映画『劇場版 ポリス×戦士 ラブパトリーナ! ~怪盗からの挑戦!ラブでパパッとタイホせよ!~』は2021年5月21日(金)より公開!
2017年よりテレビ東京系で放送されている特撮テレビドラマ「ガールズ×戦士シリーズ」の第4弾『ポリス×戦士 ラブパトリーナ!(以下、ラブパト)』の劇場版作品である『劇場版 ポリス×戦士 ラブパトリーナ! ~怪盗からの挑戦!ラブでパパッとタイホせよ!~』。
TVシリーズにて活躍する4人のラブパトリーナを演じる、渡辺未優・山口莉愛・山下結衣・杉浦優來が主演を務め、劇場版キャストの加藤清史郎・柳沢慎吾がラブパトの世界を盛り上げます。
このたび「ガールズ×戦士シリーズ」全4作の総監督を務め続け、シリーズの劇場版作品にあたる本作も監督した三池崇史監督へインタビューを敢行。
劇場版作品の制作にあたってのコンセプト、『ラブパト』ならびに「ガールズ×戦士シリーズ」に込められた「ラブ」の在り方など、作品への想いを語っていただきました。
CONTENTS
子どもたちが観てきた「ラブパトらしさ」を映画でも伝えたい
── 特撮テレビドラマ『ラブパト』の劇場版作品として、本作で新たに挑戦したことはありますか?
三池崇史監督(以下、三池):スタッフとは「映画だから」といって特別な構えを持つのはやめようと当初から話していました。「ラブパトを観に来たのに、何か違う」と感じられる作品では子どもたちがガッカリしますから、基本的なノリはテレビ版と同じものを保とうとしています。
ダンスシーンも、テレビ版でいつもやっているものにプラスアルファを加えて、普段応援しているラブパトの姿をそのまま劇場版で観られるのがいいと考えました。物語自体は、ラブがなくなるとお尻のように地球が割れてしまうのを阻止する映画だと言えなくもないですが(笑)、ラブパトらしく、子どもたちに楽しんでもらえる内容になっていると思います。
歌と踊りで悪者を「癒す」という戦い方
──従来の戦隊ものは、変身してすぐに戦いへと向かうことが多い中、ラブパトは戦闘前に歌を歌い、ダンスを披露します。シリーズ全体に共通する歌とダンスによる演出は、どのような着想のもと形作られていったのでしょうか?
三池:脚本の加藤陽一さんは以前からシリーズを通して、「暴力で解決しない」ということを作品の基本的なルールの一つと掲げていました。また物語上のメリハリをつけるために光線のようなエフェクトも作中では用いていますが、それは決して痛いものではなく、「包む」「癒す」という歌に込められた愛情の形として描いています。
悪いことをしている人の中にも、良心や優しさがある。逆に優しい人でも、心のどこかに悪い心があって、それを誰かに利用されると悪者になってしまうこともある。そういう人たちを、歌やダンスの力で元のピュアな人へと戻してあげるわけです。
悪者を殴り倒したりしない戦い方もある。「戦う」というより「癒す」というのがラブパトの戦い方ですが、一方で子どもたちに「癒し」という概念が伝わるのかなという懸念もありました。ただ歌って踊れるラブパトは、小さい女の子たちからすれば憧れの存在です。憧れのラブパトが、口で何かを言ったり力でねじ伏せたりするのではなく、歌とダンスで悪者を元の良い人へと戻す姿を、女の子たちも発想として受け入れてくれると考えたんです。
劇場版オリジナルキャスト、それぞれの魅力
──本作には柳沢慎吾さん・加藤清史郎さんが劇場版オリジナルキャストとして出演されています。このお二人が加わったことで、作品にはどのような変化が生まれましたか?
三池:脚本家の加藤さんが柳沢さんの大ファンで、脚本の第一稿から「シンゴ署長」と書いてあったんです。これは「キャスティングしてほしい」ということなのかな……と、察しました(笑)。
柳沢慎吾さんは普段テレビでみるままの、場を楽しく盛り上げてくださる方なので、ラブパトの4人の女の子たちにも、いかに柳沢さんがすごい役者なのかをまず説明した方が良いと考えました。
柳沢さんは、アドリブが好きなんですよ。台本上で必要なことをやり、そのプラスアルファとして何かをやり始めるんです。そのため彼には「僕が編集の権利を持っているので、好きにやってください」と伝えました。アドリブは面白ければ積極的に使うことにし、柳沢さん自身が「満足したかな」というところでカットをかけるようにしていました。その場にいる人たちに楽しい時間を過ごしてほしいと第一に考える、本当にピュアな方です。
三池:清史郎は子役の頃から、いろいろな環境に合わせて、自分なりに考えて演じることができました。僕は2年に一度、市川海老蔵さんと歌舞伎をやるのですが、清史郎は第一弾の際のゲスト主役を務めました。変則的な歌舞伎ではありましたが、あの市川海老蔵と一対一で共演するということで本人も努力をしましたし、海老蔵さんも清史郎を可愛がっていろいろ教えていました。
清史郎には、他者の作った環境に合わせて自分の求められている芝居が出来るという天性の才能があります。さらにロンドンへ留学したことで、一人の成長した男性として日本へ戻ってきました。「腹を決めたんだな」と自分は感じましたし、今後、彼独自のポジションを築いていくのではないかと思います。
ラブパトの4人が輝き続ける理由とは?
