Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

インタビュー特集

Entry 2019/12/02
Update

江野沢愛美インタビュー|映画『羊とオオカミの恋と殺人』憧れの倖田來未さんに感謝を持って続けられた仕事

  • Writer :
  • 大窪晶

映画『羊とオオカミの恋と殺人』は2019年11月29日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開中。

自殺願望を抱いた男の子と、殺人鬼の美少女のラブストーリー『羊とオオカミの恋と殺人』

原作は、自殺志願の男の子と殺人鬼の美少女とのスリリングかつキュートな恋模様を描いた『穴殺人』。漫画アプリ「マンガボックス」で閲覧数1位を独走し、待望の映画化となった本作。


(C)Cinemarche

今回は映画『羊とオオカミの恋と殺人』に出演する江野沢愛美さんのインタビューをお届けします。

モデルとして大活躍し“ティーンのカリスマ”とも呼ばれる江野沢さんがモデルを始めたきっかけから、これからについて、お話を伺いました。

「普通の子」を演じる難しさ


(C)2019「羊とオオカミの恋と殺人」製作委員会 ©裸村/講談社

──本作での江野沢さん演じる川崎春子はどのような役ですか?

江野沢愛美(以下、江野沢):この映画の登場人物の中で、唯一「普通」のキャラクターだと思います。

脚本を読んだ時点では、少し大人な大学生かなと想像しましたが、朝倉加葉子監督から、結構ガチガチな妹キャラで流行に敏感でお洒落好きな一般的な女の子というイメージを頂きました。

私自身、大学生活は知りませんし、高校も芸能学校に通っていて一般的な学生生活とは無縁だったので、最初はどうやって演じれば良いのか悩みました。

撮影では、ただただ杉野遥亮さん演じる黒須くんのことが好きな普通の女子大生ということだけを意識してお芝居するよう心がけました。

──朝倉監督とのお仕事はいかがでしたか。

江野沢:私はそれほど多くの映画に出演していませんが、今回はじめて女性監督とお仕事させて頂きました。

朝倉監督とは女性同士ということもあり、撮影中にお話もたくさんしてくださいましたし、私が演じたものを「可愛いかった」と褒めてもくださって、とてもありがたかったです。

──共演の杉野遥亮さんとは、撮影外でもお話をされたのでしょうか。

江野沢:はじめは俳優さんなのでとても緊張して、私が人見知りというのもあり全くお話できなかったんですが、杉野さんは場を盛り上げてくださる方で、たくさんお喋りしてくださいました。優しくてフレンドリーで、出身もお互い千葉県で、とても親近感が湧き、朝倉監督同様にとてもありがたかったです。

憧れの倖田來未さんに逢いたくて


(C)Cinemarche

──江野沢さんはモデルを中心にご活躍されていますが、モデルをはじめた経緯をお聞かせください。

江野沢:モデルの仕事を選んだのは、幼稚園児の頃から洋服が大好きで、人と同じ格好をしたくない性格が根本にあるからだと思います。

小学校低学年の頃、みんなは親からマンガを買ってもらっている中で、私は毎月ファッション雑誌を買ってもらっていました。転機は小学校中学年で倖田來未さんが大好きになったことです。

そして小学校5年生、11歳の時に、母親からエイベックスのオーディションへ行ったら倖田來未さんに会えるかもしれないよと言われオーディションを受けに行きました。審査では、もちろん倖田來未さんには会えなかったので当時は「騙された」と思っていました(笑)。

──その後、念願の倖田來未さんにはお会いできましたか?

江野沢:事務所に入って8年目にやっとお会いできました。お会いしたのはTGC(トーキョーガールズコレクション)で私がモデルとして出演している時で、倖田さんはTGCのゲストでいらっしゃっていて、私も出番があるので、その合間の5分くらいのほんの少しの時間だったのですがお話する事ができて大号泣してしまいました。

倖田さんから「私のせいで人生変わっちゃってごめんね」といわれて、私が「そんなことないです」と返すと「私が何か変えたのが嬉しい」って泣いてくださって、この事は一生忘れられない出来事でした。

──倖田來未さんに導かれた人生はいかがですか?

江野沢:幼少期は美容師になりたかったので、モデルの仕事なんて考えてもいなかったことです。子どもの頃は友だちとも遊びたかったですし、辞めたくて仕方がなかったです。

小さい頃から何をやっても続かない性格で、まさか自分が12年間も芸能の仕事をしているなんて思ってもみなかったので、ここまで続けてきた自分を褒めてあげたいです。そして、倖田來未さんに会いたかっただけの私を今まで見放さず、俳優のお仕事まで頂いている今の事務所には本当に感謝しています。

子どもの頃から好きだったお芝居


(C)Cinemarche

──俳優の仕事は江野沢さんにとってどのような存在ですか。

江野沢:小さい頃から歌やダンスのレッスンは苦手でなかなか上手くならないと感じていましたが、お芝居のレッスンは初めてやった時から楽しくて頑張ってこれました。

ダンスや歌のレッスンは、同年代の子たちと一緒にずっとやっていましたが、お芝居は大人の人たちと一緒にやるように組まれていて、テレビで見ているような光景が目の前で繰り広げられていて、子供の私にとって刺激的だったのを覚えています。こうして映画に携わると、あの時の楽しかった気持ちがもの凄く蘇ってきて、改めて私はお芝居が好きなんだなと思わされます。

──最後にこれから挑戦したいことはありますか?

