2026年10月30日(金)より映画『見上げてごらん』はテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開!
42歳で万年マンガ家アシスタントの男が、仲間と共に人生の再起を懸けて挑む、不器用で愛おしい大人のヒューマンドラマ『見上げてごらん』。
是枝裕和監督率いる「分福」に所属する佐藤快磨と、今作で長編監督デビューを果たす森本晶一が共同監督を務めた注目作。森本監督が自身の経験に基づいて原案・オリジナル脚本を手がけました。
華やかなマンガ界の裏で「何者にもなれなかった」中年の葛藤を泥臭くも温かく描いている本作。家族とのすれ違いや後輩への嫉妬を抱えながらも、泥をすすり前を向く主人公たちの姿は、誰もが胸を打たれるエールに満ちています。
映画『見上げてごらん』の作品情報

(C)2026「見上げてごらん」製作委員会
【日本公開】
2026年(日本映画)
【監督】
森本晶一、佐藤快磨
【脚本・原案】
森本晶一
【キャスト】
森田剛、森川葵、川上友里、阿部寛、松本まりか、武田鉄矢、早瀬憩、前田航基、吉田晴登、伊島空、上田遥、岩橋道子、金光泰市、愛理、祷キララ、坂口辰平、松澤匠、真田理希、神谷圭介、四宮義斗、真織、乃木涼介、牧亮佑、友咲まどか、おかやまはじめ、猪股俊明、木村真奈美、小倉早貴、かんこ、五頭岳夫、小林きな子ほか
【作品概要】
マンガ制作の現場を舞台に、長年売れっ子マンガ家のアシスタントを続ける中年男性の心の葛藤や奮闘を、ユーモアを交えてつづったドラマ。
是枝裕和監督作の助監督などを務めてきた森本晶一と、『泣く子はいねぇが』の佐藤快磨が共同監督として作品を手がけました。
主演を森田剛が務め、メインキャストには森川葵、川上友里らが名を連ねます。他にも阿部寛、松本まりか、武田鉄矢、早瀬憩らそうそうたる面子が共演を果たしています。
映画『見上げてごらん』のあらすじ

(C)2026「見上げてごらん」製作委員会
巨匠マンガ家の第一アシスタントを長年にわたって務めてきた42歳の男性、土屋輝一。
彼はマンガへの信念に基づき日々を過ごすも、先にデビューし独立した後輩や人気声優である別居中の妻に対してモヤモヤした思いを抱え、一緒に暮らす高校受験生の娘とも噛み合わない毎日でした。
そんな彼は、自身を貫くべく自作のマンガで編集部への持ち込みを決行。作品は受け入れられませんでしたが、これを機会にあるマンガ企画が舞い込んできます。
かくして仕事への熱量不足を自覚する中堅編集者・潮田ユキと、マンガ家志望としては高齢ながら猪突猛進な新人アシスタント・山田ぽてとと共に、土屋は新たなマンガ制作に挑みますが……。
映画『見上げてごらん』の感想と評価

(C)2026「見上げてごらん」製作委員会
黄金時代のマンガ文化に宿る、憧れと停滞
本作は巨匠マンガ家のもとで長年アシスタントを続ける男たちの姿を通じて、「夢を持ち続けること」の複雑さを描き出したヒューマンドラマです。
マンガ制作の現場を舞台にしていますが、本作が見つめるのはマンガ業界そのものではなく、理想と現実の狭間で立ち尽くす人間たちの心のありようでしょう。
主人公・土屋輝一をはじめとする登場人物たちは、マンガ家デビューという明確な目標を持ちながらも、その一歩を踏み出せずにいます。そこには実力への不安だけではなく、「先生」への敬意や依存、慣れ親しんだ環境を手放す恐れなど、さまざまな感情が入り混じっています。
本作で描かれるマンガ制作の風景は、デジタル化が進んだ現在というよりも、マンガ文化が大きな熱量を持っていた時代を思わせます。手描き原稿、アシスタント制度、夢を語り合う仕事場。そこには日本のマンガが世界へ羽ばたいていった“黄金時代”へのまなざしが感じられます。
しかし映画は、その時代を単純に美化することはありません。むしろ、その場所に今なお留まり続ける人々の葛藤を丁寧に映し出します。

(C)2026「見上げてごらん」製作委員会
興味深いのは、本作が彼らの生き方に対して安易な答えを与えないことです。
ウェブトゥーンやデジタル作画が普及し、マンガという創作のハードルは確実に下がりました。それでもなお、古いスタイルに身を置き続ける人々がいる。その選択は時代遅れなのか、それとも信念なのか。映画はどちらとも断じません。
アシスタントとして働き続けることも、独立を目指すことも、諦めることも、それぞれに理由がある。その意思は時に人間関係の壁となり、時に誰かを支える力にもなります。
本作が優れているのは、そうした複雑な感情を単純に善悪や成功・失敗と決めつけない点でしょう。だからこそ物語の終盤においても、登場人物たちの未来は明確には示されません。その余白が、観客自身に問いを返してきます。
また、本作における「マンガ家になりたい」という願いは、創作の世界に限らない普遍性も感じさせます。
夢や憧れを追いかけるすべての人にとって、理想と現実の隔たりは避けて通れないもの。本作はマンガという題材を借りながら、現代を生きる私たち自身の姿を映しているようにも見えます。
まとめ

(C)2026「見上げてごらん」製作委員会
本作を支えている大きな要素の一つが、キャスト陣の繊細な演技です。特に森田剛と森川葵の表情は実に印象的で、笑顔を見せていても、その奥には常に迷いや不安が揺らいでいます。
「自分の選択は正しかったのか」「このままでいいのか」。そんな言葉にならない感情が、ふとした視線や沈黙の中から伝わってきます。彼らの姿は、先の見えない時代を生きる現代人の不安そのものにも重なって見えるでしょう。
一方で、作品全体のトーンは決して重苦しいものではありません。どこかユーモラスで、登場人物たちの不器用さを温かく見守るような空気があります。その穏やかな味わいが、夢を追うことの厳しさと切なさを優しく包み込んでいます。
本作はマンガ家を目指す人々の物語であると同時に、「憧れのその先で、どう生きるか」を見つめた作品です。
夢を叶えた者だけが価値を持つわけではない。不安や迷いを抱えながら、それでも自分なりの答えを探し続けることにも意味がある。本作はそんな当たり前で、しかし忘れがちな真実を静かに語りかけてくれます。
2026年10月30日(金)より映画『見上げてごらん』はテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開!




































