Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ラブストーリー映画

Entry 2018/09/23
Update

映画『生きてるだけで、愛。』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『生きてるだけで、愛。』は、11月19日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー!

劇作家で芥川賞作家の本谷有希子の初期の代表作『生きてるだけで、愛。』の映画化。

主演は映画・舞台と幅広く活躍する趣里。相手役に菅田将暉。

共演するキャスト陣に仲里依紗、田中哲司、西田尚美、松重豊が脇を固めます。

監督・脚本は本作が初長編監督作品になる関根光才。

映画『生きてるだけで、愛。』の作品情報


(C)2018「生きてるだけで、愛。」製作委員会

【公開】
2018年(日本映画)

【原作】
本谷有希子

【脚本・監督】
関根光才

【キャスト】
趣里、菅田将暉、田中哲司、西田尚美、松重豊、石橋静河、織田梨沙、仲里依紗

【作品概要】
小説家や劇作家、また演出家などマルチな活動で注目を集める芥川賞作家・本谷有希子の同名小説を映画化。

キャストはが主人公の寧子役を趣里が魅力的に演じ、共演に津奈木役を菅田将暉、安堂役を仲里依紗が務めます。

多くの企業コマーシャルやミュージックビデオではAKB48、Mr.Childrenらを手がけ、カンヌ国際広告祭でグランプリなどを受賞した関根光才が劇映画初監督を務めます。

映画『生きてるだけで、愛。』のキャラクターとキャスト


(C)2018「生きてるだけで、愛。」製作委員会

寧子(趣里)
過眠症で鬱で引きこもりの女性。恋人に寄生するような生活を送る

津奈木(菅田将暉)
寧子の恋人。文学志向だったものの今はゴシップライター

安堂(仲里依紗)
津奈木の元恋人。津奈木に未練があり寧子にまとわりつく

磯山
津奈木の上司。ゴシップ雑誌の編集長。

村田夫妻(田中哲司、西田尚美)
色々な面で理解が深いカフェバーの経営者。

映画『生きてるだけで、愛。』のあらすじとネタバレ


(C)2018「生きてるだけで、愛。」製作委員会

合コンの帰りに知り合った津奈木と寧子は、それからすぐに同棲生活に入りもう三年になるカップル。

寧子は躁鬱と過眠症が重なって、仕事はもちろん外との交流もなく、家事も碌にしません。

津奈木がそんな寧子に対して静かに受け答えをしていく日々。

津奈木はもともとは文学志向で出版者に入ったものの、実際にしていることはゴシップ中心の週刊誌の記者。

いろいろ思うところはあっても、“下半身で食わせてもらっている”という編集長の元ではしたい仕事もできずにいます。

寧子が一人で家にいると津奈木の元カノの安堂が突然、訪ねてきます。

寧子の現状にヒステリックに批判する様を見て寧子は、自分の事情を置いておいて心配するほどです。

安堂は津奈木と寧子を別れさせるため、寧子の社会的自立を即すように、常連のカフェバーに無理やりバイトを決めさせます。

カフェバーの村田夫妻は、安堂のヒステリックな態度に手を焼きつつも、寧子をバイトに迎え入れます。

寧子は過眠症と鬱が重なって遅刻・欠勤。さらに仕事中のミスも連発しますが、村田夫妻は大目に見続けます。

安堂は敵情視察を兼ねて、度々店に来ては寧子の様子を見ています。間の悪いことに寧子の失敗の向かう先が安堂だったりします。

一方、津奈木はどんどんやりたくもない仕事を押し付けられている日々が続いていて、寧子への接し方もおざなりになっていきます。

それもあって寧子のイライラは高まっていきます。

やっと店になじみ始めたと寧子が感じたとき、自身の抱えるトイレへの不安に共感を得られなかったことから、かえって店の面々と自分との違いを大きく感じてしまい、心が爆発してしまいます。

以下、『生きてるだけで、愛。』ネタバレ・結末の記載がございます。『生きてるだけで、愛。』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
一方の津奈木は、編集長に黙って書けといわれていた記事を放棄して、自分の書きたい記事を入稿してしまいます。

