Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2021/11/20
Update

映画『リトル・ダンサー』ネタバレ考察解説と結末あらすじの感想。元ネタのバレエモデルの紹介と“白鳥の湖”は同性愛者としてのメタファーなど深掘り!

  • Writer :
  • からさわゆみこ

田舎の炭鉱町から希望の鳥が羽ばたく“ブリティッシュ・ドリーム”

映画『リトル・ダンサー』は、1984年のイギリス北部のダラム炭鉱を舞台に、11歳の少年ビリー・エリオットが偶然目にした、“バレエ”のレッスンで踊ることに興味をもち、練習に参加するうちにその素質を開花させていく物語です。

バレエの指導者、ウィルキンソンはビリーの素質を見過ごさず、ロイヤルバレエ学校のオーディションを受けさせるため、無償でレッスンをしますが・・・。

本作は『めぐりあう時間たち』(2002)、『愛を読むひと』(2008)のスティーブン・ダルドリー監督が手掛けた、長編映画初監督作品です。

ビリー・エリオット役のジェイミー・ベルは、出演条件である「イギリス北東部の訛りを持つ、ダンスが得意な少年」を満たし、約2,000人の候補者から選ばれました。

映画『リトル・ダンサー』の作品情報

(C) 2000 Tiger Aspect Pictures (Billy Boy)Ltd.

【公開】
2000年(イギリス映画)

【監督】
スティーブン・ダルドリー

【脚本】
リー・ホール

【原題】
Billy Elliot

【キャスト】
ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ、ゲイリー・ルイス、ジェイミー・ドラヴェン、アダム・クーパー、ジーン・ヘイウッド、スチュアート・ウェルズ、マイク・エリオット、ニコラ・ブラックウェル、コリン・マクラクラン、ジャニーン・バーケット、メリン・オーウェン

【作品概要】
スティーブン・ダルドリー監督は長年、舞台監督として培ってきた演出方法で、ビリーの心の機微を大胆かつドラマチックに作品に落とし込み、初監督にしてアカデミー賞監督賞にノミネートを果たします。

ジェイミー・ベルも得意なダンスと共に、卓越した演技力で15歳にして、英国アカデミー賞とロンドン批評家協会賞の主演男優賞を受賞しました。

見どころはそんなダルドリー監督の演出に、ジェイミーが応える形で繰り広げられた、ダンスシーンです。大人の騒動に巻き込まれ、不満を抱きながらも、反抗すらできない心情を見事に表現しています。

映画『リトル・ダンサー』のあらすじとネタバレ

(C) 2000 Tiger Aspect Pictures (Billy Boy)Ltd.

1984年ダラム炭鉱で働く作業員たちは組合が打ち出した、採炭効率の低い炭鉱を閉鎖することに反発して、ストライキ運動を敢行しています。

ビリーは炭鉱で働く父と兄が毎日ピリピリしている中、レコードプレーヤーで兄が大切にしているレコードを聴きながら、自己流でダンスを踊り、家のことや認知症の祖母の世話をしています。

兄のトニーは炭鉱のストライキでリーダー的な存在です。父は炭鉱ではもう石炭はでないと、落胆をしており炭鉱の再開はないと思ってます。

ビリーはピアノを自己流で弾くのも好きでしたが、父はその音色さえもうるさく感じ、ビリーに辛くあたります。ピアノの上には母親の写真が飾られていて、ビリーはジッとみつめます。

そんな、大人の騒動などどこ吹く風・・・。ビリーは毎週50ペンスもらい、ボランティアのボクシングクラブに通っていますが、練習熱心でないため強くも上手くもありません。

ある日、同じ建物のバレエ教室の生徒たちが、ボクシングクラブの一角を間借りしに来ます。バレエのレッスン場が、ストに参加している作業員の炊きだしを作っているためです。

