有名絵本を「ミニオン」シリーズや『SING』のイルミネーションスタジオが映画化!
意地悪で孤独なグリンチがクリスマスを盗むという大胆な作戦に打って出る!
楽しいギャグと見事なアニメーション、教訓と感動もある見事なファミリームービー。
この冬の目玉作品の解説をしていきます。
映画『グリンチ』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
The Grinch
【監督】
ヤーロウ・チェイニー、スコット・モシャー
【キャスト】
ベネディクト・カンバーバッチ、ラシダ・ジョーンズ、アンジェラ・ランズベリー、キーナン・トンプソン、キャメロン・シーリー、ファレル・ウィリアムズ
【概要】
あのベストセラー絵本『いじわるグリンチのクリスマス』がイルミネーションスタジオの手で2度目の映画化。
主演グリンチの声はベネディクト・カンバーバッチ。
ナレーションはファレル・ウィリアムズが務めます。
吹き替えには、大泉洋、秋山竜次、杏、宮野真守ら、確かな演技力を持ったメンバーが集いました。
映画『グリンチ』のあらすじ
フーの村はみんながクリスマス大好き。
ヒネクレ者のグリンチは、その近くの山の洞窟で愛犬のマックスと暮していましたが、クリスマスが大嫌いでした。
孤児院で育った彼は父母の愛を受けず、毎年孤独なクリスマスを送っていたからです。
クリスマスが過ぎるまで引きこもって暮らす予定でしたが、いら立ちからやけ食いをして、食べ物が無くなってしまいました。
仕方なく村に買い出しに行くグリンチ。
彼はクリスマスに浮かれる村人に、できる限りの意地悪をします。
村の少女シンディー・ルーはサンタへのお願いを書いた手紙を届けようとソリで家を出発しますが、途中でグリンチにぶつかってしまいます。
ルーの目的を聞いたグリンチはこう答えます。
「それなら手紙じゃなくて直接届けたらどうだい?」
ルーはそれを真に受けて、サンタに直接会う方法を考え始めました。
買い出しを終えて帰路の途中に彼を親友と思い込んでいる太っちょ男、ブリグルバウムに出くわします。
彼から、今年は例年の3倍の規模でクリスマスを行うと聞いたグリンチはうんざり。
翌日、グリンチがマックスとチェスをしていると突然上空から轟音がします。
ブリグルバウムが注文した巨大ツリーが飛行船で運ばれているところでした。
グリンチは投石器を作ってツリーを壊してやろうとしますが、間違って自分が飛ばされてしまい、ツリー点灯のスイッチを押してしまいます。
人々は歓声に湧き、グリンチは「サンタクロースに化けてみんなのクリスマスを盗み出してやる」と計画を練り始めます。
映画『グリンチ』の感想と評価
ジム・キャリー主演の実写版『グリンチ』(2000)から18年。
今やピクサーと並ぶメジャーCGアニメ映画会社となったイルミネーションスタジオが、ドクタースースーの人気絵本『いじわるグリンチのクリスマス』を再び映画化しました。
まず最先端のCGアニメで描かれるフーの村の美しいクリスマス風景と雪の表現、グリンチの荒唐無稽な発明、キャラのデフォルメと動きの豊かさに目を奪われます。
グリンチも意地悪さと可愛らしさの共存する絶妙なデザインになっており、アニメーションでしかできない表現に溢れています。
セリフではなく動きの面白さで笑わせる純アニメ的ギャグも多く、イルミネーションのアニメ技術の高さがわかります。
また本作の音楽を担当しているのはあのダニー・エルフマン。
ティム・バートン映画の常連音楽家であり、『シザーハンズ』(1991)や『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1994)、『チャーリーとチョコレート工場』(2005)などの名作のように、クリスマスや雪の世界観を盛り上げる音楽を今回も作ってくれています。
彼を引き入れた段階で、この映画のクリスマス描写が素晴らしいものになるのは決まっていたと言えるでしょう。
実力派俳優ベネディクト・カンバーバッチも、彼と気づかせない意地悪さが出た声作りをしている一方、グリンチの改心する描写では人間味溢れた演技で魅せてくれます。
ストーリーでもイルミネーションならではのアレンジが加えられています。
絵本ではグリンチがクリスマスを嫌う理由は描かれませんが、今作ではしっかりとなぜ彼がクリスマスを嫌い、何を求めているのかを描いています。
孤児院出身という設定を加え、孤独を恐れる人間らしい描写がされています。
また、フーの村人たちのクリスマスへの浮かれっぷりはわざと累計的に描いており、誰もがちょっと「うわ、これは馴染めないかも」と共感させられます。
クリスマスを台無しにするグリンチをつい応援してしまう、このちょっと意地悪な作りは、ディズニーにはできない描き方です。
それでも終盤にはシンディー・ルーと母ドナの親子愛、グリンチの改心、仲間の助けなどストレートな感動描写をしっかりと入れていて、ほっこりして劇場を出られること間違いなし。
この冬、家族で安心して見られる良作です。
まとめ
誰もが笑って感動できる本作。
ダニー・エルフマンの音楽の力もあって、新たなクリスマスのファミリームービーの誕生を感じさせます。
エンドロールもおしゃれで必見です。
さすが芸達者な俳優陣が揃っただけあって吹き替え版も評判が高くなっております。
また本編前の短編『ミニオンのミニミニ脱走』もサクッと軽く楽しめるアクションとギャグ満載の良作なので、そちらもお楽しみください。