映画『凪待ち』は2019年6月28日より絶賛公開中!
2019年6月28日に全国ロードショー公開を迎え、その作品タイトルとは異なり公開から約1ヶ月が経った現在もその勢いが止むことがない映画『凪待ち』。
俳優・香取慎吾と映画監督・白石監督が初のタッグを組んだ作品にして、震災を宮城県・石巻を舞台に描かれる重く切ないヒューマン・サスペンス映画です。
そして今回、kino cinéma(キノシネマ)横浜みなとみらいにて白石和彌監督自らによるティーチインイベントが開催されました。
キノシネマ横浜みなとみらいに訪れた白石監督が語る『凪待ち』撮影時のエピソードや本作に込められた思いとは?
本記事では、キノシネマ横浜みなとみらいでの映画『凪待ち』ティーチインイベントの模様をお届けいたします。
CONTENTS
“11凪目”を迎えた『凪待ち』ファンたち
キノシネマが運営する初の映画館であり、2019年4月にオープンしたばかりのキノシネマ横浜みなとみらいで行われた今回の映画『凪待ち』ティーチインイベント。
映画『凪待ち』の上映後、来場者の方々の前には本作の監督を務めた白石和彌監督が登場。開口一番、劇場公開から1ヶ月が経ったにも関わらず、本作の鑑賞とイベントへの参加のためにキノシネマ横浜みなとみらいに足を運んでくれた客席の方々に向けて感謝を述べました。
やがて来場者の方々の本作にまつわる質問に白石監督自らが回答してゆくティーチインがスタート。
すると、「白石監督に映画『凪待ち』について語ってもらいたい!」と挙手された方々の中には、これまでに行われた舞台挨拶・ティーチインイベントも含め劇場で本作を11回も鑑賞し、“11凪目”に到達した熱心な映画『凪待ち』ファンが多数来場されていたことが明らかに。
今回のイベントとそこに訪れた方々を通じて、一回の鑑賞だけでは物足りないほどに深い映画『凪待ち』の魅力を改めて思い知らされることとなりました。
そして、そのような熱心な映画『凪待ち』ファンたちからの質問は、やはり幾度も鑑賞したことで蓄積された知識と発見に基づくマニアックなもの。そのあまりのマニアックさに、本作を制作した張本人であるはずの白石監督も思わず苦笑してしまいました。
なべさんの“歪んだ”自己実現
ティーチインでは、香取慎吾演じる本作の主人公・郁男が川崎に暮らしていた頃の同僚兼競輪仲間であり、宮崎吐夢が熱演した渡辺健治、通称なべさんの話題に上がりました。
白石監督は「本作でも一番好きな場面はどこか?」という質問に対し、なべさんが電話ボックスで涙ぐみながら郁男と話す場面だと回答。それが例え歪んだ形だったとしても、「何かを成し遂げた男の姿」はやはり格好いいとなべさんというキャラクターが持つ魅力について語りました。
また白石監督は、別の映画『凪待ち』ファンからの質問をきっかけに、主人公・郁男となべさんの関係性について言及。
なべさんの人間としてのダメさ加減や彼の人生を間近に見てきた郁男は、駅で見かけたTVニュースを通じて、自らの人生を賭けて自己実現を果たしたことを知って「自分も何かをしなければ」と感じとり、それが郁男をノミ屋の襲撃に駆り立てたトリガーとなったと明かしました。
そして、その郁男が駅でなべさんが逮捕されたというTVニュースを見かける場面では、なべさんの歪んだ自己実現を知ったリアクションとして、笑っているのか、あるいは悲しんでいるのかという微妙な表情を香取は絶妙に演じてくれたと語りました。
香取慎吾の演技が郁男というキャラクターを形作った
ティーチインはやがて、香取が映画『凪待ち』で見せた演技の話題へと移りました。
川崎競輪場にて郁男がレースに没頭していく場面では、香取のアドリブセリフにおいて、ロケハンのため競輪場に訪れたスタッフ陣がそこで競輪に興じる人々の生の言葉を記録したメモが参考に用いられていたと告白。
その結果生まれた香取の「行けるよ」というセリフは、ギャンブルに没頭する人間の発する言葉にしてはどこか優し過ぎる言葉ではあるものの、ある意味郁男らしいものとなり、香取のそのアドリブセリフが郁男のキャラクター作りに役立ったと語りました。
同じく日和大橋の下で撮影された場面の写真画像
