映画『つかのまの愛人』は、8月18日(土)より31日(金)までシネマヴェーラ渋谷にて限定公開決定!
『ジェラシー』や『パリ、恋人たちの影』に続く、映画『つかのまの愛人』。
フィリップ・ガレル監督が自ら“フロイド的三部作”と名付けたシリーズでは、女性たちの無意識や欲望、そして苦悩。
恋愛にまつわる様々な感情とふるまいに迫っていく野心作。ひとりの男をめぐる女たちの奇妙な共犯関係とは?
映画『つかのまの愛人』とは
フィリップ・ガレルの最新作『つかのまの愛人』(原題:l’Amant d’un jour)が、8月21(土)よりシネマヴェーラ渋谷にて限定公開されることが決まりました。
本作は撮影監督に『今宵かぎりは』(1972)などで、ダニエル・シュミット監督と組んだことで知られるレナート・ベルタ。
また、『昼顔』『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』など、ルイス・ブニュエル作品の脚本家としても知られるジャン=クロード・カリエールが共同脚本。
さらにフィリップ作品の『ジェラシー』『パリ、恋人たちの影』で、音楽担当でタッグを組んだジャン=ルイ・オベール、といったフランス映画界を牽引してきた名匠たちがスタッフに顔を揃えています。
そのほか、フィリップ監督が教鞭をとる国立高等演劇学校の教え子だったルイーズ・シュヴィヨット、ガレルの実の娘エステール・ガレルという俳優たちが、ともにつくりだしたガレル監督の新境地ともいえる作品。
また、本作公開に合わせ公開劇場であるシネマヴェーラ渋谷では、絡みあう恋愛の連立方程式を学ぶ2週間として特集上映「愛の力学“彼と彼女と彼”あるいは 彼女と彼と彼女」を開催されますので、映画ファンのあなたなら注目ですよ。
映画『つかのまの愛人』の作品情報
【公開】
2018年(フランス映画)
【原題】
L’amant d’un jour
【脚本・監督】
フィリップ・ガレル
【キャスト】
エリック・カラヴァカ、エステール・ガレル、ルイーズ・シュヴィヨット
【作品概要】
現代の恋愛を描いた『ジェラシー』と『パリ、恋人たちの影』に続く、フィリップ・ガレル監督が自ら“フロイド的三部作”と名付けたシリーズの完結編。
女性たちの無意識や欲望、苦悩を描いた恋愛にまつわる感情に迫る野心作。
フィリップ・ガレルのプロフィール
参考映像:『灼熱の肌』(2011)
フィリップ・ガレルは1948年4月6日パリ生まれ。
1968年の19歳の時に制作した『Marie pour mémoire(記憶すべきマリー)』が、イエール映画祭でヤングシネマ賞を受賞。俳優ミシェル・シモンに称賛されます。
その後、ポップアートの旗手アンディー・ウォーホルの映画『チェルシー・ガールズ』に感銘を受けて渡米。彼の構えるファクトリーと呼ばれるスタジオに集う人たちと交流を持ちます。
そこでヴェルヴェット・アンダーグラウンドの歌姫であったニコと出会い、主演に7本の作品を制作します。
1974年に『孤高』ではニコととも商業映画から離れていたジーン・セバーグも迎えて映し出しました。
1979年に『秘密の子供』で商業映画に復帰すると、本作は1982年に第32回ジャン・ヴィゴ賞を受賞します。
1983年に、父モーリスを主演の『自由、夜』で、第37回カンヌ国際映画祭のフランス映画の展望部門にてグランプリを受賞。
その後も、1988年にニコの突然の死を知ったフィリップ監督は、彼女との生活や別離、そして死をテーマにした、『ギターはもう聞こえない』を1990年に発表すると、第48回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞します。
