『チャーリーとチョコレート工場』や『アリス・イン・ワンダーランド』などで知られる鬼才ティム・バートン監督。
ファンタジーやホラーを基調とした独特の世界観やキャラクター造形が特徴で、世界中の人に愛される作品を撮り続けています。
映画監督としてだけでなく、演出家やプロデューサー、アニメーターとしても活躍しています。
ティム・バートン監督は、高校卒業後はカリフォルニア芸術大学に入学し、3年間アニメーションの勉強をしました。大学卒業後、ウォルト・ディズニー・スタジオにアニメーション実習生として雇われ、1978年初仕事としてアニメーション映画『指輪物語』の制作に携わりました。
1984年『フランケンウィニー』など短編を製作、1985年、ディズニーを離れ長編デビュー『ピーウィーの大冒険』が大ヒットを記録。続く『ビートルジュース』も成功を収めます。
1990年の『シザーハンズ』では、以降盟友となるジョニー・デップを主演に迎え、『PLANET OF THE APES/猿の惑星』のへレナ・ボナム・カーターとはパートナー関係になりました。
その他の作品に『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』、『バットマン』シリーズ、『ビッグ・フィッシュ』、『アリス・イン・ワンダーランド』、『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』などがあります。
SF、伝記、ファンタジー、アニメーションと幅広いジャンルの作品を手がけています。
ティム・バートン監督作品はどの作品も面白いのですが、今回はその中でもおすすめの作品を5作品をピックアップしてお届けします!
CONTENTS
1.人造人間と少女との恋の行方を描く名作!『シザーハンズ』(1990)
『シザーハンズ』の作品概要
1990年のアメリカ映画。ティム・バートン監督が、原案、製作も務めています。
出演は、ジョニー・デップ、ウィノナ・ライダー、ダイアン・ウィースト、アンソニー・マイケル・ホール、キャシー・ベイカー、アラン・アーキンほか。
『シザーハンズ』のあらすじ
エドワード(ジョニー・デップ)は、発明家の博士によって生み出された人造人間。完成直前に博士が急死してしまった為、彼は両手がハサミのままこの世に残されてしまいます。
その後、彼はゴースト屋敷のような丘の上の家で、顔が傷だらけで孤独な日々を送っていましたが、ある日化粧品のセールス・ウーマンのペグ(ダイアン・ウィースト)が訪ねて来ます。
心優しい彼女は、そんな彼に同情し、自分の家に連れて帰ることに。そうして家の中へ通された彼は、写真に写っているペグの娘キム(ウィノナ・ライダー)に心奪われ、彼女に恋してしまいますが…。
『シザーハンズ』のおすすめポイント
ティム・バートン×ジョニー・デップの初期の頃の作品ですが、この作品が一番好きという人が多くとても人気の高い名作です。
ジョニー・デップ演じるエドワードは、手がハサミのままになってしまった人造人間。ある少女に恋をするけれど、愛しい人を抱きしめることができません。切なくて悲しいストーリーですが、降る雪がふたりをつないでいくところはとてもロマンチックです。
ジョニー・デップの人間らしくなく、でもロボットすぎない絶妙な演技もすばらしいです。
この物語の背景には、いつも孤独で周囲の人間との関係に悩んでいたティム・バートン監督自身の少年時代の経験が反映されているそうです。
10代の頃のかなわなかった恋を思い出して、この作品に共感できる人も多いのではないでしょうか。
2.火星人が襲来!?ジャック・ニコルソン主演のSFコメディ
『マーズ・アタック!』(1996)
『マーズ・アタック!』の作品概要
1996年のアメリカ映画。ティム・バートンが監督と製作を務めています。
出演は、ジャック・ニコルソン、グレン・クローズ、アネット・ベニング、ピアース・ブロスナン、マイケル・J・フォックス、ナタリー・ポートマン、トム・ジョーンズほか。
『マーズ・アタック!』のあらすじ
ハッブル宇宙望遠鏡が、円盤の大編隊を確認。慌てたデイル大統領(ジャック・ニコルソン)はスタッフを召集します。
友好的だと判明しネバダ州の砂漠でついに火星人と対面することに。人々は世紀の瞬間をテレビ中継で見守ります。しかし火星人はレーザー兵器で人々を虐殺し始め…
『マーズ・アタック!』のおすすめポイント
火星人来襲におおわらわする地球人たちをコミカルに描いた、ティム・バートン監督のSFコメディ映画です。
大統領と詐欺師の2役を演じるジャック・ニコルソンをはじめ、出演陣は非常に豪華なところが注目したい点ですが、公開当初は不評でC級映画以下と酷評されることが多かったそうです。
しかし映画の滑稽さやユニークさから、ファンは多く、ティム・バートン監督作の中でもカルト的な人気を誇る作品です。
ティム・バートン監督自身が熱烈なゴジラファンであり、劇中のシーンに映画『ゴジラvsビオランテ』のシーンを流用するなど、B級映画へのオマージュも感じさせます。
気楽に見れるのでおすすめですよ!
