Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ラブストーリー映画

Entry 2021/07/05
Update

映画『素敵なウソの恋まじない』ネタバレ結末の感想とあらすじ解説。大人のラブストーリーをジュディデンチとダスティンホフマン共演で描く

  • Writer :
  • くろみずし

ジュディ・デンチ&ダスティン・ホフマンが贈る情熱と驚きで満ちたシニアのラブコメ

『素敵なウソの恋まじない』は、『チャーリーとチョコレート工場』『THE BFG』『マチルダ』など、イギリスだけでなく世界で愛されている作品を数々執筆した児童作家 ロアルド・ダールの原作を実写化した作品です。

脚本家は『アバウト・タイム 愛おしい時間について』『ノッティングヒルの恋人』『ブリジット・ジョーンズの日記』ラブストーリー、ラブコメを数々手掛けてきたリチャード・カーティス。

ロンドンが一望できるアパートを舞台にシャイなアメリカ人と陽気な未亡人の恋の駆け引きが繰り広げられる物語になっています。

映画『素敵なウソの恋まじない』の作品情報


(C)Endor Productions Ltd. Licensed by Red Arrow International GmbH. All rights reserved.

【公開】
2015年(イギリス映画)

【原作】
Roald Dahl’s Esio Tro

【監督】
ディアブラ・ウォルシュ

【キャスト】
ジュディ・デンチ、ダスティン・ホフマン、ジェームズ・コーデン、リチャード・コーデリー、ピクシー・デイヴィス、サロ・ガードナー、ジミー・エイキングボラ、ケイティ・ライオンズ

【作品概要】
イギリスの児童小説『ことっとスタート』を数々の大ヒットラブコメを手掛けてきたリチャード・カーティスが脚本し、テレビ映画として実写化された作品です。

イギリスを代表する女優 ジュディ・デンチと『レインマン』(1988)『クレイマー、クレイマー』(1979)で二度アカデミー賞主演男優賞を受賞した、ダスティン・ホフマンの名優コンビが可愛いシニアを演じました。

映画『素敵なウソの恋まじない』のあらすじとネタバレ


(C)Endor Productions Ltd. Licensed by Red Arrow International GmbH. All rights reserved.

ロンドンのとあるオシャレなアパートにガーデニングが趣味のシャイで親切なアメリカ人ホッピーさんが住んでいました。

ホッピーさんは一つ下の階に住む陽気な未亡人のシルバーさんに恋をしていました。けれども、ホッピーさんはシャイでちょっとした会話をするのがやっとで、彼女をお茶に誘うこともできないでいました。

しかし、彼の恋は本気でした。その恋は5年も前から始まっていたのです。

シルバーさんがアパートに越してきたその日から。出会いはエレベーター、駆け込んできた彼女に一目惚れしました。それから彼女に会う度に、彼女への気持ちが膨らんでいきました。そして、この恋が実るようにホッピーさんは願いました。

シルバーさんには同居人の亀「アルフィー」がいました。

彼女はアルフィーに人生の様々な話をベランダで話し聞かせているのを、ホッピーさんも盗み聞きしていました。

「一生愛し続けるわ」とアルフィーに向けた言葉が自分へのものだったらいいのに、と思いを更に募らせていました。

シャイなホッピーさんは、彼女に気持ちを伝えようと考えました。

勇気を振り絞りディナーに誘おうと声をかけましたが、なんと、ベランダにいた他の隣人プリングルさんが勘違いをし、何故か二人でディナーをすることになります。

プリングルさんはホッピーさんと真逆な性格。お喋りで積極的ですこしガサツ。

ディナーはプリングルさんの話ばかりで、ホッピーさんがついに話すタイミングがきたところで会はお開きに。そして帰り際にプリングルさんは次回の日程を設定して嵐のように去っていきました。

翌朝、ホッピーさんにチャンスが舞い込んできます。

いつものようにベランダでシルバーさんとお話をしていたら、「アルフィーの成長が遅いのよ」と悩みを打ち明けられました。

この会話から二人の共通の話題が生まれたのです。

アルフィーが大きくなることがシルバーさんの幸せである、と知ったホッピーさんは計画を練ります。そして、これが上手くいけば彼女の気持ちを手に入れられると考えたのです。

それからホッピーさんの「アルフィーを大きくする作戦」が始まりました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『素敵なウソの恋まじない』ネタバレ・結末の記載がございます。『素敵なウソの恋まじない』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)Endor Productions Ltd. Licensed by Red Arrow International GmbH. All rights reserved.

