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Entry 2021/02/07
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映画『エルフ物語 ゴス・アズールの化身』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。ファンタジー・アクションのヒロインが種族間の壁を越えて“闇の野望に立ち向かう”|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー21

  • Writer :
  • からさわゆみこ

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第21回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第21回は、ジョン・ライド監督がハイ・ファンタジーを舞台とした、闇の勢力から世界を守る異種族同士の結束描くファンタジー・アクション映画『エルフ物語 ゴス・アズールの化身』です。

神々の闘いが激化し土地は荒れ果て、わずかに生き残った種族は散り散りに生きながら得ていた、第二紀の世界が舞台です。平和な国へと向かうはずだった世界に、“シャドウ”と呼ばれる闇の勢力が陰謀を企みますが……。

ファンタジーの世界には欠かせない、エルフ族、ドワーフ族、オーク族そして、人間達が活躍するファンタジー映画は「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズをはじめ数々作られています。

映画『エルフ物語 ゴス・アズールの化身』は、その中の“エルフ”がヒロインとなって、闇の勢力と戦う壮大なファンタジー・アクションです。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

映画『エルフ物語 ゴス・アズールの化身』の作品情報

(C)2013 Arrowstorm Entertainment

【公開】
2013年(アメリカ映画)

【原題】
SAGA Curse of the Shadow

【監督】
ジョン・ライド

【脚本】
ジェイソン・ファーラー、キーナン・グリフィン

【キャスト】
ダニエル・チャクラン、 リチャード・マクウィリアムス、 ポール・D・ハント、ジェームズ・C・モリス、イヴ・マウロ

【作品概要】
映画『エルフ物語 ゴス・アズールの化身』は、『オゾンビ』(2012)、『サバイバー』(2014)、『ノックアウト』(2016)でもタッグを組んだ、ジョン・ライド監督と主演のダニエル・チャクランのコンビ作品です。

映画『エルフ物語 ゴス・アズールの化身』のあらすじとネタバレ


(C)2013 Arrowstorm Entertainment

人間の一部は予言者に仕える騎士団を結成し、エルフとドワーフは同盟を結んだことで、戦争は終結しオークは辺境の地へ追いやられました。

世界は平和を取り戻し復興へと向かうはずでした。巷では古代の悪魔を蘇らせようとする、闇の動きが噂されその陰謀の首謀者シャドウが、“西”に出現したと予言者は啓示します。

シャドウの正体と陰謀の実態を暴くため、予言者は“西”へと使者を向かわせ、不思議な導きによって3人の異種族が巡り会い、異種族間にある因縁の壁を乗り越え、自らの宿命と闘いながら悪に立ち向かいます。

その辺境の地の砂漠に黒いローブをまとい、乳青色の目をした何者かが竜を巧みに操り、飛来するオークをボーガンで撃ち落としました。

落下したオークは負傷しますが、狙撃者から逃れようとします。しかし、謎の狙撃者はオークを追い詰め、まとったローブを脱ぎ捨てます。

謎の狙撃者の正体は若い女のエルフでした。

エルフはオークの指名手配書に記された罪状を読み上げ、オークを成敗するために闘いを挑みます。激しい応戦を繰り返し、エルフはオークにとどめを刺しました。

オークは死ぬ際に「ただで殺られると思うなよ」と言い、その後エルフはオークを斬首しました。すると首を切られた体から黒い霧が立ち、そのままエルフの左手首に入り込むと、怪しい黒い印を残したのです。

エルフは手首に痛みを覚えますが、オークの首を持ってその場を立ち去りました。

また、ある険しい崖山を登る1人の若い男の人間がいます。彼は辿り着いた洞穴の中に入って行き、「ギャマック!」と叫ぶと、洞穴の奥から小さな人影が見え、突然、銃で発砲してきました。

小さな人影は「跡をつけてきたのか? ケルタス。騎士団の使いか?」と聞きます。

ケルタスはギャマックに聞きたいことがあると答えますが、ギャマックは“シャドウ”以外には何も話さないと言い、再び発砲してきました。

洞窟に逃げ込んだケルタスはギャマックと闘いながら聞きます。「殺すつもりはない。シャドウが“北の地”に集結しているのはなぜだ?」。ギャマックは答えます。「数日もすれば“死の神”が目覚めるはずだ。そうすれば全てがわかる」

