映画『未来は裏切りの彼方に』は2023年4月14日(金)よりアップリンク吉祥寺、シネ・リーブル梅田、アップリンク京都にて、15日(土)より新宿K’s cinemaほかで全国順次公開!
ナチス・ドイツ支配下のスロバキアで起きた民衆蜂起を背景に、生き延びるために奔走する人々の運命を描いたサスペンス映画『未来は裏切りの彼方に』。
デブリス・カンパニーの舞台劇『EPIC』を基に、本作が長編デビュー作となるスロバキア出身のペテル・マガート監督が映画化しました。
『ザ・クーリエ』(2020)のアリシア・アグネソンが妻エヴァを、『リジェネレーション』(2015)のラクラン・ニーボアが夫ジャックを演じます。
脱走兵となった夫は、妻と二人で新たな幸せをつかむために懸命に生きようとしますが、運命は見逃してはくれませんでした。幾重にも重なった裏切りの果てに、彼らはどこにたどり着くのでしょうか。
映画『未来は裏切りの彼方に』の作品情報
【日本公開】
2023年(スロバキア映画)
【原案】
ユエン・グラス
【監督】
ぺテル・マガート
【脚本】
ユエン・グラス、ルツィア・ディッテ、ミハエラ・サボ
【キャスト】
アリシア・アグネソン、ラクラン・ニーボア、ブライアン・キャスプ、クララ・ムッチ、ヤン・ヤツクリアク、エイミー・ラフトン、アビゲイル・ライス、クリスティーナ・カナートヴァー
【作品概要】
ナチス・ドイツ支配下のスロバキアで起きた民衆蜂起を背景に、閉鎖的な軍需工場のある小さな村で生き延びるため奔走する男女の運命を描いたヒューマンサスペンス。デブリス・カンパニーの舞台劇『EPIC』を基に、新進気鋭のスロバキア人監督ペテル・マガートが映画化しました。
『ザ・クーリエ』(2020)で知られスウェーデン生まれのアリシア・アグネソンが妻エヴァを、『リジェネレーション』(2015)に出演したイギリス出身の俳優ラクラン・ニーボアが夫ジャックを演じます。
そのほかにもアメリカ出身で『ジョジョ・ラビット』(2019)や『ヘルボーイ』(2004)に出演したブライアン・キャスプ、クロアチア出身のクララ・ムッチなど、世界各国から多彩なキャストが集結しました。
映画『未来は裏切りの彼方に』のあらすじ
第二次世界大戦・末期。スロバキア第一共和国の歩兵部隊は森の中の娼館にたどり着き、束の間の休息を楽しんでいました。
仲間たちが娼婦と個室に消える中、ジャックは妻エヴァからの新住所をしたためた手紙を握りしめて娼館を抜け出し、夜の森を走り出します。銃声を耳にしながらも、脱走兵となったジャックはエヴァの元にたどり着き、再会を喜び合いました。
エヴァが傲慢な男バールが経営する軍需工場で働いていることを知ったジャックは、脱走兵であることを隠し、工場で働き始めます。
そんな中、戦後に砲弾の注文がなくなることで工場が経営危機に陥ることを心配するバール。政府の役人ハナーチェクから、注文確約の条件としてかつて諜報活動をしていた彼の愛人との結婚を要求され、その話を受け入れます。
その愛人とは、ジャックが逃げ出した娼館で出会った美女キャットでした……。
映画『未来は裏切りの彼方に』の感想と評価
戦争の残酷さ・悲惨さとともに、市井の人々の苦しい人生に光を当てた『未来は裏切りの彼方に』。幾重にも重なった裏切りが、人々を追い詰めていくさまに衝撃を受ける一作です。
主人公のエヴァのもとに、脱走兵の夫ジャックが帰って来ます。夫婦には元々わだかまりがありました。さらに、夫が戦場にいる間に流産の悲しみをエヴァは一人で乗り越えたという過去がありましたが、それでも二人でやり直そうと協力し合います。
しかし、彼女の勤める軍需工場の傲慢な社長バールが、受注を得るために役人の愛人キャットを娶ったことから、悲劇が始まります。ジャックは逃げ出した娼館で、娼婦だったキャットと顔を合わせていたのです。
脱走兵であることを隠したいジャックと、娼婦だった過去を知られたくないキャット。二人の利害は一致しているようでいて、互いの安全を図るためにはいつ裏切られてもおかしくない危険な関係にありました。
世界大戦という大変な時代を生き抜くためには、どれだけ強かでいられるかにかかっていたでしょう。愛している相手でさえも身を守るためのカードに過ぎず、“切り札”をいつどうやって切るのか。各々の命は、そこに全てかかっていたはずです。
カードを切ることは同時に“裏切り”を意味していましたが、彼ら彼女らが決して悪人だったというわけではありません。「できれば切りたくない」「手元に残したい」と思っていたとしても、自分の命を守るためには誰もが非情になるしかない時代だったのです。
我が子を身ごもったエヴァと幸せになれるはずだったジャックは、生来疑り深い性格が災いして、自ら悲劇を引き寄せていきます。
また主人公らの壮絶な愛憎劇と並行して、戦場で夫を失った女の悲しみ、惨劇の裏で利益を上げる軍需産業の現実、役人たちの持つ異常なまでに強大な権力とパワハラなど、戦争の醜さをとことんリアルに描き切った作品でもあります。
ドミノ倒しのように全てが崩れ落ちていくラストは圧巻です。どうぞ最後まで見届けて下さい。
まとめ
戦争の狂気に翻弄された人々を描き出す衝撃作『未来は裏切りの彼方に』。
人と人が互いに信じ合うことこそ世の中では何より大切なことです。しかし、ひとたび戦争が起これば、裏切りなしには生き延びることすら許されません。
残酷な殺戮が繰り返されるうちに、人が人ではなくなっていく恐怖を正面から描く本作から、戦争がいかに愚かしいものなのかを改めて教えられます。
映画『未来は裏切りの彼方に』は2023年4月14日(金)よりアップリンク吉祥寺、シネ・リーブル梅田、アップリンク京都にて、15日(土)より新宿K’s cinemaほかで全国順次公開です。