予告編がインターネット上でアップされた際に、24時間で1億9700万回という史上最多の再生回数を記録し、全米で『エクソシスト』の持つホラー映画興行収入記録を塗り替えた本作。
原作はホラー小説界の頂点に君臨するスティーヴン・キングの代表作『IT/イット』。
原作者キングも予想以上の出来栄えだと語る!
CONTENTS
1.映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の作品情報
【公開】
2017年(アメリカ映画)
【原題】
It
【監督】
アンドレス・ムシェッティ
【キャスト】
ジェイデン・リーバーハー、ビル・スカルスガルド、フィン・ウォルフハード、ソフィア・リリス、ニコラス・ハミルトン
【作品概要】
原作はアメリカの人気作家スティーブン・キング。1990年にテレビドラマ『IT』として放映した作品を、映画『MAMA』で知られるようになったアンドレス・ムシェッティ監督が演出を務め、ピエロ恐怖症を誘発するホラー作品。
2.映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のあらすじとネタバレ
1988年10月、アメリカの田舎町デリーに住む病弱で吃音症持ちのビル。
彼は弟のジョージーの為に折り紙で船を作ってあげます。
ビルの作ってくれた折り紙の船を喜び、土砂降りの雨の中、船を流して遊びジョージー。
しかし。船は排水口の中に入ってしまいます。
「ビルに怒られる」と困っていたジョージーの前に「ペニーワイズ」と名乗るピエロ姿の男が現れます。
ペニーワイズは、「仲良くなろう」と言葉巧みにジョージーに近づき、ジョージーも彼に心を許します。
しかし、船を返してもらおうと手を出した瞬間に、ペニーワイズは牙だらけの口を大きく開き、ジョージーの片腕を食いちぎります。
逃げようとするジョージーを、ペニーワイズは排水口に引きずり込むのでした。
ビルと負け犬達
弟ジョージーの失踪から8ヶ月、街では子供たちの失踪が多発しており厳戒態勢が取られていました。
そんな中、ビルと友人たちは夏休みを迎えます。
吃音症持ちのビルの他に、お調子者で、お喋りのリッチー。
病気がちで臆病なエディ。
父親がラビですが、宗教に興味が無く理屈っぽい性格のスタンリー。
彼らは、ヘンリーをリーダーとする不良グループの餌食になっており自らをルーザーズ・クラブと呼んでいました。
他にも転校生で友達がいなくて、本ばかり読んでいるデブでドジ臭いベン。
牧場で働いていますが、心優しい性格から牛や豚を屠殺する事が出来ず、周囲の大人に怒られている黒人のマイク。
いろいろな男と関係を持っていると噂を流されて、嫌がらせを受けているベバリーが学校に在籍しています。
ベンは自分に優しく話かけてくれたベバリーに一目惚れをします。
子供たちに忍び寄るペニーワイズの恐怖
弟ジョージーの失踪が忘れられないビルは「荒地にジョージーは流れ着いた」という独自の仮説を立て、仲間たちとジョージーの探索に向かいます。
その頃、マイクやベンの前にもペニーワイズが現れ「恐怖」を植え付けていきます。
図書館でペニーワイズに遭遇したベンは、逃げる途中でヘンリー達不良グループに襲われます。
ヘンリー達に暴行を受けたベンは、不良グループから逃げ出し、ジョージーを探索していたビル達のグループと合流。
傷だらけのベンを目の当たりにしたビル達は、薬局で偶然出会ったベバリーの協力もあり、薬と包帯を調達しベンを手当てします。
一方で、ベンを探していた不良グループの1人がペニーワイズに襲われ行方不明になるのでした。
行方不明事件に浮上する数字「27」加速するペニーワイズの恐怖
次の日、川遊びをするルーザーズ・クラブに、高圧的な父親から逃げて来たベバリーも加わります。
その時、デリーの歴史を勉強していたベンから「子供の失踪事件は27年周期で起きている」事を聞かされ、ベンの家に貼られていた資料の中に、ピエロのような姿が描かれている事をビルは発見します。
失踪事件の真相に気づいたルーザーズ・クラブのメンバーの前に、ペニーワイズが現れ、血を吹き出す排水口、絵の中から出てきた不気味な女性、皮膚病にかかった患者の幽霊などが出現し、メンバーに恐怖心を植え付けていきます。
そして、ビルの前にもジョージーの幽霊と共に、ペニーワイズが現れ襲いかかってくるのでした。
ペニーワイズから逃れたビルは、ルーザーズ・クラブと、不良グループに暴行を受けていた所を助けたマイクを加えた7人で、ペニーワイズと戦う事を決意します。
ペニーワイズは、町に張り巡らされた下水が、1つになる場所にある廃墟に住んでいる事を突き止めます。
ペニーワイズの策略で引き裂かれる友情
ルーザーズ・クラブは、ペニーワイズの住処であろう廃墟に突入しますが、ペニーワイズの策略にはまり、1人1人が分断され、恐怖心を更に植え付けられてしまいます。
なんとか逃げ出したルーザーズ・クラブですが「次は準備をして来よう」と提案するビルに、ルーザーズ・クラブは反発しバラバラになってしまいます。
ペニーワイズの術中にハマってしまったルーザーズ・クラブ、このまま終わってしまうのでしょうか?
3.映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の感想と評価
発刊以来30年に渡り、ファンを魅了し続けているスティーヴン・キングの代表作『IT/イット』。
1990年に1度テレビドラマとして映像化され、今回は27年ぶりの映画映化となります。
現代の映像技術を駆使して表現されるペニーワイズの恐ろしさは必見で、小刻みに震えながら、首を左右に揺らして全速力で走ってくる姿は、スクリーンで体験していただきたいです。
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』特別映像
監督を務めたアンディ・ムスキエティ自身がYouTubeの特別映像で、「ひと味違うホラー映画だ。友情を描き、結束することで悪に立ち向かえることを描く」と話している通り、子供達の成長や友情を描いた人間ドラマとしても素晴らしい作品です。
また、すでに2019年に続編が公開予定ということで、本作に張り巡らされた“謎”が観る者の想像を膨らませてくれます。
①ペニーワイズは何者なのか?
②大人には見えないのか?
③最後にルーザーズ・クラブのメンバーが帰宅した順序に意味はあるのか?
といったことを想像すると、鑑賞後もさらに楽しめるのではないでしょうか。
まとめ
ホラー映画と青春映画の要素を持つこの作品。
恐怖シーンの後に、子供達の微笑ましいやり取りがあるなど、バランスが絶妙です。
鑑賞前は「何故、今『IT/イット』なのか?」と思っていましたが、ペニーワイズの恐怖に団結力で挑むルーザーズ・クラブの姿は、人間関係の繋がりが希薄になってしまった、現代の我々に訴えかけるものがあるような気がします。
それは暴力で人を支配し、最後は孤立して狂気に取り憑かれたヘンリーの姿にも表現されているのではないでしょうか。
鑑賞後にいろいろと考えさせられるこの作品、新たな『IT/イット』を体験してみてはいかがでしょうか?