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香港映画アクションおすすめ監督ダンテ・ラム5選!感想と評価は

  • Writer :
  • 山田苺

オペレーション・メコン(2017年)

2017年5月27日に『オペレーション・メコン』が公開された後…。

これまでU-NEXTにて特集が(ひっそりと)組まれていた、香港の監督ダンテ・ラム

常に登場人物にこれでもかというほどのへヴィーな過去を背負わせ、さらに現在進行形でひどい目にあわせたりと、その容赦ない展開や演出でも、映画ファンの中でも評価の高いです。

アクションの演出もさることながら、そんなダンテ・ラム監督の過去作から5作品を選び、ここでまとめてみました。

ダンテ・ラムとは?

1964年生まれの香港映画監督、脚本家、映画プロデューサーです。

アクション監督、助監督を経て監督デビューを果たします。

銃撃戦に対するこだわりが強く、ストーリーはノワールに物に近いものを得意としますが、近年では熱血スポーツものでも才能を開花させています。

検閲の厳しい中国映画の中でも現代劇を撮り続けた監督としても有名です。

ほとんどのストーリーに共通しているハードな目に遭う登場人物については、自身が過去に非常に困った状況になったとき、最後の最後に「人生は誰も助けてはくれないから、自分で何とかするしかない」という結論に至ったことが、常に作品に反映されているからだそうです。(何が監督に起きたかは不明)

香港版インファナル・アフェア?!『コンシェンス/裏切りの炎』(2012)


(C)2010 Media Asia Films(BVI) Ltd. All Rights Reserved.

【公開】
2012年

【原題】
火龍

【監督】
ダンテ・ラム

【キャスト】
レオン・ライ、リッチー・レン、ビビアン・スー、リウ・カイチー、ミシェル・イェ、ワン・バオチャン

【作品概要】
香港を舞台としたポリティカルアクションノワールとなっており、妻を殺した犯人を追うマン警部と、別の殺人事件の現場で偶然会ったエリート刑事のケイが、協力して事件の容疑者を捕まえるストーリーかと思いきや・・・

比べド派手な銃火器アクションが繰り広げられるだけでなく、目を背けたくなるような悲劇的展開や過去が散りばめられ、これまでにないハードなサスペンスとなっています。

【みどころ】
香港版インファナル・アフェアと書きましたが、実際はケイが刑事と裏社会の間で奔走するような話なので、一人でアンディ・ラウと、トニー・レオンをやっているような感じが近いかもしれません。

主人公のマンは彼を追うことで、自分が狂気的に妻を襲った事件を追い続ける姿を改めて見つめなおす作品でもあります。

というとさぞドラマチックな作風にも見えますが、マンの部下は一人殉職、一人腕が吹き飛ぶほど重症、さらにはある人物が全身に手榴弾をつけ自爆(?)などなど見るも惨い演出を見せ付けます。

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利用する方も利用される側もいいことないね!『密告・者』(2011)


(C)2010 Emperor Classic Films Company Limited Huayi Brothers Media Corporation All Rights Reserved

【公開】
2011年

【原題】
綫人

【キャスト】
ニコラス・ツェー、ニック・チョン、グイ・ルンメイ、ミャオ・プゥ、リウ・カイチー、ルー・イー、ビンセント・ワン

【作品概要】
『ビースト・ストーカー/証人』とほぼ同じキャストで撮影したクライムサスペンス。

捜査官のドンは、スパイとして犯罪組織に送り込んだ密告者に、見返りとしての安全を守りきることが出来なかったことを悔やんでいました。

そんなときに、台湾から香港へやってきた大物犯罪者を捕らえるために、出所したばかりの青年、サイグァイを密告者として雇います。

しかしサイグァイが潜り込んだ組織には、過去に面識のある女性・ディーが大物犯罪者の恋人として現れます・・・。

【みどころ】
前作『コンシェンス~』を少し分かりやすくしたストーリー展開でありながら、登場人物全員が揃いも揃ってどん底に落ちる展開に若干引きます。でもそこがいい。それがダンテ・ラムなんです。

このあたりから演出にシュールな細かさが出るようになり、視聴者が最後まで見るのに耐えうるような優しさが施されています。

さらには密告者のサイグァイ、彼を利用する刑事ドンそれぞれのロマンス要素ももち、ただハードなだけではない魅力も出てきています(作中はクリスマスシーズンというのも隠れたポイント)

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運が悪いにも程がある!『ビースト・ストーカー/証人』(2012)


(C)2008 Emperor Classic Films Company Limited All Rights Reserved.