また、自身の恋人・亜弓が殺された日和大橋の下、郁男が供えられていた缶ビールを飲みながら一人佇む場面について、「あの場面で郁男は何かボソボソと話していたが、何を話していたのか?」という質問が。
その質問に対し、白石監督は「供えられていた缶ビールを飲む」という香取の演技は「よりクズさが出る」という理由からロケ現場で即興で演出したものであり、香取がボソボソと話したセリフもまた脚本には載っていないものだと明かしました。
けれども、そのセリフが香取のアドリブだったのか、それとも白石監督による演出だったのかのは明確に記憶しておらず、セリフの内容もまた同様であるとも告白。ただ、亜弓に対する懺悔の言葉であったことは確かであり、白石監督にとって香取の演技が一番凄まじいと感じたのはその場面である語りました。
白石監督自らが『凪待ち』カレンダーを配布
イベントの最後、白石監督は映画『凪待ち』の劇場公開がついにセカンドランのスタートを切ったことについて言及。
劇中での宮崎吐夢の演技について評価した阿部サダヲからの感想など、様々な方々から映画に対する良い感想をいただけていると明かし、今後も映画『凪待ち』を応援し続けてほしいと来場者の方々に伝えました。
そしてイベント終了後、白石監督は劇場を去る来場者の方々に向けて、劇場の出入口前で特製『凪待ち』カレンダーを自ら手渡しで配布。
イベント中には質問できなかった熱心な『凪待ち』ファンの質問にも答えつつ、一人一人にお礼の言葉を述べていきました。
まとめ
6月28日の劇場公開から約1ヶ月が経過し、キノシネマ横浜みなとみらいをはじめ、いわゆるセカンドランのスタートを切った映画『凪待ち』。
今回行われたイベントでは、白石監督は“11凪目”という猛者の方も多数いた熱心な映画『凪待ち』ファンの方々の質問に対し、一問一問丁寧に回答。イベント終了後の白石監督によるカレンダー配布とお礼の挨拶でも、その場にいたすべての人間が笑顔になるという非常に温かな雰囲気に包まれていました。
白石監督の自身の作品、そしてそれを鑑賞してくださった方々に対する誠実さを改めて知ることができたイベントとなりました。
そのような白石監督の姿を見たいと感じられた方は、今後も続々と行われる映画『凪待ち』イベントに足を運んでみるのはいかがでしょうか。
映画『凪待ち』は2019年6月28日より絶賛公開中!
イベント情報がチェックできる映画『凪待ち』公式サイトNEWSページはコチラ→
石巻市役所では映画『凪待ち』石巻市ロケ地マップを配布!
映画『凪待ち』公開に併せて、石巻市役所・観光課では『凪待ち』のロケ地巡りマップを作成いたしました!
宮城ふるさとプラザ、石巻市役所本庁および各総合支所、イオンシネマ石巻などをはじめ、市内各所で随時配布中です!
また石巻市公式ホームページではデータ(PDF)のダウンロードも可能です!
映画『凪待ち』石巻市ロケ地マップ・ダウンロードページはコチラから→
映画『凪待ち』の作品情報
【公開】
2019年6月28日(日本映画)
【監督】
白石和彌
【脚本】
加藤正人
【キャスト】
香取慎吾、恒松祐里、西田尚美、吉澤健、音尾琢真、リリー・フランキー
映画『凪待ち』のあらすじ
ギャンブル依存症を抱えながら、その人生をフラフラと過ごしていた木野本郁男(香取慎吾)。
彼は恋人の亜弓(西田尚美)が故郷である石巻に戻ることをきっかけに、ギャンブルから足を洗い、石巻で働き暮らすことを決心します。
郁男は亜弓やその娘・美波(恒松祐里)と共に石巻にある家へと向かいますが、そこには末期ガンを宣告されてからも漁師の仕事を続ける亜弓の父・勝美(吉澤健)が暮らしていました。
郁男は小野寺(リリー・フランキー)の紹介で印刷工の仕事を。亜弓は美容院を開業。美波は定時制の学校へ。それぞれが、石巻で新たな生活をスタートさせました。
けれども、郁男は仕事先の同僚に誘われたのがきっかけとなり、再びギャンブルに、それも違法なギャンブルに手を染めてしまいました。
やがて些細な揉め事から、美波は亜弓と衝突してしまい、家を出て行ってしまいます。
その後、夜になっても戻らない彼女を郁男と亜弓は探しに行くものの、二人はその車中で口論となってしまい、郁男は車から亜弓を降ろしてそのままどこかへと去ってしまいました。
そして、ある重大な事件が起こります…。