映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』は2020年11月7日より公開。
中国で2011年から配信がスタートしたWEBアニメシリーズ「羅小黒戦記」。人気が上昇し続け、中国アニメを代表する作品まで成長しました。
劇場版である映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』では、アニメシリーズの前日譚が描かれます。
日本では2019年9月に日本語字幕版が公開され好評を得たため、花澤香菜、宮野真守、櫻井孝宏といった人気声優陣による日本語吹き替え版を2020年11月7日よりロードショーすることとなりました。
CONTENTS
映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』の作品情報
【日本公開】
2020年(中国映画)
【原題】
羅小黒戦記 The Legend of Hei
【監督・脚本】
MTJJ
【日本語吹き替え版声優キャスト】
花澤香菜、宮野真守、櫻井孝宏、松岡禎丞、斉藤壮馬、杉田智和
【作品概要】
「羅小黒戦記」は、中国で2011年から配信がスタートしたWEBアニメシリーズです。中国で徐々に人気を博し、2019年に劇場版として本作が製作されると大ヒットを記録。
日本でも同年、字幕版が小規模公開され(チームジョイ配給)、映画ファンやアニメファンの間で口コミで評判が広がりました。
これを受けて2020年11月にはアニプレックスが共同配給につき、花澤香菜、宮野真守、櫻井孝宏という人気声優陣による日本語吹き替え版『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』として全国公開されました。
映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』のあらすじとネタバレ
黒猫の妖精・シャオヘイは普段は黒猫の姿をしていますが、小さな人間の男の子や、大きな化け猫に変身できる力を持っています。彼は、静かな森で、動物や霊たちと暮らしていました。
しかし、森は人間が開発のため伐採し、シャオヘイは住む場所を失います。あちこちさまようシャオヘイ。
夜の町で、不良たちに襲われそうになったシャオヘイが、巨大な化け猫の姿になって応戦しようとしたところ、不良は何者かに倒されてしまいました。
現れたのは、植物の力を操ることのできる妖精・フーシー。フーシーは、霊道を通って、人間から忘れ去られた島へとシャオヘイを案内します。
そこには、フーシーの仲間の妖精もいて、みんなシャオヘイを大歓迎。シャオヘイは自分の家と仲間を手に入れました。
ですが、明くる朝、島にムゲンという人間が現れます。彼は人間でありながら、妖精の組織「館」に所属し、問題を起こした妖精たちを捕らえる「執行人」という仕事をしていました。
フーシーたちは立ち向かうものの、最強の執行人と誉れ高いムゲンには、手も足も出ません。
フーシーたちは一旦退却し霊道をふさぎますが、シャオヘイは逸れてしまい、ムゲンに捕まってしまいます。
無限は丸太で筏を作り、シャオヘイとともに島を出ました。金属を自在に操る力を持ったムゲンは、シャオヘイにも同じ能力があること、さらには、「領界」と呼ばれる、空間系の能力を秘めていることに気づきます。
「領界」とは、自分の魂の空間である霊域を、外部に向けて開放できる能力のこと。霊域内では、その持ち主の思い通りに動いたり、動かしたりすることができます。
興味を持ったムゲンは、シャオヘイに、能力の修行をしないかと持ちかけますが、シャオヘイにとってムゲンは敵です。
その頃、フーシーたちはそれぞれの能力を使い、シャイヘイの居場所を探していました。フーシーは行く先々で妖精たちを襲います。
そして、ムゲンは「館」がある龍遊市にシャオヘイを連れてくるだろうと考え、先回りをすることに。
ムゲンは心を許せない相手ではありましたが、強くなりたいという思いから、修行を受けることにしたシャオヘイ。驚くスピードで能力を自分のものにしていきます。
やっと陸地に到着した二人は、龍遊市に向かいます。
映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』の感想と評価
参考:WEBアニメ「羅小黒戦記」
2011年3月17日から動画サイトで公開した後、人気が上昇し続け、中国アニメを代表する作品まで成長したWEBアニメシリーズ「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)」。2020年11月時点で28話まで公開されています。
Webアニメシリーズは、人間世界で暮らす黒猫のシャオヘイ(小黒)が、ロ・シャオパイ(羅小白)という名の人間の女の子に拾われるところから物語が始まります。
タイトルの「羅」は、シャオパイの名字から取られているんですね。
ゆるゆるとした雰囲気に癒されるWebアニメと打って変わって、その4年前にあたる前日譚を描いた本作『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』では、テンポの速いアクションシーンが盛り沢山。
そしてシリアスな中にもふんだんに差し込まれた笑いや、シャオヘイの修行シーンなど、カンフー映画への敬意と愛に溢れていました。
手書きならではの温かみを感じさせながら、滑らかに動くキャラクターたちや、写実的で細やかな背景が、すべての場面で抜かりなく描かれます。
正義か悪か
本作で悪役ポジションだったフーシー。シャオヘイが初めて出会った妖精で、初めて手を差し伸べたくれたフーシーを、シャオヘイは信じて疑いません。
一方、初登場こそ悪役のようだったムゲン。シャオヘイにとって、人間であるムゲンは、フーシーたちとの幸せな時間を奪った憎むべき存在です。
かつて暮らしていた森も人間に破壊されたシャオヘイは、人間はみな同類だとみなし、ムゲンを敵視します。
まだ幼く、物事を広く見ることができないシャオヘイは、ことあるごとに「善か悪か」を問います。ですが、それらは単純に分けられず、どの視点で見るかによって変わってしまう曖昧なもの。
フーシーも、妖精の居場所を取り戻したいという信念がありました。いまの龍遊市にも妖精は暮らしていますが、正体を明かさず人間のフリをしなくてはなりません。
妖精が妖精らしく暮らすためには、人間を支配せねばと、誤った方法を選択してしまいました。
作中、彼は、かつて人間が自然界に敬意を抱きながら慎ましやかに暮らしていた時代に思いを馳せます。あの頃は楽しかった、と。
つまり、フーシーも本心では人間を拒絶したいわけではなく、共存したいと願っているんですね。ですが、それにはもう、人間のテクノロジーが大きくなりすぎ、戻れないところまで来てしまいました。
片や、ムゲンが望むのは人間と妖精の共存。人間でありながら、強い能力を手にいれたムゲンは、人間と妖精、そのどちらにもなれないと一線を引いています。
シャオヘイをはじめ妖精のために居場所を作ろうとする彼こそ、なにより居場所が欲しいと心の奥で望んでいるんです。
最後にシャオヘイの思いを受け止めたことで、ムゲンの居場所は大きく形作られたでしょう。
フーシーは悪だったのかと問うシャオヘイへの答えは、妖精と人間の狭間を生きるムゲンだからこその温かさがありました。
まとめ
字幕版が好評につき製作された、日本語吹き替え版。
本作の絵は、シャオヘイ以外の人物は表情が大きく変化せず、日本のアニメーションとは異なる印象を受けるんですが、それを声優陣が見事に演じてくれました。
中でも、ほぼ無表情のムゲン役を、宮野真守が微細な声色の変化で魅せてくれます。厳しい中にも温かさを秘めたムゲンに奥行きを持たせました。
クルクルと表情の変わるシャオヘイ役の花澤香菜も、愛らしくまっすぐなシャオヘイを体現。黒猫バージョンも、少年バージョンも、絵柄と相まって大変キュートです。
ワクワクする冒険、深いテーマ、魅力的なキャラクターと、たくさんの胸躍る要素が詰め込まれた、老若男女問わず楽しめる作品となっています。
映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』は2020年11月7日より公開です。