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Entry 2018/10/08
Update

映画『終わった人』あらすじネタバレと感想。ロケ地巡り盛岡観光の穴場も紹介!

  • Writer :
  • もりのちこ

「定年って、生前葬だ」大手銀行に勤めるも、出世コースからはずされそのまま定年を迎えた男。

妻からは愛想を付かれ、暇を持て余す「終わった人」。

映画『終わった人』は、仕事一筋でやってきた男の定年後を描く、ハートフルコメディです。

主人公・田代壮介の実家が岩手県盛岡市の設定ということで、盛岡市でも2017年の春・夏にかけて撮影が行われました。

今回は、映画に登場するロケ地をご紹介していきます。

映画『終わった人』の作品情報


(C)2018「終わった人」製作委員会

【公開】
2018年(日本映画)

【監督】
中田秀夫

【原作】
内館牧子『終わった人』

【キャスト】
舘ひろし、黒木瞳、広末涼子、臼田あさ美、今井翼、ベンガル、清水ミチコ、温水洋一、高畑淳子、岩崎加根子、渡辺哲、田口トモロヲ、笹野高史、野澤しおり

【作品概要】

NHK連続テレビ小説「ひらり」「私の青空」など、数々のヒット作を手掛ける脚本家、内館牧子の同名小説を映画化。

舘ひろしと黒木瞳の豪華共演も話題となりました。

監督は映画「リング」や「劇場霊」などホラー作品を多く手掛ける、中田秀夫。

脚本家・内館牧子と盛岡について


(C)2018「終わった人」製作委員会

実は、映画『終わった人』のロケ地になった盛岡市と、脚本家・内館牧子さんとは、とても縁の深い関係にあります。

岩手では、毎年年末恒例の「文士劇」が上演されるのですが、内館さんはこれに毎年出演されています。

「文士劇」とは、盛岡在住作家・高橋克彦が発起人となり、岩手や盛岡にゆかりのある作家、文化人、地元アナウンサーなどが出演する演劇です。

毎年チケットが入手困難になるほど、地元では人気の公演です。

内館さんは秋田県の出身ですが、お父様が岩手県の出身という縁で、この「文士劇」に出演されています。

内館さんのコミカルな演技と、盛岡弁を取り入れたセリフを楽しみに通う方も大勢います。

そんな盛岡市との縁深い内館さんの小説となれば、盛岡市がロケ地になったことも納得です。

ご本人は、映画の中で壮介が通うジムのメンバーのひとりとしても出演されています。

映画『終わった人』のロケ地、盛岡について


(C)2018「終わった人」製作委員会

さんさ踊り

盛岡さんさ踊り」は、盛岡市で毎年8月1日から4日間行われるお祭りです。世界一の和太鼓の数のお祭りとしてギネスにも認定されています。

さんさ踊りの掛け声「さっこらちょいわやっせー。」の「さっこら」は「幸呼来」とも書かれ、幸せを呼ぶ掛け声とされています。

映画『終わった人』では、壮介が定年退職をした日に送られてきた、実家の母と姉からのメッセージ映像の中で、また、壮介がボロボロになって故郷に帰ったとき、同級生たちと一緒に踊ったのが「さんさ踊り」でした。

石川啄木と宮沢賢治

岩手が生んだ偉人、石川啄木と宮沢賢治

この2人は同じ中学の先輩後輩として青春期を盛岡で過ごしています。

どちらのファンも多く、盛岡では啄木派か賢治派か?という派閥まで生まれるほど。

映画の中でも、啄木と賢治はキーワードになっています。

壮介は啄木好きで、啄木の研究をするために大学院に入ろうとします。

また、啄木の本が縁となり古本屋で知り合った女性・久里は、岩手の花巻市出身で賢治に憧れ、童話作家を目指しています。

啄木派の壮介と、賢治派の久里の、恋の行方にも注目です。

岩手山と街風景

映画の中でもひと際美しい姿を見せていた岩手山。

盛岡出身の方は、故郷に帰られたとき、岩手山を見て「帰ってきたなぁ」と感じるのではないでしょうか?

岩手山の山頂が雪解けで、鷲が羽を広げた姿に見えると、地元の人は春を感じると言われています。

その他、運の開く橋と書いて「開運橋」、桜山神社の趣ある商店街、桜の名所「米内浄水所」、歴史ある建物「一ノ倉邸」など盛岡を象徴する風景が数々登場します。

映画『終わった人』のあらすじとネタバレ


(C)2018「終わった人」製作委員会

終わった人、1日目。朝、いつもの時間に目を覚まし、会社に行かなくていいんだと、改めて定年したことを実感。やることもなく、昔の思い出に浸り過ごします。

終わった人、2日目。散歩をしながら時間のつぶし方を探しますが、公園、図書館、ジムにまで老人があふれています。自分はこんな老人にはならない!と決心。

しかしやることなすこと空回り。手に職を付け現役で働いている妻には邪魔にされ、人生やり直したいとウジウジ愚痴ばかり。

そんな壮介は、高校の同級生に再会します。自分の夢を語る同級生に、自分もやりたいことを模索し始めます。

壮介の定年後、第二の青春が動き出しました。

恋に仕事にどんどん人生が輝き出します。

以下、『終わった人』ネタバレ・結末の記載がございます。『終わった人』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
しかし、人生そんなに甘くない。

浮かれた分だけ、沈み方も大きいものです。成り行きで社長になった会社の倒産。抱えた負債。

恋する彼女は、いとこの恋人。妻の爆発。

壮介の成れの果ては、カプセルホテルで独り寝でした。

家を追い出された壮介が向かった先は、故郷の盛岡でした。

壮介は故郷で友に会い、見栄を張るのを止め、すべてさらけ出します。故郷の同級生たちは、そんな壮介を温かく向かえ入れ、励まします。

壮介は、妻との離婚を考え、故郷の盛岡へ帰ることを決心します。自分はこれからどう生きたいのか?自分に出来ることは何か?故郷が答えをくれました。

壮介の決心を聞いた妻は「卒婚」を突きつけます。

お互いが自分の人生を大切にしながらも、大変な時は寄り添いお互いを見守っていく、という選択でした。

長年一緒に連れ添い、苦楽を共にしてきた同志だからこその「老後の夫婦のスタイル」なのかもしれません。

映画『終わった人』の感想と評価


(C)2018「終わった人」製作委員会

どん底になって故郷に帰った壮介に、同級生が「思い出と戦っても勝てない。大事なのはそこからどうやって生きるか。人は歳をとってみるとそんなに大差ないんだ。」と声をかけます。

楽な人生ばかりを歩んで歳をとる人はいないのです。

誰もが辛い事、悲しい事を経験し歳をとっていくのです。

人生100年時代と言われています。

定年してからの人生が、健やかで平安な時間になるよう、自分と向き合っていく事が必要だと感じました。

舘ひろしのダンディーさを抑えた演技と、黒木瞳のいつまでも可愛らしい容姿にも注目です。

まとめ


(C)2018「終わった人」製作委員会

今回は映画『終わった人』のロケ地、盛岡についてご紹介しました。

盛岡の美しい景色と、趣ある建物が、映画の雰囲気によく合っています。

盛岡市では映画の公開と同時に、撮影地を紹介するロケ地マップを作成しています。

主なロケ地や登場シーンなど12ヵ所を紹介し、撮影の様子を映した写真やエピソード、また盛岡の観光や歴史も掲載されています。

ぜひ、映画ファンの聖地巡礼に役立てて下さい

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