Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ファンタジー映画

Entry 2018/12/17
Update

アニメ映画『グリンチ(2018)』あらすじネタバレと感想。ラスト結末までの詳細な解説

  • Writer :
  • 白石丸

有名絵本を「ミニオン」シリーズや『SING』のイルミネーションスタジオが映画化!

意地悪で孤独なグリンチがクリスマスを盗むという大胆な作戦に打って出る!

楽しいギャグと見事なアニメーション教訓と感動もある見事なファミリームービー。

この冬の目玉作品の解説をしていきます。

映画『グリンチ』の作品情報


(C)UNIVERSAL PICTURES

【公開】
2018年(アメリカ映画)

【原題】
The Grinch

【監督】
ヤーロウ・チェイニー、スコット・モシャー


【キャスト】
ベネディクト・カンバーバッチ、ラシダ・ジョーンズ、アンジェラ・ランズベリー、キーナン・トンプソン、キャメロン・シーリー、ファレル・ウィリアムズ

【概要】
あのベストセラー絵本『いじわるグリンチのクリスマス』がイルミネーションスタジオの手で2度目の映画化。

主演グリンチの声はベネディクト・カンバーバッチ。

ナレーションはファレル・ウィリアムズが務めます。

吹き替えには、大泉洋、秋山竜次、杏、宮野真守ら、確かな演技力を持ったメンバーが集いました。

映画『グリンチ』のあらすじ


(C)UNIVERSAL PICTURES

フーの村はみんながクリスマス大好き。

ヒネクレ者のグリンチは、その近くの山の洞窟で愛犬のマックスと暮していましたが、クリスマスが大嫌いでした。

孤児院で育った彼は父母の愛を受けず、毎年孤独なクリスマスを送っていたからです。

クリスマスが過ぎるまで引きこもって暮らす予定でしたが、いら立ちからやけ食いをして、食べ物が無くなってしまいました。

仕方なく村に買い出しに行くグリンチ。

彼はクリスマスに浮かれる村人に、できる限りの意地悪をします。

村の少女シンディー・ルーはサンタへのお願いを書いた手紙を届けようとソリで家を出発しますが、途中でグリンチにぶつかってしまいます。


(C)UNIVERSAL PICTURES

ルーの目的を聞いたグリンチはこう答えます。

「それなら手紙じゃなくて直接届けたらどうだい?」

ルーはそれを真に受けて、サンタに直接会う方法を考え始めました。

買い出しを終えて帰路の途中に彼を親友と思い込んでいる太っちょ男、ブリグルバウムに出くわします。

彼から、今年は例年の3倍の規模でクリスマスを行うと聞いたグリンチはうんざり。

翌日、グリンチがマックスとチェスをしていると突然上空から轟音がします。

ブリグルバウムが注文した巨大ツリーが飛行船で運ばれているところでした。

グリンチは投石器を作ってツリーを壊してやろうとしますが、間違って自分が飛ばされてしまい、ツリー点灯のスイッチを押してしまいます。

人々は歓声に湧き、グリンチは「サンタクロースに化けてみんなのクリスマスを盗み出してやる」と計画を練り始めます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『グリンチ』ネタバレ・結末の記載がございます。『グリンチ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)UNIVERSAL PICTURES

まずグリンチは、マックスと協力してブリグルバウムの家の屋根にあるソリを盗み出し、今度はそれを引いてくれるトナカイを捕まえに行きます。

野生のトナカイはみな俊敏で逃げられてしまいますが、丸々太ったフレッドというトナカイだけ捕まえることができました。

グリンチにすぐ懐いたフレッド。

その頃ルーは友達と話し合い、クリスマスイブの夜に自分の部屋に罠を張り、サンタを捕獲する作戦を立てていました。

彼女は、シングルマザーで働きづめの母ドナに楽をさせたいとサンタに頼むつもりでした。

グリンチはフレッドにソリを引かせる練習をしていましたが、勢い余って一気に崖下まで滑り降りてしまいます。

そこにはフレッドの妻と息子がいました。

グリンチはフレッドを、家族と一緒にいたほうがいいと開放します。

かわりに、マックスを無理やりトナカイ役にしてソリを引かせることにしたグリンチ。

器用なグリンチは発明の才能を活かして効率よくプレゼントやツリーを盗む道具を次々と開発。

そして12月24日がやってきました。

深夜、サンタの格好になったグリンチはソリで村に行き、家々の煙突から侵入してプレゼントとツリーを盗んで回ります。

マックスの引くソリは、あっという間にプレゼントの山に。

街中のイルミネーションも全部回収し、最後に彼はルーの家を訪れました。

煙突から忍び込んだ瞬間、グリンチはルーの作った罠にかかり、彼女が飛び起きてやってきます。

ルーに、「母に楽をさせて欲しい」と頼まれたグリンチは良心が咎めますが、「願いを叶えよう」と嘘をついて彼女を寝かせました。

翌朝、村中のクリスマスに関するものが全て消えているのを見た人々は悲嘆に暮れます。

ルーは、自分がサンタに罠をかけたせいで彼を怒らせてしまったのではと気に病みます。

母が「大丈夫よ、プレゼントもツリーもなくてもクリスマスはみんなの心にあるわ。」とルーを励まします。

そして「私にはあなたというプレゼントが既にあるわ」と微笑みました。

グリンチは家の近くの崖からプレゼントを落とそうとしますが、ルーの言葉を思い出し、ためらってしまいます。

そこに聖歌が聞こえてきます。

村人たちが輪になって、クリスマスが盗まれても歌を歌っていたのです。

グリンチはそれを聞いて、冷えていたハートが暖まり、3倍に膨れたような気分になります。

しかしプレゼントの重みで崖が崩れ始めます。

崖下に飲まれそうになるプレゼントの山に飛び乗り、ロープでつなぎ止めようとするグリンチ。

マックスもロープを引っ張りますが、重さに負けそうになった瞬間!

