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Entry 2017/03/02
Update

映画『ツリー・オブ・ライフ』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • リョータ

思わず息を呑む圧倒的なまでの映像美で展開される生命の神秘…

賞賛と批判の嵐で世の中を二分した作品『ツリー・オブ・ライフ』をご紹介します。

映画『ツリー・オブ・ライフ』の作品情報

【公開】
2011年(アメリカ)

【原題】
The Tree of Life

【監督】
テレンス・マリック

【キャスト】
ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャステイン、 フィオナ・ショウ、タイ・シェリダン、ハンター・マクラケン、ララミー・エップラー

【作品概要】
『天国の日々』(1978)、『シン・レッド・ライン』(1998)のテレンス・マリック監督・脚本による宇宙や生命の神秘を題材とした壮大な叙事詩ともいえる作品。カンヌ国際映画祭ではブーイングを浴びるなど賛否両論が巻き起こった問題作でもある。

ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャステインを主要キャストに迎え、第64回カンヌ国際映画祭(2011年)パルム・ドールを受賞。

他、第84回アカデミー賞(2012年)作品賞、監督賞(テレンス・マリック)、撮影賞(エマニュエル・ルベツキ) にノミネート。

映画『ツリー・オブ・ライフ』のあらすじとネタバレ

時は1950年代。これは、テキサス州の小さな町でつつましく暮らすオブライエン夫妻とその息子たちの物語。いつも厳しい顔をした父と、優しく聖母のように包み込んでくれる母の下で暮らす3人の息子たちの物語。

この夫妻の間では諍いの種が絶えません。子供たちを厳格にしつけようとする夫と、もっと自由に子供らしく生きて欲しいと願う母との教育方針の違いから生じた軋轢が、大きな溝となって横たわっていたのです。

長男のジャックにとっては、厳格に定められた決まりから少しでも外れた行いをすると容赦なく父から張り手が飛んでくるような生活は、彼の反抗心の芽を成長させるだけでしかありませんでした。

1960年代へと時が移り変わったある日。夫妻の下へある電報が届きます。それは、次男のR.L.の突然の訃報でした。その場で崩れ落ちる妻。

妻は母からの慰めをうけても、彼女のショックが和らぐことはありません。一方の夫は、あまりにも厳しく息子たちを縛り付けていたことを悔やみ、現実を受け入れられないでいました。

現在、都会で暮らす長男のジャックは建築家としての成功を手にしていました。しかし、そんな彼がガラス張りの超高層ビルの中に囲まれて、いつも考えていたのは弟R.L.の死のこと。いまだに彼の頭の中から離れることなくこびりついていた弟の死。

受け入れようと思ってはいてもなかなか上手くいかず、手にしたはずの成功すらも空虚なものでしかないと感じるようになっていたのです。そうして彼が過去に思いを馳せていると、その死という現象から思い起こされたのは、生命の誕生、ひいては地球そのもの誕生といった壮大な宇宙の歴史のことでした。

以下、『ツリー・オブ・ライフ』ネタバレ・結末の記載がございます。『ツリー・オブ・ライフ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
時は再び遡り1950年代のテキサス。オブライエン夫妻の間の最初の子として授かったジャック。続いてこの世に誕生した次男R.L.、三男スティーブ。三兄弟はすくすくと成長していきました。

音楽家の道を目指していたものの、志半ばで諦めてしまった父は、その反動からか息子たちには強い意志をもって生きることを強いるばかり。そのせいであまりにも厳しくしつけられたジャックは、常に窮屈な思いを抱え、外でその鬱憤をはらすようになっていきました。

クラスメイトの女の子の家から下着を盗み出すなどのいたずら行為がエスカレートしていったのです。そのことで母に注意されたジャックは、優しかった母親にまで反抗するようになっていきました。

一方の父はある日突然職を失ってしまいます。勤めていた工場が閉鎖されてしまったのです。その時父の心に渦巻いていたのは、自分がいつまでも手に出来ない成功をあまりにも子供たちに押し付け過ぎていたという後悔の念でした。

