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Entry 2017/11/06
Update

映画『グッドタイム』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • 山田苺

最近、テレビでも放送されたハリー・ポッターシリーズでセドリック・ディゴリーを演じたロバート・パティンソン。

本作ではまるで地方都市から飛び出してきた、頭の残念すぎる若者を熱演し、全部自業自得で大変な目にあう1日を、最高にカッコいい演出で描かれた作品『グッド・タイム』に出演しています。

1.映画『グッド・タイム』の作品情報


(C)2017 Hercules Film Investments, SARL

【公開】
2017年(アメリカ映画)

【原題】
Good Time

【監督】
ジョシュア・サフディ、ベニー・サフディ

【キャスト】
ロバート・パティンソン、ベニー・サフディ、バディ・デュレス、タリア・ウェブスター、バーカッド・アブディ、ジェニファー・ジェイソン・リー

【作品概要】
ニューヨークの貧しく生活水準の低い人生を送るコニーと、知的障がいをもつ弟ニックは銀行強盗を行いますが、逃げ遅れたニックだけ警察に捕まってしまいます。

弟を保釈させるために、お金を集めようとしますが、今度は刑務所で暴力を振るわれたことで、ニックは病院に搬送されたと知ったコニーは、密かにニックを連れ出そうとしますが…。

一歩間違えれば、ワイドショーで特集されそうな運の悪い展開を、最高にクールな演出で今までに見たことのないクライム映画となっています。第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品。

2.映画『グッド・タイム』のあらすじとネタバレ


(C)2017 Hercules Film Investments, SARL

知的障がいを持つ人々が通う施設で、ニックはカウンセラーからいくつものゲームになぞらえた質問を受けています。

カウンセラーはそこから、彼の生活でどんなことがあったかを知ろうとしますが、そこへニックの兄、コニーが突然部屋に入ってくると、診断書を破り捨ててニックを連れ出します。

エレベーターの中で、お互いがお互いを必要としているとニックを説得するコニー。

彼らは、黒人のマスクを被り、銀行へ訪れると、「6万5千ドル用意しろ」「我々は武装している」と言ったメモ書きを渡し、周りに気付かれることなく大金を手に入れます。

しかし、予定の場所で落ち合うはずの車がなく、コニーは戸惑います。

なんとか車を見つけて乗り込むと、今度は金の入った鞄からカラーのついた煙幕がたちまち広がり始め、コニーらは真っ赤に染まってしまいます。

ニックは顔が焼けると勘違いし、混乱を極めます。

慌てて入ったピザ屋のトイレで顔を洗い落とし、服を変えて移動しますが、強盗事件で出動していたパトカーに目を付けられます。

コニーは平静を装いますが、ニックはとっさに逃げ出してしまいます。

しかしニックだけ逃げ遅れてしまい、彼は刑務所へ連れて行かれてしまいます。

コニーはトイレに隠していた大金を持って再び逃げ出します。

刑務所では先のカウンセラーが面会に来て、ニックが起訴されないよう計らおうとしていました。

コニーの逮捕が必須ですが、カウンセラーはニックに何の問題もないと諭します。

しかし刑務所で囚人と揉めたニックは袋叩きにあってしまいます。

コニーはガールフレンドのコーレイの済むマンションに向かいます。

彼女は痴呆気味の母と2人で暮らし、ヒステリーを抱えていましたが、コニーのためにいくらか金を落としてくれる女性でした。

ニックは半ば強引に1万ドルの保釈金を貸してくれるよう頼み、しぶしぶコーレイもカードで払おうとしますが、母親にカードを止められていたことでヒステリーを起こします。

今夜のうちに保釈することにこだわるコニーですが、既にコニーは刑務所で暴力を受けて病院へ搬送されていました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『グッド・タイム』ネタバレ・結末の記載がございます。『グッド・タイム』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
場所を聞き出したコニーは、病院に堂々と入り、警察が警備している6階にニックが入院していると考えます。