──ラブパトリーナを演じる渡辺未優・山口莉愛・山下結衣・杉浦優來の4人が、テレビ版『ラブパト』での1年を通して成長したと感じられた点はありますか?
三池:現場での立ち居振る舞いやルール、何かに集中していくやり方などは成長した一方で、根っこにあるキラキラした部分が初期と変わらないところが彼女たちの何よりの魅力です。何かを身に付けると大事な何かが薄れてしまうことがありますが、そういうところが全然ない。でも本人たちは、それが自分たちの魅力だとは気付いていないんですよね。だからこそ無垢なところと、そこから抜け出そうとして大人になろうとしている面という双方を持ち合わせています。
また彼女たちは、撮影しながら次の主題歌や振付を覚えているのだから、本当にすごいと思っています。僕らやスタッフが彼女たちをリスペクトするから、彼女たちの輝きが保たれているのかもしれません。
──『ラブパト』のテーマである「ラブ」について、三池監督が感じられている想いを改めてお聞かせください。
三池:実は「ラブ」は「バイオレンス」に直結していて、ラブなきバイオレンスはないと自分は思っています。「どうしてもこの人を守りたいんだ」という愛を思えば、それを妨げようとしてくる人と戦うという発想も強まる。ラブの深さによって、バイオレンスの度合いも変わるものだと感じてます。
ですが、ラブパトはそれを超越するものがあります。変身はするけれど、これまでのヒーローものとは少し意味が違う。肉体の変化というよりもコスチュームの変化で、アイテムが増えて技が使えるようになり、その技の核にあるのがダンスです。そして「元の自分に戻ってください!」という気持ちを込めて、悪者を自分たちのダンスで癒そうとする。そして悪者は癒されることで、元の自分が持っている優しさを取り戻します。
今見えなくなっている清らかな自分、優しさを気づかせるだけの能力。ラブパトが持つそうした力は、今の社会だからこそ強いし、とても大事だと感じています。
愛や平和を語って暴力でねじ伏せ、叩きのめすのも、それはそれで非常にリアルな表現だと思いますが、そうじゃない形で表現する可能性は、ラブパトのキャラクターたちが与えてくれたものです。作品の中でその表現を達成していくには、まだまだ別のやり方がある。自分の中ではいつかとんでもないものが完成する予感がありますが、それがどういうものなのかは、未だ掴めていないですね。
インタビュー・撮影/咲田真菜
三池崇史プロフィール
1960年生まれ、大阪府八尾市出身。横浜放送映画専門学院(元・日本映画学校)を卒業後、1991年に監督デビュー。以降、ジャンルを問わず精力的に映画制作を続け、作品本数は100を超える。
描く映像世界は海外からも高い評価を受けており、近年では、ヴェネチア国際映画祭『十三人の刺客』(2010)、カンヌ国際映画祭『一命』(2011)『藁の楯 わらのたて』(2013)、ローマ国際映画祭『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』(2014)がそれぞれコンペティション部門に出品。『無限の住人』(2017)はカンヌ国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門に公式選出された。
映画『劇場版 ポリス×戦士 ラブパトリーナ! ~怪盗からの挑戦!ラブでパパッとタイホせよ!~』の作品情報
【公開】
2021年(日本映画)
【監督】
三池崇史
【脚本】
加藤陽一
【キャスト】
渡辺未優、山口莉愛、山下結衣、杉浦優來、加藤清史郎、柳沢慎吾、菱田未渚美、山口綺羅、原田都愛、石井蘭、やしろ優、BOB、田中穂先、川原瑛都、上條沙恵子(CV)、豊永利行(CV・ナレーター)、冨士原生、小田柚葉、隅谷百花、鶴屋美咲、小川桜花、増田來亜 (Girls²)、黒木啓司(EXILE/ EXILE THE SECOND)
【作品概要】
2017年よりテレビ東京系での制作され続けている特撮テレビドラマ「ガールズ×戦士シリーズ」の第4弾『ポリス×戦士 ラブパトリーナ!』の劇場版作品。監督はシリーズ総監督を務めてきた三池崇史。
TVシリーズにて活躍する4人のラブパトリーナである、渡辺未優・山口莉愛・山下結衣・杉浦優來が主演を務め、劇場版キャストの加藤清史郎・柳沢慎吾がラブパトの世界を盛り上げます。
『劇場版 ポリス×戦士 ラブパトリーナ! ~怪盗からの挑戦!ラブでパパッとタイホせよ!~』あらすじ
ラブなき悪を、パパッとタイホします!
今日もみんなのラブを守るラブパトのもとに、世界で活躍する国際警察のシンゴ署長から依頼が!なんと、お宝「ラブダイヤモンド」が狙われているらしい!ラブラブなお宝は、スッゴい怪盗になんて渡さないよ!
でも警備に張り切る愛川警部を、ワルピョコ団がラブゼーロにしちゃった!しかもお宝を追って、現れたのはなんとあのファントミラージュ!?
世界のラブとお宝を守るため、ラブパトリーナ出動します!