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Entry 2018/09/10
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バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)|あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • Cinemarche編集部

今回取り上げるのは第87回アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞をはじめ数々の映画祭で賞を獲得した映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』です。

現実と虚構が交錯する少々難解なストーリー、副題の意味に迫りながら、本作の魅力を改めてご紹介します!

映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の作品情報


(C)2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

【公開】
2015年(アメリカ映画)

【原題】
Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)

【監督】
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

【キャスト】
マイケル・キートン、ザック・ガリフィアナキス、エドワード・ノートン、アンドレア・ライズボロー、エイミー・ライアン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ、リンゼイ・ダンカン、メリット・ウェバ、ジェレミー・シェイモス、ビル・キャンプ、ダミアン・ヤング

【作品概要】
かつてスーパーヒーロー映画『バードマン』で大スターとなったものの、現在は仕事も家庭もうまくいかず失意の底にいる俳優リーガン・トムソンは、復活をかけたブロードウェイの舞台に挑むことに。

レイモンド・カーバーの“愛について語るときに我々の語ること”を自ら脚色し、演出も主演も兼ねて復活を目論みます。しかしその矢先出演俳優が大怪我をして降板。代役にブロードウェイで活躍する実力派俳優マイク・シャイナーを迎えますが、マイクの才能や身勝手な言動にリーガンは精神的に疲弊していき…。

本作を手がけたのは『21グラム』(2003)や『バベル』(2006)などのシリアスな人間ドラマを多く描き、また『レヴェナント : 蘇えりし者』(2015)で2度目の監督賞を受賞したメキシコの映画監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。

主役のリーガンを演じたのはかつてバットマンを演じた俳優マイケル・キートンです。バットマンで高い評価を得たキートンでしたが、その後はあまり出演作に恵まれませんでした。

しかし自分と似た境遇である俳優を演じた本作によって、キートンもまた返り咲いたのです。

キートン以外のキャスティングにも皮肉めいたユーモアが感じられます。劇中で売れない女優レズリーを演じるのはナオミ・ワッツ。彼女はニコール・キッドマンと同期でありキッドマンが売れていく一方で、自分はB級映画への出演で食いつなぐ苦しい日々が続いていました。

ブレイクのきっかけはデヴィッド・リンチによる『マルホランド・ドライブ』(2001)。この時もワッツは売れない女優役を、のちに出演した『キング・コング』(2005)でも失職した女優役と、何度も似た役柄を演じているのです。

映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のあらすじとネタバレ


(C)2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

俳優リーガン・トムソンは、かつて『バードマン』という3本の映画でヒーローキャラクターを演じ大スターになりました。

しかし20年前にシリーズが終わって以来リーガンはヒット作品に恵まれず、世間からは“バードマンを演じた俳優”という烙印を押され、家庭にも失敗し今ではすっかり落ちぶれていました。

リーガンは時折、現在の自分を嘲るもう1人の自分の声=バードマンに悩まされました。

1人になるとバードマンが現れ、ハリウッドへ戻れと煽り立てるのです。

リーガンは自分の存在意義を見出しまき直しを図ろうと、ブロードウェイで舞台をしようと考えます。

レイモンド・カーヴァーの短編小説『愛について語るときに我々の語ること』を自ら脚色・演出し、主役を演じることにします。

長年の親友の弁護士ジェイクにプロダクションを依頼し、共演者には自身の恋人であるローラを、ブロードウェイの舞台に初出演する女優レスリーを、自身の付き人兼アシスタントには薬物依存症から回復したばかりの娘、サムを起用しました。

しかしリハーサル中に俳優が負傷、代役としてブロードウェイで活躍するマイクが選ばれます。

俳優として卓越した才能を持つマイクですが、身勝手なマイクの言動は周囲を振り回し、3つのプレビュー公演のうち2つは台無しになってしまいました。

レズリーとベッドインするシーンではマイクは勃起し、リーガンの熱演もよりもそちらの方が話題を集めてしまいます。

翌日のニューヨークタイムズではマイクのインタビューが一面を飾っており、リーガンの記事は後の方へと追いやられていました。

リーガンにとってマイクは目の上のたんこぶ的存在、バードマンの声はますます鮮明になり、リーガンは精神的に追い詰められていきます。

最後のプレビュー公演中、リーガンは喫煙のため外へ出たものの偶然ドアが閉ざされ、衣装姿のまま外へ閉め出されてしまいます。

着ていたローブがドアに挟まったためリーガンは仕方なくローブを脱ぎ、ブリーフ姿でニューヨークの大通りを歩いて劇場の入口を目指しました。

何とかラストシーンまで終えるもリーガンがブリーフ姿で歩く様は一般人によって撮影され、その映像はYouTubeで100万回以上も再生されてしまいました。

こうして不本意な要因ではありますが、リーガンの姿は話題を呼ぶことになったのです。

以下、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』ネタバレ・結末の記載がございます。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
本公演の前夜、リーガンは舞台近くのバーで、辛口の女性批評家タビサから舞台を酷評すると宣言されました。

