エル・ファニングがトランスジェンダーの主人公を演じる『アバウト・レイ 16歳の決断』が2月3日より公開されます。
恋多きシングルマザー(ナオミ・ワッツ)、レズビアンのおばあちゃん(スーザン・サランドン)と共に繰り広げられる、三代に渡る家族の物語は、<新たな人生を歩き出す人>へ贈る、希望の物語となっています!
CONTENTS
1.映画『アバウト・レイ 16歳の決断』の作品情報
【公開】
2017年(アメリカ映画)
【原題】
3 Generations
【監督】
ゲイビー・デラル
【キャスト】
エル・ファニング、ナオミ・ワッツ、スーザン・サランドン、テイト・ドノヴァン、リンダ・エモンド、サム・トラメル
【作品概要】
トランスジェンダーの主人公をエル・ファニング、その母にナオミ・ワッツ、祖母にスーザン・サランドンが扮し、家族間の絆や葛藤を描いたヒューマンドラマ。
『リトル・ミス・サンシャイン』(06)のマーク・タートルトーブ、ピーター・サラフがプロデューサーに名を連ねている
2.エル・ファニング(レイ役)のプロフィール
1988年4月9日生まれ、アメリカ出身。
『I am Sam アイ・アム・サム』(2001/ジェシー・ネルソン監督)で姉ダコタ・ファニングが演じる役の幼少期を演じてスクリーン・デビューを果たします。
子役として数々の映画やTVドラマ、CMに出演。『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008/デヴィッド・フィンチャー監督)ではケイト・ブランシェットの少女時代を演じました。
『SOMEWHERE』(2010/ソフィア・コッポラ監督)ではスティーブン・ドーフの娘役を、『SUPER 8/スーパーエイト』(11/J・J・エイブラムス監督)では少年たちの憧れの少女を演じました。
エドガー・アラン・ポーをモチーフにしたゴシック・ミステリ『Virginia/ヴァージニア』(2011/フランシス・フォード・コッポラ監督)では不思議な謎の少女役に挑み、『ジンジャーの朝 ~さよなら、わたしが愛した世界』(2012/サリー・ポッター監督)では、核戦争の脅威に震える多感な少女を演じるなど、若くしてアメリカ映画になくてはならない存在へと成長していきます。
『マレフィセント』(2014/ロバート・ストロンバーグ監督)のオーロラ姫役で人気を不動のものとします。
『ネオン・デーモン』(2016/ニコラス・ウィンディング・レフン監督)、『夜に生きる』(2016/ベン・アフレック監督)、『20センチュリー・ウーマン』(2017/マイク・ミルズ監督)、『パーティで女の子に話しかけるには』(2017/ジョン・キャメロン・ミッチェル監督)など、ここ、1、2年の出演作はどれも強烈な印象を残し、女優としてのキャリアに磨きをかけています。
とりわけ、『20センチュリー・ウーマン』の幼馴染の近所の女の子や『パーティで女の子に話しかけるには』の宇宙から来た少女のキュートな佇まいは、観るものの心を捕らえて離しません。
誰もエル・ファニングの変わりが出来る女優はいないと断言してもよいでしょう。
『アバウト・レイ 16歳の決断』では、レイを演じるにあたり、彼女は監督と共に、大勢のトランスジェンダーの子供たちに助言を求めたといいます。
トレードマークの長髪をばっさり切り、声も変えるなどレイになりきった演技を見せてくれているようです。
3.ナオミ・ワッツ(マギー役)のプロフィール
1968年9月28日生まれ、イギリス出身。
14歳の時にオーストラリアに移住。役者としてのキャリアのスタートは、オーストラリアでのテレビドラマやCMでした。
長らく芽が出ず、カルト映画やB級映画への出演が続く中、デヴィッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』(2001/)で主役に抜擢され、全米批評家協会賞主演女優賞をはじめ、多くの演技賞を受賞します。
翌年、日本でヒットしたホラー映画のハリウッド・リメイク作品『ザ・リング』(2002/ゴア・ヴァービンスキー監督)に主演し、世界的に知られるようになりました。
『21グラム』(2003/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)、『インポッシブル』(2012/フアン・アントニオ・バヨナ監督)では、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。
『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(2016/ノア・バームバック監督)では、ベン・ステラーと、『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(17/ジャン=マルク・ヴァレ監督)では、ジェイク・ギレンホールと共演し、爽やかな印象と確かな存在感を示しました。
また、昨年、25年ぶりに続編が制作され、話題を集めたデヴィッド・リンチのテレビドラマ『ツイン・ピークス THE RETURN』では、”二人のクーパー”の一人、ダギー・ジョーンズ(カイル・マクラクラン)の妻、ジェイニー・E・ジョーンズに配役され、謝金取りに啖呵を切るなど威勢の良い役どころで新境地を開きました。
『アバウト・レイ 16歳の決断』では恋多き母親役ということで、彼女のまた新たな側面が観られることでしょう!
