元KARAのメンバー知英と竹中直人が共演したコメディ映画『レオン』は2月24日から公開中。
車との事故をきっかけに心と身体が入れ替わってしまった地味な派遣OLと女大好きワンマン社長というのは物語で、原作はスマホマガジン「Hot-DogPRESS」に連載されたコミック。
性別も地位も性格とまったく何もかもが真逆な2人が入れ替わってしまった大混乱のコメディとは?
CONTENTS
1.映画『レオン』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【監督】
塚本連平
【キャスト】
知英、大政絢、吉沢亮、斉藤慎二、ミッツ・マングローブ、原幹恵、河井青葉、山崎育三郎、竹中直人
【作品概要】
韓国の人気アイドルグループKARAの元メンバーとして知られる知英の映画初主演作で、陰気な派遣社員のOLとセクハラオヤジの心と体が入れ替わっしまった騒動を描いたコメディ映画。
『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』や『ぼくは坊さん』などで知られた塚本連平監督が演出を担当しています。
2.小鳥遊玲音役を演じた知英とは
知英は1994年1月18日に韓国で生まれ、かつては日本でも老若男女問わず人気を博したダンスグループKARAの元メンバーです。
本作『レオン』の予告編を見て、「え⁉︎韓国人なの?日本語ペラペラ〜」と思ったかもしれませんね。
知英は2014年より、日本を中心にアジア各国で女優活動をはじめ、同年にドラマ『地獄先生ぬ~べ~』でヒロインゆきめ役に抜擢されます。
そのほかのドラマでは『民王』(2015)、『ドクターX~外科医・大門未知子~』(2016)など話題作に出演しています。
2016年にはソロアーティスト「JY」としてデビューして、2ndシングル「好きな人がいること」は、配信チャート12冠の快挙を達成。
2017年のドラマ『オーファン・ブラック~七つの遺伝子~』では、ドラマ初主演を果たし、1人7役を見事に演じきりました。
映画には羽住英一郎監督の「暗殺教室」シリーズ(2015~16)、原桂之介監督『片思いスパイラル』(2016)などに出演。
FROGMAN監督の『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』(2017)では、人気キャラクターのハーレクイーン役の声優を演じます。
知英は本作『レオン』で劇場長編映画初主演を果たしました。
知英は共演をした俳優の竹中直人について、ソロデビュー前から魅力的で好きな俳優であったと語り、共演できるとは思ってもいなかったそうです。
しかも今回の役どころは、竹中直人と中身が入れ替わる役所に、撮影中はずっとワクワクしていたそうです。
またその入れ替わる場面について、次のように語っています。
「入れ替わったときは、竹中さん演じる朝比奈玲男になりきり、エロオヤジ社長炸裂でやりきりました。気分は爽快でした。限界ギリギリ!?の表情にも挑戦しているので、是非楽しんで観て頂きたいです」
確かに思いっきりの良い様子は中身が朝比奈玲男になった後に見せる、サバサバした男勝り演技は、映画を観ていてすぐに好感が持てる魅力のある演技です。
確かにここまで出来るコメディエンヌに徹する女優はいないかもしれません。
その辺りは知英ならでは素晴らしい快演なのでしょう。
また、元KARAらしいダンスシーンやパフォーマンス力も随所に散りばめられた知英の魅力満載です。
3.映画『レオン』のあらすじとネタバレ
磨けば美人でナイスバディの持ち主だとは自信の持てない小鳥遊玲音。
そんな彼女は地味で消極的な性格の派遣社員として朝比奈フーズで働くOLでした。
玲音が務める朝比奈フーズの社長は、年商500億の女好きなワンマン社長の朝比奈玲男と言い、独断専行でビジネスとして戦い抜き、好きな有機野菜作りで会社を大きく伸し上げた逸材でした。
ある日、派遣社員としての役割を解雇された玲音はトボトボと道を歩いていると、朝比奈社長の運転する車の事故に巻き込まれてしまいます。
翌朝になり、2人は目が覚めると玲男の身体にはある異変があり、心は朝比奈玲男のままだが身体は小鳥遊玲音になっていました。
はじめは困惑とともに外見は女で中身は男であるトンデモナイ事態に陥りながらも何とか会社へと舞い戻ることに成功しました。
しかし、会社にたどり着いた玲男だったが、当然ですが、誰も小鳥遊玲音の姿をした彼を社長だとは信じてくれません。
しかもその事故は、朝比奈社長の失脚のシナリオの始まりでもありました。
朝比奈フーズの社長の座を狙った朝比奈社長の甥で副社長の政夫と、プレイボーイの税理士である日下の仕組んだ策略だったのです。
4.映画『レオン』の感想と評価
見どころ①コメディ演出の塚本連平監督と知恵の演技力
