人間の潜在意識に入り込み、悪霊を除霊する車椅子の科学者と悪霊との戦いを描いたホラー作品。
科学の力で悪霊に対抗する、新感覚の悪霊祓い映画が誕生!
CONTENTS
1.映画『ドクター・エクソシスト』の作品情報
【公開】
2016年(アメリカ映画)
【原題】
Incarnate
【監督】
ブラッド・ペイトン
【キャスト】
アーロン・エッカート、カリス・ファン・ハウテン、カタリーナ・サンディノ・モレノ、デビッド・マズーズ、キーア・オドネル
【作品概要】
「パラノーマル・アクティビティ」のジェイソン・ブラム製作、「ダークナイト」のアーロン・エッカート主演、新感覚の悪魔祓い映画。
少年に憑依した最強の悪霊「マギー」に科学の力で対抗する科学者エンバーの戦いを描く。監督は『カリフォルニア・ダウン』のブラッド・ペイトン。
2.映画『ドクター・エクソシスト』のあらすじとネタバレ
キャメロンは彼の母親リンジーとの帰宅途中に、異様な雰囲気で奇声をあげている女性を目撃します。
異様さに恐怖を感じたキャメロンは、逃げるように帰宅し、リンジーとの時間を過ごしていました。
やがてリンジーが眠った後に、部屋の中に気配を感じたキャメロンは、確認に行くとそこには先ほど、外で目撃した異様な雰囲気の女性が現れ、キャメロンに襲いかかってきました。
しかし、キャメロンは逆に女性の命を奪います。
キャメロンの目は人間のものとは思えない、異様な雰囲気に満ちていました。
悪霊と戦う科学者セス・エンバー
車椅子の科学者セス・エンバーは、2人の若い助手と悪霊祓いを行っていました。
エンバーは悪霊を“実態の無い寄生体”だと考え、自身も仮死状態に陥ることで、悪霊に憑依された人の精神世界に潜り込み、現実世界に連れ出すという独自の方法で悪霊祓いを行います。
エンバーは“マギー”という悪霊を追いかけていましたが、その行方を見失ってしまいます。
そこにバチカンから「ある少年に憑依した悪霊を、追い払ってほしい」との依頼がありました。
過去にバチカンから騙された過去があるエンバーは、いったんは依頼を断ります。
しかし、エンバーの師匠であるフェリックスからの紹介であること、少年に憑依した悪霊がマギーの可能性が高いと聞かされました。
エンバーはフェリックスを訪ね、少年に憑依した悪霊の件を相談します。
フェリックスは自身が捉え監視している悪霊からの情報で、少年に憑依した悪霊が“マギー”だということをエンバーに伝え「戦いに敗れた時はこれを使え」と、精神世界から10秒間だけ現実世界に戻れる薬を差し出しました。
しかし、「自分には必要ない」とエンバーは薬を拒否します。
遂に始まる悪霊マギーとの戦い
エンバーは少年に憑依した悪霊が“マギー”だとを確認するために、リンジーと悪霊に憑依されたキャメロンを訪ねます。
エンバーの前に姿を見せたキャメロンは、少年の声とは思えないほど低く嗄れた声を発し、エンバーを知っていると伝えます。
エンバーは会話の中でキャメロンに憑依した悪霊は、“マギー”である事を確信し、2人の助手と共にキャメロンを救うため、キャメロンの精神世界に入ります。
エンバーが辿り着いたのは平和な公園。父親とキャッチボールをするキャメロンを見つけ、説得をしようと話かけようとします。
しかし、エンバーのお腹から血が流れはじめたことにより、警戒したキャメロンは父親と共に逃げ出します。
追いかけようとするエンバーですが、口からも吐血し動けなくなりました。
エンバーが精神世界に入れるのは8分間だけで、それ以上はエンバーの心臓が停止して命を落とす危険性があります。
危険を感じたエンバーの助手は、強引にエンバーを叩き起こします。
エンバーは助かりましたが、キャメロンの救出には失敗してしまいます。
鍵となる父親の存在
エンバーはキャメロンの精神世界に彼の父親がいたことで、悪霊祓いには父親の存在が重要と考えます。
しかし、父親はアルコール中毒で、キャメロンに暴行をした現在は別居中、父親への協力要請をリンジーは嫌がります。
それでも父親が必要だと感じたエンバーは、父親に協力を求めてキャメロンの説得を依頼します。
その際に「絶対にキャメロンに触るな、悪霊が寄生する可能性がある」と忠告しました。
変わり果てた姿のキャメロンを前に、父親は戸惑いながらも説得を開始、一度はキャメロンが心を開いたように見えましたが、それはマギーの罠でした。
マギーに襲われ絶命する父親、その光景を前に「お前の狙いは俺だろ!」とエンバーは叫びます。
明かされるエンバーとマギーの因縁
キャメロンの父親も命を奪われてしまい、絶望的な状況の中、リンジーはエンバーが発した言葉の真意を追求します。
エンバーは人の精神状態に入れる特殊な能力を持っており、能力を持つ者が破滅していく姿を見ていたことで、能力を隠しながら生活していました。
しかし、能力を持つ事でマギーに狙われてしまい、交通事故に見せかけてエンバーの家族は殺害され、エンバー自身も車椅子で生活するようになったのです。
エンバーは「ここに来たのは復讐の為、キャメロンの為じゃない」と言い放ちます。
しかし状況が一変し、マギーがキャメロンの生命力を吸収し始めた様子を助手から聞かされたエンバー。
目の前でマギーによる新たな犠牲者を出さないため、エンバーはマギーとの最後の戦いに挑みます。
3.映画『ドクター・エクソシスト』の感想と評価
科学の力で悪霊に挑む男を描いた『ドクター・エクソシスト』。
ホラーとしての要素だけではなく、脳波で悪霊の侵食を感知したり、悪霊の作り出した精神世界は時間が全く進まない「バグ」と呼ばれる現象が起きるなど、SFの要素も入っており、これまでとは全く違う悪霊祓い映画の新境地を作り上げています。
また、悪霊を追い払うには、現実世界の人間関係が大きな鍵となったり、主人公エンバーが悪霊マギーと戦う理由が家族の仇を撃つというシチュエーションであったり人間ドラマとしても見応えのある作品になっています。
特にエンバーを演じたアーロン・エッカートの演技が素晴らしく「悲しみを背負い、恐怖に立ち向かう男」の姿を見事に表現しています。
一匹狼のように見えますが、助手2人に絶対的な信頼を置き、荒っぽい性格ですが、悪霊に憑依された人間には、心に響くように語りかけるなど、聖人ではない生身の人間っぽさが最高にかっこよくエンバーの活躍をもっと見たいと感じさせ、シリーズ化を望みたいですね。
この映画の主軸は「悪霊の怖さ」ではなく「悪霊と戦う人間ドラマ」なのでホラーが苦手な人にも是非オススメしたい良作です。
まとめ
悪霊祓いという古典的なテーマにSFを組み合わせ、見応えのある人間ドラマに仕立て上げたこの作品。
新しさだけではなく『エクソシスト』を彷彿とさせる、悪霊祓いの古典的な展開も上手く取り入れています。
何度も使われたテーマも、アイデア1つで新しい作品に生まれ変わらせることが映画の醍醐味のひとつだと思います。
現代の感覚で製作された、新たな悪霊祓い映画『ドクター・エクソシスト』、そのアイデアと人間ドラマを是非楽しんで下さい!