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『恋愛小説家』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。大人のラブストーリー映画おすすめに見る“偏屈なダメ男”のかわいくてモテる理由⁈

  • Writer :
  • 山田あゆみ

映画『恋愛小説家』はジャック・ニコルソンが偏屈な男を演じた恋愛映画です。

偏屈な小説家と、彼の行きつけのレストランに勤めるウェイトレスの恋愛模様を描いた映画『恋愛小説家』

小説家の男をジャック・ニコルソンが演じ、『ハート・オブ・ウーマン』のヘレン・ハントと『リトル・ミス・サンシャイン』のグレッグ・キニアが共演しています。

ジャック・ニコルソンとヘレン・ハントがともにアカデミー賞主演男優賞と主演女優賞を受賞し、注目を集めたラブコメ映画である本作。

果たして小説家の恋の行方は?

映画『恋愛小説家』の作品情報


(C)1997 TRISTAR PICTURES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

【公開】
1997年(アメリカ映画)

【監督】
ジェームズ・L・ブルックス

【キャスト】
ジャック・ニコルソン、ヘレン・ハント、グレッグ・キニア、キューバ・グッティング・Jr、スキート・ウールリッチ、シャーリー・ナイト

【作品概要】
偏屈な小説家と、彼の行きつけのレストランに勤めるウェイトレスの恋を描いたラブコメディ。本作で主演を務めたジャック・ニコルソンとヘレン・ハントは、ともにアカデミー賞主演男優賞・主演女優賞を受賞しました。

監督は、『愛と追憶の日々』(1983)でゴールデングローブ賞の脚本賞、アカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞を受賞したジェームズ・L・ブルックス。他にウィリアム・ハート主演の『ブロードキャストニュース』(1987)を監督しています。

映画『恋愛小説家』のあらすじとネタバレ

偏屈な小説家メルヴィン(ジャック・ニコルソン)は、偏屈で気難しい性格の小説家。同じマンションの住人からも嫌われていました。

ある日、隣室の画家サイモン(グレッグ・キニア)と愛犬バーデルを巡って揉めます。メルヴィンはロビーで粗相をしたバーデルを、ダストシュートに放り投げていたからです。

サイモンは問い詰めるもメルヴィンは悪びれず、ゲイのサイモンに対して差別的で横柄な態度をとります。その様子を見ていたサイモンの友人で美術商のフランクは、サイモンに関わらないようメルヴィンを脅しました。

メルヴィンは行きつけのレストランへ。自分のいつもの席が他の人に座られているのを見て差別的な発言をし、先客を追い出してしまいました。

給仕係のキャロル(ヘレン・ハント)に文句を言います。キャロルは誰もが接客を嫌がるメルヴィンの給仕係をしていて、いつも悪態を軽くいなしていました。しかし、キャロルの病弱な息子をからかうような発言したメルヴィンは、キャロルに激怒されました。

キャロルは母親と息子スペンサーの3人暮らし。心配でデートもままならない生活を送っていました。翌日、メルヴィンは病気の息子がいることを知らなかったと反省の色をキャロルに見せます。

サイモンは、絵画モデルに雇われた若者ビンセントによって手引きされた強盗に襲われ、顔に傷跡が残るほどの大けがを負ってしまいます。行き場をなくしたバーデルを、フランクは無理やりメルヴィンに預けました。

始めは嫌がっていたメルヴィンでしたが、警戒するバーデルにピアノを聴かせたり、一緒に散歩をすると、自分と同様に継ぎ目を避けて歩くバーデルをすっかり気に入ります。しかし、サイモンが家に帰ってきたので渋々バーデルを返します。家で一人寂しく涙するメルヴィン。

孤独に耐えかねたメルヴィンは、強迫神経症の治療のためにカウンセラーの元を訪ねた後、いつものレストランに行きます。しかし、キャロルはそのお店を休んでいました。他のスタッフに悪態をついたメルヴィンはお店から追い出されてしまいます。

キャロルの住所を知ったメルヴィンは、彼女の家へ。キャロルはスペンサーの発熱で看病に追われていました。メルヴィンは、医師を夫に持つ出版社の編集者にかけ合い、一流の医師をキャロルの元へ手配します。

初めてスペンサーにまともな医療を受けさせられることを喜ぶキャロルでしたが、すべてメルヴィンが手配し支払うことに戸惑い、断ろうか迷っていました。

一方サイモンは破産し、アパートも出て行かなければならない状況に。メイドからバーデルの世話を頼まれたメルヴィンは、サイモンを訪ねます。意気消沈し自暴自棄になっているサイモンに、いつもの差別的な軽口を吐いてしまい大喧嘩になります。