タビサの発言力は強く、彼女の酷評は舞台の打ち切りにつながるものです。

タビサはリーガンに「あなたは役者ではなく、ただの一般人」と言い残してバーを去ります。

呆然とし、そのまま道端で夜を明かしたリーガン。翌朝、リーガンはとうとう実態を持って現れたバードマンの声で目覚めました。

バードマンは、リーガンを再びハリウッドの大作映画の世界へ向かわせるべく、彼を虚構の世界へ誘います。

「お前なら出来る」と言われたリーガンはビルの屋上から飛び入り、そのままニューヨークの空を飛びまわりました。

そして迎えた夜の本公演。リーガン扮するエディの拳銃自殺で幕切れとなるラストシーンで、リーガンは観客の前へ立ち、拳銃を頭へ突きつけて発砲と同時に倒れました。本物の血が飛び散り、観客はざわめいたものの大きなスタンディングオベーションを送りました。

その後、リーガンは病室で目を覚まします。彼は頭ではなく鼻を吹き飛ばしており、一命をとりとめたのです。

新聞には銃を向けるリーガンの姿がプリントされており、タビサによって「小道具と本物の銃を間違えた」と事件を報道されていました。

また彼女は「無知がもたらす予期せぬ奇跡」と絶賛、舞台を新しい芸術様式を作り出したと讃えていました。

包帯を取ったリーガンが鏡を見ると、自分の鼻はさながらバードマンのように鋭く変貌していました。

窓の外にはバードマンがおり、リーガンは引き寄せられるようにヘリに立ちます。

消えた父親を探して病室に入ってきた娘のサムは開け放たれた窓にかけより下をみますが、リーガンの姿はどこにもありません。

サムは空を見上げ、微笑むのでした。

映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の感想と評価


(C)2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

本作は約2時間、ほぼワンカットに見える手法で構成されています。

パンツ一枚で道を走らなければいけないシーン、バードマンが空からやってくるシーン、なぜか別の場所へ移動していたりと、リーガンが見えている幻想がワンカットで現実と同じ場面に同居していることによって、観客は彼が妄想と現がごっちゃに見えていることを知ることができます。

リーガンが起死回生を図るために上演することにした舞台『愛について語るときに我々の語ること』。

この舞台はある夫婦の愛と自己破壊を描いています。リーガンも妻とは離婚し、ドラッグ依存から回復したばかりの娘サムは自分に辛く当たる始末。

おまけにリーガンはサムが俳優マイクとキスしているところを目撃します。

劇のラストではリーガンが演じる主人公が友人と妻が不倫をしている現場を目撃し、誰にも愛されていない事実を知り自死を図ります。

リーガンは『愛について語るときに我々の語ること』の主人公と、全く同じ状況にいるのです。


(C)2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

この『バードマン』の副題の邦題は『(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』。

しかし原題の『(The Unexpected Virtue of Ignorance)』は、『無知がもたらす予期せぬ美徳』という意味なのです。

毎日毎日自分の存在意義を考え、どん詰まりの状況で舞台を行い、そして最後には苦悩から解放されたリーガン。

娘サムは空を見上げ、嬉しそうに微笑みます。

イニャリトゥ監督作品に一貫して描かれているテーマは絶望的な状況の中での家族愛、失った息子、娘との関係。舞台の成功、サムとの関係の回復は“予期せぬ”ものだったでしょうが、しかし“奇跡”ではなくリーガンが考えあぐね続けたからこその“美徳”。

無知だったとはいえ、やり遂げた彼の元にあったのは“奇跡”という曖昧な大きな力ではなく“美徳”だったのです。


(C)2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

まとめ


(C)2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

演じる俳優たちの人生も絡んだ、虚構と妄想の平行世界を見る不思議な作品『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』。

1人の男の“予期せぬ美徳”は少々哀れかつ滑稽な道を辿りながら、今までに感じたことのないカタルシスをもたらします。

ぜひ今一度『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』ご覧ください。


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