34回目を迎える映像アートの祭典が2020年も開催。
「映画上映」を考えさせるライヴ上映、上映オルガナイザーたちとのコラボを実施!
商業性にとらわれず先鋭的・実験的な映像作品、話題作を世界中から集めて、映像アートの最新動向を紹介する「イメージフォーラム・フェスティバル」のラインナップが決定しました。
イメージフォーラム ・フェスティバル2020では、すべてのプログラムにおいて国内外から83本の作品が、2020年9月26日(土)より上映されます。
なお、ラインナップの発表に伴い、ミュージシャンの近田春夫氏によるメインビジュアルも解禁されました。
CONTENTS
「イメージフォーラム・フェステイバル2020」について
画像:上映作品『日曜日の人びと』
34回目の開催となる2020年のイメージフォーラム・フェステイバルでは、「上映するという行為」そのものにフォーカスし、その現在的な意義について考察します。
100年以上に亘って特に疑念もなく続いてきた文化的行為=「映画上映」。
しかし、急激に変容してきたメディア環境に加え、突如として勃発した疫病の流行により、これまでの映像環境の在り方を決定的に変えてしまうかもしれない状況が生まれました。
閉じた暗闇の中、複数人でスクリーンに投射された光の影を見つめるという映画=シネマというシステムは、ついに過去のものとなるのか?
あるいは、上映という行為に新たな意味を見出していくことになるのでしょうか。
特集「オン・スクリーン 上映について」では、「スクリーニング・コレクティブ新世代」として、これまで日本で上映される機会のない作品を数多く紹介し、刺激的な作品の上映活動を活発に行っているインディペンデントのオルガナイザーたちが集まり、いま観たい/上映すべき作品をプログラム。
同時に、インディペンデント上映のこれからについて考えるシンポジウムも開催し、“上映すること”でさらに濃く映画と関わる活動に迫ります。
さらに、「オン・スクリーン LIVE」として、<映画の一回性>に着目した上映パフォーマンスを開催。
複製可能な芸術でありながら、参加する観客が違えば、観る者の気分も、フィルムの状態も、映写機の調子も異なるという映画上映の一回性について考察します。
また、日本、中国、香港、台湾、韓国の東アジア地域を対象とした公募部門である「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」を今年も実施。
2020年は世界的な新型コロナウィルス流行で映画、映像分野にも大きな影響がありましたが、最終的に462件と昨年を上回る応募があり、ドキュメンタリー、アニメーション、実験映画など、多種多様な東アジアの「今」を映し出す25作品がノミネートされました。
2020年10月4日に行われる授賞式で入賞5作品と観客賞を発表します。
「イメージフォーラム・フェステイバル2020」の開催概要
画像:上映作品『後ろに振り向け!』
【会期】
2020年9月26日(土)より
【場所】
東京:シアター・イメージフォーラム/スパイラルホール
名古屋:愛知芸術文化センター
【料金】
スパイラルホール/シアター・イメージフォーラム
一般1,500円/学生800円/イメージフォーラム会員1,200円
※10月2日(金)LIVE上映『メトロポリス』(スパイラルホール)は2,800円均一料金
イメージフォーラム3F「寺山修司」
[シンポジウム]一般700円/学生・イメージフォーラム会員500円
[上映『風の積分』]一般1,500円/学生800円/イメージフォーラム会員1,200円
※若干の上映作品の変更、上映順、上映フォーマットの変更が生じる場合があります。予めご了承ください。
【上映作品】
『いかにして私はエヴァ・ラスに恋をしたか』『リバー・オブ・グラス ケリー・ライカート』『オールド・ジョイ ケリー・ライカー』『ミークス・カットオフ ケリー・ライカート』『ミークス・カットオフ ケリー・ライカート』『美麗少年 ミッキー・チェン』『あなたはわたしじゃない』『私の舌は回らない』『あの夏 ヨーラン・ヒューゴ・オルソン』『イリュージョニスト』『メトロポリス』『我らは恐竜のみ保証する』『後ろに振り向け!』『星座』『フェリックス・イン・ワンダーランド』『ジェネシスとレディ・ジェイ』『アウター・スペース』『トニー・コンラッド:ドリーミニマリスト』『アウタースペース』『日曜日の人びと』『EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ』『15日間』等
詳しくは「イメージフォーラム・フェステイバル2020」公式ウェブサイトにて!
スクリーニング・コレクティブ新世代からおすすめ作品をピックアップ!
スクリーニング・コレクティブ新世代では、“上映すること”でさらに濃く映画と関わることをテーマにしています。
上映は、遊び/アクティビズム/コミュニティー作り/パーティー/勉強と、現在活発に刺激的な上映活動を行うインディペンデントのオルガナイザーたちが集まり、いま観たい・上映すべき作品をプログラム。
また、インディペンデント上映のこれからについて考えるシンポジウムも開催します。
その中で、西部劇を新たな視点で再構築し、現在でも評価の高いライカートの意欲作をピックアップ!