ケルタスは“予言者”の騎士団として、北の地のシャドウの動きを探るよう、ギャマックのところに来たのです。ギャマックはシャドウの仲間である証として、手首の黒い印を見せシャドウの仲間になるよう誘います。

ギャマックは「命が奪われていくたびにシャドウの力は強くなる。クルモンの隊が“器”を運んでくれば、神さえも太刀打ちできないだろう」こう言うと、ケルタスに火を付けた火薬の樽を投げます。

しかし、冷静なケルタスはその樽をギャマックに投げ返し、彼は自爆して腕を片方失いました。ケルタスは情報を得ると再び動き出します。

北の荒野にいるオークのクルモン隊では、クルモンがムルグルットが命令に背き、シャドウの命じるままに人間を攻撃したことで、人間からの報復に懸念します。

ムルグルットは“終わったことだ”と開き直り、それよりも器をシャドウに渡せば高額な報酬が得られると、クルモンに持ちかけます。

クルモンは「器を渡せば我らは滅ぼされる。我々は戦士だ盗賊や殺人者ではない!シャドウの奴隷になって闇の陰謀に陥るな!」と檄を飛ばします。

しかし、ムルグルットは反乱を起こし少数派のクルモン族と闘います。クルモンは「神の末裔の私を私を殺すというのか?」というと、ムルグルットは彼を気絶させどこかへ運ばせました。

その頃ケルタスは予言者と交信していました。予言者はドワーフ(ギャマック)から聞いた情報を問い、死の神”ゴス・アズール”を復活させるために、オークの部族に“器”を運ばせていることを伝えます。

予言者は「悪しき者が再び世界を手中に収めようとしている。阻止しなければ混乱と戦いの神に荒らされ、死の神が下界から解放された時、生けるものは滅ぼされる」と予言します。

ケルタスは次なる導きを乞うと、シャドウの使いを“ドレノン将軍”が捕えたから、情報を聞き出すよう命じ、“失敗は許されない”と言います。

以下、『エルフ物語 ゴス・アズールの化身』ネタバレ・結末の記載がございます。『エルフ物語 ゴス・アズールの化身』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2013 Arrowstorm Entertainment

ドレノン将軍のいる村へ到着したケルタスは、オークの首を捕ったエルフもドレノン将軍を訪ねているのを見かけます。

エルフは手配書の悪党“ファントー”の首をドレノンにさしだし、懸賞金の金貨400枚を要求しますが、全額ほしいなら本部へ行けと告げられます。

エルフはファントーの首を落とした時に呪いをかけられたと、手首の印を見せて“割増料”を要求しますが、それを見たドレノンは「それはシャドウの手下である印証だ。したがって捉えて報奨金も没収する」と、エルフを捕えて地下牢へ入れてしまいました。

そんなひと騒動の次はケルタスがドレノンを訪ねます。ドレノンは予言者に不信を抱き、迷いもなく使者となったケルタスに「後悔もありそうだ」と言います。

ケルタスは地下牢に囚われたシャドウの使い、“マゴット・ガルブロー”に会わせるようつめ寄ります。

地下牢にはマゴットとエルフが鎖につながれています。マゴットは彼女に近寄ると威嚇されますが、手首の印を見ると「姉妹よ」と言って頼みごとをします。

エルフをシャドウの仲間だと思ったマゴットは、自分の代わりに黄金の入った箱を持って、新月の夜までにギャレットの十字路で神聖なる器と交換してきてほしいと頼みます。

エルフが黄金のありかを聞くと、“流血の石”の南にある木の洞だと言います。さらに「夜明けに石から流れ出る血を集めておくよう」と言うと、エルフは石の場所を聞きます。

シャドウの仲間であれば石の場所を知らないわけがないと、マゴットはエルフを殺そうと襲いかかりますが、逆にマゴットは絞め殺されてしまいました。

地下牢に来たケルタスは死んだマゴットが、何かを話さなかったか聞きます。エルフは答えませんが、仲間であるはずのマゴットを殺し、ファントーからかけられた呪いというエルフを、予言者の命によって解放するよう牢屋番に言います。