【公開】
2012年

【原題】
Beast Stalker

【キャスト】
ニコラス・ツェー、ニック・チョン、チャン・チンチュー、リウ・カイチー

【作品概要】

ベテラン刑事のトンが、偶然発見した逃走中の犯行車両に銃弾を撃ち込んだ際、たまたま乗り合わせていた少女を射殺したことで、心に深い傷を負います。

しかし、少女の母親で検事のコーが、その逃走者の事件を引き受けていたことをきっかけで、今度は双子のもう一人の娘リンが謎の男・ホンにさらわれてしまい、トンは再び少女を救うため立ち上がります。

ダンテ・ラム監督の王道ともいえる「主人公にこれ以上ない重い過去を背負わせる」ハードな展開を持ちながらも、テンポのよさから、どんどん目が離せなくなっていくクライムサスペンスです。

【見どころ】

近年まれに見る、あらすじから可哀想な主人公が、また可哀想な目に遭う、泣き面に蜂な展開が特徴の今作。

なにも双子の姉妹を誘拐せんでも・・・と極悪非道なニック・チョンに反感を抱きそうになるも、そこはダンテ・ラム。

彼にも対等にヘヴィーな過去を背負わせることで、主要キャラの善悪の境界線を見事に曖昧にしています。

ラストでニコラス・ツェーが幼女を抱えて「お兄さんと一緒に走ろううう!」って号泣しながら叫ぶシーンは、一歩間違えたら色々アウトになりかねないですが、監督の見事な演出で事なきを得ています。

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監督!気でも狂ったか?まさかのスポ根作『激戦 ハート・オブ・ファイト』(2015)


(C)2013 Bona Entertainment Company Limited All Rights Reserved.

【公開】
2015年

【原題】
激戦 Unbeatable

【キャスト】
ニック・チョン、エディ・ポン、メイ・ティン、ワン・バオチャン、クリスタル・リー、アンディ・オン、ジャック・カオ、フィリップ・キョン、ウィル・リュー

【作品概要】
これまで刑事ものやクライムサスペンスを中心に撮っていた監督としては異例のスポーツもの。

3人の登場人物が、それぞれが抱える出来事や過去を一掃するためのごとく、総合格闘技で優勝を目指す、熱い格闘アクション映画となっています。

今作では借金を抱え、今は落ちぶれた元ボクシング王者ファイが、父親の会社が倒産し、荒れ狂う父と借金を背負った青年スーチーが出会い、香港の総合格闘技で賞金を稼ごうと師弟関係を結び、無謀ともいえるプ過酷な闘いに、賞金とプライドをかけて挑みます。

【見どころ】
ここにきて、突然のスポーツものを手がけたダンテ・ラム。

しかし取り上げるスポーツは総合格闘技で、主人公らはボクシングを武器に戦いに挑むというアクション要素満載の作品。

今までとは違うのは、ベタなほどのハッピーエンドという点。

王道中の王道なストーリラインと、これまでダンテ・ラム監督の作品を見たことない人は是非この作品から見て、他作の癖に馴染んで行って欲しいです。(他作がダメなら、ここでは紹介できませんが、『疾風スプリンター』という自転車レースの作品がオススメです)

個人的にはこの役のニック・チョンが、一番顔と役が遭っていて好きです。

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ついに心の闇にまで切り込むダーク作『クリミナル・アフェア 魔警』


(C)2014 Emperor Film Production Company Limited

【公開】
2015年

【原題】
魔警 That Demon Within

【キャスト】
ダニエル・ウー、ニック・チョン、アンディ・オン、リウ・カイ、クリスティ・チェン、ドミニク・ラム、アスリット・チャン、チー・クァンチュン

【作品概要】
06年に香港の繁華街・尖沙咀(チムサーチョイ)で起こった、警察官が警察官を射殺するという実在の事件に着想を得たダンテ・ラム監督の中で異例の作品。

病院の警備勤務をしていた警官デイブは、重傷を負って病院に駆け込んでき武装強盗団の男ホンとしらず、輸血に協力してしまいます。

さらにその男は、デイヴのある暗い過去を思いだ去ることで、塞ぎこんでいたはずの心の闇が徐々に浮き彫りにされてしまうダークなアクション映画となっています。

【見どころ】
これまで手がけていそうで手がけていなかったサイコスリラーを、監督のアクション要素もふんだんに踏まえた作品。

「誰の心にも悪意は存在する」というショッキングなテーマを引っさげ、あれよあれよと主人公のトラウマが顔を出し、悲劇を呼び起こしていきます。

マイケル・マンの『ヒート』(傑作)に影響を受けたような、白昼同道中心街で銃撃戦を繰り広げたり、高速のバイパスで大爆発を巻き起こすという、はた迷惑な展開も最高です。

実際の事件をモチーフにしているそうですが、ラストのガソリンスタンド大炎上を目にしたとき「あんま関係ないんだろうなあ」と開いた口が塞がなくなります。さすがダンテ・ラム監督です。

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まとめ

邦画でも洋画でもない、アジア映画

近年は韓国映画も、ラブストーリーだけじゃないんだと、アクションやサスペンスものにも凄い力を注いでいるのが見て取れますが、香港も負けてはいません。

ダンテ・ラム監督は韓国映画ほどグロテスクな暴力シーンや演出がないので、ストーリーや設定はさておき、アクションはなかなかに爽快です。

映画ファンじゃなくても楽しめる稀有な監督だと思っています。

何かひとつでも気になる作品があったら幸いです!

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