4.スーザン・サランドン(ドリー役)のプロフィール
1946年10月4日生まれ、アメリカ出身。
アメリカカソリック大学の演劇科に学び、卒業後、1970年『ジョー』(ジョン・G・アヴィルドセン監督)で映画デビューを果たします。
1975年には、カルト映画の傑作ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』(ジム・シャーマン監督)のヒロインを演じ、1980年には『アトランティック・シティ』(ルイ・マル監督)でアカデミー賞主演女優賞に初ノミネートされました。
『テルマ&ルイーズ』(1991/リドリー・スコット監督)、『依頼人』(1994/ジョエル・シューマカー監督)でもアカデミー主演女優賞の候補にノミネートされます。
『さよならゲーム』(1988)で共演した12歳年下のティム・ロビンスと交際。彼が監督した『デッドマン・ウォーキング』(1995)で遂にアカデミー賞主演女優賞を受賞します。
テレビドラマ『フュード/確執 ベティvsジョーン』(2017)では、往年の名女優ベティ・デイヴィスを圧倒的な迫力で演じ、話題となりました。
名実ともに、アメリカを代表する名女優の一人です。
『アバウト・レイ 16歳の決断』ではレズビアンの祖母役を演じているとのことで、期待が高まります!
5.映画『アバウト・レイ 16歳の決断』のゲイビー・デラル監督とは
1961年、イギリス生まれ。
主にテレビシリーズで女優としても活躍。
監督としては、幾つかの短編を発表し、2001年に発表した短編映画『Football』が、サンダンス映画祭で上映されました。ヘレナ・ボナム=カーターが主演しています。
『The Ride』(2003)で長編映画監督デビュー。
05年の『On a Clear Day』は、造船所で働くエンジニアを主人公にした物語で、サンダンス映画祭のオープニングを飾り、フォーカス・フューチャズが配給権を獲得しました。
本作は、BAFTAスコットランド・アワードの作品賞と脚本賞に輝いた他、ロカルノ国際映画祭ピアッツァ・グランデ賞など多くの賞を受賞しました。
『Angels Crest』(2011)を経て、12年にはヘレン・マックロリー主演のイギリスITV制作の3部作「Leaving」を監督し、高い評価を受けています。
『アバウト・レイ 16歳の決断』のアイデアは、デラル監督が、親や祖父母、または子供がゲイやトランスジェンダーという家族の中で子供を育てる様々な人たちと出会った経験を基にしているのだそうです。
そこでデラル監督は次のように語っています。
「強い絆のある家族が、試行錯誤したり悩んだりしながら1人の子供を育てるという、親近感の持てる映画を作りたかった」
「家族」という普遍的なテーマの物語としても楽しめるものになっているようです。
6.映画『アバウト・レイ 16歳の決断』のあらすじ
身体の性別と心の性別が一致しないトランスジェンダーである16歳のレイは、身体も心も男性として生きていきたいという決意をします。
医者から受け取ったホルモン治療についての資料を手渡されたシングルマザーのマギーは、レイの決断に動揺を隠せません。
共に暮らすおばあちゃんのドリーはレズビアンですが、同性愛とトランスジェンダーは本質的に違いがあり、今ひとつ、レイの決断を理解することが出来ません。
一方、髪を短く切り、毎日身体を鍛え、一歩、一歩“本当の自分”に近づいていくレイ。
生き生きしていくレイを目の当たりにして、次第にマギーとドリーはレイの本来の姿を受け入れ、理解し始めます。
マギーは、治療の同意書のサインをもらうため、何年も会っていない別れた夫クレイグに会いに行きますが、クレイグの返事はしばらく時間を来れというものでした。
マギーはクレイグのせいにして、時間を引き延ばしますが、レイは独自でクレイグを探し出し、彼に会いに行きます。
そこでレイは思いがけない家族の秘密を知ってしまいます…。
7.まとめ
本作は当初2016年の1月に日本公開が予定されていましたが、本国での公開無期延期により、公開が中止されていました。
延期に至ったのには様々な事情があったようですが、本国では2017年5月に公開され、日本でも劇場公開されることになったのは、大変喜ばしいことです。
トランスジェンダーという社会的テーマを主題にし、心のみならず、身体も男性として生きていく決意をした16歳のレイの心情を見つめると共に、価値観の違う、三世代の家族の葛藤と愛情がどのように描かれているか注目です!
その三世代を演じるのが、エル・ファニング、ナオミ・ワッツ、スーザン・サランドンという、その配役だけでもとても魅力的で、期待せずにはいられません。
またその三人に、『アルゴ』(2012//ベン・アフレック監督)、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016/ケネス・ロノーガン監督)の出演が記憶に新しいテイト・ドノヴァンや、『きっと、星のせいじゃない。』(2014/ジョシュ・ブーン監督)でヒロインの父親役が印象的だったサム・トラメルらがどう絡んでいくのかも楽しみです。
注目の劇場公開は2018年2月3日(土)より、新宿ピカデリー他にて全国ロードショーされます!