パニック・スリラー映画を多く手掛けるダビ・パストールとアレックス・パストールの兄弟監督。
彼らが現代のスペインを舞台に突如蔓延した“ある病気”に翻弄され、ひたすら地下鉄を歩いていく映画『ラスト・デイズ』を紹介します。
1.映画『ラスト・デイズ』の作品情報
(C)2013 MORENA FILMS S.L., ANTENA 3 FILMS, REBELION TERRESTRE FILM S.L., EL MONJE LA PELIICULA AIE, LES FILMS DU LENDEMAIN
【公開】
2013年(スペイン映画)
【原題】
LOS ULTIMOS DIAS/LAST DAYS
【監督】
ダビ・パストール、アレックス・パストール
【キャスト】
キム・グティエレス、ホセ・コロナド、レティシア・ドレラ、マルタ・エトゥラ
【作品概要】
『フェーズ6』のデビッド&アレックス・パストール兄弟監督による、スペインのバルセロナで彼女のフリアと同棲しているエンジニアの主人公マルク・デルガドが、突如世界に蔓延した「広場恐怖症」を恐れながら、上司のエンリケと共に離れ離れになったフリアの元に行くパニック・スリラー。
スペインのホラー&スリラーといったジャンル映画を集めた「スクリーム・フェスト スペイン2013」にて上映。
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2.映画『ラスト・デイズ』のあらすじとネタバレ
(C)2013 MORENA FILMS S.L., ANTENA 3 FILMS, REBELION TERRESTRE FILM S.L., EL MONJE LA PELIICULA AIE, LES FILMS DU LENDEMAIN
荒廃したバルセロナの街のあるビルの中、大勢の人々が食料を配給されています。ビルの外には誰一人おらず、ガランとしています。
その地下には数人の男性が壁を掘り進める作業をしています。主人公のマルク・デルガドは女性を思い浮かべながら狂ったように斧を振りおろし、壁に穴を開けました。
リュックなどの荷物を持った人々がビルの中で食料を受け取り、開いた穴から外に出る準備をしています。
そのときマルクは、前にいる男性が車のGPSを隠し持っているところを目撃します。
時は戻り、エンジニアとしてオフィスで仕事をしていたマルクは突然上司であるエンリケに呼び出され「これ以上作業が遅れるならクビにされても文句はいえないだろう?」と脅されます。
その夜マルクは残業しますが、一向に仕事は捗りません。彼女のフリアから心配する電話がきたので、諦めて帰ることにしました。
帰ってくると部屋の中では、ショッピングモールのおもちゃ屋で働いているフリアが自作のパンダの人形を作っていました。
何度か迫られているだろうフリアからの「子供がほしい」という言葉に、マルクは仕事を言い訳に逃げますが、寝つけないマルクは深夜のニュース番組を見ます。
そこには、先週カナダの16歳の少年が6ヵ月以上引きこもった後、自死した事件が報道されました。
父親が撮影した少年の最後の映像に「出れない」と必至に懇願し、頭に銃を突きつける少年が映されていました。
次の日、マルクの職場でも少年のニュースが話題になっていました。
そのニュースを見た1人の同僚男性が、焦ったようにオフィスから出ていきました。
マルクはフリアを探すために外に出る準備をしています。
先ほどGPSを奪った男性、上司のエンリケの後を追い、探す協力をしてもらおうと交渉します。
貴重品であるナイフや懐中電灯を、協力してくれたら全部譲るというマルクとエンリケ渋々協力関係を結びます。
以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ラスト・デイズ』ネタバレ・結末の記載がございます。『ラスト・デイズ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
地下の穴から外に出たマルクとエンリケは、線路を辿り地下鉄のホームに到着。
エントランスに上ると、GPSが入っているエンリケのリュックが少年に盗まれてしまいます。
追いかける2人ですが玄関ホールにいる少年の兄と仲間達が少年を庇い、拳銃でGPSを諦めるように2人を脅します。
すると突如街が停電し、驚いている隙にマルクが少年からエンリケのリュックを奪い返します。
エンリケは少年の兄から拳銃を奪い兄を殺害し、2人はホールの人混みの中に姿を隠します。
武器を手に入れたことによりエンリケはマルクと共にいる理由がなくなりましたが、「(貴重品をもらう)約束をしたから」と2人は行動を続けます。
マルクの会社で突然トラブルが起こりました。
同僚の話によると、ロビラという同僚男性がエンリケに何週間もオフィスに泊まっていたことがバレたそうです。
ロビラは「怖くて出れない」と拒否をし続けますが、そのまま引きずられたロビラは、一歩外に出た瞬間発作を起こし泡をふいて倒れます。
マルクは咄嗟にロビラをビルの中に入れますが、時すでに遅く、ロビラは息を引き取っていました。
その夜、マルクが自宅のバルコニーで物思いに耽っているとフリアがやってきます。
元気がないマルクを心配するフリアに、今日ロビラが死んだことを告げます。
ロビラとは数回言葉を交わした程度だったが、自分の腕の中でロビラが死んだことにマルクはひどくショックを受けていました。
マルクを慰めるため、2人は深く愛し合い体を重ねます。
エンリケはピジャ・オリンピカを目指しているようですが、理由は教えてくれません。
2人は下水管を通って下水道を進みます。遂にマルクのアパートの下まで来ることができました。
