近年、ラブストーリー映画は飽和状態になりつつあります。学園モノとOLが主人公といった観客の生活に限りなく寄せたものや、奇想天外な設定で奇抜なストーリーのものまで幅広くなっています。
ラブストーリーの事柄を他のジャンルモノに、話として組み込めることもあって定義や解釈も幅を待ちました。
今回はそんな飽和状態のラブストーリーから、意外とありそうでなかったタイプの作品を紹介します。
1.映画『アデライン、100年目の恋』の作品情報
【公開】
2015年(アメリカ映画)
【原題】
The Age of Adaline
【監督】
リー・トランド・クリーガー
【キャスト】
ブレイク・ライヴリー、ミキール・ハースマン、ハリソン・フォード、エレン・バースティン、キャシー・ベイカー、アマンダ・クルー、リンダ・ボイド、リチャード・ハーモン、フルヴィオ・セセラ、アンジャリ・ジェイ、ヒロ・カナガワ
【作品概要】
ある出来事がきっかけで、それ以降肉体が歳を取らなくなった女性・アデラインが、大晦日のパーティで出会った青年エリス知り合ったことで、現在と過去の恋に思いをめぐらせることになるラブ・ストーリー。
主演のブレイク・ライブリーの表情や佇まいは、まるで本当に100年の人生経験をしているかのような魅力を放ち、物語の中で女性が100年生きる際の実情なども、ファンタジーになりすぎないよう、リアリティある演出を見せています。
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2.映画『アデライン、100年目の恋』のあらすじとネタバレ
アデラインはアパートに入ると、ある青年の部屋を訪れます。
部屋には野球選手からもらったサインボールなどが飾られていますが、青年がアデラインに手渡したのは偽造パスポート。そのアデラインの偽装パスポートの年齢は29歳。
アデランは青年が名乗った名前とは別の名で挨拶をすると、青年は動揺します。
犯罪稼業をしている青年の本名を、アデラインは飾ってあったサインボールから言い当てたのです。
そんなアデラインが勤めるのは大きな資料館。彼女はフィルム上映で流されるニュース映画の整理を請け負います。
そこには『1906年、年ごとのニュース』と書かれたフィルムがあり、アデラインはそれを再生して過去の記憶に思いをはせます。
彼女は1908年1月1日0時1分に生まれ、大きな橋の建設に携わっていた青年と恋におち、結婚し娘も授かりますが、夫はその橋の建設中に事故で亡くなります。
彼女も雪降るある日、車を運転していた時に運転を誤り、冷たい湖に車ごと落ちてしまいます。
一度は絶命したアデラインを稲妻が直撃したことで、後に2035年に発表される「フォン・レーマン博士の理論 DNAの電子圧縮論」のとおり、生き返るだけでなく肉体が老いることがなくなりました。
その事実をひた隠して生きるアデラインですが、ちょっとした交通違反で身分証を提示した際、生年月日を怪しまれてしまいます。
これにより彼女は家族の元に娘を置いて、単身であちこちを転々する人生を送ることにします。
現代の大晦日で、アデラインはパーティーに誘われました。会場には昔の写真が飾ってありますが、そこには今と変わらぬ姿のアデラインが映っています。
新年と誕生日を迎えたアデラインがエレベーターに乗り帰ろうとした際に、会場で目が合った青年エリスが慌てて乗り込んできます。
彼女に好意を示すエリスですが、アデラインはさらりといなします。
ところが、アデラインは次に出勤した際に本の寄贈に訪れる人と聞かされて待っていると、その人物がエリスだと知り、アデラインは驚きます。
エリスはアデラインも知らない場所へデートで連れて行くと誘いますが、アデラインは自分が知らない場所はないと自信満々だったので、デートの誘いを受けました。
エリスが連れて行ったのは、採掘最中に発見され、そのまま保存されていた埋没した舟でした。
アデラインはこのことを知らなかったので思わず感動します。さらに彼女はエリスの自宅を訪れ、二人は親密な関係になります。
その後、アデラインが自宅に帰宅すると、愛犬が病に伏せていました。獣医に見せると、安楽死という選択が犬にとって最良の形だろうと告げられます。
悲しみに打ちひしがれたアデラインが家に戻ると、そこにはエリスが花束を持って待っていました。
しかし、アデラインは空気を読まずに来てしまったエリスに、きつく当たってしまいます。
後日、アデラインは自分の娘(もう高齢者)にこのことを話すと、「娘のためだと思って、素敵な人と幸せになって」と懇願されました。
彼女はエリスの家に訪れ、エリスが許してくれるなら今度はあなたの知らないところへデートで連れて行くと誘うのです。
アデラインがエリスを連れてきたのは古い倉庫。そこは昔ドライブインシアターとして使用されていた場所でした。
それだけではなく、天井には電球がいくつも散りばめられており、プラネタリウムのような装いでした。
エリスはアデラインに、自分の両親の結婚記念パーティーに来て欲しいと招待をします。
途中でエリスの妹キキを乗せ、アデラインの運転(荒い)で実家に向かうのですが、エリスの父・ウィリアムは、彼が26歳のころ交際した女性とアデラインが瓜二つだったことに驚きます。
アデラインはその女性は自分の祖母で、名前も偽ってごまかします。
3.映画『アデライン、100年目の恋』の感想と評価
ストーリー設定がかなりファンタジーのような内容に思われますが、あくまで現実世界で老いない体を手に入れた女性がいたらどうなるかという点を、とてもリアルに描いているので、きちんと大人のラブストーリーに仕上がっています。
また、アデラインを演じたブレイク・ライブリーの演技の優雅さは、本当に100年以上生きているかのようにさえ感じれます。
所々(冗談かも?)早死にしたいことを案じさせるような台詞が、そのことをより雰囲気を持って際立たせています。
個人的には100年もの人生経験を持つ女性に、30代そこそこの青年が果敢に恋愛に挑む映画だと思ってみると、勇気をもらえる人も出てきそうな気もしないでもないです。
ハリソン・フォードは髭にメガネで、最初誰か気づけませんでしたが、最後までナイーブな老人を好演していました。
まとめ
設定が非常に凝っていますが、ラブストーリーとしては凄く王道な話なので、普段あまり恋愛映画をご覧にならない人でも充分入り込める世界観だと思います。
特にSF好きな人は見てみると、意外と面白い作品になっていると思います。
すごい優雅な雰囲気を纏っていながらも、その膨大な人生経験ゆえジェイソン・ボーン張りの洞察力を発揮するシーンは、個人的に凄くツボなシーンなので、そういった意味では、やはり恋愛映画に疎い人ほど楽しめる作品かもしれません。
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