本を通して得られるものは、知識だけではないのです。
亡き夫との夢を叶えるため、町に一軒もなかった書店を開くことを決意したフローレンス。
彼女の勇気と本が繋ぐ、出会いと未来。その物語を語る人物が別にいました。第三者のストーリーテラーに注目です。
第32回ゴヤ賞主要3冠、第68回ベルリン国際映画祭、そして2018年ガウディ賞にて、数々の受賞を遂げた映画『マイ・ブックショップ』は、3月9日(土)よりシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて全国順次公開となります。
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映画『マイ・ブックショップ』の予告編
2019年3月から映画『マイ・ブックショップ』の日本公開が決定し、それに合わせて予告編が解禁となりました。
予告編のナレーションを担当しているのは、あの『銀河鉄道 999』のメーテル役でお馴染み、池田昌子。
クラシカルで上品な映画の世界が、彼女の声でより一層引き立ちます。
舞台は1959年のイギリス。海辺の町に佇む趣ある建物、フローレンスがオープンさせた書店の名前は「THE OLD HOUSE BOOKSHOP」
木の枝が這う外壁に、塗装のはげた窓枠がOLD HOUSEを物語っています。
この古い家が素敵な書店へと変身していきます。
埃だらけだった棚はペンキが塗られ、カラフルな本が並べられました。
窓際にはおススメの本がディスプレイされています。外にまで並べられた本は、この店の品数の豊富さを表しています。
表には店主の愛情がこもった看板が目に着きます。
こんな書店が街角にあったら思わず立ち止まってしまいそう。
書店「THE OLD HOUSE BOOKSHOP」を通して、いったいどんな出会いが待っているのでしょうか。それはきっと本との出会いだけではないはずです。
映画『マイ・ブックショップ』の作品情報
【公開】
2019年(イギリス・スペイン・ドイツ合作映画)
【原題】
La libreria
【原作】
ペネロピ・フィッツジェラルド「La libreria」
【監督・脚本】
イザベル・コイシェ
【キャスト】
エミリー・モーティマー、ビル・ナイ、パトリシア・クラークソン
【作品概要】
英ブッカー賞受賞作家ペネロピ・フィッツジェラルドの小説「La libreria」を、『死ぬまでにしたい10のこと』『しあわせへのまわり道』など、様々な女性の幸せの在り方を表現してきたイザベル・コイシェ監督が映画化。
未亡人となった女性の新たな挑戦を、静けさの中に力強くそして、美しく表現しています。
主役のフローレンスは、『レオニー』『メリー・ポピンズ リターンズ』の、イギリス出身エミリー・モーティマーが演じています。
映画『マイ・ブックショップ』のあらすじ
1959年、イギリスのとある海辺の町。ひとりの女性が海岸で本を読んでいます。
彼女の名はフローレンス。戦争で夫を亡くし、この町で夫との夢だった書店を開く決意をしていました。
しかし、保守的な町の人々は、女性の開業にあまり協力的ではありませんでした。
それでもフローレンスは、めげずにオープンの準備を進めます。町に初めての書店がオープンしました。
「THE OLD HOUSE BOOKSHOP」と書かれた看板が取り付けられ、フローレンスは溢れ出す喜びを隠しきれません。
町の皆に素晴らしい本を読んでほしい。彼女の願いは、少しづつ受入れられます。
ショップ店員のクリスティーンは、おませな女の子。編み物が得意でおしゃべり好き、本には興味がないけれどフローレンスの良き助士です。
初めてのお客は、引きこもりの読書家、老紳士のブランディッシュ。本を通して2人は信頼関係を築いていきます。
「THE OLD HOUSE BOOKSHOP」は、フローレンスに新しい人生の喜びを与えてくれました。
そんなフローレンスの様子を妬む人物がいました。同じ場所に別の施設を建てる計画を進めていた町の有力者、ガマート婦人です。
彼女に目を付けられたフローレンスは、嫌がらせを受け書店の閉店を迫られます。
困り果てたフローレンスを救おうと立ち上がったのは、ブランディッシュでした。
彼はフローレンスの本への愛情、夢に立ち向かう勇気に感銘し、力になりたいと申し出ます。
フローレンスは、度重なる試練から愛する書店を守り抜くことは出来るのでしょうか?