3.父と息子の感動ファンタジー!『ビッグ・フィッシュ』(2003)
『ビッグ・フィッシュ』の作品概要
2003年のアメリカ映画。
出演は、ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップ、ジェシカ・ラング、ヘレナ・ボナム・カーター、マリオン・コティヤールほか。
ダニエル・ウォレスのベストセラー『ビッグ・フィッシュ – 父と息子のものがたり』が原作。
第76回アカデミー賞作曲賞ノミネート。第61回ゴールデングローブ賞最優秀作品賞(コメディ・ミュージカル部門)など4部門にノミネート。
『ビッグ・フィッシュ』のあらすじ
エドワード・ブルーム(アルバート・フィニー)自らの人生を巧みに語って、聞く人を魅了するのが得意。未来を予見する魔女のこと、一緒に旅をした巨人のこと、人を襲う森とその先にある美しい町のこと…。
彼の語る「人生のストーリー」に誰もが楽しく幸せな気分になりました。息子のウィル(ビリー・クラダップ)も幼いころは父の話が好きでしたが、大きくなるにつれて素直に話を聞けなくなっていました。そうして父と息子は、長い間すれ違っていました。
そんなある日エドワードの容態が悪化し、実家に戻ったウィルに、残された時間があとわずかだと告げられます。
『ビッグ・フィッシュ』のおすすめポイント
年老いた父・エドワードの語る若き日のおとぎ話のような回想シーンと、彼が病で死にゆく現実のシーンとが交互に描かれる、父と息子の感動物語です。
回想シーンは非常に華やかな色調で描かれティム・バートン監督の常の手法であるファンタジー性が押し出されている一方、現実シーンでは落ち着いたトーンで作られていてその対比が顕著な作品になっています。
他の作品がとてもファンタジー色が強いので、この作品のように現実世界をそのまま映し出した作品はとても新鮮味がありますね。柔らかな空気感、あたたかな親子愛が伝わる映画です。親子で一緒に見るのもおすすめですよ!
