映画『凪待ち』は、2019年6月28日(金)よりTOHOシネマズ日比谷はか全国ロードショー!
白石和彌×香取慎吾の両雄が初タッグを組んで制作された映画『凪待ち』。
「3・11」を経験した宮城県石巻市を舞台に、人生につまずき零落れてしまった男の“喪失”、そして“再生”に至るまでの道のりを描いたヒューマンドラマです。
そしてついに、これまで謎に包まれていた映画『凪待ち』の予告編が解禁されました!
本記事では、解禁された映画『凪待ち』の予告編のご紹介、そしてその予告編の中でも大きく取り上げられていた小野寺修司役のリリー・フランキーについて、4月23日に行われたマスコミ完成披露会見でのコメントも交えつつ詳しくご紹介させていただきます。
映画『凪待ち』予告編
予告編でまず目に入ってくるのは、主人公にしてギャンブル依存症のどうしようもない中年男・郁男を演じる香取慎吾の姿でしょう。
それまでのテレビ等のメディアで見てきた“香取慎吾”のイメージとは全く異なるその姿には衝撃を隠せません。
やがて、郁男は恋人の亜弓(西田尚美)を「何者かによって殺される」という唐突にして残酷な形で失い、その死は自分の身勝手な行動によって引き起こされたと感じたことから、自暴自棄に陥り、行き場のない感情を周囲に撒き散らしてゆくさまは、余りにも痛々しいです。
石巻に来た自身の世話を焼いてくれていた小野寺(リリー・フランキー)に強く諭されても、「不幸を引き寄せる人間」「どうしようもない人間」である自身を、郁男は責め続けるのです。
そして何よりも、亜弓を殺した犯人は一体誰なのでしょうか。
「その狂気に真実が歪んでいく」「「愛」という名に隠された事件の真相」。
そして、「愚かな者たちの映画史に残る最も切ない暴力」。
映像内で提示されたこの言葉たちが、そのヒントとなっているのでしょうか。
答えは、映画『凪待ち』を鑑賞することで全て解き明かされるでしょう。
リリー・フランキーのプロフィール
参考映像:『万引き家族』(2018)
1963年生まれ、福島県出身。
武蔵野美術大学卒業後にはイラストレーター・デザイナーをはじめ、文筆・写真・音楽(作詞・作曲)・俳優など様々な分野で幅広く活動。
初の長編小説『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(2005に出版)は230万部を超える大ベストセラーとなり、その後テレビドラマ化・映画化もされ大きな話題となりました。
2008年、橋口亮輔監督の『ぐるりのこと。』で木村多江とともに映画初主演を務め、ブルーリボン賞新人賞を受賞。以降、人気俳優として数々の映画・テレビドラマに出演することになります。
2013年には是枝裕和監督の『そして父になる』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を、2018年には同じく是枝監督の『万引き家族』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。両作において、設定は違えど、ともに家族のことを大切に想う人間味溢れる父親を演じました。
現在の日本映画界で欠かすことのできない名優の一人として必ずその名が挙がる存在として知られており、白石和彌監督の映画には、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞をした『凶悪』や『サニー/32』に出演し、その演技力を存分に発揮しています。
4月23日に行われた映画『凪待ち』マスコミ完成披露会見にて、リリー・フランキーは本作で初共演を果たした香取慎吾について、「非常に色っぽくて、一緒に撮影を共にしていてもドキドキしてしまった」とコメントし、“色気”として現れた香取の演技力と存在感を評価しました。
また本作について、加藤正人のオリジナル脚本の素晴らしさに触れた上で、「白石監督はまた素晴らしい映画を作った」と感じ、多くの方に本作を観てほしいと語り、映画『凪待ち』の完成を祝福しました。
『凪待ち』小野寺修司とはどんな役?