ビリーは居残り練習をさせられますが、隣りでバレエのレッスンが始まると、ピアノの音色の方が気になり、身体はピアノのリズムでサンドバックを叩きます。

バレエのウィルキンソン先生に運動場の鍵を渡そうと、レッスンの様子を見ていたビリーは、同級生でウィルキンソンの娘デビーに踊ってみたら?といわれ、最初は嫌がっていたものの、そのうちバーをもって真似し始めます。

ウィルキンソンはビリーの体幹の良さに目をつけ、足の向きや角度を手取足取り教えはじめます。

レッスンの帰り道にビリーの足取りは弾んでいます。ウィルキンソンが彼に“50ペンス”払いなさいというと、ボクシングの分しかないと言います。ビリーは「楽しかった?」と聞かれますが、デビーの手前答えられませんでした。

ビリーの母は1年前に亡くなっていて、祖母はママはアステア(フレッド・アステア)のファンだったと話します。

デビーはビリーにバレエを勧めてみます。ビリーは「男がバレエなんて・・・」と、抵抗感をみせます。すると、デビーは“ウェイン・スリープ”のバレエは運動のようだと教えます。

そう聞いたビリーは翌週から、バレエのレッスンに参加するようになり、移動図書館でバレエ専門の本を“くすねて”用語やポーズを研究し、家でも練習するようになりました。

特に“ピルエット”と呼ばれる回転が、できるようになるため毎日毎日、練習を重ねてやっとできるようになった、ビリーはバレエを踊ることが好きになり、日常の動作が踊りになるほどのめりこみます。

以下、『リトル・ダンサー』ネタバレ・結末の記載がございます。『リトル・ダンサー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C) 2000 Tiger Aspect Pictures (Billy Boy)Ltd.

ある日、ビリーの父ジャッキーがストライキのデモに参加している時、ボクシングのトレーナーがやってきて、“50ペンス”が厳しいなら無料で練習を見ると話しかけます。

ジャッキーは何のことかわからないでいると、ビリーが練習に来ていないことを知り、トニーに最近変わった様子がないか訊ねますが、“基本変わった子”だと返します。

翌朝、ビリーは朝食も食べずに家を出ていくと、ジャッキーは不審に思いボクシングの練習場へ行きます。するとそこで女の子たちに混じって、バレエのレッスンをうけるビリーをみつけてしまいました。

ビリーはジャッキーに呼ばれて、強制的に家に連れ帰らされます。そして、なぜバレエなどしているのか問い詰められます。

ジャッキーは男の子ならサッカーやボクシングなどをするものだと言いますが、ビリーはなぜ“バレエ”をしてはいけないのか、その理由が知りたいと迫ります。

しかし、ジャックは口ごもりその理由は、ビリー本人がわかっているはずだと怒りだし、答えないと殴るとまで言います。ビリーには何が言いたいのかはわかっていました。

「ゲイとはかぎらない。スポーツ選手に負けない人だっている!例えばウェイン・スリープみたいな!」と、自分がゲイではなくスポーツとしてやっていると答えます。

それでも偏見の拭えないジャッキーは、“50ペンス”を捻出してきた苦労を言いそうになり、バレエもボクシングもしないで、家で祖母の面倒を見ているよう言いつけます。

ビリーは父に反抗できず、バレエを辞めることを伝えにウィルキンソンの家を訪ねると、ウィルキンソンは“もったいない・・・”と、つぶやきます。

夕食を共にすることになったビリーは、デビーの父からウィルキンソンがビリーのことを“ジーン・ケリー”の再来だと絶賛していると聞きます。

そして、父が炭鉱で働きストライキ活動では、暮らしは大変だろうし、炭鉱が廃坑になるのも近いと話します。ビリーには深刻さがよくわからずにいましたが、石炭は採掘するのに金がかかり、採れる量が少なければ廃坑にならざるを得ないと教えます。