メルヴィンは「元気づけるために言った」と弁解し、バーデルがなぜメルヴィンに懐いているかというとベーコンをあげているからだと、フランクにベーコンを渡します。しかし、バーデルはフランクではなくメルヴィンのもとに駆け寄りました。

キャロルは夜中に思い立ち、メルヴィンの家を訪ねます。下心を疑ったキャロルは「あなたとは絶対に寝ない」と言い放ちました。スペンサーが治療を受けられるようになり、キャロルは自分の時間を取り戻しましたが、街にいるカップルに嫉妬するようになったと母親に打ち明けて涙します。「一緒に外出しよう」と誘われ、出かけました。

親にお金を借りるため、ボルティモアに行くことになったサイモンのドライバーを頼まれたメルヴィンは、二人だと不安だからとキャロルを誘います。嫌々ながら同行することになったキャロルですが、車中でサイモンの両親との確執を聞いているうちにすっかり打ち解けました。

子どものころ、母がヌードになって絵を描いたことで父親に失神するまで殴られたと明かしたサイモン。ゲイであることも見透かされて、札束を手渡されて勘当されたのでした。

夜になり、宿に着いた3人。サイモンが「疲れたので眠りたい」と言うので、キャロルとメルヴィンは二人でディナーへ出かけました。

メルヴィンは、支度に時間がかかったり、レストランでドレスコードがあると言われ、急いでジャケットとネクタイを買いに行くなどしてしてキャロルを待たせます。挙句の果てに「ドレスが部屋着のようだ」と言ってキャロルを怒らせます。

「機嫌が直るような誉め言葉を言って」「さもないと帰る」と言うキャロルに、メルヴィンは悩んだ末打ち明けます。

薬を飲むのが苦手なので、強迫神経症の薬をずっと飲んでいなかったが、キャロルから「あなたとは絶対に寝ない」と言われてから、薬を飲み始めたメルヴィン。「それは、良い人間になりたくなったからだ」と話す彼の言葉を聞き、「生涯で最高のお世辞だわ」と答えるキャロル。

キャロルはメルヴィンにキスします。「店で初めて見かけたときハンサムだと思った」と明かします。そして「この旅になぜ私を誘った」と質問すると、メルヴィンは「君とサイモンが寝ればと思った」と言ってしまい、またキャロルを怒らせてしまいます。旅に誘った理由の一つだと言うものの、キャロルは怒ってホテルに帰ってしまいます。

サイモンの部屋に泊まることにしたキャロル。バスタブに裸で腰かけるキャロルの後ろ姿を見たサイモンは「絵を描かせてほしい」と頼みます。

「恥じらっていたキャロルですが、サイモンの誉め言葉に心を開いて、ヌードモデルをしました。笑いあって楽しい夜を過ごしたサイモンとキャロル。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『恋愛小説家』ネタバレ・結末の記載がございます。『恋愛小説家』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

翌朝、すっかり絵を描く情熱を取り戻したサイモンは、両親に電話をして「お金はいらない」と伝えます。親に会いに行くことを辞めたサイモンは、メルヴィンとキャロルと一緒に帰ることにしました。

帰路に着く前、公衆電話でフランクと話したメルヴィン。サイモンはマンションを手放すことが決まって、仮住まいに行かなければならないとサイモンに伝えます。

マンションに戻ると、サイモンを自分の部屋へ案内するメルヴィン。空き部屋をサイモンに貸すことにし、すでに荷物も運びこまれており、サイモンの部屋は貸家にしたのでした。サイモンは感動し「ありがとう。君が好きだ」と感謝を伝えます。

あるとき、メルヴィンの元に、キャロルが電話をかけてきました。

メルヴィンがサイモンに部屋を貸したことを聞き、「良い人なのは分かるが、もう傷つきたくないから、あなたかがまともになるまでは会えない」と言うキャロル。メルヴィンは「君と踊ればよかった」と、ボルティモアの夜のことを言いましたが電話を切られてしまいました。

もう死にたい気分だと喚くメルヴィンを、サイモンが慰めます。「君はラッキーだ。彼女を愛してる」と言い、キャロルに会いに行くようメルヴィンを説得します。

「捨て身で、アタックしろ」とアドバイスされたメルヴィンは勇気が湧いてキャロルの元へ出かけます。出かけようとドアを見ると、ドアのカギをかけ忘れていました。

キャロルの家に着いたメルヴィン。玄関先で言い合う2人。

「キャロルの家の前の道路が好きだ」と変なことを言い出したメルヴィンに対し「なぜ普通の恋人になれないの?」と嘆くキャロルですが、家から出てきた彼女の母親は「理想の恋人なんていないのよ」といなします。