フレッドと家族が現れ、ロープを口にくわえて引き上げてくれました。

プレゼントを回収したグリンチは村に降りて、住民たちに自分が犯人だと告げ謝罪し、ひとり寂しく帰って行きました。

その日の夕方、彼の家にルーが訪れます。

彼女はグリンチをディナーに誘います。

グリンチがマックスと彼女の家に行くと、パーティが行われており、母ドナもブリグルバウムも他の村人たちも彼を歓迎してくれます。

ルーは、グリンチの起こした事件のおかげで、母との絆が深まったことを感謝していました。

グリンチは気づきます。

自分はクリスマスが嫌なのではなく、孤独が嫌だったのだと。

映画『グリンチ』の感想と評価


(C)UNIVERSAL PICTURES

ジム・キャリー主演の実写版『グリンチ』(2000)から18年。

今やピクサーと並ぶメジャーCGアニメ映画会社となったイルミネーションスタジオが、ドクタースースーの人気絵本『いじわるグリンチのクリスマス』を再び映画化しました。

まず最先端のCGアニメで描かれるフーの村の美しいクリスマス風景と雪の表現グリンチの荒唐無稽な発明キャラのデフォルメと動きの豊かさに目を奪われます。

グリンチも意地悪さと可愛らしさの共存する絶妙なデザインになっており、アニメーションでしかできない表現に溢れています。

セリフではなく動きの面白さで笑わせる純アニメ的ギャグも多く、イルミネーションのアニメ技術の高さがわかります。

また本作の音楽を担当しているのはあのダニー・エルフマン

ティム・バートン映画の常連音楽家であり、『シザーハンズ』(1991)や『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1994)、『チャーリーとチョコレート工場』(2005)などの名作のように、クリスマスや雪の世界観を盛り上げる音楽を今回も作ってくれています。

彼を引き入れた段階で、この映画のクリスマス描写が素晴らしいものになるのは決まっていたと言えるでしょう。

実力派俳優ベネディクト・カンバーバッチも、彼と気づかせない意地悪さが出た声作りをしている一方、グリンチの改心する描写では人間味溢れた演技で魅せてくれます。

ストーリーでもイルミネーションならではのアレンジが加えられています。

絵本ではグリンチがクリスマスを嫌う理由は描かれませんが、今作ではしっかりとなぜ彼がクリスマスを嫌い、何を求めているのかを描いています。

孤児院出身という設定を加え、孤独を恐れる人間らしい描写がされています。

また、フーの村人たちのクリスマスへの浮かれっぷりはわざと累計的に描いており、誰もがちょっと「うわ、これは馴染めないかも」と共感させられます。

クリスマスを台無しにするグリンチをつい応援してしまう、このちょっと意地悪な作りは、ディズニーにはできない描き方です。

それでも終盤にはシンディー・ルーと母ドナの親子愛、グリンチの改心、仲間の助けなどストレートな感動描写をしっかりと入れていて、ほっこりして劇場を出られること間違いなし。

この冬、家族で安心して見られる良作です。

まとめ


(C)UNIVERSAL PICTURES

誰もが笑って感動できる本作。

ダニー・エルフマンの音楽の力もあって、新たなクリスマスのファミリームービーの誕生を感じさせます。

エンドロールもおしゃれで必見です。

さすが芸達者な俳優陣が揃っただけあって吹き替え版も評判が高くなっております。

また本編前の短編『ミニオンのミニミニ脱走』もサクッと軽く楽しめるアクションとギャグ満載の良作なので、そちらもお楽しみください。

関連記事

ファンタジー映画

『血ぃともだち』ネタバレ結末あらすじと感想考察の評価。キャスト唐田えりか主演×押井守監督が手がける異色の青春譚

血を抜かれることの快楽に魅せられてる「献血部」の女子4人とバンパイアの交流を描く異色の青春譚 コロナ禍の2020年に本広克行監督、押井守監督、小中和哉監督、上田慎一郎監督が立ち上げた映画実験レーベル「 …

ファンタジー映画

映画『マガディーラ 勇者転生』あらすじとキャスト。上映館情報紹介も

映画『マガディーラ 勇者転生』は、8月31日より東京・新宿ピカデリーほか全国で順次ロードショー インド映画界で歴代最高興行収入を叩き出し、日本でも中毒者が続出した大ヒット映画『バーフバリ』。 その2部 …

ファンタジー映画

実写映画『シンデレラ』ネタバレあらすじと感想考察。ディズニー作品でリリー・ジェームズが主役を演じる

どんな時も勇気と優しさを持つこと。 ゴッドマザーはそんなあなたを見守っているかもしれません。 ラブストーリーの原点であり、世界中で愛され続ける物語、ディズニーの「シンデレラ」が、比類の映像美で実写映画 …

ファンタジー映画

映画『空海 美しき王妃の謎』あらすじとキャスト。原作者紹介も

東宝とKADOKAWA初の共同配給作品にして、日中共同製作映画史上最大の本格ビッグプロジェクトと話題の映画 『空海 KU-KAI 美しき王妃の謎』は2月24日より全国ロードショー!。 企画の立ち上げか …

ファンタジー映画

実写映画『美女と野獣』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も【エマワトソン主演のラブストーリー】

エマ・ワトソン主演の映画『美女と野獣』は、ディズニーが実写化作品として、初めて制作配給を担った作品。 実写ならではの迫力ある映像や華やかな装飾、野獣のふとした人間味溢れる表情が見どころになっています。 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学