映画『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』は2020年11月6日より公開。
『ティファニーで朝食を』(1958)、『冷血』(1966)など多くの傑作小説を残した20世紀アメリカ文学界を代表する作家トルーマン・カポーティ。
流行作家であり、戦後アメリカを代表するセレブリティのアイコン的存在でもあった“恐るべき子ども”の栄光から転落までを、彼の知人や関係者たちの証言をもとに追い、その素顔に迫る文芸ドキュメンタリー映画『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』が、全世界公開に先駆けて、2020年11月6日より上映中です。
本作を手掛けたのは、オバマ政権に仕えた異色の経歴を持つイーブス・バーノー監督。貴重な取材テープを基に、新しく撮影された映像によって、「ひとりの人間」として天才作家の素顔が浮かびあがります。
カポーティの魅力を語ったバーノー監督の特別インタビューを、Cinemarcheが独占公開致します。
評伝の取材テープが製作の基となった
今回、待望の世界最速公開を迎え、現在大ヒット上映中の『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』を手がけたイーブス・バーノー監督の特別インタビューが到着しました。
バーノー監督は、オバマ政権時代のホワイトハウスにソーシャルセクレタリーとして携わった後、ドキュメンタリー映画の監督になった異例のキャリアの持ち主。
以前からカポーティに関する映画製作を考えていたというバーノー監督は、ジャーナリストのジョージ・プリンプトンが評伝『トルーマン・カポーティ』(新潮社)執筆にあたって取材を行った女優ローレン・バコールらの貴重な取材テープ、天才作家と時代を共にした人々や、養女ケイト・ハリントンらの貴重な映像インタビューをもとに、カポーティの知られざる姿に迫る本格文芸ドキュメンタリーを完成させました。
本作の基になっているのはプリンプトンの取材テープ。
「初めて聴かせてもらったときはまさに夢心地になって、内容の素晴らしさに驚かされ、結果的に自分の映画に必要な、トルーマン・カポーティという人物像を深く掘り下げることができた」と、初めて耳にしたときの驚きを伝えました。
「テープの中のローレン・バコールやノーマン・メイラーなど時代を代表する人たちの生の声を聞けたのは、素晴らしい贈り物をもらったような気になった。カポーティが生きていたのは、アメリカの歴史のなかで特別な時期だったかもしれないが、いまの時代にも響くレガシーが見つかる」と、天才作家の生きた軌跡は今を生きる我々に多くの発見をもたらすと語ります。
カポーティの知られざる真実とは
カポーティの様々な知られざる真実に触れたバーノー監督が特に衝撃を受けたのは養女ケイト・ハリントンの存在でした。
元恋人だった男性の娘を引き取り、実の娘のように大切に育て上げたカポーティ。
「テレビ出演時の映像などで見る限り、華やかな生活を送り、ウィットに富む反面、他人に厳しいぐらいにしか印象を受けない。ところが、彼はそれだけの人物ではなかった」とその驚きを振り返ります。
「成人した彼女がカポーティのことを親のように慕い、いまの自分があるのは彼のおかげと感謝し、我が子にトルーマンと名づけるのを聞くにつけ、カポーティから溢れるばかりの愛情を授かっていたのがわかる。そうしたカポーティの側面は特筆すべきものであるし、一部で冷たい性格の人間と思われた、彼への認識も変わるのではないだろうか」と、カポーティに対するイメージが一新されるのではないかと指摘していました。
人間カポーティの魅力
ベストセラー作家として栄光を極めたカポーティは、晩年には酒とドラッグに溺れて転落していきます。
監督は、「カポーティの実像は、限られた周囲の人たちしか知らなかった。だが彼もわれわれと同様、ひとりの人間だった。欠点もあったし、悲嘆に暮れ、孤独でもあったが、人生を謳歌し、愛すべき存在だった。この映画では、ぜひそうした部分を感じ取っていただきたい。有名な作家やアルコール依存症と彼を限定せずに、いろいろな側面を持ち合わせた人間だったことを、ここに登場する人たちの言葉から知ってもらいたい」と語りました。
マスコミを騒がせたスキャンダラスな面だけではなく、人間カポーティの魅力を、本作を通して再発見してください。
イーブス・バーノー監督のプロフィール
1980年3月14日生まれ。アメリカの名門私立ノースウェスタン大学で演劇を学ぶ。
ドキュメンタリー映画の制作を手掛ける以前は、バラク・オバマ元アメリカ大統領と元ファーストレディ、ミシェル・オバマの就任期間にホワイトハウスのソーシャルセクレタリーとして携わり、2008年のアメリカ大統領選挙キャンペーンではミシェル・オバマのアドバイザーを務めた。
アクターズ・ファンド、イリノイ州シカゴに拠点を置く劇団ステッペンウルフ・シアター、そして、ロバート・レッドフォードが設立した非営利団体サンダンス・インスティテュートの役員も務めている。
2019年に、初監督作となる本作『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』が、第44回トロント国際映画祭で上映された。
映画『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』の作品情報
【日本公開】
2020年(アメリカ・イギリス合作映画)
【原題】
The Capote Tapes
【監督・製作】
イーブス・バーノー
【キャスト】
トルーマン・カポーティ、ケイト・ハリントン、ノーマン・メイラー、ジェイ・マキナニー、アンドレ・レオン・タリー
【字幕】
大西公子
【字幕監修】
川本三郎
まとめ
元ホワイトハウス所属のイーブス・バーノー監督が“真実のテープ”との出会いを振り返ったインタビューをご紹介しました。
トルーマン・カポーティ死後36年を経て、未完の問題作『叶えられた祈り』執筆の裏側が今明かされます。
トルーマン・カポーティの素顔に迫る珠玉のドキュメンタリー『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』は、Bunkamuraル・シネマにて、2020年11月6日より絶賛公開中です。