつき、建物の影に隠れていますが、アヌシュカを探し歩いていたソナを見かけ、車でつけられているけど見なかったか尋ねます。

ソナは思いがけずアヌシュカを拉致するきっかけをつかみます。ソナはクロロホルムだと思って、しみこませたハンカチをアヌシュカに嗅がせます。

ほとんど水になっていて効果はありませんが、アヌシュカは効いたふりをして倒れます。その隙に車を取りに向かうソナ。アヌシュカは起き上がり、再びソナが来るのを待ちます。

ソナは起き上がったアヌシュカに、テコンドーで反撃されたため、走って逃げだし攻防を繰り返しますが、テコンドー師範のアヌシュカは、ソナには不利でした。

ところがソナが花畑に逃げ込むと、アヌシュカが異変を示します。ソナはアヌシュカが喘息持ちで、吸入器を使用していたのを思い出しました。

花粉で喘息の発作が出るのをアヌシュカは恐れていました。ソナは花の花粉を使って彼女を失神させ、拉致し病院の地下に監禁しました。

ソナはボイスチェンジを使って、意識を取り戻したアヌシュカを脅すと、アヌシュカはソナをゲイだと勘違いしますが、香水をつけていることを指摘します。

一方、イムランは連続殺人事件を解決できたことで、配属先を本部に戻そうとしていました。ところが部下の一人が、彼が着任してから発生した事件を、どうして事前に知っていたのか問います。

イムランが回答せず不穏な空気になったところに、再び女性が行方不明になったと通報が入り、イムランはアヌシュカの家へと向かいます。

Netflix ミセス・シリアルキラー

イムランはアヌシュカの日記を見つけ、彼女が妊娠をし恋人のシドに伝えたことを知り、取り調べをします。シドはアヌシュカに中絶を切り出したが、“1人でも産む”と言ったと話しました。

ソナは手術をレクチャーする動画を観て、殺人の手口を予習し、いよいよアヌシュカを手術室に運び、人工中絶をしようとしますが、イヤホンが外れてアヌシュカに聞かれてしまいます。