ケルタスがエルフを連れて通りに出ると、みすぼらしい謎の女から「迷える戦死よ死はお前の近くにある。流れた血が印となって残ったか?ケルタス」と声をかけられます。

ケルタスは神殿の近くで見かけた記憶があるが、何者かはわからず「英雄は功績で名を馳せるが、最後に評価されるのは“心”だ」と謎の言葉を残し去っていきます。

森の入り口まで来ると、シャドウの影響をうけたエルフは苦しみます。ケルタスが手錠を外すとエルフは隙を見て襲いかかり、ケルタスは「予言者に仕える、神殿の尼僧ならば呪いが解ける。」と取引をもちかけ、エルフは“流血の石”のことを話すと2人は向かいます。

流血の石がある山の麓にくると、クルモンが木に括られています。クルモンは裏切り者のムルグルット一族が神殿を襲い、オーダスの霊堂にシャドウの探していた“アムンカーンの遺灰”を入れた“骨の器”を奪ったと話します。

ケルタスがクルモンの縄を解くと、エルフは“ローグの戦い”で一族を殺された恨みから、果し合いをけしかけます。ケルタスは制止し“流血の石”があるここはかつて、旧神を崇拝する魔法使いが集った場所で、「女神の導きで3人は引き合わせたんだ」と言います。

エルフの名前は“ネミット”。彼女はマゴットが「新月の夜に石から流れ出る血を集めろ」と言っていたと話すと、クルモンが取引に血は必要ないはず、器は金貨1000枚で交換だと言います。

その晩、ネミットはねぐらを離れ、金貨の入った箱を木の室から取り出し、ケルタスとクルモンから逃れようとします。ネミットがいなくなるとケルタスとクルモンは、死体の化け物に襲撃されます。

逃げようとしたネミットは手首の痛みを感じ、2人のところに戻りピンチを救います。ケルタスはネミットが手に入れた金貨を見抜き、3人にはお互いの利害関係があると同盟を組み、ギャレットの十字路へと向かいます。

ギャレットの十字路でムルグルット一行を待ち、ネミットは金貨で骨の器と交換するが、そこにシャドウが現れ器を奪われてしまいます。

その時、ムルグルット族はシャドウの呪術で仲間の刻印をつけられ、永遠の命と力を与えられると、“ディムウッドへ向かえ”と命ぜられ、ネミットを捕えて動き出し、ケルタスは器を奪い返すためシャドウを追い、クルモンはムルグルットを倒すため追います。

ケルタスはシャドウと対峙しますが、「光りの使者よ。シャドウに屈服するがいい。お前の心は空虚だ」とケルタスの揺れ動く忠誠心を見抜いたシャドウに討たれ、仲間の刻印を付けられます。

ケルタスは死の淵に立ち予言者に助けを乞いますが、予言者はケルタスに失望し、永遠に呪われ女神からも忘れられるだろうと告げ、あっさり消えていきます。

クルモンはムルグルット一行に追いつくと、生きて現れたクルモンに驚きます。クルモンは復讐の戦いを挑みムルグルットを倒すも、永遠の命をもったムルグルットは蘇ります。

クルモンはネミットを救い一緒に退散しますが、ネミットは矢で撃たれ負傷します。なんとか逃げ切った2人、クルモンはネミットを手当し「よく呪いの力に耐えているな」と讃えます。

オークに恨みを持つネミットでしたが、クルモンには悪意が薄れていました。ネミットは呪いをかけたシャドウに「呪いをかけた相手を間違ったと後悔させてやる」と、再び動き出そうとし、クルモンはネミットを助太刀すると、一緒にディムウッドへ向かいます。

一方、ケルタスが瀕死の状態でいるところに、村で会った謎の女が再び現れ言います。「ケルタスお前の剣は鋭く働きは献身的。しかし空虚な心ではシャドウは倒せん」

女はケルタスの腕を取り「お前は見捨てられた。だから、私が拾う。死者を支配するシャドウに、生ける者には力は及ばない」と、魔法を唱えるとケルタスの体はまばゆく光り輝きます。