病室の前で警官が座っていますが、彼が飲み物を買いに言った隙に、真っ暗な病室に忍び込みます。

寝台には顔面に包帯が巻かれており、必死に車椅子にニックを乗せると、患者専用のバスに乗り込みます。

しかしバスは予約制だったため、コニーは適当に予約の行き違いだと言い張り、降ろしてもらいます。

電話も金もないコニーは、自分のひとつ前で降りた黒人女性の家を訪れ、電話を貸してほしいと頼みます。

さらにコニーは家の鍵を紛失したので、朝まで家に入れないというと、同じ患者をもつ身として、女性は部屋まで貸してくれました。

家には女性のほかに16歳の女子・クリスタルが住んでおり、彼女は母からコニーと喋らないように言われていますが、コニーに好奇心を持つ彼女は彼に話しかけてきます。

しかしコニーはずうずうしくも勝手にブリーチで金髪にしたり、弟に与えたいからと食い物を探したりする始末。

2人はテレビを一緒に見ますが、画面に犬が映ると「自分の前世は犬だ。だから犬にも好かれる」とコニーはいいます。

その時、テレビで銀行強盗事件の報道で、コニーの顔写真がアップで写ると、彼はばれないよう咄嗟にクリスタルに口づけをし、ベッドのある部屋まで運びます。

ことに及ぼうとしたその時、ニックが目覚め声を荒げます。

慌ててコニーが駆けつけると、そこにいるのは全くの別人で、ここで初めて病室から連れ出したのが、赤の他人であったことに気付きます。

レイと名乗るその男は、薬物を密かに集めて大金を得ようと考えていましたが、警察に追われたときに遊園地の中に隠したと話します。

その途中車に乗って逃げるも、追いつかれそうになると、走行中の車から飛び降り、大怪我をして病院へ搬送されたということでした。

薬物の話を聞いたコニーは、その遊園地に連れて行ってもらおうと提案します。

クリスタルに車のキーを捜させ、コニー、レイと3人で遊園地に向かいます。

閉園し、閑散とした遊園地で、隠した薬物を探すコニーとレイですが、そこで警備員のダッシュがレイを捕らえます。

監視カメラに映っているコニーを探そうとしますが、コニーは隙をついてダッシュに飛び掛ります。

ダッシュ殴り倒し、見つけた薬物を飲ませてしばらく昏睡状態にさせると、警備員のユニフォームに着替えると、駆けつけた警官をやり過ごします。

しかし、外で待っていたクリスタルは警察に目を付けられてしまい、署に連行されてしまいます。

ダッシュは意識を取り戻すも、完全にパニック状態になっており、そのまま救急車に載せられてしまいます。

コニーとレイは、ダッシュの乗っているパトカーを拝借し、彼の自宅へ向かいます。

ダッシュは自宅で犬を飼っており、コニーはすぐに薬物を金にしてもらうようレイに詰め寄ります。

最初は反発するレイですが、コニーの態度を異常と感じで、金を渡してさっさと縁を切ろうと考えます。

レイの仲間が一人、ダッシュの家に取引に来ますが、コニーは暴れる犬と部屋に立てこもり、無理難題を押し付けます。

レイたちは聞き入れたように見せかけ、銃を持ってきてコニーを始末しようと考えますが、コニーは薬物を持って逃走します。

後を追うレイですが、犬に襲われコニーを逃すだけでなく、警察がダッシュの住むマンションまで駆けつけていました。

レイがベランダから見下ろすと、コニーが警察に捕まり、ペットボトルに入った薬物は駐車場へ放り出されます。

すぐに警察がダッシュの部屋に駆けつけ、レイは扉を閉め切ると、ベランダから別の部屋に逃げようとします。

コニーは警察に取り押さえられ、パトカーに載せられそうになったその時、ベランダからレイが転落し、つぶれるような音が響き渡ります。

現場は混乱を極めますが、コニーはそのまま連行されてしまいます。

一方、ニックはカウンセラーの計らいで起訴されず、施設に送られます。

ニック同様、障がいをもつ人たちの教室に入ると、そこではゲームが行われ、質問に対し「イエス」なら部屋を横切る。「ノー」ならそのまま立つ。というものでした。

ニックもそのゲームに参加すると「家族関係に問題がある」「濡れ衣を着せられたことがある」という質問で部屋を横切るのでした。

3.映画『グッド・タイム』の感想と評価


(C)2017 Hercules Film Investments, SARL

監督自身がインタビューで答えているとおり、今作の主人公コニーは、日本でいう「警察24時」みたいな番組で取り上げられる、お間抜けな犯罪者がモデルになっているそうです。

しかし、今作はそういった一歩間違えたらギャグみたいな人物・展開を、独特の映像や音楽でスタイリッシュかつ引き込まれる演出で見せ付けてきます。

そしてなにより、タイトルに反して、登場人物の殆どが不運に襲われるという展開も皮肉ながら面白いです。

バーガット・アブディ演じるダッシュにいたっては、もう殆ど通り魔にぶん殴られただけです。(シャ○漬けにもされるし)

ラストシーンのカオスな展開も、思い返せば返すほど魅力的で、OPNの曲をバックに、最高に天気がいい日に、最高に運のない男がビルから転落していく様は圧巻です。

そしてニックが施設で参加したゲームで、ニックの考えが分かったとき、コニーが無事?に金を工面できればグッド・タイムだったのでしょうが、結果的にニックにも誤解されたままで終わってしまうという、この作品でもっともバッド・タイムな瞬間が切ないです。

まとめ


(C)2017 Hercules Film Investments, SARL

あのころのセドリック・ディゴリーはどこへやら・・・

完全に低脳な若者を熱演したロバート・パティンソンの演技は最高でした。

監督の過去作『神様なんかくそくらえ』はホームレスの様子をリアルに描きすぎたゆえに、会話劇が長く退屈に感じてしまうところもありましたが、今作も無駄な会話こそあれど、そのシーンがリアリティとクライムサスペンスを見事に融合させていました。

過去作がいまいちという人も是非見て欲しい作品です。

サントラは絶対に日本版を買いましょう(映画と全く同じ曲が、同じ順番で使用されています)。

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・あのセドリック役を、コニー役のロバート・パティンソンが演じています。

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監督過去作『神様なんかくそくらえ』のアリエル・ホームズが出演しています。

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・負けず劣らずの頭の悪い薬物売人の話。彼もなかなかに運が悪いです。

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