ビリーは家の近くまでウィルキンソンに送ってもらいます。車を降りる時に彼女はビリーにはバレエの素質があると、ロンドンのロイヤルバレエ学校の受験を勧めました。

そして、ニューカッスルでオーディションが行われると伝えますが、バレエを始めたばかりのビリーは無理だと答えます。

ウィルキンソンは学ぶのは入学してからで、要は素質であり表現力があるかないかだと言います。それでもビリーは父親の反対を恐れ、話せないと答えます。

ウィルキンソンが説得すると言っても無理だというビリーに、無償で個人レッスンをすると言います。そして、月曜日の早朝から受験に向けて練習がはじまります。

ウィルキンソンはビリーにレッスン初日に、“大切にしているもの”を持ってくるように言ってました。いくつか持ってきた中に、“18歳になった時のビリー”に宛てた、母からの手紙があり、ビリーはウィルキンソンに読むよう渡します。

メッセージは母としての愛にあふれた内容で、ビリーは暗唱していました。「すばらしい方だったのね」と、ウィルキンソンは言いますが、ビリーは“普通の母親”だと答えます。

ビリーはトニーの持っていた“アイ・ラブ・トゥ・ブギ”のカセットを課題曲に、レッスンを開始します。

(C) 2000 Tiger Aspect Pictures (Billy Boy)Ltd.

ある日の明け方前、トニーが支度をして出かけようとしますが、工具箱からハンマーを持ち出し、それをジャッキーにみつかり、何をするつもりなのか問い詰められます。

トニーは成り行きまかせではコケにされると、息巻き仕返しすると答えますが、リーダー格のトニーは警察からマークされているし、暴力はダメだとジャッキーは制止します。

しかし、トニーはそんな父に反発し、母が亡くなってから腰抜けになったとなじると、ジャッキーはトニーを殴ってしまいます。

一部始終を見ていたビリーは、家族の中で何かが変わろうとしている現実に不安を覚え、バレエの練習に身が入らなくなります。

練習不足なビリーをウィルキンソンは見抜き、“努力不足”や“集中力の欠如”と責め立てます。ビリーは苛立ち彼女の指導を命令だと反発し、“叶わなかった自分の夢”を押し付けていると、暴言を吐いてしまいます。

たまらずウィルキンソンはビリーの頬を叩いてうつむきます。ビリーは我に返ると無言で、彼女の肩にうなだれます。

彼女はやり場のない苛立ちを抱えているビリーを理解し、彼の襟足をなでながらお互いに冷静になる時間を経て、練習を再開します。

レッスンの帰り道、ビリーはウィルキンソンのカーステレオで、“白鳥の湖”の音楽とその悲恋の物語を聞きます。

ビリーのレッスンは仕上げを迎え、いよいよオーディション前日になります。ところがストライキと警察隊との攻防は激化し、トニーはとうとう逮捕されてしまいます。

オーディションどころではなくなったビリーは、ウィルキンソンの家に電話をしますが、出たのがデビーとは知らず、オーディションに行けないと伝えます。

ウィルキンソンは約束の時間に来なかったビリーの家を訪ねると、釈放されたトニーとジャッキーと共に帰宅してきたところに出くわします。

ウィルキンソンはロイヤルバレエ学校のオーディションがあったことを話し、ジャッキーの知るところになります。ジャッキーは無言でしたが、ビリーはバレエダンサーになりたいと意思の表明をします。

トニーは彼女に11歳の子供に変なことを吹き込むなと抗議し、彼女は暴力と酒浸りな環境にいる方が可哀そうだと反論し、ビリーには将来有望な才能があると訴えます。

ウィルキンソンはトニーが侮辱的なことをまくしたてたため、出て行ってしまいました。ビリーは再び八方ふさがりになってしまい、クリスマスイブの晩を迎えます。

ジャッキーは妻のピアノを破壊し、暖炉の燃料にして悲しみに暮れ、ビリーは最悪なクリスマスだと、親友のマイケルに話します。

マイケルはどこかの劇団に入って、家を出たらどうかと提案します。そして、ビリーのかじかんだ手を自分の懐に入れて温めてあげました。

ビリーはマイケルに“ゲイ”なのか訊ね、バレエをやっているけど自分はゲイじゃないと言うと、マイケルはビリーの頬にキスをして、誰にも言わないでと頼むと、ビリーは微笑みながら「当たり前だ」と言って、ボクシングジムに行こうと誘います。