江野沢:モデルはずっと続けて行きたいです。いちばん自分に合っている仕事だと思います。そしてお芝居も上手く両立して、バランスよくやっていくことが目標です。

俳優に関しては、まだまだ経験が足りないので、1つでも多くの作品に携わって、もっとやってみたいという気持ちが強くあります。この先も映画出演の機会があればたくさんチャレンジしていきたいです。

インタビュー・写真/大窪晶

江野沢愛美(えのさわ まなみ)プロフィール

1996年生まれ、千葉県出身。小学生の頃より話題の企業TVCM・映画に出演。

モデルとしてファッション誌の表紙を多く飾り“ティーンのカリスマ”とよばれます。

2013年~Seventeen専属モデルを経て、現在non-no専属モデルとして大型コレクションやアパレル企業広告などのメインモデルに多数起用されます。

同性代女性からの指示が高く、自身のプロデュース商品も大ヒット。タレントとしてラジオパーソナリティや番組MCも務めるなど活動は多岐に渡ります。

映画『羊とオオカミの恋と殺人』の作品情報

【日本公開】
2019年(日本映画)

【原作】
裸村『穴殺人』

【監督】
朝倉加葉子

【脚本】
髙橋泉

【キャスト】
杉野遥亮、福原遥、江野沢愛美、笠松将、清水尚弥、一ノ瀬ワタル、江口のりこ

【作品概要】
1,000万ダウンロードを突破している人気漫画アプリ『マンガボックス』で閲覧数1位を独走した裸村作の異色カップルが贈るスプラッター・ラブコメディコミック『穴殺人』が原作。

自殺志願の男の子の黒須役で『キセキ -あの日のソビト-』(2017)『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』(2019)の杉野遥亮が映画初主演を果しました。

W主演として、『4月の君、スピカ。』(2019)やドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(2019)の福原遥が殺人鬼の美少女・宮市役を演じます。

監督は『クソすばらしいこの世界』(2013)や『女の子よ死体と踊れ』(2015)の朝倉加葉子です。

映画『羊とオオカミの恋と殺人』のあらすじ


(C)2019「羊とオオカミの恋と殺人」製作委員会 ©裸村/講談社

大学受験に失敗し、予備校もやめてアパートでひきこもり生活を送る黒須(杉野遥亮)。

水道や電気、携帯までも料金未払いのため止められてしまい絶望した彼は、自ら命を絶とう決心し、壁に打ち付けてある棚にベルトをかけ、首に巻き付けます。

しかし壁は脆くも崩れ、計画は失敗。壁には小さな穴が開いてしまいました。

その穴から漏れる一筋の光に導かれ、黒須は穴に近づきます。

穴から見えたのは美しい隣人・宮市さん(福原遥)の部屋でした。

彼女の美しさに夢中になった黒須は、穴を覗くことを日課にし、生きる希望を見出していきます。

偶然アパートの前で宮市さんと会った黒須。彼の空腹な様子を見た宮市さんは、自室に招いて手料理をごちそうしてくれます。

その後も、毎日のように宮市さんの部屋でご飯をごちそうになる黒須でしたが、穴からの覗き行為は変わらず続けていました。

ある雨の日。今日も黒須は穴から宮市さんの部屋を覗いています。

レインコートを着た宮市さんが帰宅しました。後に続くのは見知らぬ男性。

宮市さんに恋人がいたのかと黒須がショックを受けているのも束の間、宮市さんは手にしたカッターナイフで男性の首を切り裂きます。

つい悲鳴を上げてしまった黒須。穴から覗かれていた事に気付いた宮市さんは、逃げる黒須を追いかけます。

ビルの屋上に追い詰められ、カッターナイフを突き付けられた黒須が放ったひと言で、ふたりの運命は激変していき…。



関連記事

インタビュー特集

【加藤雅也インタビュー】映画『銃2020』俳優として思考し“行動”を続けていった先に見えてくる“演技”の理由

映画『銃2020』は2020年7月10日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国ロードショー公開中! 作家・中村文則のデビュー作を映画化した『銃』(2018)。その第二弾にして、前作に引き続き …

インタビュー特集

【福本莉子インタビュー】映画『今夜、世界からこの恋が消えても』道枝駿佑が頑張る姿に自らも奮起

映画『今夜、世界からこの恋が消えても』は7月29日(金)より全国東宝系にてロードショー! 眠りにつくとその日の記憶を失ってしまう「前向性健忘」を患うヒロイン・日野真織と、そんな彼女を献身的に支えるも、 …

インタビュー特集

【野本梢監督インタビュー】映画『愛のくだらない』主演・藤原麻希と共に“自己の戒め”の想いから撮った作品

映画『愛のくだらない』は2021年9月24日(金)よりシネ・リーブル梅田にて、10月30日(土)より池袋シネマ・ロサにて劇場公開。他全国順次公開。 日本映画界における新人監督の登竜門「田辺・弁慶映画祭 …

インタビュー特集

広島の映画館「八丁座」蔵本健太郎(支配人)インタビュー【まちなかの映画館の再興を目指して】

映画のセレクトショップとして、広島市民に愛されている劇場「八丁座」。 (c)Cinemarche 広島市の中心、八丁堀福屋百貨店8階にある映画館「八丁座」。江戸時代の芝居小屋をイメージして2010年に …

インタビュー特集

【進藤丈広監督×三濃川陽介インタビュー】映画『クローゼット』添い寝屋という職業から“人と寄り添うこと”の意味を知る

映画『クローゼット』は、2020年10月30日(金)よりテアトル新宿、11月6日(金)より大阪・シネリーブル梅田にて公開ロードショー! 若い女性が歌舞伎町のビルで飛び降り自殺した実話をベースに、人生に …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学