息子たちにその思いを伝える父。ジャックはそれに応えるかのように、自分が死を願うほど嫌っていた父に驚くほど似ているのだと伝えます。

現在。岩場にいたジャック。そこに出現した扉を開けると、そこに広がっていたのは壮大な宇宙の叙事詩でした。ふと手を引かれたジャック。子供の時の自分の姿がそこにありました。

辿り着いた砂浜で出会ったのは、両親やR.L、スティーブや自分がこれまで歩んできた人生という道で交錯してきた人々。「生命の樹/ツリー・オブ・ライフ」によって連なり続ける生命の神秘。

ジャックが見出したその光景によって、ようやく彼の心に平穏が訪れたのです。

映画『ツリー・オブ・ライフ』の感想と評価

カンヌ国際映画祭で拍手喝采と同時に大ブーイングを浴びた後に、パルム・ドールを受賞したことが証明しているように、『ツリー・オブ・ライフ』はもしかしたら最も賛否が真っ二つに分かれる作品かもしれません。

あらずじや説明と呼べるものはほとんど無きに等しく、俳優陣のほとんどのセリフが神との対話に費やされるという極めて異例の演出に批判が噴出するのも頷けるところではあります。

しかし、その批判の焦点ともなっている十数分間のシークエンス(宇宙や生命の歴史を描いたもの)のあまりに抽象的過ぎる演出にも関わらず、その圧倒的なまでの映像美は誰もが認めるところではないでしょうか。

『天国の日々』などに代表されるように、自然光のみを利用して撮影を行うことで魔術的ともいえる映像表現力を有するテレンス・マリック監督。その手法によって浪費されるあまりにも膨大なコストにも関わらず、彼がこだわりを見せる訳は作品をご覧になった方ならお分かり頂けると思います。

さらに、CGなどのデジタル要素をあまり好まないマリックは、アナログな特殊効果を用い、宇宙空間すらもなるべく実写で表現していたというのですから驚きもひとしおです。

その息を呑むほど美しい光の魔術に彩られるマリックの世界観は、現実と幻想とが交錯するこの作品にこそ存分に活かされており、彼の魔法にかかった観客は抽象的で難解なプロットに対する合理的な判断を下す前に、映像そのものが無意識の内に脳へと溶け込み、じわじわと染み込んでいく理解へと昇華していくのです。

この作品の比較対象としてスタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』(1968)が頻繁に挙げられています。それは、ただ単に宇宙の歴史や生命の神秘といったテーマ性の類似にのみ向けられたものではありません。

両者ともに共通する凄まじい映像表現力(そのこだわりも含め)や、批判的意見を恐れずに自らの思想表現を敢行出来る確固たる意志を有しているという点においても言えることなのです。

キューブリック亡き今、孤高の巨匠テレンス・マリックに肩を並べようとするものはなかなか現れることはないでしょう。彼が寡作(極めて作品数が少ない)な映画監督であることにもどかしさを抱く人は非常に多いと思いますが、それは逆に彼のこだわりの強さを表しているのです。

まとめ

ブラッド・ピットやショーン・ペン、ジェシカ・チャステインといった名優たちの中で一際その可愛らしさが目立っていた三男スティーブを演じたタイ・シェリダンに強い印象を抱いた人は少なからずいらっしゃると思います。

彼は、この作品の翌年ジェフ・ニコルズ監督の『MUD -マッド- 』(2012)でも素晴らしい演技を披露し、2016年にはブライアン・シンガー監督の『X-MEN:アポカリプス』(2016)でサイクロップス(スコット)役を演じるなど、その活躍ぶりはますます期待が膨らむばかりです。今後も彼の活動からは目が離せないといった所でしょうか。

最後にテレンス・マリック監督の動向についてお伝えしておきましょう。最新作『ボヤージュ・オブ・タイム』が、2017年3月10日から順次公開が決まっており、宇宙の誕生などといった『ツリー・オブ・ライフ』と同様のテーマを扱ったドキュメンタリー映画となっているそうです。

『天国の日々』から『シン・レッド・ライン』の間に20年もの時を隔てていたことを考えると、2011年以降から急速に製作のペースが上がっていることはファンにとってはたまらない展開ですね。ぜひ最高の映像美を劇場でご覧ください!

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