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映画『殿、利息でござる!』あらすじネタバレと動画無料視聴方法

  • Writer :
  • 山田苺

世の中には映画のチラシや、DVDのジャケットのような感じの話と思ったら、全然違う雰囲気だったということが時々あります。

今回ご紹介する『殿、利息でござる!』も『!』が付くくらいなんだから、さぞ突拍子もないコメディかと思いきや・・・?

ふたを開ければ、涙ぐましい人々の努力が詰まった感動の実話モノでした。

1.映画『殿、利息でござる!』の作品情報


(C)2016「殿、利息でござる!」製作委員会

【公開】
2016年(日本映画)

【監督】
中村義洋

【キャスト】
阿部サダヲ、瑛太、妻夫木聡、竹内結子、寺脇康文、きたろう、千葉雄大、橋本一郎、中本賢、西村雅彦、山本舞香、岩田華怜、堀部圭亮、重岡大毅、羽生結弦、松田龍平、草笛光子、山崎努

【作品概要】
『節の家計簿』の歴史家・磯田道史が史実を基にした『無私の日本人』に収録されている短編を映画化した作品。

阿部サダヲが時代劇初主演となっていますが、そんな彼を食う勢いでの瑛太の知恵者役も非常に魅力的です。

今作の舞台とである仙台出身のフィギュアスケートの羽生結弦選手が、仙台藩の第7代藩主役で、スクリーンデビューを果たしているのも話題となりした。

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2.映画『殿、利息でござる!』のあらすじとネタバレ


(C)2016「殿、利息でござる!」製作委員会

1776年、仙台藩にある小さな宿場町の吉岡宿に、茶師に菅原篤平治が京から嫁を貰って戻ってきます。

しかし吉岡宿では貧困による夜逃げが後を絶たず、その原因のひとつに、藩の物資を次の宿場まで運ぶ「伝馬」という令があり、その費用は上ではなく町で捻出しなければなりませんでした。

さらに夜逃げをすることで、人手が不足し残った町人にどんどん負担が増えていくという事態にまで陥っていました。

そんな状況を嘆く屋穀田屋の主人である十三郎は、篤平治にこの町を救う方法はないものかと聞きます。

町一番の切れ者である篤平治は、自分が造り酒屋と質屋を営む、浅野屋の主人である甚内から借金で出た利息が高いとぼやくや否や、あることを閃きます。

それは仙台藩に銭を貸して利息を取って、その金を伝馬の資金に当てて町の負担を一掃するというものでした。

藩に千両を貸せば、利息として毎年百万両が入ってくる計算ですが、そもそも千両を用意することが、この町では非常に困難でした。

翌年、奇策を思いついたものの、半ば諦めていた篤平治ですが、十三郎が密かにこの作を進めていたと知ります。

まずは千両集めるための同志を募り、村のまとめ役である遠藤幾右衛門と、彼の上役である千坂仲内がこの計画に乗ります。

それを知って、後には引けなくなった篤平治。仙台藩はその頃、藩主の伊達重村が自身の官位が欲しいがために、幕府に金品を送っており、それが原因で藩が金欠状態となっていました。

財政を担っている役人萱場杢は銭の鋳造を指示します。

一方、十三郎達は持てる私財を必死に捻出しますが、目標にはまだまだ届きません。

おまけに町のためとはいえ、自分達家族の生活まで犠牲にされたことで、十三郎の息子である音右衛門はきつく反対します。

もともとは極秘で進んでいたこの奇策は、いつしか町中に知れており、ついには今後の世代にも名誉の名を残すために、売名目的で策に乗ろうとするものも出てきます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『殿、利息でござる!』ネタバレ・結末の記載がございます。『殿、利息でござる!』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
ある日、守銭奴と悪名で叩かれる浅野屋甚内がこの策に参加し、銭を出すと聞くと、十三郎は降りると言って一方的に姿を現さなくなります。