彼女の挑戦と、ある1冊の本が与えた影響とは?
人と人との出会いと同じように、本との出会いも一期一会。1人の人物との出会いと同じように、1冊の本があなたの人生を変えるものになるかもしれません。
映画『マイ・ブックショップ』の感想と評価
世界的に権威のある文学賞のひとつブッカー賞の受賞歴を持つ小説家、ペネロピ・フィッツジェラルドの小説「La libreria」を、『死ぬまでにしたい10のこと』のイザベル・コイシェ監督が映画化した感動作『マイ・ブックショップ』。
夫を亡くした女性が、新たな人生のスタートとして夫との夢でもあった書店を開くことを決意します。
その挑戦は決して簡単なものではありませんでした。主人公フローレンスの逆境に立ち向かう勇気に、励まされることでしょう。
戦争で亡くなった夫の夢を叶えた女性
フローレンスは、とても芯の強い女性です。亡き夫への愛が彼女を強くさせています。
一緒に本を読みあった愛しい時間を胸に、本が与えてくれる感動と幸せを多くの人に伝えたいと思っています。
しかし、情熱だけではどうにも乗り越えられない壁が存在します。誰もが大小あれど、壁にぶち当たった経験があることでしょう。
フローレンスは、最後まで勇気に満ち溢れていました。
本と共に打ちひしがれる彼女の姿に心が痛みます。
結果がどうであれ、彼女の勇気と人に与えた影響は受け継がれ奪われることはありませんでした。
そして、彼女の勇気は、町の人々にも影響を与えます。
ひとりの女性の行動が動かすもの
本を通して、どのような出会いが生まれるのか。主人公フローレンスを応援する周りの人々の変化にも注目です。
オープンを手伝いに来る少年たち、手紙や本の配達もしてくれます。
本嫌いの少女はフローレンスのために書店を守ろうとします。
引きこもりの老人ブランディッシュは、彼女の勇気にもう一度人を信じることが出来ました。
「THE OLD HOUSE BOOKSHOP」は町に必要な場所となって行きます。
店主のおススメの本を紹介してもらったり、新作がでたら教えてくれたり、本の感想を言いあったり、本を通して人と人とのコミュニケーションが生まれる場所。
自分が昔住んでいた町の本屋さんも、そんな場所だったなと感じました。
また、この物語は第三者の目線で語られています。
ストーリーテラーが誰なのか。その正体を知ったとき、胸をしめつけられ涙があふれることでしょう。
1人の女性と1冊の本との出会いが、その後の人生を変えるかもしれません。
映画『マイ・ブックショップ』では、レイ・ブラッドベリ著「華氏 451 度」、ウラジミール・ナボコフ著「ロリータ」と文学史の名作が登場します。
今は名作と名高い作品が、出版された当時の反応はどうだったのでしょうか。読書好きにも楽しめる内容です。
女優エミリーのルックスやファッションに注目
そしてもう一つのみどころ。主役のフローレンスを演じる、エミリー・モーティマーです。彼女の歳を重ねても可愛らしいルックスに、レトロファッションがとても似合っています。
書店のクラシックな雰囲気と相まって、まるで映画の名作を観ているかのようです。
まとめ
2019年3月より全国順次公開となる『マイ・ブックショップ』のみどころを紹介しました。
夢の実現のために勇気を持って一歩踏む出す女性の物語。
映画好きはもちろん、読書好きな人も楽しめる感動作です。
人も本も映画も、出会いは一期一会。
その出会いを大切に出来るかどうかは自分次第です。
映画『マイ・ブックショップ』は、あなたにとって一期一会になることでしょう。
なお原作本も2月に刊行予定です。合わせてお楽しみください。