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『三度目の殺人』映画撮影担当【写真家/瀧本幹也展】開催日時と場所は?

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

大ヒット上映中の是枝裕和監督の『三度目の殺人』にて映画カメラマンを務める瀧本幹也。

今回ご紹介するのは写真家として活躍する瀧本幹也の単独写真展「FLAME/SURFACE」のお知らせです。

広告写真や映画など幅広い分野で独自の映像世界を作り出す瀧本幹也が、『LAND SPACE』『GRAIN OF LIGHT』に続く新作を発表。

会場には瀧本の撮影した写真作品や映像作品を展示され、火山ガスが地表面で発光する現象をとらえた『FLAME』と、地球に存在する水である波をとらえた『SURFACE』から成る作品です。

写真作品はキヤノンのデジタルカメラ「EOS 5Ds R」で撮りおろした約30点を、キヤノン大判プリンター「imagePROGRAF」でプリントし、展示。

また、映像作品は、キヤノンのデジタルシネマカメラ「EOS C300」で撮影した作品をキヤノンのプロジェクター「POWER PROJECTOR」で投影します。

1.瀧本幹也写真展「FLAME/SURFACE」の展覧会概要

【開催日程】
2017年10月12日(木)~11月27日(月)

【開館時間】
10時~17時30分

【休館日】
日曜日・祝日

【開催会場】
キヤノンギャラリー S(住所:東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー1階)

【交通案内】
JR品川駅港南口より徒歩約8分、京浜急行品川駅より徒歩約10分

【入場料】
無料

2.瀧本幹也が寄せたメッセージ

写真家の瀧本幹也は『FLAME/SURFACE』の展覧会に寄せて次のようなメッセージを述べています。

2011年に発表した『LAND SPACE』は、生命が誕生する遙か以前に地球の大地はこうだったのかもしれないという「LAND」と、人類最先端文明の象徴として宇宙開発を捉えた「SPACE」という、ふたつの相対するシリーズからなる。
地球内部からのエネルギーの捌け口である火山の噴火口や原初の惑星の姿。対しては人工的に宇宙空間へ脱出を試みる際引き留めの力にあらがう噴射口、突入の際は抵抗する高温の力から守る耐熱パネル。それら両者の痕跡が偶然にも神秘的な相似形であることに気づいた。
その後の『GRAIN OF LIGHT』では地球表面を覆い包み込む海。堪えず揺らめく悠久な時間を夢見ることとなった。
今回の『FLAME/SURFACE』はその延長線上にあり発展形である。「FLAME」は天文的エネルギーの火山ガスが、赤道直下の地球内部から時間をかけ上昇してきて、地表面で着火し蒼く怪しげに発光する現象を捉えたものだ。その様子は遠く彼方の星雲にも見てとれた。「SURFACE」は惑星に存在する「水」という物質の現象として捉えてみた。視点を仮に地球の外に置き換え観察したら、先入観なしにどう見えるのだろうか。そう考えていくと海の写真の天地を限定することすら愚問に思えてきた。
地球の営みが繰り返される。そのリズムに合わせシャッターを切るうちに、喩えようもなくとても永い宇宙的な時間感覚を味わった。
瀧本幹也

映画『三度目の殺人』で見せてくれた撮影とは、またひと味もふた味も異なる瀧本個人の写真を見ることで、瀧本幹也の持つ世界観に迫ることができます。

写真と映像の違いや、写真という一瞬の瞬きを瀧本幹也自身が手によりシャッターを切り、フレーミングした画面の中に地球の一部を見つめた彼のミクロマクロな世界観と、永遠の時間を見ることができるのではないでしょうか。

「LAND」と「SPACE」からなる造語の相対的な対比こそ、瀧本自身が地球というこれまで時間に向き合った一緒のこの星の遺影である“永い宇宙的な時間感覚”であるのかもしれません。

3.瀧本幹也写真展のトークショー開催

瀧本幹也の展示作品を紹介しながら、撮影の秘話などについてアートディレクターの上西祐理氏とともに語ります。

【日時】
2017年11月11日(土)16時00分~17時30分

【会場】
キヤノン Sタワー3階 キヤノンホールS

【ゲスト】
上西祐理氏(アートディレクター)

【定員】
先着300名

【お申込み】
canon.jp/event

【参加費】
無料

4.瀧本幹也プロフィール

瀧本幹也(たきもと みきや)は、1974年愛知県生まれの写真家。1994年より藤井保氏に師事、1998年に写真家として独立し、瀧本幹也写真事務所を設立しています。

広告写真をはじめ、グラフィック、エディトリアルワーク、自身の作品制作活動、コマーシャルフィルム、映画など幅広い分野の撮影を手がけています。

主な作品集に『LAND SPACE』(2013)『SIGHTSEEING』(2007)『BAUHAUS DESSAU ∴ MIKIYA TAKIMOTO』(2005)などを刊行。

2013年からは映画の撮影にも取り組むようになり、自身初となる是枝裕和監督の『そして父になる』では、第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門審査員賞を受賞。

2015年『海街diary』で第39回日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞。

2017年『三度目の殺人』第74回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に選出されています。

そのほか、東京ADC賞、ニューヨーク ADC賞 GOLD、カンヌライオンズ国際広告祭 GOLD、ACC グランプリ、日経広告賞グランプリ、ニューヨーク CLIO AWARDS GOLD、ロンドン D&AD YELLOW PENCILなど、国内外での数多くの受賞歴を持ちます。

まとめ

瀧本幹也は映画『三度目の殺人』ではこれまでにはない、巧みなフレーミング・ワークと人物像の心象に迫る撮影を見せてくれました。

その瀧本が地球が持つ時間軸に向き合った際、どのようにシャッターを切るのか。

瀧本幹也写真展「FLAME/SURFACE」では、そんな一面に遭遇できるのではないでしょうか。

写真と映画は異なるジャンルのように思われがちですが、映画とは一種の連続写真で見せる幻影。

その一枚の写真のフレームにあるものこそ、写真家である瀧本幹也の心象なのではないでしょうか。

ぜひ、ご観覧いただきたい展覧会、お見逃しなく!

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