キャロルは「全てをぶち壊したくなかったら、自分を抑えて欲しい」とメルヴィンに言って、家に招き入れます。

「ここは落ち着かないから散歩をしよう」とメルヴィンは誘います。「早朝4時の散歩は普通じゃない」と言うキャロルに、「パン屋が開くするから買いに行こう」と誘い出すメルヴィン。

外に出た二人は歩きながら話しますが、タイルを避けて歩いているメルヴィンを見て、やっぱり会計を続けるのは無理だと言い出すキャロル。対してメルヴィンは、自分の気持ちを伝えます。

「この世で僕だけが、君が世界一の女性だと知っている。テーブルに料理を運んでいる女性が世界一の女性だということを、自分だけが知っている。それが誇らしい。迷惑かい?」

「いいえ」と言ったキャロルにキスをし、抱きしめるメルヴィン。「もっと上手に」と言い、もう一度キスをし直し、抱き合い笑う二人。

パン屋が開店しました。メルヴィンはタイルの境を踏みながら店へと入っていきます。

映画『恋愛小説家』の感想と評価

偏屈でいつも一言多い、小説家メルヴィン。こんな男性を好きになれるかと言われると、私には難しい気がします。では、なぜキャロルは最終的に彼と付き合うことにしたのか?それは、口の悪さを帳消しにするほどの優しさ、だけではなく日本版タイトルの通り、メルヴィンが恋愛小説家だったからではないでしょうか。

それは、キャロルに対するメルヴィンの2回のセリフに注目するとわかります。1回目は、キャロルとメルヴィンがディナーの際に、キャロルが機嫌を直すための言葉をせがまれてメルヴィンが言ったセリフです。

以前「あなたとは絶対に寝ない」とキャロルに言われた日から、強迫神経症の薬を飲み始めたというメルヴィン。その理由を「良い人間になりたいと思った」と言います。キャロルに対して女性として魅力を感じていることを、初めて伝えたセリフです。

照れ隠しもあってか、この遠まわしな言い方になりましたが、薬を飲むことに抵抗があるメルヴィンが、それを我慢してでも女性として意識しているということ。そしてこの遠まわし具合も、がっつきすぎていない大人の魅力があります。キャロルがすっかり機嫌を直したのも頷けるところ……。

そして2回目は、ラストシーンのメルヴィンのセリフ「この世で僕だけが、君が世界一の女性だと知っている。テーブルに料理を運んでいる女性が世界一の女性だということを、自分だけが知っている。それが誇らしい。迷惑かい?」という、キャロルのことを全肯定したセリフです。

中略しましたが、ここではキャロルの息子への接し方についても賞賛しています。

病弱な息子のために、自分の人生を犠牲にしてきたキャロル。いざ自分だけの時間ができてもどうしたらいいか分からんず、パートナーがいない孤独を嘆いていたキャロルにとってこの言葉は、自分のことをすべて見て、受け入れてくれたと感じるものです。

見た目を褒めたり、いかに自分がキャロルを愛しているかを語るのではなく、キャロル自身のことを褒めるというのは、恋愛小説家で女心を分かっているメルヴィンならではでしょう。こんな風に言われるとたしかに憎めないし、好きになってしまうかもしれません。

作中で「愛とは……」と悩みながら執筆していたメルヴィンは、実は誰より愛について考えていて、女性を喜ばせる術を知っていたともいえます。

まとめ

この映画は、メルヴィンの強烈な毒舌キャラが目立ちますが、ほかのキャラクターたちの存在も欠かせません。同じマンションに住んでいる画家サイモンは物語の展開にも大きくかかわってきます。

ゲイであるサイモンに差別的な発言を繰り返すメルヴィンは、どこからどう見ても最低な人間でしたが、次第に彼の認識は変化していきます。

そしてメルヴィンが、サイモンに対して「ゲイであることで人生苦労している」と言おうとしたとき、「ストレートなら人生は楽?」と逆に聞かれてしまいます。このセリフに完全降伏なメルヴィン。偏見や差別だらけなものの見方を、変えさせられた瞬間だったといえます。この会話一つで、メルヴィンの気付きを描くという上手さも感じられる場面です。

また、キャロルの母親が言った「理想の恋人なんてどこにもいないのよ」というセリフも、核心を突く言葉でした。メルヴィンの変人ぶりに「なぜ普通の恋人になれないの」と嘆くキャロルに言ったセリフです。

理想ばかり追っていても、恋はうまくいかない。それも大人同士の恋愛であれば、多少の妥協も必要だという教訓ともいえる言葉です。




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