時代劇専門チャンネル開局20周年記念作品『闇の歯車』は、時代劇専門チャンネルにて2019年2月9日(土)放送予定。また1月19日(土)より丸ノ内TOEIほか全国5大都市を中心に期間限定上映。
“時代劇の火を消すな!”をスローガンに開局20周年を迎えた時代劇専門チャンネル。過去に18作品のオリジナル作品を製作してきた同局が満を持して製作したのが本作『闇の歯車』です。
原作は『たそがれ清兵衛』『蝉しぐれ』『武士の一分』などで知られる藤沢周平の『闇の歯車』。
『鬼平犯科帳THE FINAL』(北大路欣也版)『剣客商売』などの演出を手掛けてきた山下智彦監督が演出を担当、主演に瑛太、共演に橋爪功、緒方直人、大地康雄、中村蒼、蓮佛美沙子、石橋静河、高橋和也、津嘉山正種、中村嘉葎雄らが名前を連ねています。
映画『闇の歯車』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【原作】
藤沢周平『闇の歯車』
【脚本】
金子成人
【監督】
山下智彦
【キャスト】
瑛太、緒形直人、大地康雄、中村蒼、蓮佛美沙子、高橋和也、石橋静河、津嘉山正種、中村嘉葎雄、橋爪功
【音楽】
遠藤浩二
【作品概要】
原作・藤沢周平の作品としては珍しいサスペンス時代小説を、時代劇専門チャンネル開局20周年作品として映画化、
キャストに瑛太、橋爪功の共演。監督は『鬼平犯科帳 THE FINAL』「三屋清左衛門残日録」シリーズを手がけた山下智彦。
映画『闇の歯車』のキャラクターとキャスト
佐之助(瑛太)
博打と汚れ仕事の下請けでその日暮らしのごろつき。
伊兵衛(橋爪功)
穏やかな物腰とは裏腹に大きな押し込み強盗を計画する。
伊黒清十郎(緒方直人)
藩の同胞の妻と藩を出奔して江戸で暮らす浪人。
弥十(大地康雄)
精巧なカラクリ細工を作る職人。
仙太郎(中村蒼)
縁談が持ち上がっている商人の息子、愛人が別にいる。
奥村(津嘉山正種)
佐之助に仕事を差配する裏家業の請負人。
おくみ(石橋静河)
佐之助と恋仲になる身寄りのない女性。
きえ(蓮佛美沙子)
かつて佐之助と暮らしていた女性。
同心(高橋和也)
伊兵衛を追う同心。
繁蔵(中村嘉葎雄)
一同が集う飲み屋の亭主、若い女房がいる。
映画『闇の歯車』のあらすじとネタバレ
博打と汚れ仕事の下請けでその日暮らしをする佐之助。
藩の同胞の妻と藩を出奔し、江戸で浪人暮らしをする清十郎。
腕はあるが酒癖の悪い弥十。
縁談が持ち上がっているものの囲っている愛人とも別れられない庄屋の息子仙太郎。
繁蔵の営む町の飲み屋で一時、酒の席を同じくするだけの間柄。
ところが、そこに伊兵衛という老人が声をかけてきます。
伊兵衛は簡単に大金が入る仕事があるといって押し込み強盗の仕事を持ち掛けます。
最初は誰も相手にしませんが、生活苦、世間に対してのうっぷん晴らしなどの理由から、裏仕事に手を貸すことになります。
押し込む先は繰綿問屋の近江屋、時は店が閉まる直前の“逢魔が時”。
閉店間際の間隙をぬって一気に金銭を強奪した一同。
しかし、脱出する直前、佐之助はかつて暮らしていた、きえと出くわしてしまいます。
映画『闇の歯車』の感想と評価
藤沢周平の映画の世界
藤沢周平の名前が大きく注目を浴びることになったのは、藤沢の没後5年後。
盟友渥美清を失い「男はつらいよ」シリーズを終了させ、また「学校」シリーズも終了となった山田洋二監督が初めての時代劇として、『たそがれ清兵衛』を選びました。
真田広之・宮沢りえ主演の2002年公開の『たそがれ清兵衛』は、大ヒットしただけではなく、賞レースも独占、国内だけでなくアカデミー賞の外国映画賞にもノミネートされました。
その後、山田監督は永瀬正敏・松たか子主演『隠し剣 鬼の爪』(2004)木村拓哉・檀れい主演の『武士の一分』(2006)と、“藤沢周平三部作”を完成させました。
それと前後して藤沢周平原作の映画化が続き、市川染五郎主演の『蝉しぐれ』(2005)、豊川悦司『必死剣鳥刺し』(2010)、東山紀之主演『小川の辺』(2011)などの話題作や良作が発表されるようになりました。
テレビドラマ化された作品も多く、今では、時代劇受難の時代にあって、藤沢周平の名前は作品のブランディングに大きな効果を持つようになりました。
まとめ
時代劇受難の時代
テレビドラマの民放地上波放送に、時代劇のレギュラー放送が無くなって随分時が経ちました。
年数本スペシャル番組として放映される以外は、時代劇をテレビでは時代劇を見ることができません。
NHKで大河ドラマがかろうじて最後の砦として頑張っていますが、製作本数が減ると当然ノウハウの伝授の機会が減り、それがまた作り手を減らすという悪循環を生んでしまっています。
「るろうに剣心」シリーズ、『無限の住人』『パンク侍切られて候』『刀剣乱舞』などの新感覚時代劇がヒットしたり、『武士の家計簿』『超高速参勤交代』『サムライマラソン』『斬、』など目線をガラッと変えた作品が公開されたりと、何とかギリギリのところで時代劇が踏ん張ってくれています。
また大型企画の『許されざる者』『散り椿』『関ケ原』『桜田門外の変』『一三人の刺客』『花戦さ』などが1~2年に一本程度のペースで硬化されています。
今後も巨匠中島貞夫監督の20年ぶりの『多十郎殉愛記』、『雨あがる』『蜩ノ記』の小泉堯史監督の『峠 最後のサムライ』が待機中です。
舞台こそ侍の時代の物語ですが、そこに生きているのは等身大の人間が思い悩み生きる人々です。
見る前に自分の中であまり敷居を上げずに気軽に劇場に足を運んでみてはいかがでしょう。