部屋の真下に位置するところに青いベルのようなものを吊るし、それを拳銃で撃って爆発させ上に穴を開けようと画策しますが、怪我をしたエンリケではうまく拳銃が扱えません。
マルクも初めての拳銃に緊張して的を外してしまいます。しかし、最後の一発で見事命中し、激しく爆発してアパートの底に穴が開き上に行けるようになりました。
自宅へ行くと鍵がこじ開けられている跡を発見し、マルクはフリアに何かあったのではと焦り、扉をこじ開けて怒り混乱しながら中に入ります。
するとそこには異国の知らない家族がいました。彼らもまた、行くところがなく仕方なくマルクの自宅にいたようでした。
彼らにフリアの写真を見せ知っているかと聞きますが、誰一人として知りませんでした。
途方に暮れフリアの痕跡を探していたマルクは、フリアが残していた絵を見つけます。
そこには産婦人科の病院の住所が記されており、裏には胎内のエコー写真が貼ってありました。フリアが妊娠していたことを知らなかったマルクはとても驚きました。
世界中で外に出て発作で死ぬ「広場恐怖症」が蔓延しているため、出産が困難になっているニュースを見て、マルクは「こんな時に妊娠出産なんてアホなこと」だと言い放ちます。
フリアはショックを受け、マルクと口喧嘩になりマルクはそのまま出勤していきます。
喧嘩を後悔したマルクがオフィスでフリアに電話をするが、友人のアンドレアが代わりに出るばかりでフリアと話ができません。
2人で話したいから今からそちらに行くとマルクは会社を出ようとしますが、その時マルクもまた「広場恐怖症」に感染してしまい、会社から出られなくなってしまったのです。
2人は異国の家族に別れを告げてアパートを出ます。
エンリケには脳卒中を起こして倒れた父親がいて、その父親が入院している病院にいくと目的を明らかにしました。
地下から上るとそこは教会でした。
火を炊く2人に突然動物園から脱走したクマが襲いかかりますが、なんとかクマを退治することに成功します。
エンリケが父親との思い出を語りながら、「広場恐怖症」に免疫があるオーストラリアの民族がいると教えてくれます。
地下を歩いていると正面から人々がやってきます。
デルマル病院に行きたいというエンリケに、女性があそこは火事があって焼け落ちたと噂を聞いたといいます。
焦ったエンリケは走りだしビルを登っていきます。ビルの窓からは、エンリケの父親がいた病院が燃え盛っているところがはっきりと見えました。
絶望するエンリケを必至でマルクは止めますが、エンリケは聞く耳を持ちません。
さっさと行けというエンリケにマルクはかける言葉もなくし GPSを受け取り立ち去ります。
フリアの働いていたショッピングモールのおもちゃ屋まできたマルクは、どこにもフリアの痕跡がないことに涙します。
すると正面の鏡に「スーパーにいます」というアンドレアからのメッセージを見つけ、マルクはスーパーに向かいます。
スーパーでは高くバリケードが積まれ人々が籠城していて、食料を奪われることをひどく警戒していました。
体を黒く塗った上の階の住人が襲ってスーパーの来ると、店内はあっという間に戦場になります。
壊されたバリケードから中に入ったマルクはフリアを探しますが、そこにいたのはアンドレアでした。
アンドレアから婦人科の病院にいることを知ったマルクは、共に外に出ようとしますが、天井が決壊しアンドレアは下敷きになってしまいます。
そして上の階の住人にマルクは襲われそうになりますが、間一髪で助けてくれたのはエンリケでした。
一度地下に戻り、行き止まりを登るとそこは映画館でした。
目の前に病院があり、フリアの姿を確認したマルクは歓喜しますが、地下が塞がれているため下から行けないことに気づきます。
エンリケの元に戻ると、スーパーで負った傷によりエンリケは瀕死の状態にありました。
助けようとするマルクをエンリケは止め、勇気を出して外に出ろとマルクを励まし、最後に死ぬときに隣にいてくれたことに感謝を告げエンリケは満足そうに息を引き取ります。
フリアのために外に出たマルクは、目が回るような広さに圧倒され眩暈を感じ、耳から血が出て、倒れながらもまた立ち上がりやっとの思いでフリアの元に辿りつきます。
フリアは出産し、病院の中でマルクは家族と過ごします。
エンリクと名付けられた2人の子供は、何も恐れず外で遊びのびのびと成長します。
そして大きくなったエンリクは、両親に見送られ、迎えに来た他の子供たちと共に荒廃した街の中を歩いていくのでした。
3.映画『ラスト・デイズ』の感想と評価
パニック・スリラーと謳ってますが、その実パニック要素はほとんどありません。
一環としてマルクはフリアに会いに行くためだけに、無茶をし続けていたので、愛をテーマにした要素の方が強いように感じました。
最後、2人の子供が他の子供たちと向かうところは、エンリケが教えてくれた「広場恐怖症」に耐性のあるオーストラリアの遊牧民の元だろうことが、直接表現せずともわかりやすかったです。
とにかく髭の多い男性ばかりが登場してくるので、名前を言われるまで誰が誰か、わかりづらいのは筆者だけでしょうか。
荒廃した世界が舞台なので、伸びた髭の処理などもできない故だとは思いますが…。
まとめ
じわりと手に汗握るような、後味の悪い結末が多いパニック・スリラー映画の中では、比較的初心者向けの作品だと思います。
舞台がスペインなこともあり、建造物の美しさも見どころのひとつと言えるでしょう。
髭のスペイン男性が好きな方にオススメの映画です。
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※紹介している情報は2017年11月時点のものです。配信作品の状況が変わっている可能性もありますので、詳細は公式ホームページにてご確認ください。