ビリーはマイケルにチュチュを渡し、バレエを教えていると、酒場から帰ってきた、ボクシングのトレーナーが、灯りがついていることに気がつき、2人の様子を見てしまいます。

そして、一緒にいたジャッキーに知らせて中に入ります。ビリーは父の姿に気がつきますが、今度は逃げも隠れもしません。逆に今まで習得したダンスの全てを、ジャッキーに披露します。

その姿を見たジャッキーは黙って外に出てどこかに向かい、ビリーは追いかけてパパと叫ぶと、家に帰るよう言います。

ジャッキーはウィルキンソンの家を訪ねて、ロイヤルバレエ学校のことを聞きます。彼女は才能が認められれば、学費は奨学金が出ると話し、旅費が問題なら自分が出すと言います。

そんな彼女にジャッキーは保護者面するなと言ってしまいますが、ウィルキンソンはいい加減に意地を張るなと反論します。

ジャッキーは彼女にこれまでのことを感謝しつつ、学校に行かせるかどうかは、親である自分が決めなんとかすると宣言します。

ビリーのベッドサイドに座るジャッキーを不安げな顔でみつめるビリー、ジャッキーは何も言わず優し気な表情で見つめ返すだけでした。

(C) 2000 Tiger Aspect Pictures (Billy Boy)Ltd.

翌日、ジャッキーは“スト破り”をして、作業員登録をして炭鉱に戻ろうとしますが、送迎のバスに乗っているところを、トニーにみつかってしまい、彼は掘削場まで追いかけてきて、仲間を裏切るのかと責め立てます。

ジャッキーは炭鉱に未来はなく自分達はしかたないが、11歳のビリーには才能があるかもしれない、ビリーの夢を叶えてあげたいと泣き崩れます。

トニーはジャッキーの気持ちを受入れ、金の工面はなんとかするから、スト破りだけはしないでほしいと懇願し、家に連れて帰ります。

そして、トニーもビリーに言います。母が生きていたらきっとオーディションに行かせただろうと・・・。

ボクシングジムのトレーナーは貯めていた、練習代の50ペンスをビリーにカンパします。婦人会も50ポンド集めると協力的でしたが、困難なことは目に見えています。

ジャッキーは宝石箱を取り出して、泣きながら妻の貴金属を手にします。それを質屋にもって行き換金します。

こうしてビリーはジャッキーと2人で高速バスに乗り、ロンドンのロイヤルバレエ学校のオーディションに向いました。

会場には何年もオーディションに向け、努力を重ねた受験生がいます。ビリーはとても場違いな感じを受け、物怖じしてしまい実力を出し切れずにいました。

実技の試験が終わると、妙に馴れ馴れしい子が声をかけてきて、ビリーは不安や困惑でイラ立ち、その子を殴ってしまい、試験の結果に影響すると告げられます。

親子面接が始まりますが、ビリーには積極性もアピール性もありません。ウィルキンソンからの推薦状には、高い評価がされていて、家の事情も記されていると伝えられます。

ジャッキーは面接官に技術的な面と同様に、学業もハイレベルが求められるため、家族の全面的なサポートが必要があると、そうする覚悟があるか確認されます。

面接が終わり退室しようとしたとき、1人の面接官がビリーに、踊っている時の気持ちを問いかけます。

ビリーは踊り出すと何もかも忘れ、全てが消えると自分が変わっていき、体の中が炎えあがると・・・ボクはただ宙を飛ぶだけ、鳥のように電気のように・・・そう電気のように。