アヌシュカはお腹の中の子供を殺さないでと哀願し、生きて返してくれれば、“家出したけど戻ったと言う”と提案すると、ソナの心は大きく揺れます。

ソナは“殺人鬼がまだいると噂が広まれば、無実の証明になるか”ラストギに再び指南をうけますが、犯罪者は間違いを正そうとして、捕まるものだと言われます。

それでも殺人をさける方法を望んだソナは、噂を広めることを条件に解放しようとします。

しかし、その間にアヌシュカはメスを使って拘束を解き、ソナが戻ってくるのを待ち構えていて、襲いかかります。ですが、その顔を見て「先生、なぜここに?」と驚きます。

ソナはとっさに助けに来たと言い誤魔化せそうになりますが、アヌシュカには香水の香りが犯人と同じだと気づかれますが、なんとかそれも誤魔化します。

アヌシュカはソナのスマホで助けを呼ぼうと、操作するとボイスチェンジした言葉のサンプルを見つけ、ソナが犯人だと知ります。

再び2人は格闘となりますが、ソナは麻酔の入った注射をアヌシュカに打ち拘束し、再び地下室に監禁し独り言をつぶやきます。

「もう、この物語も終わり・・・想像とは違うけど、やるしかない」ソナは泣きながら、挑発するアヌシュカにメスを向け切りつけます。

街ではアヌシュカが行方不明になったことで、ジョナは冤罪だという風潮が出始めていました。イムランは今回の件は、アヌシュカが悩んだ末の家出だろうと言います。

ところがそこに連続殺人犯から電話が入り、遺体の見つかった現場を捜索して見ろと言われます。

屋敷の地下に行くとアヌシュカの服や装飾品を身に着けた遺体が、同じように天井から吊るされ、胎児はホルマリン漬けにされて置いてありました。

再びジョナの裁判が再開し、ソナは余裕の態度で傍聴席に座ります。殺人事件が起きたことで、ジョナの無実が証明され釈放されることとなります。

そして、ソナは釈放されたジョナを連れて病院の地下へ行きます。地下には殺したと思われたアヌシュカが、拘束されたまま監禁されていました。

結局、ソナはアヌシュカを手にかけることができず、産婦人科から引き取り手のない胎児を、病院からは解剖用の遺体を譲り受け、殺人事件を模倣し作り上げただけでした。

そんなソナがアヌシュカに食べ物を与えようとした時に、「お腹の赤ちゃんのためよ」と言うのを立ち聞きしていたジョナは、不敵な表情になります。

ジョナ達が病院をあとにすると、彼らに不信を抱きあとを追っていたシドが、病院の外に隠れていて、侵入できる場所を探します。

イムランは酒場でやけ酒を飲み、他の客からはジョナを冤罪で捕まえた悪徳警察官とののしられ、ケンカとなってしまいます。

深夜になりシドはようやく開いている窓を探し出し、病院の中に侵入すると中を探索しはじめ、物音に気がついたアヌシュカは、助けを求め声を出します。

シドは地下で拘束されているアヌシュカをみつけますが、そのあとに誰かがやってくる足音がしてきます。

シドはロッカーに隠れますが、ロックされ出られなくなります。彼はすぐにイムランにメールしますが、地下室のロッカー内だったため送信できません。

その頃、ソナは悪夢にうなされ目が覚めます。ところがベッドにジョナの姿がありません。ソナは胸騒ぎを感じ病院の地下室に行くと、そこには手術着を着たジョナがいました。

ジョナの表情はおかしくなっていて、不敵な笑みを浮かべてソナに中へ入るよう促します。ソナは戸惑いながらどういうことか問い出します。

ジョナはアヌシュカは、未婚で妊娠した“尻軽女”だから中絶して、胎児を瓶に入れて残酷な世界から守ると言います。つまり、連続殺人鬼はジョナでした。

ソナはアヌシュカを守ろうと手術道具を奪おうとしますが、逆にジョナに手の甲を刺され机に固定されていまいます。

そこにラストギから電話が入り、ラストギは連続殺人がジョナの仕業と知りながら、釈放させるよう手引きをしていたのだと、ソナは知りました。

手術を始めようとすると、ロッカーに閉じ込められたシドが戸を叩き始め、ジョナが戸を開けるとシドは反撃しますが、ひ弱すぎたシドはすぐに拘束されてしまいます。

ただし、ロッカーから出たことで、イムランへのメールを送信することができました。外に放り出されていたイムランはそのメッセージを見て、病院へ向かいます。

病院に駆けつけたイムランでしたが、彼もまたあっさり拘束され、ジョナはイムランのことはラストギから聞いていたと言います。

イムランの落とした財布の中の写真を見たジョナは、「“アフリーン”か?」と聞き、イムランは、“妹”だと答えます。

ジョナはてっきりソナとの三角関係を恨んで、捕まえに来たのだと言います。しかし、イムランから本当の真相が語られます。

イムランはソナと結婚を考えていた矢先に、妹アフリーンが殺害されたと聞き、故郷に帰って捜査をしたところ、産婦人科医のジョナと会っていたことを知り、事情聴取に向かいます。

ところが、ラストギからジョナにイムランが捜査に行くと連絡がいき、待ち伏せたジョナはイムランを鉄パイプで殴打します。

イムランは奇跡的に命をとりとめますが、2年間昏睡して目覚めます。「ソナを探した時には、両親が決めた相手と結婚していたので諦めたが、妹殺し調査にのめり込み犯人の手がかりを得たところ、その憎き復讐相手がソナの夫だった」と言いました。

イムランは拘束を緩め縄を解き、ジョナの中絶手術を阻止しますが、逃げようとしたシドとアヌシュカを襲うジョナから、守ろうとしたソナはメスで腹部を刺されてしまいます。

ソナはお腹の子がジョナの罪の報いを受け、ソナの罪の報いは子を失うことで受けたとつぶやきます。

ジョナは我が子を亡くして発狂し、ソナを襲おうとしますが、イムランが背後から脊髄にメスを刺して阻止。ジョナは倒れてしまいます。

ソナは命をとりとめ、アヌシュカは母子ともに無事でした。アヌシュカは命がけで助けてくれたソナを許し、イムランと寄りを戻すよう言います。

その頃イムランが医師に「ここに運ばれたジョナの遺体はどうしたか」と尋ねると、「意識不明だが死んではいない」という答えが返ってきました。

イムランが病室に駆けつけた時には、ジョナは、ラストギ弁護士とその妻に連れ出されて消えていました。

映画『ミセス・シリアルキラー』の感想と評価

Netflix ミセス・シリアルキラー

『ミセス・シリアルキラー』はサスペンスなので、これまでのインド映画のように歌ったり踊りだすような派手な演出はありません。

それでもソナが証拠をでっちあげようと奔走するシーンには、クスっと笑えるユーモアもあり、ジョナが狂いだし手術をしようとオペラに合わせるようにメスを振りかざす演出には、インド映画らしさが残されたように観れます。

製作側は至って大真面目に作っているとしても、イメージからそういう風に見えてしまいます。また、視聴時間も1時間47分と、一般的な歌って踊るボリウッド映画よりも短めでした。

サスペンスにありがちなストーリー展開ですが、人に対する残虐性や理不尽な設定には、インドの裏側にある社会性や民族性、文化などが垣間見れます。

例えばソナとイムランの結婚に、家柄が壁になっているところは、どの国にもありがちですが、インドには、カーストという身分制度の考え方が、根強く残っています。

カーストでは上流階級になると職業も代々、同じ仕事を継がなくてはならなかったり、階級違いの結婚も認められていません。

女性に対する差別や身分の違いで、犯罪も残酷な殺人事件も少なくありません。

シリシュ・カンダー監督はSNSで、風刺コラムを綴っていることでも知られていて、この映画でインド社会が抱える闇や矛盾なども訴えているともとれます。

IT技術の発展が目覚ましい国という一面がある中、古来からの慣習で真の自由を得ていない実態があることも、作品で表現しているのでしょう。

インドは映画制作が盛んで映画大国となりました。“ハリウッド”をもじった、“ボリウッド”という呼ばれ方もしています。

そんなインド映画界には昨今、社会問題の観点で問題提起する意識が深まって生みだされた作品が多くあります。

本作もそんな作品と捉えれば、単純にサスペンス映画と終わらせずに観ることができます。

まとめ

Netflix ミセス・シリアルキラー

映画『ミセス・シリアルキラー』は、揺るぎない地位と、庶民からの信頼の裏で、猟奇的な殺人を繰り返す医師の闇を描いていました

そのサイコパスな行動は、ジョナの出生が原因とも思えます。未婚のままジョナを宿し、医師の家に養子に出されたと考えたら、そうした出生と実母への嫌悪感が、彼の心を歪めさせたのだと考えられます。

ラストは弁護士と医師がグルになっているという展開で、ラストギに子供を授けただけの癒着とも考えにくく、ジョナのピンチを救い病院から連れ出す理由が、今一つわかりませんが、裏ではもっと深い闇で繋がっているかもと、不安を連想させるような結末が用意されている作品でした。

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