クルモンとネミットはドアーフの縄張りに入り込み、ギャマックの攻撃を受け、ネミットが網にかかりクルモンも銃で狙われ撃たれそうになったところに、ケルタスが2人を助けます。

ケルタスは呪いの力に耐えているネミットを讃え、尼僧が呪いを解くと言ったのは嘘だと詫びます。ネミットは「持ちこたえてみせる」と力強く応え、とうとう3人の絆が1つになりました。

ケルタスが会ったみすぼらしい女は旧神タルサで、彼女によって印が消され癒され、タルサに仕えていました。したがってネミットにも望みはあると告げます。

シャドウの狙いは、アイムカーンの遺灰と流血の石から流れる血を混ぜ合わせ、死の神“ゴス・アズールの化身”を蘇らせることです。

その場所がディムウッドにある“悪魔の井戸”で、シャドウの仲間が集結し儀式をはじめると、3人はゴス・アズールの復活を阻止するため、仲間の印のあるネミットを潜入させ、シャドウを討ち倒すチャンスを狙います。

映画『エルフ物語 ゴス・アズールの化身』の感想と評価


(C)2013 Arrowstorm Entertainment

映画『エルフ物語 ゴス・アズールの化身』は、神々たちの争いが終わったあとの混沌とした時代の話を、キャスト数やCGシーンも最小限で抑えた、低予算映画です。

その代わりにロケ地となった広大な自然を活かすことで、ファンタジーの壮大な世界観をうまく表現できた作品と言えます。

見どころはファンタジー界の“ローグ”は、無知で悪の象徴となっているところ、戦士クルモンが武士道的な思考で登場し、人間やエルフと友好的な関係になるところでしょう。

また、人間にある信仰心で聖者に仕え心を委ねる性質、エルフのように猜疑心が強く、誇り高い性質などは協調的に表現していました。

ローグは見た目の悪さや一部の知性の欠如だけで、全体像の判断をされてしまい誤解が生じ、猜疑心の強いエルフに攻撃され、逆に悲劇的な結末を迎えます。この設定は現実世界にあるような差別と似ていて、わかりやすい比喩的な表現でした。

また、高潔な者を信じ誇りをもって働いたとしても、いとも簡単に見捨てられ、なんの報いもない哀れな人間というのも実在します。しかし、その努力も無駄にはならず、認めてくれる人もいるという希望的な要素も含んでいます。

現実の中には裏の部分で悪い企みをする輩もいて、常に危うさのある社会です。それをファンタジーの世界の中のように、異人種であっても協力しあえれば、悪に立ち向かい闇に犯されることはないと呈しています。

“悪”の定義も奥が深く何を悪とするか……という意味では考えさせられる部分はありつつ、弱り目に祟り目という通り、混沌とし何を信じていいかわからない時には、その心の隙を狙う悪者は出現するという構図を示していると言えます。

本作はファンタジー界の象徴“エルフ”を主人公とした、アクションアドベンチャー作品でした。各種族がコンパクトに登場し残虐なシーンも少なく、児童書のような優良感がある家族向きの作品と言えるでしょう。

まとめ


(C)2013 Arrowstorm Entertainment

映画『エルフ物語 ゴス・アズールの化身』は、オーク族との争いで家族や仲間を失った孤独なエルフが、賞金稼ぎとなって憎きオークの首を捕り、悪の呪いをかけられても悪に屈っせず、強い気持ちで復讐に挑むヒロインとなり大活躍する物語でした。

また、ネミットは憎きオークを許し、嘘をつく人間を信じて仲間と認めた勇気あるヒロインです。それは女性に対する、弱々しいイメージを払拭してくれるキャラでした。

映画『エルフ物語 ゴス・アズールの化身』は「ロード・オブ・ザ・リング」や「ナルニア国物語」のように、CGやセットを駆使した作品ではありませんが、ファンタジーに欠かせない種族達の特徴を現実におきかえて観たとき、協調性の大切さを訴えているとてもよくできた作品です。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

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