最愛の女性が自分を知らない世界に迷い込み本当の“愛”を知るラブストーリー
『あしたは最高のはじまり』のユーゴ・ジェラン監督、『エール!』の制作陣が再タッグ!
若くして結婚したユーゴ・ジェラン監督が「一番大切な人に出会わなかったら、人生はどうなっていたのだろう?」と自身の結婚生活を見つめ直して生まれた、フランス初のラブストーリーの新たな傑作!
運命的な一目惚れをして結婚し、10年の歳月を経た男がある日、愛する妻は自分のことを知らない、自分の立場も真逆の別世界に迷い込んでしまいました。別の世界でもう一度愛を取り戻そうと奔走し、本当の“愛”を知っていきます。
『エターナル・サンシャイン』、『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』に続く、フランス発のオリジナルファンタジックラブストーリー。
CONTENTS
映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』の作品情報
【日本公開】
2021年(フランス、ベルギー合作映画)
【原題】
Mon inconnue
【監督・脚本】
ユーゴ・ジェラン
【キャスト】
フランソワ・シビル、ジョセフィーヌ・ジャピ、バジャマン・ラベルネ
【作品概要】
祖父は名優ダニエル・ジェラン、父は俳優・プロデューサーのグザヴィエ・ジェランという名門一家に育つユーゴ・ジェランが監督を務めます。
前作『あしたは最高のはじまり』(2016)は本国フランスで8週連続トップ10入りを果たし、『エール!』(2015)の制作陣と再タッグを組みました。
ラファエル役は、第72回カンヌ国際映画祭で今後の活躍が期待される若手俳優に贈られるショパール・トロフィーを受賞し、今フランスで注目されているフランソワ・シビルが演じました。
キュートなヒロイン、オリヴィア役を演じたのはメラニー・ロランの監督2作目『呼吸―友情と破壊』(2014)で初主演を果たし、第40回セザール賞では有望若手女優賞を受賞したジョセフィーヌ・ジャピ。
コミカルなラファエルの友人フェリックスを演じたのは『セラヴィ!』(2018)のバジャマン・ラベルネ。本作で第45回セザール賞助演男優賞にノミネートされました。
映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』のあらすじとネタバレ
高校生のラファエルは放課後、どこからともなく聞こえてくるピアノの音に導かれてオリヴィアと出会い、警備員から逃げ疲れた2人はバスのベンチで気絶してしまいます。
運命的な出会いによって一目惚れした2人は恋人になります。
そして2人は歳月を駆け抜け結婚し、オリヴィアはピアノ教室をしながらピアニストの頂点を目指し、ラファエルは2人をモデルにしたSF小説『ゾルタンとシャドー』がベストセラーになり有名作家になっていきます。
ラファエルは忙しくなると共にオリヴィアのコンテストを見に行かなくなり、食事も共にせず、2人の生活は次第にすれ違っていきます。
以前は読ませてくれていた原稿も読ませてくれず、会話も減っていったラファエルにオリヴィアの不満は募り孤独を感じています。
10年目をむかえたある日、我慢の限界に達したオリヴィアは自分の気持ちをぶつけ、2人は大喧嘩をしてしまいます。
荒れた部屋にオリヴィアを残し、外へ飛び出したラファエルはバーで飲み明かし、朝帰宅すると部屋にオリヴィアの姿がありません。
人気作家として中学の特別授業に訪れたはずが…、何かがおかしいとラファエルは感じます。
親友のフェリックスなど、知っている人であるはずなのにどこか話が噛み合いません。
オリヴィアの姿はどこにもなく戸惑っていたラファエルの目に飛び込んできたのはオリヴィアの載ったポスターでした。
自分の妻であるはずのオリヴィアが有名なピアニストになっており、オリヴィアはラファエルのことを知りません。
次第にラファエルは、自分が以前いた世界とは違う“別の世界”に来てしまったことに気づきます。
映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』感想と評価
運命的な出会いにより恋に落ちた2人。高校生で出会い結婚し、幸せな生活がずっと続くものだと思っていた2人ですが、次第にすれ違い始めます。
すれ違いにより、ラファエルが見失っていたのは、そばにいるオリヴィアの存在がいかに自分の人生にとってかけがえのない存在であったか、ということです。
ラファエルは自身の小説がベストセラーになり、忙しくなったことを理由に、オリヴィアのコンテストを見に行かなくなります。あがり症のオリヴィアにとってラファエルは自信を持って演奏できる心の支えでした。
ラファエルの小説はラファエル一人で作り上げたものではなく、オリヴィアと出会い彼女と共に過ごすことで出来た小説でした。
出来上がった原稿を何より楽しみにし、ラファエルを応援し続けたのはオリヴィアでした。忙しさを理由にオリヴィアと過ごす時間を疎かにされ、オリヴィアは孤独を感じています。
2人の関係性を表すかのように、ラファエルは小説の結末で2人のうちどちらかが生き残ることができる場面になり、悩んだ末オリヴィアがモデルの登場人物が死んでしまう結末を選びます。
まるでラファエルにとってオリヴィアの存在は必要ないかのように…そしてその結末が現実になったかのように、ラファエルはオリヴィアと出会っていない世界に来てしまいます。
当たり前のようにそばにいたはずのオリヴィアがいない世界に来てやっとラファエルは、オリヴィアの存在の大きさに気づくのです。
最愛の人が自分のことを知らない、積み重ねてきた10年がこの世界でには存在しない悲しさのなか、もう一度オリヴィアと共にいられるように必死になるラファエル。
ラファエルの思いが届き、ハッピーエンドを迎えるかと思いきや、ラファエルが選んだのは、自分とオリヴィアが結ばれる未来ではなく、オリヴィアが幸せでいられる未来でした。
以前は自分本位でオリヴィアと過ごす時間を顧みなかったラファエルは、オリヴィアが自分のことを知らない世界にやって来て、彼女の存在の大切さを感じると共に、彼女の幸せを思う、本当の“愛”を知ったのです。
自ら身を引いてオリヴィアとマルクの幸せを願ったラファエルを追いかけたオリヴィア。
2人はキスを交わしますが、その後ラファエルは元の世界に戻れたのか、それともこのままの世界でオリヴィアと結ばれたのかは明らかにされません。
あえて明らかにしないことで、自分本位であったラファエルが自分自身、そしてオリヴィアとの関係性を見つめ直し、本当の“愛”を知ること、その美しさが際立つのでしょう。
本作において忘れてはいけないのがラファエルの親友フェリックスの存在でしょう。
冗談を言いふざけているように見えるフェリックスですが、大事な場面でラファエルの背中を押し、気分が落ち込んでいるラファエルを笑わせたのもフェリックスでした。
まとめ
自分の最愛の人が自分を知らない世界にやって来たラファエルが、本物の“愛”を知っていく映画『ラブ・セカンド・サイト』。
ラファエル役のフランソワ・シビルとオリヴィア役のジョセフィーヌ・ジャピの2人が美しく、高校生の頃の運命的な出会いから恋する2人の過ごす時間はロマンテックに流れていきます。
王道のラブストーリーと思いきや、すれ違い、朝起きると別の世界にきてしまったというファンタジックな展開に引き込まれていきます。
身近な存在だからこそ、その大切さを見失い、失ってから気づくことは誰しもあるでしょう。
本作は大切なものに気づかせ、自分本位ではなくその人のことを思う本当の“愛”について教えてくれます。
大切な人に会いたくなるような素敵なラブストーリーです。