津奈木もまた自分の感情と周りとの違いに思い悩んでいたのでした。

津奈木の場合は感情を押し殺して、他者に何も感じさせないようにして生きてきました。

それでもとうとう気持ちを抑えきれずに、感情を爆発させた津奈木は、会社の窓ガラスとぶち破ってPCをビルの外へ投げつけます。

結果として、津奈木は会社をクビにいなってしまいました。それでもどこか晴れ晴れとした表情を見せる津奈木。

そんな彼のもとに店で爆発した寧子から連絡が来ます。

駆け付けた津奈木の眼の前を服を脱ぎながら全力疾走する寧子が通り過ぎます。

服を拾いながら寧子の後を追いかける津奈木、二人の家の屋上にたどり着いた時には寧子は全裸になっていました。

晴れ晴れとした寧子は、“鬱期間”の終了を告げます。津奈木も一安心です。

そして津奈木は自分もまた寧子と同じで自分の感情をコントロールすることが苦手で、ただ自分の場合は感情を表に出さないことでやり過ごし
てきたと語ります。

一方の寧子は、どんなにおっくうでも寧子の感情に対して同じ熱量、同じエネルギーで向かってきてほしいと訴えます。

それを聞いた寧子を津奈木はそっと抱き寄せます。

自分と津奈木は違う部分があって、それが交じり合うことが多く、それまたぶつかってしまうことがあるかもしれない、けれども今この一瞬は分かり合えたことを感じていました。

映画『生きてるだけで、愛。』の感想と評価


(C)2018「生きてるだけで、愛。」製作委員会

何と言っても寧子役の趣里が見どころ!

何と言っても主演の趣里に限る

彼女は舞台や演技学校、映画ワークショップなどに参加し地道に地力をつけてきました。

そしてテレビドラマ『ブラックペアン』などで一気に注目の女優となります。

実は大きなバックボーンの持ち主であるものの、そのことをあまり押し出さずに個人の力でやってきた結果が、本作『生きてるだけで、愛。』につながったと言っていいでしょう。

設定の上に劇中の展開からかなり大胆な姿を披露しますが、見事に寧子という役をやり切りました

本谷有希子作品のヒロインですから当然、過剰で過激なヒロインになることは当然ではありますが、役柄に飲み込まれることなく作品を走り抜けました。

『乱暴と待機』『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』と映像化作品がある本谷文学ですが、本作が一番強烈なヒロイン映画といっていいでしょう。


(C)2018「生きてるだけで、愛。」製作委員会

まとめ


(C)2018「生きてるだけで、愛。」製作委員会

過眠症で引きこもり気味で無職の寧子は、ゴシップ雑誌の編集者である恋人の津奈木の部屋で同棲生活を送っていました。

自身の感情をコントロールできないことに嫌気がさしていた寧子は、どうすることもできずに津奈木に当たり散らします。

ある日、突然、寧子の目の前に津奈木の元カノ安堂が現れと…。

本谷文学で、一番強烈なヒロインを見事に演じきった主演女優の趣里

父親は水谷豊、母親は伊藤蘭という冠がなくとも本作『生きてるだけで、愛。』で果敢に存在感を示しています。

初主演の連続ドラマ『ブラックペアン』のクールな看護師役に続き、趣里ファンに反響を呼ぶこと間違いなし!

関連記事

ラブストーリー映画

映画『世界の涯ての鼓動』ネタバレ考察。ラストの意味とラブストーリーの深さを原題から解説

映画『世界の涯ての鼓動』は2019年8月2日(金)より、TOHOシネマズシャンテほか全国順次公開。 第二次世界大戦後、ニュー・ジャーマン・シネマを代表する映画監督として、ロードムービーの名手として数々 …

ラブストーリー映画

映画『戦場のメリークリスマス』ネタバレあらすじと感想。ラスト結末の考察【男同士の恋愛は友情を超えて】

松竹ヌーヴェルヴァーグと呼ばれ、世界的な名匠でもある大島渚監督の映画『戦場のメリークリスマス』。 第二次世界大戦時を描いた戦争映画でありながら、戦闘を描くことなく、多くは極限状態に置かれた日本軍捕虜収 …

ラブストーリー映画

映画『夕霧花園』感想評価とレビュー解説。阿部寛が海外マレーシアの主演作品で“自分らしさ”を発揮する

映画『夕霧花園』は2021年7月24日(土)より全国順次ロードショー! 阿部寛出演、戦後のマレーシアを舞台にとある日本人庭師が一人の女性との出会い、そして激動の中でたどり着いた愛の姿を描いた映画『夕霧 …

ラブストーリー映画

ジエン・マンシュー映画ママダメ主演の女優のプロフィールは?

映画『ママダメ』のヒロイン役を演じた台湾の女優の簡嫚書(ジエン・マンシュー)が、ネットで可愛いと大注目。 ジエン・マンシューは、どのような女の子なのでしょう? CONTENTS1.映画『ママは日本へ嫁 …

ラブストーリー映画

『ばるぼら』ネタバレ考察と解説。映画ラストの原作漫画との違いと小説を“死なせなかった”意味とは⁈

映画『ばるぼら』は2020年11月20日(金)よりシネマート新宿、渋谷ユーロスペースほかにて全国ロードショー公開! 「漫画の神様」こと漫画家・手塚治虫の数々の代表作の中でも「異色の名作」「映像化は不可 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学