ホッピーさんは「アルフィーの成長しない問題を解決できるかもしれない」と、シルバーさんに計画を持ちかけました。

それはなんと呪文を唱えれば、アルフィーが大きくなるというものでした。シルバーさんは信じて毎日、朝・昼・晩 唱えました。

もちろんアルフィーは大きくなるわけがないのです。そして、計画は更に複雑になっていきました。

ホッピーさんはカナダへ釣り旅行にいくための貯金を使い、大量のカメをペットショップから買取りました。本物のアルフィーと入れ替えて、アルフィーが成長したとシルバーさんに思わせるためでした。

大胆な作戦がついに実行されました。ホッピーさんは、自分のベランダからハシゴでシルバーさんのベランダに降りて亀を入れ替えようとしました。

そこでハプニングが起きます。ハシゴがズレてしまい別のベランダについてしまったのです。ハシゴ作戦はあっけなく終了。

彼は諦めず、自分のベランダから操作できる亀専用のリフトを作りました。

ある日、ホッピーさんはシルバーさんに誘われ、チャリティーのダンス・マラソンに支援者として参加することに。

1分1ポンド出すと言ってしまったのです。彼女は頑張って踊り続けるのですが、ホッピーさんはお金のことをヒヤヒヤしながらダンスを見ていました。

290分経過したところで、まさかのプリングルさんがダンス相手として登場。2人で踊る姿を複雑な気持ちで見守ることになりました。

そして家に戻り、貯金箱の中を見るとスカスカになっていましたが、これも愛の代償だと受け入れました。

そして、ついにアルフィーを偽物と交換する日がやってきました。1回目の亀すり替え作戦が、なんとか成功。喜ぶシルバーさんを見て、シャイなホッピーさんは喜びのあまり部屋で歌いながら飛び跳ねました。

ここからは100匹以上のカメと暮らしながら、2日に1回カメをすり替え徐々に大きくしていく作戦が始まります。

ある日入れ替えを行っている時にシルバーさんが突然帰ってきてしまい、焦ったホッピーさんは亀をリフトから落としてしまいます。

ベランダからいなくなったアルフィーに気が付き、シルバーさんは大パニック。しかし奇跡的にアルフィーがベランダに戻ってきました。

ホッとしたホッピーさん、その時プリングルさんが出てきて、今日はディナーの約束をした日だと言い始めました。そして、シルバーさんのことも誘いました。

カメが100匹もいる部屋でディナーをすることに。またもや危機が訪れたホッピーさん。何とか亀を台所に隠しながら、ドキドキなディナーが始まりました。

ようやく開催されたディナー。ホッピーさんに少しチャンスが舞い込んだところで、プリングルさんに邪魔をされてしまいました。

しまいに、プリングルさんは彼女をデートに誘ったのです。それを知ったホッピーさんはどん底に落とされました。

しかし、ホッピーさんは変わらずアルフィーを愛するシルバーさんを見て、最後まで諦めないで戦うことを決心するのでした。

プリングルスと結婚したとしても、彼女の幸せを祈るほどに。

呪文を唱えてアルフィーを大きくする作戦から1ヶ月、アルフィーは入替え作戦のおかげで倍のサイズになりました。

ホッピーはとても感謝され、部屋にアルフィーを見に行くことになりました。ついに念願の二人での時間。なんと、ホッピーさんは「Will you marry me?」とプロポーズをしました。

突然のことで戸惑うシルバーさんでしたが、その時プリングルさんが本物のアルフィーを連れて現れたのです。何故なら扉が少し開いており部屋から出てしまっていたのです。

ついに亀の入れ替え作戦がバレてしまいました。そしてホッピーさんは引っ越すことを決意、物語はハッピーエンドとは限らないと思ったその時。シルバーさんが部屋に訪れました。

なんとシルバーさんは「初日にエレベーターであなたに一目惚れした」と告白。

実は両思いだったことを知ります。しかし、アルフィー入替え事件ですべて台無し、けれど、あれだけ手間のかかることは特別な人にしかできない、だから答えは「イエス」。

最後に大逆転、キスをして幕を閉じました。

映画『素敵なウソの恋まじない』の感想と評価


(C)Endor Productions Ltd. Licensed by Red Arrow International GmbH. All rights reserved.

