バイス=悪徳という意味!?
まさかの実話。史上最強で凶悪の副大統領。
主演クリスチャン・ベール、監督アダム・マッケイ、製作ブラッド・ピット、『マネー・ショート華麗なる大逆転』チームが再集結です。
大統領よりも権限を持ち「影の大統領」と呼ばれた男、ディック・チェイニー。
9.11同時多発テロ後、世界をメチャクチャにした悪名高き副大統領ディック・チェイニーとはどんな人物なのか?
史上最悪の副大統領ディック・チェイニーの悪行を見よ。映画『バイス』を紹介します。あなたも時代の証人となる。
映画『バイス』の作品情報
【日本公開】
2019年(アメリカ)
【監督】
アダム・マッケイ
【製作】
ブラッド・ピット、デデ・ガードナー、ジェレミー・クレイマー、ウィル・フェレル
【キャスト】
クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、スティーブ・カレル、サム・ロックウェル、タイラー・ペリー、アリソン・ピル、リリー・レーブ、リサ・ゲイ・ハミルトン、ジェシー・プレモンス、ジャスティン・カーク、エディ・マーサン、シェー・ウィガム、ビル・キャンプ、ドン・マクマナス
【作品概要】
アメリカ史上最も権力を持った副大統領と言われたディック・チェイニーの悪行を追った社会派エンタテイメント。
ディック・チェイニーを演じたクリスチャン・ベールは、役作りのため20キロ太り、髪を剃り、眉毛を脱色するなど、肉体改造をして挑みました。
第91回アカデミー賞では、8部門ノミネートされ、登場人物が全員そっくりと、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しました。
映画『バイス』のあらすじとネタバレ
「ウォーッ」という強烈な雄叫びから、この真実の物語は始まります。
1963年、アメリカ・ワイオミング州。酒場では、酔っ払いのディック・チェイニーが喧嘩を始め、その後飲酒運転で警察に捕まります。
2001年9月11日、ニューヨーク。ワールドトレードセンターにハイジャックされた旅客機が突っ込みます。アメリカ同時多発テロ事件です。
ホワイトハウスの地下には、当時の大統領ジョージ・W・ブッシュ大統領の姿はなく、副大統領ディック・チェイニーが指示を出しています。
ディック・チェイニーの38年間に何があったのでしょうか。
酒癖が悪く、喧嘩っ早い、大学は酒浸りで退学、何をやってもクズ野郎のチェイニー。彼の唯一の光は、高校時代からの恋人で、妻となったリンの存在でした。
酒浸りで問題を起こしたチェイニーに、リンは激怒し三行半を突き付けます。妻の悲しみに、胸を痛めたチェイニーは「二度と君をがっかりさせない」と誓い、奮起。
ワイオミング大学政治学専攻に編入後、学士号を取得。さらにはウィスコンシン大学大学院博士課程政治学を専攻しながら、知事のスタッフとして従事し、政界への道を歩みます。
ワシントンD.Cでの連邦会議に参加したチェイニーは、共和党のドナルド・ラムズフェルド下院議員のブラックユーモア交じりのスピーチに惹かれ、彼の助手のポジションを獲得します。
ラムズフェルドはドンと呼ばれ、野心家で行動派。チェイニーは彼の元で、政界のノウハウを学んでいきます。
ドンは言います。「部下に求める3つの事は、口は堅く、指示は守れ、忠実であれ」。無口で率直なチェイニーは、とうとう天職に出会いました。
1969年、リチャード・ニクソン大統領政権へ。師匠のドンは権力争いに敗れ左遷されるも、チェイニーは、大統領次席法律顧問へ就任。ぶっ飛んだ案と慎重案を巧みに使い分け政治家としての手腕を磨いていきます。
1972年、ニクソンがウォーターゲート事件にて辞任、ジェラルド・フォード政権へと移ります。ドンが返り咲き国防長官へ、チェイニーは史上最年少の大統領首席補佐官へと就任します。
小さいながらもホワイトハウス内に自分の部屋を持つことになったチェイニー。妻のリンに電話をかけ喜びを分かち合います。
1978年、チェイニーは、地元のワイオミング州から下院選の出馬を決意します。しかし、演説が得意ではないチェイニ-は、地元でのウケはいまいち。そうこうしているうちに、持病の心臓発作で倒れてしまいます。
そこで選挙活動を頑張ったのは、妻のリンでした。夫の代わりに演説をし、皆の心を掴んでいきます。場所により演説内容を変え、最高のパフォーマンスを見せるリン。彼女のおかげで、チェイニーはみごと当選。
その後の勢いは凄まじく、ジョージ・H・W・ブッシュ政権では、国防長官に就任。華々しい政界のパーティーでは注目の的です。
しかし、ある事件をきっかけに、チェイニーは政界から離れることになります。それは、娘のメアリーの交通事故でした。
病院に運ばれたメアリーは、事故を起こした理由について、女友達に振られたからとレズビアンであることを告白。
共和党は道徳価値として反同性愛を掲げていました。チェイニーの娘がレズビアンであるということは格好の餌食になること間違いなしです。
家族でのチェイニーは良き夫であり、良き父親でした。2人の娘を愛し、娘を守るために政界を去ります。
その後のチェイニーは、趣味の釣りを楽しみ、持病の心臓病も回復、盲導犬のブリーダーにもなり、家族ともども仲良く暮らしました。
物語は一見、エンドロールを向かえたかのような雰囲気です。しかし、あのバイス・チェイニーです。ここからが、物語の本番と言えます。
そして、この物語には謎のストーリーテラーが存在します。これまでの、チェイニーの人生をまるで近くで見て来たような語り口調です。彼はいったい誰なのでしょうか?
映画『バイス』の感想と評価
アメリカ史上最強で最凶の副大統領、「影の大統領」と呼ばれた男、ディック・チェイニー。
日本で、世界中で、彼の存在を知っていたという人はどのくらいいるのでしょう。
アメリカ大統領の言動や行動、権限は世界中が注目していますが、副大統領となると正直誰なのかすらわからないのが現状です。
ジョージ・W・ブッシュ政権の裏で、ディック・チェイニーという副大統領がこんなにも権限を持ち、大統領をも操り、国民を戦争に導いていたとは。驚かずにはいられません。
また驚くべきことは、ディック・チェイニーを演じたクリスチャン・ベールです。彼は、役作りのため肉体改造をすることで有名ですが、この役のために20キロ増、髪を剃り、眉毛を脱色するなど、チェイニーそっくりとなりました。
見た目だけではなく、しわがれた声と囁くようなしゃべり方までそっくりです。
また、ジョージ・W・ブッシュ大統領を演じたサム・ロックウェル、チェイニーの妻リンを演じたエイミー・アダムスも実物そっくりです。
第91回アカデミー賞では、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞したのも納得です。
映画『バイス』は、実際の政治家たちをそっくりに演じ、裏の顔を面白おかしく暴いています。皮肉ったブラックユーモア満載で、「ここまでバラシて良いの」と心配になるほどです。
この失敗を2度と繰り返してはならない、そして悪者を国の代表に選んだ市民の責任を問うています。
エンドロールの途中で流れる、おまけの様なシーンが、実はこの映画の真の部分なのではないでしょうか。
偏った意見で政治に熱くなるおじさん達、全く政治に関心のないギャル。
大事なことは、真のリーダーを選ぶ私たち一人一人に責任があるということ。戦争の責任は私たちにもあるという事を忘れてはいけません。