こう答えたビリーに気をつけて帰るよう言い、ジャッキーには激励の言葉をかけます。

ビリーは受かる気がまったくしませんでした。時が経ったある日、エリオット家に郵便が届きます。待ちに待ったロイヤルバレエ学校からの通知です。

家族はビリーが帰宅するのを待ち、ビリーは封書を受け取ると、別室へ入っていきます。そして、封を開けて中を確認すると飽和状態になってしまいます。

ビリーが部屋から出てこないので、ジャッキーが扉をあけると、半泣き状態のビリーは家族をみつめ「受かった」とつぶやきます。

旅立ちの日、ビリーはバレエのレッスン場へ行き、ウィルキンソンに合格の報告をします。ビリーは寂しくなると弱音を吐きますが、「あなたには大きな未来があるの、飛び出していきなさい。」と励まします。

ビリーはマイケルの家を訪ねますが、彼は出てきません。ところが少し離れると出てきてビリーを呼びます。ビリーはマイケルの頬にキスをして「またな」といって去ります。

10数年後、25歳になったビリーは、『白鳥の湖』のプリンシパルとして舞台に立ちます。父ジャッキーと兄トニーが劇場に駆けつけると、隣りの席にはマイケルもいます。

白鳥の湖のオーケストラに合わせ、鳥のように舞うビリーの姿を観たジャッキーは、感慨深く眼に涙を浮かべ声を震わせました。

映画『リトル・ダンサー』の感想と評価

(C) 2000 Tiger Aspect Pictures (Billy Boy)Ltd.

炭鉱の周囲では、大人達が死活問題の闘争に明け暮れ、ビリーだけでなく子供たちはおざなりになっていますが、クラブ活動で見守る体制になっていました。

町全体が混沌と疲れきっている中、“ダンスのレッスン”が悠長にも見え、そのギャップが未来のない大人と、未来のある少年を投影していました。

このイギリス国内の炭鉱各地でおきたストライキ運動は、1984年から1985年にかけて実際に起きたできごとです。

この炭鉱ストライキを題材にした映画には『パレードへようこそ』(2014)、『ブラス!』(1996)などもあります。

『パレードへようこそ』はロンドンで暮すゲイやレズビアン達が、炭鉱ストを支援するため募金を募りますが、差別的な扱いをされた実話が元の映画です。

『ブラス!』は廃坑から10年経った、炭鉱の町が音楽を通じてどのように、再生していくかを問う映画です。

『リトル・ダンサー』には、1年にも及ぶ“炭鉱ストライキ”という社会問題と、同性愛者たちによる権利の主張が活発になってきたころと重なり、性別を超えたヒューマニズムへの希望が込められているように感じます。

また、炭鉱の町の未来を考えた時、どう現状と向き合い生活を立て直していくのか?『ブラス!』と通じる面も垣間見れました。

同性愛者の悲恋『白鳥の湖』

本作のラストでは、ビリーがプリンシパル(主役)に昇格した姿で、父と兄に感謝の気持ちを伝えます。

加えてゲイだとカミングアウトしたマイケルには、同性愛者の悲恋を描いた『白鳥の湖』で踊ることで、ビリーのマイケルへの友情が感じられました。

このラストシーンのビリー役は、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルだった、アダム・クーパーが起用されています。

彼は実際に上演された、マシュー・ボーン作『白鳥の湖』のオリジナルキャストで、ザ・スワン(主役)を踊りました。アダム・クーパーも11歳でダンスを始め、16歳でロイヤルバレエ学校に入学し、才能を開花させてきました。

女性を魅了しダンサーが憧れる“ダンサー”

ビリーの友達でウィルキンソンの娘、アビーは“ウェイン・スリープ”はスポーツ選手のようなダンサーだと表現し、ウィルキンソンはビリーを“ジーン・ケリー”の再来と称賛しました。