その後も、1993年に『愛の誕生』、1996年に『彷徨う心』でも、ニコの死後も生きるフィリップ自身の人生が語られ続けます。
1999年に大女優カトリーヌ・ドヌーブから要望を受け、彼女を主演に『夜風の匂い』を制作。
2000年代に入りると、2001年の『白と黒の恋人たち』で第58回ヴェネツィア国際映画祭にて国際映画批評家連盟賞を獲得します。
『恋人たちの失われた革命』は主演の息子ルイ、父モーリスのほか、ブリジット・シィ、キャロリーヌ・ドリュア=ガレル、オーレリア・アルカイスなど集結させた作品で、第62回ヴェネツィア国際映画祭にて、2度目となる銀獅子賞を獲得。
そのほか、ルイ・デリュック賞やリュミエール賞の監督賞、ヨーロッパ映画賞の国際映画批評家連盟賞など、多数の賞を受賞しています。
映画『つかのまの愛人』のあらすじ
アリアンヌは3ヶ月ほど前から哲学教師のジルと付き合っていました。
しかしジルには、アリアンヌと同じ歳の娘ジャンヌがいました。
その娘ジャンヌは初めて人生での大きな恋愛の終わりに絶望を抱え、父親の元に身を寄せていました。
ジャンヌは歳の近い父親の恋人アリアンヌと、やがて親しくなっていきます。
そこで愛することや女性として欲望について互いの価値観を語り合っていきますが…。
映画『つかのまの愛人』の感想と評価
『ギターはもう聞こえない』(1991)『恋人たちの失われた革命』(2005)で、ヴェネチア国際映画足銀獅子賞を獲得し、1960年代から現在まで途切れることなく、意欲的な作品を発表し続けるフランスの名匠フィリップ・ガレル監督。
ヌーヴェル・ヴァーグの映画作家のジャン=リュック・ゴダールやフランソワ・トリュフォーなどから影響を受け、ポスト・ヌーヴェルヴァーグの1人とされ、“ゴダールの再来”と呼ばれ、シネマテークの創設者のアンリ・ラングロワは、“ヌーヴェル・ヴァーグ以降で最も重要な作家の1人”と述べています。
本作品『つかのまの愛人』は、ガレル監督の最新作にして、『ジェラシー』(2013)『パリ、恋人たちの影』(2015)に続く、フィリップ自ら三部作する作品です。
モノクロームの静謐な映像に紡がれるのは、哲学教師の男と若い恋人、そして男の娘との奇妙な三角関係の顛末。
大学の教え子アリアンヌと同棲している哲学教師のジルのもとに、ある日恋人にフラれて自暴自棄となった娘ジャンヌが訪れ、3人の共同生活が始まります。
同い歳のジャンヌとアリエンヌは、愛や性欲、そしてジルには言えない秘密を打ち明け合います。
それは女たちの間に生まれた共犯関係にも似た奇妙な絆でした。しかし、父として、恋人として、それぞれの愛をジルに求めるふたりの間には、やがて友情だけではない感情が芽生え出します…。
若い女たちの欲望や嫉妬、生への執着がまざまざと活写された本作は、愛という根源的なモチーフを扱いながら、これまでにない女性描写で、あなたを魅了します。
まとめ
フィリップ・ガレル監督は、女性を“地上に影を投影する雲のようだ”と、例えて語っています。
「彼女たちは陽光が射すのを妨げ、そこにできた影は私たちをかすめ、周囲を動いていく。彼女たちが私たちに与えたもの、それは愛であり、それはもうここにはない」
このような詩的な語りのほかにも…。
「いま私が映画で探求しようとしていることは、女性のリビドーと男性のリビドーが同じ強さである」
熟した経験と思惟を感じさせる言葉も述べています。
あなたが映画を通して、“愛”について知りたい。
また、自己存在を見出したいと考えたとすれば、フィリップ・ガレル監督の作品に、その問いも答えも見い出せるかもしれません。
映画『つかのまの愛人』は、8月18日(土)より31日(金)までシネマヴェーラ渋谷にて限定公開決定!
ぜひ、お見逃しなく!