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『あの頃、君を追いかけた』感想レビュー。キミオイ日本版がオリジナル台湾版に似せた理由とは

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『あの頃、君を追いかけた』は、10月5日(金)全国ロードショー

乃木坂46でセンターも任されるエース候補の齋藤飛鳥が初主演した話題の『あの頃、君を追いかけた』

本作は同タイトルで2013年に日本でも公開されたギデンズ・コー監督の台湾映画のリメイク作品です。

今回は日本版とオリジナル版を比較し類似点を探ります。

映画『あの頃、君を追いかけた』の作品情報


©『あの頃、君を追いかけた』フィルムパートナーズ

【公開】
2018年(日本映画)

【原作】
九把刀(ギデンズ・コー)『那些年、我們一起追的女孩』

【監督】
長谷川康夫

【キャスト】
山田裕貴、齋藤飛鳥、松本穂香、佐久本宝、國島直希、中田圭祐、遊佐亮介

【作品概要】
台湾の人気作家、ギデンズ・コーが自身の自伝的小説を自ら映画化し、大ヒットした伝説の青春映画『あの頃、君を追いかけた』(2011)の舞台を日本に移しリメイク。

主人公を、『となりの怪物くん』、『万引き家族』、『虹色DAYS』など2018年話題作への出演が続く山田裕貴が演じ、ヒロインを映画初出演となる乃木坂46の齋藤飛鳥が演じます。

映画『あの頃、君を追いかけた』のキャラクターとキャスト

(C)「あの頃、君を追いかけた」フィルムパートナーズ

早瀬真愛(齋藤飛鳥)
昭和の道徳とあだ名されるまじめな医者一家の一人娘の女子高生。

永島浩介(山田祐貴)
豆腐屋の息子で中国拳法マニア、熱い思いはあるがその熱意をどこに向けていいのかがわからないでいる。

小松原詩子(松本穂香) 
浩介の幼馴染の女子でイラストレーター志望。

大野陽平(佐久本宝)、町田健人(國島直希)、秋山寿音(中田圭祐)、杉村一樹(遊佐亮介) 
浩介の悪友たち。

映画『あの頃、君を追いかけた』のあらすじ

(C)「あの頃、君を追いかけた」フィルムパートナーズ

10年前―。

水島浩介は、クラスメイトの仲間たちとつるんではバカなことばかりをして、さしたる夢や目標も分からぬまま、お気楽な高校生活を送っていました…。

そんな日々を過ごしていた浩介ですが、浩介の態度を目障りに思い激怒した教師が、クラス一の優等生である早瀬真愛を浩介のお目付け役に任命します。

教師の指示に驚きを隠せない浩介。

真面目でお堅い真愛を疎ましく思う反面、なぜか浩介の胸がザワつき始めます。

それは浩介と仲間たちにとって、真愛は中学時代から、ずっと憧れの存在だったからです。

ある日、教科書を忘れた真愛のピンチを浩介が救ったことで、2人の距離は一気に縮まっていきますが…。

台湾映画『あの頃、君を追いかけた』(2011)

はじめに原作となった台湾映画『あの頃、君を追いかけた』(2011)を紹介します。

2011年に台湾の人気作家ギデンズ・コーが、自伝的小説を自ら監督し映画化。

無名のキャストを配しながらも、台湾で社会現象を巻き起こすまでの大ヒットを遂げます。

香港では、チャウ・シンチーの『カンフー・ハッスル』の記録を塗り替えて、中国語映画の歴代興収ナンバーワンを記録しました。

映画は台湾中西部の彰化(しょうか)という町を舞台に1994年から2005年までの10年間を描いています。

「SLAM DUNK」に夢中になっていた高校生たちは、日本のAVを回し見する大学生になり、やがてそれぞれの道を歩み始めます。

(C)Sony Music Entertainment Taiwan Ltd.

そんな登場人物たちの成長と共に、学生寮の公衆電話に並ぶ長い列は消え、誰もが携帯で話すようになり、いくつかの大きな事件に世の中は揺れ、ヒット曲も入れ替わり…。

時代の空気感を丁寧に表現し、あらゆる世代の観客に“あの頃”を思い起こさせたことが、大ヒットの要因となりました。

それでは本作『あの頃、君を追いかけた』との類似点を見ていきましょう。

映画の外観(風景・雰囲気)の比較

(C)「あの頃、君を追いかけた」フィルムパートナーズ

映画の外観は、台湾版と日本版では多くの類似点が見ることができます。

撮影したカメラアングルも、同じところがいくつか見つけられます。

映画の冒頭シーンは、日本版の長谷川康夫監督がわざとそっくりに撮った部分もあるとのことです。

学校や学生の制服も、まるで台湾映画を見ているかのようなデザインです。

(C)「あの頃、君を追いかけた」フィルムパートナーズ

登場人物の比較

(C)「あの頃、君を追いかけた」フィルムパートナーズ

主人公カップルを含めて、メインキャラクターの造形もオリジナルに近いものとなっています。

齋藤飛鳥というトップアイドルの主演映画でありながら、彼女に役どころを寄せることなく、逆に齋藤飛鳥をヒロインに寄せて見せています

さらに言うとこれが意外なほどにはまっています

周りを囲む友人たちのキャラクターや大人たちもそっくりです。

目下、大ブレイク中の松本穂香の演じる小松原詩子のウェイトが少し大きくなっているぐらいでしょうか。

ラストの浩介のびっくりするような行動もオリジナルを踏襲しています。

(C)「あの頃、君を追いかけた」フィルムパートナーズ

まとめ

(C)「あの頃、君を追いかけた」フィルムパートナーズ

オリジナルに忠実に作られた日本版『あの頃、君を追いかけた』。

台湾版『あの頃、君を追いかけた』のオリジナルエピソードや、キャラクターの造形のいくつかは、台湾や中華圏の映画で成り立つもので、現代の日本を舞台にした邦画にそれをダイレクトに持ち込んだ場合、どうしても少し違和感が出てしまいます。

しかし注目すべきはこの映画は、ギデンズ・コー自身の自伝的小説を映画化したものだということです。

そして、少し美化され、少し突飛で、唐突なストーリー展開は、前述したように敢えてオリジナルに近づけることによって、映画全体に不可思議な魔法をかけ、映画の魅力を引き立てています。

また、デートシーンを台湾に設定し、撮影も台湾本土で行われており、オリジナルへのオマージュが見て取れます

韓国映画をリメイクした『SUNNY強い気持ち・強い愛』にも通じるところがあり、ちょっと大人になった自分から見た自分の青春劇として、この偏りは良い方向に作用しているといっていいのではないでしょうか。

唐突に見えてしまう台湾ロケも主人公が小説家として身を立て、自身の体験をもとにした物語を書いている中での回想ということでプラスに転じます。

少し美化され、少し突飛で、唐突なこの物語も自身の青春を語っているという視点で見ればしっくりきます

映画『あの頃、君を追いかけた』は10月5日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー!

ぜひ、劇場でご覧ください!

(C)「あの頃、君を追いかけた」フィルムパートナーズ

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