ビリーはどんなダンサーを目指したのでしょうか?ビリーの亡くなった母は“フレッド・アステア”のファンだったと、聞いていた彼は純粋にアステアのようなダンサーになりたいと思ったことでしょう。

“ジーン・ケリー”はアステアと共に、ブロードウェイの全盛期を支えたダンサーで、2人は終生にわたって尊敬し合っていました。

ウェイン・スリープは幼い頃、フレッド・アステアやジーン・ケリーに憧れて、タップダンスに力を入れました。そして、彼もまた条件を満たした才能で奨学金を受け、ロイヤルバレエ学校で学びます。

ウェイン・スリープは、イギリスが誇る伝説のバレエダンサーであり、『リトル・ダンサー』のビリーは、彼がモデルだと言われています。

まとめ

(C) 2000 Tiger Aspect Pictures (Billy Boy)Ltd.

映画『リトル・ダンサー』は、炭鉱の歴史に幕を下ろし始めた1984年が舞台で、イギリスの産業を支えてきたという作業員の誇りが、1年ものストライキへと突き進ませました。

それに見合った報酬と保障があって当然と考えますが、現実は時代と共に急激に変化し、庶民に順応を求めます。大人達はその急激な波に右往左往と飲まれていました。

仲間同士が疑心暗鬼になり、大人の意地の張り合いは、未来のある子ども達から夢や希望、才能さえも摘もうとしていました

幸いビリーの才能をウィルキンソンが見出したことで、ダンサーという夢に向わせます。その熱意が頑固な父と、過激な行動に向っていた兄に光を射し、家族の絆を固く結ぶ物語でした。

14歳のジェイミー・ベルと「ハリー・ポッター」シリーズで、ロンの母親役でお馴染みの、ジュリー・ウォルターズとのダンスシーンは、楽しさを見出した瑞々しさがありました。

ビリーのダンサーへの飛躍は、ジェイミーがこの映画のオーディションを受け、俳優として飛躍したことと重なります。




関連記事

ヒューマンドラマ映画

月と雷あらすじネタバレ!角田光代の原作小説と映画は別の結末?

2017年10月7日(土)よりテアトル新宿やテアトル梅田などで全国公開される、映画『月と雷』はの予告編が解禁となりました。 映画の原作は直木賞作家の角田光代の同名小説。キャストに初音映莉子、高良健吾、 …

ヒューマンドラマ映画

三澤拓哉映画『ある殺人、落葉のころに』モンゴル人と日本人の特徴を活かし合う交流

三澤拓哉監督の映画『落葉のころ』には香港人の撮影監督ティムのほかにも外国人スタッフがいました。 三澤監督と香港人の撮影監督ティム 東京芸術大学に映画を学ぶために留学中の内モンゴル人のトリグルです。 ト …

ヒューマンドラマ映画

映画『Away』あらすじと感想評価レビュー。宮崎駿アニメなど影響を受けつつも全く異なる方向を見出した意欲作

映画『Away』は2020年12月11日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー! アヌシー国際アニメーション映画祭、ストラスブール・ヨーロッパ・ファンタスティック映画祭、インターナショナル・ア …

ヒューマンドラマ映画

映画『チア男子!!』ネタバレ感想と評価。キャストの横浜流星と中尾暢樹は誰もを笑顔にする

今までの自分を壊す!BREAKERS! 隠していた本音、不安で臆病な心を壊して飛ぼう。 アニメや舞台にもなった、直木賞作家・朝井リョウの人気小説『チア男子!!』が、実写映画化となりました。 朝井リョウ …

ヒューマンドラマ映画

映画『ドンテンタウン』感想レビューと内容評価。佐藤玲×笠松将W主演「MOOSIC LAB 2019」長編部門の準グランプリ受賞作

映画『ドンテンタウン』は2020年7月17日(金)アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー 音楽×映画の祭典「MOOSIC LAB2019」にて、長編部門準グランプリを受賞した映画『ドンテンタウン』 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学