彼は長男でありながら、穀田屋に養子で出された身であるため、生家や弟の甚内と折り合いが上手く付けられないでいました。

その後、千坂は皆の希望を背負って、嘆願書を持って代官所へ向かいます。

代官橋本権右衛門は、千坂を始め町人の熱意に感動し、上へ取り計らうと約束します。

しかし嘆願は3ヶ月もたった後、却下されてしまいます。上は町人が利益を得ようと画策しているのではないかと考えたのです。

篤平治は再び訴えるよう提案するも、立場上千坂の腰は重くなってしまいます。

奇策が行き詰まりになった頃、1771年のある晩に浅野屋へ忍び込もうとする輩を、町人が捕まえます。

その輩は15年前に、吉岡宿から夜逃げした男でした。

彼は、今は亡き十三郎と甚内の父親が、夜逃げの際、銭を渡して逃がしてくれただけでなく、金は返さなくていいとまで言ったと説明します。

さらに十三郎たちの父親は、男を責めるどころか、悪いのはこの社会の仕組みだから、卑屈にならずに生きていけと励ましました。

そんなこともあって、男は元金だけでもと返しに来たのでした。

それ以上に、守銭奴の名で忌み嫌われていた男の真実に驚きを隠せません。

十三郎は事の真実を確かめるために浅野屋へ向かいます。

甚内とその母親は、父親である先代が銭を密かに貯め続け、町の負担を減らしてもらおうと考えていました。

自分の評判をあげるためにやったわけではないので、守銭奴と陰口を言われても、ずっと宿場のために銭を貯め続けていました。

亡くなる直前に、先代は自らの意思を甚内に託し、質素倹約に努めます。そして十三郎も、無意識に父の遺志を継いでいました。

この話を聞いた篤平治は千坂を浅野屋に連れ出し、同じ話を聞かせ、再度嘆願を出すよう説得します。

1772年、千坂は再び代官所へ出向き、浅野屋親子の話を橋本に聞かせます。

驚き感動した橋本は、萱場に突っぱねられても必死で食い下がり、嘆願書を受け取ってもらうことができました。

萱場は上は銭を扱わないことから、金の小判で千両という条件で嘆願を通します。

ところがこれは、銭の鋳造により寛永通宝の相場は下がっているため、小判千両にするにはあと800貫文足りなくなるという、萱場の巧妙な策でした。

それでも甚内はさらに500貫文出すと言い、このままでは浅野屋はつぶれてしまうと、申し出を断りますが、浅野屋はもう潰れており、覚悟の上で甚内は500貫文出すというのでした。

他にも、煮売屋の女将ときが今までの客のツケをかき集めて50貫文を出し、残り250貫文は、心を入れ替えた音右衛門が奉公に出て10年分の給金を前借りし工面してくれました。

覚悟を決めていた甚内達に頼み込まれ、500貫文を受け取った十三郎達。更に煮売屋の女将ときが50貫文を出し、残りは250貫文は十三郎の息子・音右衛門が奉公に出て、10年分の給金を前借りし工面してくれたのでした。

1773年になって、ついに小判千両を用意できました。

実現させたことに驚いた萱場は、彼らを町人にしておくには惜しいと賞賛し、呼び出した上で報奨金を与えます。

しかしその場に甚内がいないことに気付くと、十三郎は先代の教えである、「牛や馬を虐げてること、駕籠を使って人間を苦しめることはいけない」を甚内が守って、ここに来ていない事を説明します。

すると、駕籠を使っている萱場は、自分を非難されていると受け取りますが、咎めはせずその場を去っていき、十三郎は命拾いします。

褒美は受け取ったものの、それは町に配るという甚内ですが、そんな彼らの元に藩主の重村が自ら出向いてきたのです。

恐れおののく十三郎達の前で、重村は三つの酒銘を与え、浅野屋を続けていくよう命じ、城まで歩いて帰っていくのでした。

その後、吉岡宿には毎年藩からの利息が支払われるようになり、町は貧困から抜け出すことが出来ました。

物語の主人公である穀田屋は、現在も宮城県でひっそりと酒屋を営んでいるんだとか。

3.映画『殿、利息でござる!』の感想と評価


(C)2016「殿、利息でござる!」製作委員会

今作はコメディではなく、史実による自らを犠牲にしてでも、町を救おうと奮闘する人々を描いた感動作です。

メインビジュアルでは、主演の阿部サダヲが、あんなに楽しそうな顔をしていますが、実際は終始暗い顔をしています。

確かに奇策ではありますが、決して奇をてらった演出はせず、堅実な歴史モノヒューマンドラマでした。

登場人物が結構多いのですが、個人的には役人の橋本権右衛門がすごいいい奴で、そっちのほうが感動しました。

普通歴史モノといったら、松田龍平が演じるような萱場杢のイメージが強いだけに、ギャップに打たれ弱い私の中での好感度は爆上げでした・・・。

現代の日本の社会にも、ああいう上長とかいたら、離職率問題なんて秒で解決できそうなのにと、全く関係のないメッセージ性を受け取った作品でもありました。

まとめ


(C)2016「殿、利息でござる!」製作委員会

嘘のような、ホントの話とはまさにこのことと言いたくなるような展開に、おまけに穀田屋が現在も営業しているという展開が胸を打ちます。

ただ、明らかにハイテンションっぽいタイトルはいただけないので『殿、利息でござる・・・!』とかに変更したほうがいいと、強く思いました。

しかし改めてメインビジュアルを見ると、まるで利息で大儲けしますといわんばかりな感じが漂ってきて、何が正しいのか分からなくなってきました。

気になる映画は予告やビジュアルに先行されずに、きちんと自分の目で確かめるのが一番だと感じました。

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