2017年公開中の『キングコング 髑髏島の巨神』のエンディング・クレジットの流れた後、洞窟の岩壁に描かれた怪獣画を見逃さなかったでしょうか?
思わず興奮を抑えきれない怪獣映画ファンも多いことしょうか。ハリウッド版の怪獣映画にラドンが登場するのかは?まだ不確定ですが。
本家怪獣映画の傑作『空の大怪獣ラドン』が映画館で上映される情報をご紹介します。
1.東宝特撮怪獣映画の傑作『空の大怪獣ラドン』
『ラドン』は怪獣映画の1つのスタイルを確率した作品で、“平成版ガメラ”シリーズに多くの影響を与えました。
映画会社の枠を超え、怪獣映画のジャンルとして引き継がれた点からも、スタンダードの傑作といって良いでしょう。
地下坑道や空中戦などの巧みな設定、ラドンが空を飛ぶ際に放つ超音波のキキュイーンという音、メガヌロンのキュキュキュとじわじわと襲ってくる恐ろしさ。
さらにはラドンが福岡の街を粉砕して吹き飛ばしていくクライマックスの大迫力を生み出した、ミニュチュアの精巧さでは最高峰といっても良いでしょう。
現在なお色褪せない素晴らしい日本映画です。
2.『空の大怪獣ラドン』の作品情報
(1956年 35ミリ カラー 82分)
【監督】本多猪四郎
【製作】田中友幸
【原作】黒沼健
【脚本】村田武雄、木村武
【撮影】芦田勇
【音楽】伊福部昭
【特技監督】円谷英二
【美術助手】飯塚定雄
【出演】佐原健二 平田昭彦 白川由美 田島義文 松尾文人 中島春雄
【あらすじ】
炭鉱技師の河村繁は阿蘇付近の炭鉱に勤務していました。
ある日、坑道内で原因不明の出水事故が発生します。しかもそれに引き続き続いて炭鉱夫たちが水中に引き込まれ、遺体となって発見される怪事件が相次ぎました。
当初は河村の友人で行方不明の炭鉱夫の五郎が容疑者とされていましたが、日本刀で斬られたような被害者の傷痕に警察の操作も難航していました。
しかし、やがて姿を現した真犯人は巨大な古代トンボの幼虫のメガヌロンであったことが判明。炭鉱長屋に出現したメガヌロンに警官のピストルは役に立ちません。
河村は警察が要請した自衛隊とともにメガヌロンが逃げ込んだ地下坑道に入り、メガヌロンを追い詰めますが…。
一方、阿蘇付近では地震が発生、噴火の前兆ではないかと付近では不安を募らせます。また、騒阿蘇高原では家畜の失踪が相次ぎ、散策中のカップルが行方不明になる事件が発生。
恋人同士の心中事件かと思われていたが、彼らが残したカメラのフィルムに、巨大な鳥の翼のような影が映っていた…。
3.シネマノヴェチェントのスクリーンにラドン襲来!
シネマノヴェチェントは神奈川県横浜市にある小さな映画館。
2003年から2013年まで同県川崎市にあったバーを併設したミニシアター「シネマバー・ザ・グリソムギャング」を開業した箕輪克彦が、2015年に現在地で開業。
フィルム作品は映写機による上映を行ない、上映作品に関わりのある貴重なゲストを招くイベントなど、こだわりのある映画館。
そこで名作『空の大怪獣ラドン』の上映がシネマノヴェチェントで予定されています。
今回も作品上映のほかに、“特撮の神様”である円谷英二の最高傑作『ラドン』について、円谷の愛弟子である中野昭慶監督が語る恒例「特撮同好会」も予定。
また、スペシャルイベントとして、光学作画の第一人者の飯塚定雄さんをゲストに登壇の予定もあるそうです。飯塚自身が関わった中でも最高の作品と豪語する豊富なキャリアに裏付けされた貴重なウラ話など、ぜひこの機会にお聴きするのはいかがでしょう。
4.『空の大怪獣ラドン』の上映情報
【上映期間】
2017年5月22日(月)~28日(日)
【上映館】
シネマノヴェチェント
〒220-0051 横浜市西区中央2-1-8 岩崎ビル2F
TEL:045(548)8712 eメール:info@cinema1900.yokohama
【タイムテーブル】
2017年5月22日(月)、23日(火)、26日(金)、27日(土)【特別興行】、28日(日)【特別興行】15時~
5月24日(水)、25日(木)19時~
【イベント回】
2017年5月27日(土)《特撮同好会》
15時~「ラドン」上映
16時25分~休憩
16時35分~トークショー ゲスト:中野昭慶監督、長沼孝さん
18時20分頃~サイン会・撮影会
18時30分頃~バースペースにて中野監督を囲んでの懇親会
20時30分頃自由散会
2017年5月28日(日)
15時~「ラドン」上映
16時25分~休憩
16時35分~トークショー ゲスト:飯塚定雄さん、三池敏夫さん
18時20分頃~サイン会・撮影会
18時30分頃終演予定
終演後、バースペースにてゲストを囲んでの懇親会
20時30分頃自由散会
【入場料】
1300円均一
★5月27日のみ特別料金(映画+トーク+懇親会) 前売5000円 当日6000円
5月28日のみ特別料金 前売3500円 当日4500円 懇親会費4000円(フード&指定ドリンク3杯付)
詳細に関しましては直接劇場の方にお問い合わせ下さいますようお願いいたします。
5.『空の大怪獣ラドン』はなぜ今なお色褪せないか?
1956年に公開された作品が、今観ても作品が持つ力に圧倒されるにはいくつかの秘密があります。
書籍『東宝特撮映画全史』にも記載されていますが、田中友幸と小松左京の対談によると、当時東宝の専属監督であった黒澤明が本多猪四郎監督の脚本に助言したのは有名な話。
黒澤からの助言は「等身大のメガヌロンと巨大なラドンとの大きさの対比」や「季節感」など、人間と等身大の恐怖感やリアリティという、演出の細部を告げたそうです。
また、もう1つ有名な話はラストシーンです。
当初は噴火する阿蘇山上空を2匹のラドンが、弧を描き飛行するショットで終わる予定でした。
しかし、溶鉄を使用して溶岩に見立てたために、撮影スタジオは高熱に包まれ、本番の撮影中にラドンを吊っていたピアノ線を焼き切ったことで、ギミックの操演不能になってしまい、突如、ラドンは落下してしまったのです。
特技監督の円谷英二は操演スタッフのアドリブだと思い、キャメラを止めさせずに撮影を指示して続行させます。
その結果、現存の作品に使用された、“ラドンが力尽きて落下するラストショット”が誕生したという説があります。
多くの怪獣ファンの間では、ラドンの力尽きて落ちていく物悲しいや悲壮感があるショットとして評価の高いラストシーンになっています。
また、厳密にはそれは間違いで、本多監督も円谷特技監督も“2頭のラドンは雄と雌のつがい”であることから異論説に分かれる意見もあるようです。
6.まとめ
2017年の今、1956年の名作を映画館で見られる貴重なチャンス!また、ゲスト登壇のイベントでは、きっと上記以外の貴重なお話も伺うことができるのではないでしょうか。
神奈川県横浜市にあるシネマノヴェチェントでの「空の大怪獣ラドン』の上映は、2017年5月22日(月)~28日(日)までとなっています。
かつての日本映画が今なおハリウッドの大作映画に大きな影響を与えている原点です。
大傑作『ラドン』ぜひ、お見逃しなく!