塚本連平監督は1963年2月24日に岐阜県で生まれています。
日本大学藝術学部映画学科卒業後、テレビ界入りをすると、「特命係長・只野仁」シリーズ(2004)、『ドラゴン桜』(2005)、「時効警察」シリーズ(2006-07)などで、独自のコメディ感覚を見せた作品を演出しました。
2004年に滝沢沙織主演の『ゴーストシャウト』で映画監督デビューを果たします。
その後も『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』(2008)、『非女子図鑑「死ねない女」』(2009)、『かずら』(2010)などを制作しました。
近年のドラマには2016に『お迎えデス。』、2017に『定年女子』『重要参考人』などでも知られています。
塚本監督は本作の一番の見どころを次のように述べています。
「この映画の一番の見所は、何といっても中身が「竹中直人」を演じる、知英のハッチャケぶりです。勿論「竹中直人」を演じると言っても、竹中さん自身を演じる訳ではありません。竹中さん演じる女好きワンマンオヤジ社長と魂が入れ替わって、そのキャラを演じるのです。陰謀に巻き込まれたり、男に恋したり、思いがけない感動のシーンがあったり、様々なシチュエーションの中で、今まで見たことない知英をお楽しみください。特に女優生命を賭けた?変顔は必見です」
やはり、知英の活躍をベタ誉めのようですね。
ここまで読まれて、当然気がつかれているとは思いますが、本作は大林宣彦監督の『転校生』と瓜二つの入れ替わり設定の類似があります。
もちろん劇中には、それを意識した場面がリスペクトのパロディとして登場します。
小鳥遊玲音の姿をした玲男は、「こう言う時はこのようにするんだ」と神社の階段落ちを朝比奈玲男の姿をした玲音に強要して転がり落ちる場面があります。
ほかにも自身の異変に乳揉みをする場面もあり、改めて名作『転校生』を思い出させられます。
つまり知英の見せた演技力の熱演は、どこか女優・小林聡美に追いついてはいないまでも、そこに通じる何かがあるとも言えるでしょう。
女優が作りすぎた美貌ばかりで、身体を張った演技を見せることが少なくなった昨今では、やはりスゴイなと思わされるものに感じました。
コメディエンヌとして、または良き味を持った演技派の小林聡美に知英が近づけるかも、今後に期待したいですね。
本当にこの作品の知英は、志村けんのバカ殿コントに必死さを見せた。かつてのアイドルを思わせる熱量がありますよ。
まあ、熱量といえば、口から放射能も吐く知英なので、そこにも要注目。
見どころ②変なキャラばかり出てくる変な映画!
塚本監督は『レオン』に出演する俳優たちについてこのようにも述べています。
この映画は変なキャラばかり出てくる変な映画です。ストーリーも脱線ばかりして、先が読めない変な映画です。是非「変さ」を楽しんで、お気に入りの「変」を見つけていただきたいです。
この作品はかつての良い意味で、かつての昭和映画にあったプログラムピクチャーのような、“いい加減な良い感じ”があります。
竹中直人もここ最近では抜群に魅力満載!ハッチャけたかつての快演ぶりを思い出させてくれました。
ほかにも知英同様に本作が映画初出演で、朝比奈政夫を演じたトリオ芸人のジャングルポケットの斉藤慎二は、活躍をもっと見たく若干物足りなくはあるものの、斎藤ファンとしては映画初出演に拍手を贈りたいです。
きっとこの作品の現場で竹中直人の役割は、演じた朝比奈玲男役の快演のみならず、知英や斎藤慎二に大きな影響を与えたはずです。
特に同じお笑い出身である斎藤慎二の今後の役者生命に大きな糧になったのではないでしょうか。
そのほかにもキャスト陣の演技には注目ですよ〜。
まとめ
本作『レオン』のなかで演技が“浮いていた”のが一条徹役を演じた吉沢亮。
吉沢亮は自分の役どころについてこのように述べています。
「知英さん演じる小鳥遊の中身がおっさんに変わっているなんていざ知らず、そんな彼女に恋をしてしまうとても可哀想な男です。
まっすぐでピュアで少し抜けたところがある、宙にフワフワと浮いているような役でした。というか、撮影中に何度か浮きました。お楽しみに」
チョット間合いのズレた一条徹に、思わず抱かれてしまいたいと夢想の思いを抱いた男性の観客も多いかも。
まさに吉沢亮のイケメンの魅力と、竹中直人の心のささやきでしょうかね。
天使のように浮いている吉沢亮もチェックしてくださいね。
さて、本作の脚本には桐谷美玲が主演した映画『ヒロイン失格』や『リベンジgirl』でその手腕を見せた吉田恵里香。
とくれば、なんとなく内容の面白さにピンと来たあなたは、ぜひ『レオン』を観て欲しいです。
クレジットロールに流れるエンディングテーマは、Awesome City Clubが担当して、最後の最後で楽しい気分いなれる映画ですよ。