映画『ミークス・カットオフ』の作品情報
【製作】
2010年(アメリカ映画)
【監督】
ケリー・ライカート
【キャスト】
ミシェル・ウィリアムズ、ゾーイ・カザン、ポール・ダノ
【作品概要】
西部劇を新たな視点で再構築し、現在でも評価の高いライカートの意欲作!
オレゴンの広大な砂漠の風景に着想を得て生まれたヴェネチア映画祭SIGNIS賞受賞作品。
【あらすじ】
キャスケード山脈越えを目指し、ガイドを信じて近道を進むことになった三家族。
道に迷った彼らを襲うのは、空腹と飢え、そして互いへの不信でした…。
オン・スクリーン:LIVEからおすすめ作品をピックアップ!
オン・スクリーン:LIVEは、「映画は複製可能な芸術である。しかし、上映そのものは一回一回違うものだ。一緒に見る観客も違えば、観る者の気分も違う」をテーマ。
フィルムの状態も、映写機の調子も異なります。映画上映は本質的には一回性のもの。そのような<映画の一回性>に着目した上映パフォーマンス集です。
その中から、映像作家・遠藤麻衣子が音楽家・服部峻と小林七生と共に贈るフリッツ・ラングの『メトロポリス』をピックアップ!
映画『メトロポリス』の作品情報
【製作】
1927年(日本映画)
【キャスト】
遠藤麻衣子×小林七生(FATHER)×服部峻
【作品概要】
『KUICHISAN』、『TECHNOLOGY』で突如として日本映画に登場、新作中編『TOKYO TELEPATH 2020』も公開を控える映像作家・遠藤麻衣子が音楽家・服部峻と小林七生と共に贈るフリッツ・ラングの『メトロポリス』ライブ音楽上映。
現在コロナ下でドラスティックに組成変容中の東京が眠らせている都市性を改めて揺り起こします。
日本実験映画史からおすすめ作品をピックアップ!
日本の実験映画黎明期の1960年代の歴史的重要作品を上映します。
大林宣彦とともに初期個人映画を牽引した高林陽一の『石っころ』、世界初のCGアニメ『風雅の技法』、後に白組を率いて日本映画に多大な貢献をする島村達雄の『幻影都市』、大林、高林らとともに「フィルム・アンデパンダン」のメンバーでもあったドナルド・リチーの『猫と少年』と、60年代の日本実験映画主要作品を一挙上映。
その中でも2020年、亡くなるまで現役の映画監督として作品を発表し続けた大林宣彦の個人映画の代表『EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ』をピックアップ!
映画『EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ』の作品情報
【製作】
1966〜1967年(日本映画)
【監督】
大林宣彦
【脚本】
羽生杏子
【キャスト】
石崎仁一、田端エミ、赤坂サリ、喜多村寿信、高橋一郎、町田圭子、岡美行、平田穂生、石崎浩一郎
【作品概要】
ロジェ・バディムの吸血鬼映画『血とバラ』(1960)のオマージュとして、製作された大林宣彦の自主映画の代表作品です。
マリー・ロジエ特集からおすすめ作品をピックアップ!
アメリカン・アヴァンギャルド・ミュージック+実験映画のマッドな巨匠トニー・コンラッド。
名だたるアヴァンギャルド・アーティストのポートレートを、自らのポップでキッチュな世界観へと引き込んで描きあげ、ドキュメンタリーの常識を打ち砕く独自のフィルモグラフィーを築きあげているマリー・ロジエ。
カンヌやベルリン映画祭、MoMAやポンピドゥーセンターで取り上げられる彼女の作品は、撮影自体がライ
ブ・イベントで、アーティストとの共同パフォーマンスです。
彼女の最新作『フェリックス・イン・ワンダーランド』、IFF2008にて上映され人気を博した『ジェネシスとレディ・ジェイのバラッド』を含む3プログラムを上映します。
その中で、実験映画のマッドな巨匠トニー・コンラッドのポートレートを映した『トニー・コンラッド:ドリーミニマリスト』をピックアップ!
映画『トニー・コンラッド:ドリーミニマリスト』の作品情報
【製作】
2008年(アメリカ映画)
【監督】
マリー・ロジエ
【キャスト】
トニー・コンラッド
【作品概要】
アメリカン・アヴァンギャルド・ミュージックと名だたるアヴァンギャルド・巨匠トニー・コンラッドのポートレートを、自らのポップでキッチュな世界観へと引き込んで描きあげ、ドキュメンタリーの常識を打ち砕く独自のフィルモグラフィーを築きあげています。
まとめ
画像:上映作品『アウタースペース』
映像を通して、これからの芸術表現、メディア環境を含めた社会のあり方について、考える場を提供する「イメージフォーラム・フェスティバル」。
34回目を迎える映像アート2020年の祭典も、見どころ満載のラインナップとなりました。
「イメージフォーラム・フェスティバル」は、2020年9月26日(土)よりシアター・イメージフォーラム/スパイラルホール/愛知芸術文化センターにて開催です。