小野寺修司は、亜弓の実家の近所に住み、漁師をしながら一人暮らしをしている亜弓の父・勝美のことを甲斐甲斐しく世話している男です。
また、亜弓・美波の母娘とともに石巻に暮らすことになった郁男に印刷工の仕事を紹介したほか、亜弓の死によって自暴自棄に陥ってゆく彼のことを強く、そして優しく諭し、郁男に「人生のやり直し」を訴える人物でもあります。
郁男をはじめ、彼の姿を見た誰もが、なぜそこまで甲斐甲斐しくなれるのか、なれるのかと疑問を抱くでしょう。その答えについて、本作劇中の小野寺は「亜弓ちゃんの大切な人だから」とだけ答えます。
それでは、小野寺は亜弓に対して、どのような感情を抱いているのでしょうか。そして彼女の死について、小野寺自身はどのような感情を抱いたのでしょうか。
どこまでも甲斐甲斐しく、どこまでも優しい男のその胸中もまた注目すべき見どころです。
映画『凪待ち』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【監督】
白石和彌
【脚本】
加藤正人
【キャスト】
香取慎吾、恒松祐里、西田尚美、吉澤健、音尾琢真、リリー・フランキー
【作品概要】
宮城県石巻市を舞台に、人生につまずき零落れてしまった男の喪失、そして再生に至るまでの道のりを描く。
監督は、『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017)『孤狼の血』(2018)など、現在の日本映画界を担う映画監督の一人である白石和彌。
主演は、『クソ野郎と美しき世界』(2018)など俳優活動のみならず、アーティストとしてもその才能を遺憾なく発揮している香取慎吾。恋人・亜弓(西田尚美)とその娘・美波(恒松裕里)と共に、母娘の故郷である宮城県石巻市で再出発しようとする主人公・郁男を演じます。
多感な少女・美波を演じるのは、『くちびるに歌を』(2015)『散歩する侵略者』(2017)の恒松祐里。
また郁男の恋人・亜弓を演じるのは、映画・テレビドラマと幅広い分野で活躍する女優の西田尚美。
そして、『止められるか、俺たちを』(2018)『麻雀放浪記2020』(2019)と白石監督作品の常連俳優である吉澤健と音尾琢真、『凶悪』(2013)『万引き家族』(2018)のリリー・フランキーなど、実力派俳優陣が脇を固めました。
映画『凪待ち』のあらすじ
ギャンブル依存症を抱えながら、その人生をフラフラと過ごしていた木野本郁男(香取慎吾)。
彼は恋人の亜弓(西田尚美)が故郷である石巻に戻ることをきっかけに、ギャンブルから足を洗い、石巻で働き暮らすことを決心します。
郁男は亜弓やその娘・美波(恒松祐里)と共に石巻にある家へと向かいますが、そこには末期ガンを宣告されてからも漁師の仕事を続ける亜弓の父・勝美(吉澤健)が暮らしていました。
亜弓は美容院を開業、郁男は近所に暮らしている小野寺(リリー・フランキー)から紹介された印刷工の仕事を、美波は地元の定時制の学校へと、三人の新たな生活が始まります。
しかしすぐに、郁男は仕事先の同僚に誘われたのがきっかけとなり、再びギャンブルに、それも違法なギャンブルに手を染めてしまいました。
やがて些細な揉め事から、美波は母である亜弓と衝突してしまい、家を出て行ってしまいます。
その後、夜になっても戻らない彼女を郁男と亜弓は探しに行くものの、二人はその車中で口論となってしまい、郁男は車から亜弓を降ろしてそのままどこかへと去ってしまいました。
そして、ある重大な事件が起こります。郁男と別れた後、亜弓が何者かによって殺害されたのです。
あまりにも唐突な死に、茫然とする郁男と美波。葬式を終えた後も、家に帰ろうとしなかった自身を責め続ける美波に、郁男は自分が置き去りにしたせいで彼女を死なせてしまったと語ります。
そして、亜弓という“繋がり”を失ったことで、戸籍上親子ではない郁男と美波の関係も次第に崩れてゆきました。美波の将来を案じた小野寺は、彼女に実父である村上(音尾琢真)とともに暮らすことを勧めます。
一方、郁男は自分のせいで亜弓を死なせてしまったと考え続けていました。そして追い打ちをかけるかのように、郁男は社員を違法なギャンブルに巻き込んだという濡れ衣をかけられ、会社を解雇されてしまいました。
行き場のない怒りを職場で爆発させた後、郁男はどんどん自暴自棄に陥ってゆきます…。
まとめ
予告がついに解禁されたことで、その物語が少しずつ露わになってきた映画『凪待ち』。
ラジオの構成作家として活動していた頃のリリー・フランキーと、自身がパーソナリティを務めるラジオでともに仕事をして以来の付き合いだという香取は、ラジオのみならず彼の作品を多く見てきたからこそ俳優としてのリリーといつか共演したいと願っていたことを告白。映画『凪待ち』を通してその願いが叶ったことへの喜びを露わにしました。
そんなリリー・フランキーが演じる小野寺は、どのような形で亜弓の死を受け入れ、香取慎吾演じる主人公・郁男やその周囲の人々に影響を与えてゆくのでしょうか。本作の見どころの一つとして、要チェックです。
映画『凪待ち』は、2019年6月28日(金)よりTOHOシネマズ日比谷はか全国ロードショー!