愛されないからといって、愛することをやめることはできない」。

5年間静かに片思いをしていたホッピーさんが、大胆ながらもこっそりシルバーさんの気を引こうとする計画。シャイなおじいちゃんが計画したとは思えない内容ではありましたが、何故か応援したくなるのは、好きな人を幸せにしたい一心でついたウソだからでしょうか。

“想いは伝えて初めて、それは愛になる”

ホッピーのように大胆に行動するのも相手に想いが伝わる手段ではあるけれど、二人が結ばれたのは、やはりお互いに想いを伝えあったから。お互いに気を引こうとして、遠回りした二人でしたが、それぞれ奮闘する姿がとても愛おしいものでした。

この作品では恋愛だけでなく、どんなことでも何歳でも、“恐れずに挑戦することが大切”であるということを含んでおり、パワーと勇気を与えてくれました

ベランダのシーンがとても多いのもこの作品の特徴でした。綺麗なガーデニングや暮らし方を見て憧れを持った方も多いかと思います。

お花を大切に育てたり、晴れた日にはベランダでのんびりする。そんな心のゆとりは、心を豊かにしてくれるのだと感じました。

“素敵なウソの恋まじない”。

ストーリーをギュッとしたようなタイトルで、ハッピーエンドを予想させつつも何故かハラハラさせられてしまう展開が素晴らしい作品です。

まとめ


(C)Endor Productions Ltd. Licensed by Red Arrow International GmbH. All rights reserved.

“老いることを忘れて、純粋に人を好きにり、短いようで長い人生を誰かと共に過ごしたい。”

多くのものを求めるのではなく、身近にある小さな幸せに気が付かせてくれる作品になっていました。

また、恋愛だけでなくガーデニングを愛したり、慈善活動に没頭したり、シニアのライフスタイルを明るく表現されています。

それぞれある“今”を楽しんで暮らす。若い世代からシニアまで、幅広い世代に届くメッセージが盛りだくさんでした。

ロンドンスタイルで紅茶を飲みながら時間を忘れ、映画の世界に入り込んではいかがでしょうか。心に一息、ホッと温まるでしょう。



関連記事

ラブストーリー映画

【ネタバレ】エッフェル塔 創造者の愛|あらすじ結末感想と評価考察。パリのシンボル塔完成の裏側に隠された愛の物語

エッフェル塔の名前の由来にもなった創設者ギュスターヴ・エッフェルの知られざる愛の物語 パリのシンボル、エッフェル塔。その制作を手掛けたのは、ニューヨークの「自由の女神像」の制作に協力し、名声を得たギュ …

ラブストーリー映画

映画『枯れ葉』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。アキ・カウリスマキ監督による大人のラブストーリーと“孤独な男女”

孤独を抱えながら生きる男女のラブストーリー 突然の引退宣言を撤回し、『希望のかなた』(2017)から6年ぶりにアキ・カウリスマキ監督が取りまとめました。 労働三部作『パラダイスの夕暮れ』(2002)、 …

ラブストーリー映画

映画『窮鼠はチーズの夢を見る』あらすじと感想評価。ボーイズラブにジャニーズ大倉忠義と、成田凌が熱演!

『窮鼠はチーズの夢を見る』は2020年9月11日(金)公開。大倉忠義と成田凌がボーイズラブを熱演 映画『窮鼠はチーズの夢を見る』の監督は、『劇場』『リバース・エッジ』などを手掛けた行定勲監督。水城せと …

ラブストーリー映画

映画『ずっと独身でいるつもり?』ネタバレあらすじ結末と感想解説。田中みな実初主演で“30代独身女性の特徴”を描く応援歌

フリーアナウンサーの田中みな実初主演 結婚、独身……私らしく生きるために悩み、闘う女性らのリアルを描くドラマ 10年前に執筆したエッセイが大ヒットするもその後ヒット作は書けていないライターの本田まみ。 …

ラブストーリー映画

『麗しのサブリナ』ネタバレあらすじ感想と結末の解説評価。オードリーヘプバーンをファッション・アイコンに決定づけた名作映画

ファッションの最先端となった永遠のアイコン・サブリナ 『ローマの休日』(1954)の銀幕の妖精オードリー・ヘプバーン主演のロマンティックコメディ。 『アパートの鍵貸します』(1960)『お熱いのがお好 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学