4.ジョニー・デップ主演!究極のファンタジー・アドベンチャー
『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)
『アリス・イン・ワンダーランド』の作品概要
2010年のアメリカ映画。ティム・バートンが監督・製作を務めました。
出演は、ジョニー・デップ、ミア・ワシコウスカ、ヘレナ・ボナム・カーター、アン・ハサウェイ、クリスピン・グローバー、マット・ルーカス、アラン・リックマンほか。
第83回アカデミー賞衣装デザイン賞、美術賞受賞。第68回ゴールデングローブ賞最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(共にコメディ・ミュージカル部門)、最優秀作曲賞にノミネート。
『アリス・イン・ワンダーランド』のあらすじ
19歳になったアリス・キングスレー(ミア・ワシコウスカ)は、とあるパーティに出席していました。このパーティはアリスの母と姉が極秘裏に企画したアリスの婚約パーティでした。アリスは貴族の御曹司から求愛されますが、突然の出来事に答えることが出来ずその場から逃げ出してしまいます。
そんな時、アリスは白ウサギを追って、幼少時代に訪れた不思議の国へ再び迷い込み、そこでかつて出会ったマッドハッター(ジョニー・デップ)やチェシャ猫達と再会します。
しかし不思議の国は13年前とは一変しており、赤の女王(ヘレナ・ボナム・カーター)に支配された暗い世界と化しているのでした。
アリスは自分が預言書に記されている「救世主」だと知らされ、この世界を赤の女王の支配から解放するため、赤の女王の妹である白の女王(アン・ハサウェイ)やマッドハッター達の力を借りて、赤の女王に戦いを挑むことに…。
『アリス・イン・ワンダーランド』のおすすめポイント
ルイス・キャロルの小説「不思議の国のアリス」と、その続編「鏡の国のアリス」のヒロインであるアリスの新たな冒険をイマジネーションあふれる世界観で描くファンタジー映画です。
ティム・バートンとジョニー・デップは7回目のコラボレーションとなりました。
アリス役には多くの有名な女優が志願したものの、ティム・バートン監督は敢えてあまり有名ではないミア・ワシコオウスカを選んでいます。純真でちょっと困ったような表情が良く似合っていてはまり役ですね。
奇抜なジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム・カーターやアン・ハサウェイなど、個性的なキャラクターが沢山出てくるのですが、どのキャラクターも魅力的。
ストーリーは王道といえる仕上がりで物足りなさを感じる方もいるかもしれませんが、彩り鮮やかでちょっとシュールな世界観を見事に表現した、まさしくティム・バートンワールドが炸裂した作品です。
続編『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』が2016年に公開されています。こちらはティム・バートンが監督ではありませんが合わせてご覧下さい。
5.人気アメコミヒーロー・バットマンが活躍するシリーズ第1弾
『バットマン』(1989)
『バットマン』の作品概要
1989年のアメリカ映画。
出演は、マイケル・キートン、ジャック・ニコルソン、キム・ベイシンガー、ロバート・ウール、パット・ヒングル、ビリー・ディー・ウィリアムズほか。
第62回アカデミー賞美術賞受賞。主演のジャック・ニコルソンが第47回ゴールデングローブ賞最優秀主演男優賞(コメディ・ミュージカル部門)にノミネート。
DCコミックスによる同名のアメリカン・コミックス『バットマン』が原作。
『バットマン』のあらすじ
悪がはびこるゴッサム・シティーで、次々と悪者を退治するヒーロー、バットマン(マイケル・キートン)。その正体を突き止めようと、報道カメラマンのビッキー(キム・ベイシンガー)は、記者ノックス(ロバート・ウール)を引き連れ取材を開始します。
一方バットマンは化学工場を襲った悪者ジャック(ジャック・ニコルソン)と対決し、ジャックは廃液の毒の中に落ち死亡…
したかに思われましたが、彼はジョーカーとして蘇り、真っ白な顔に不気味な笑みがはりついたジョーカーは、バットマンへの復讐に燃えるのでした。
『バットマン』のおすすめポイント
ゴッサム・シティーで悪を粉砕するバットマンと犯罪組織の新ボス・ジョーカーとの戦いを描いたSFアクション大作です。
この映画の見どころのひとつは、ジョーカー役であるジャック・ニコルソンの怪演です。クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』のヒース・レジャーとは全く異なっていて、コミカルでどこか可愛げがあり、でも凄く狂っていて恐怖感もあって、強烈なキャラクターを楽しそうに演じています。
そのジャック・ニコルソンですが、一説には“総制作費の50%”とも言われる高額なギャラも話題になりました。だから楽しそうに見えるのでしょうかね…?!
きっと撮る監督によって全く雰囲気の違う作品が出来てしまうのが、“バットマン”の魅力なのかもしれませんね。ダークな雰囲気でひねりの利いたマニアックなティム・バートン版、まだ見ていない方におすすめです。
まとめ
ティム・バートン監督の作品から5作品をピックアップしてお届けしました。
どの作品もティム・バートン監督の独特の世界観を堪能できると思います!まだ見ていない作品があったらぜひチェックしてみてくださいね。
今後もどのような作品をとどけてくれるのか、非常に楽しみですね!